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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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『聖教新聞』事件 第64回
揺らがなかった自信

 平成7年6月19日、女性店主は東村山市議朝木直子の母親で、同市議だった朝木明代が店先に吊るしてあったTシャツ1枚をジャケットの内側に隠して持ち去るのを目撃し、問い詰めた。店主は品物は取り返したが、明代は「知らないわよ。いいがかりをつけないで」などといって犯行を否認し、そのままイトーヨーカドー方面に逃走した。

 あまりにも明らかな万引き事件だった。ところが明代は東村山市議の矢野穂積と共謀してアリバイ工作を企て、その一方で矢野とともに被害届を撤回させるために洋品店主に対して再三にわたって脅しをかけ、あるいは嫌がらせ行為を繰り返した。最終的に東村山署で主張したアリバイ主張が虚偽であることが露顕し、東村山署は明代を窃盗容疑で東京地検八王子支部に書類送検したが、これに対して明代は店主を虚偽告訴罪で告訴した。

 普通の人間なら万引きが発覚した時点で犯行を認め謝罪して終わりとなる。明代の万引きもそうだったなら、特に被害者である店主が多くのメディアの取材を受けることはなかっただろう。明代がなんらかの社会的制裁を受ける結果になったとしても、明代が罪を認めている以上、被害者に対する取材もそれほど必要なかったのではあるまいか。しかしこの事件に限っては、そうはならなかったのである。

 被害者にしてみれば、明代が店頭に吊るしてあったTシャツを万引きさえしなければ、警察から事情を聴取されることも、メディアの取材を受けることもなかったし、裁判所から報道との間に相当因果関係があるなどといわれることもなかった。しかし店主にすれば、裁判所が相当因果関係を認めようが認めまいが、なんら動じるところはなかった。店主にとって、「事実をありのまま述べただけ」という自信が揺らぐことはなかったからである。

東京高裁の結論

 さて、引用によって間接的に使われた証言でも責任を問われるということになれば、通常の名誉毀損の場合と同様の検討がなされることになる。東京高裁は万引き被害者の主張についてまず、〈(万引き被害者である被告の主張は)要するに、平成7年6月19日に被控訴人○○(筆者注=万引き被害者)が経営する○○(筆者注=店名)でTシャツの万引きがあり、その犯人は亡明代に間違いないということに尽きる。〉と総括した上で、次のように述べた。

〈被控訴人○○(筆者注=万引き被害者)としては自らが認識していることをそのまま夕刊フジの記者に話したものと認められ、特段認識する事実を歪曲したり、誇張して話したことを窺わせる証拠はない。〉

 問題は、上記判断の中で東京高裁がいう万引き被害者の「認識」の信用性である。その点についての東京高裁は次のように述べた。

〈(万引き被害者が犯人と断定する)『A女』が亡明代であるということについては、被控訴人○○(筆者注=万引き被害者)が亡明代の人相、容貌を知っていたという以外に根拠はないのであるが、このような認識に至ったことについては……東村山署において捜査が進められ、他の目撃者等からの事情聴取の結果等を含めて、東村山署においても本件窃盗被疑事件は亡明代によるものと認めて東京地方検察庁八王子支部の検察官に事件を送致したことに照らすと、被控訴人○○(筆者注=万引き被害者)に勝手な思い込みや不注意といった過失があったとは認められない。〉

 その上で東京高裁はこう結論付けた。

〈本件窃盗被疑事件は、被控訴人○○(筆者注=万引き被害者)にとっては現職の市議会議員による窃盗事件……と認識され、そのように認識するについて相当の理由があったものというべきであるから、事件が検察官に送致された後に、夕刊フジの記者の取材に応じて自ら認識するところをありのまま正直に話したとしても、これをもって違法ということはできない。〉

 東京高裁はこう述べて万引き被害者に対する請求を棄却した。この裁判は『聖教新聞』の記事が矢野と朝木の名誉を毀損するものだったか否かを争点とするもので、直接的に明代の万引きと自殺が事実だったかどうかを判断するものではないから、東京高裁は万引き事件そのものの存否について明確な文言で判断を下しているわけではない。

 しかし、被害者が「万引きしたのは朝木明代」と主張していることについて、東村山署の捜査の結果、東京地検に送致されたことを理由に違法性を否定したことは、事実上、被害者の主張の真実性を認定したに等しい。東京地検は万引き事件については明代の死亡によって不起訴とする決定をしたが、「明代の万引きの事実は認める」とする結論を東村山署に伝えている。

 この事実は千葉が証人尋問で明らかにした。被害者の「朝木明代に万引きされた」という被害申告は、東村山署の捜査と東京地検の捜査によって事実であると認定されたということだった。千葉のこの証言は裁判官の心証形成に少なからず影響を与えたのではあるまいか。

 さらに東京地裁は矢野と朝木が裁判でも主張した「創価学会による捏造説」を否定したのみならず、その主張が創価学会に対する名誉毀損行為であると認定し、東京高裁も追認している。このような認定からすれば、東京高裁もまた明代の万引きの事実を認定したに等しいといってよかろう。

(つづく)
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