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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第15回
想定外の発言

 平成28年5月23日、元東村山市議の山川昌子が『東村山市民新聞』の記載によって名誉を毀損されたとして、同ビラを発行する現職東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)を提訴していた裁判の第5回口頭弁論が東京地裁立川支部で開かれた。出廷したのは原告山川と、被告側は田中弁護士だけだった。

 この日、東村山市議会は臨時議会が開かれており、矢野も朝木も出廷できなくなったらしい。そのため、武蔵村山市議Aが矢野の準備書面のコピーを裁判所まで届けたようである。

 原告側は5月16日付で新たな準備書面と3点の書証を提出し、被告らも5月19日、原告準備書面に対する反論を記載した準備書面を提出していた。前回口頭弁論で裁判官は「次回が最後ですよ」と述べ、この日で弁論を終結すると予告していた。だから、この日の口頭弁論は提出書類の確認だけで終結するのではないかとみられていた。

 裁判官は開廷を告げると、双方が提出した準備書面と証拠の確認を行った。ところが原告が提出の意思表示をしたあと、被告代理人が想定外の発言をして、順当な進行に待ったをかけた。裁判官が被告代理人に同じように確認を求めると、代理人はこう述べたのである。

田中平八弁護士(矢野・朝木代理人)  準備書面の提出はいいんですが、一応、朝木直子の本人尋問を申請しておりましたので……。

 朝木が自分に対する尋問を申し立てたのは前々回の口頭弁論においてである。ところが朝木は前回口頭弁論では、これについて裁判官の判断を聞きもしなかった。ところが裁判官が結審を予告していた口頭弁論当日になって、田中弁護士は尋問の申し立てに対する判断をただしたのだった。なお私には、「一応」という文言をはさんだところに田中弁護士の弱気がのぞいたように思えた。

朝木の尋問申請に改めて判断

 朝木への本人尋問を申請したあと、何か具体的に「山川が詐欺事件に関与した」とする事実について重要な証言をする可能性があると思わせるような証拠の提出もない。朝木を尋問することは時間のムダとしか思えなかった。

 それでも裁判官は一方的に結論を出すことはせず、原告山川の方に顔を向けて意見をただした。一応、法律に基づき、弁護士から提出された正式な申請だから、慎重に判断しようとしたのだろう。これに対して山川は毅然としてこう答えた。

山川  被害者のTさんが証言するというのならともかく、朝木さんが証言するといっても伝聞にすぎないのですから、尋問の必要はないと思います。

 裁判官は田中弁護士に「原告はこういってますが、どうですか」と再度、意見を求めた。すると田中弁護士は山川の主張にいっさい反論せず、裁判官に対してこう答えただけだった。

田中弁護士  裁判官のご判断に従います。 

 裁判官は田中弁護士の発言を聞くと、数秒の間を置いたのち、こう述べた。

裁判官  では、陳述書も出ていますしね、前回もいったとおり、これで本件は終結とします。 

 判決言い渡しは、平成28年7月13日午後1時10分となった。

明確になった裁判官の認識

 前回の口頭弁論で田中弁護士は、原告がその1週間前に提出した準備書面について、すでに受領していたにもかかわらず「今もらったばかりだから、改めて反論したい」と申し立て、その結果、裁判官はもう1回口頭弁論を開くことを決定した。原告はこの件について、今回提出した準備書面で、田中弁護士の上記申し立ては〈虚言をもって裁判の進行を阻害する悪質な行為である〉と批判していた。田中弁護士が裁判の引き延ばしを意図したのかどうかは定かではないが、裁判官がそんな疑念を抱いていたとしても不思議はなかった。

 また尋問を申請するには少なくとも記事に名誉毀損が成立しないことについて相当の供述をするだけの理由があったはずだが、この日、田中弁護士はその点についてあらためて積極的に主張もしなかった。さらに山川から「伝聞にすぎないから尋問の必要がない」と反論され、裁判官から再反論の機会を与えられたにもかかわらず、それに対してもなんらの反論もしなかった。裁判官は前回口頭弁論における田中弁護士の発言からこの日の発言までを総合的に判断し、朝木の尋問をしない決定を下したのではないかと思われた。

 いずれにしても、いよいよ結審が迫った時点で田中弁護士が、裁判官が特に触れようともしなかった朝木の尋問について改めてその判断を確認したことで、裁判官の認識がより明確になったようにも思える。普通に考えれば、朝木を尋問することによって新たな展開の可能性があると判断すれば、田中弁護士がいわなくても、裁判官の方から朝木に対する尋問を許可したのではあるまいか。裁判官は、少なくとも、朝木の尋問に時間を費やす必要はないと判断したということと理解できよう。

 しかも、田中弁護士が確認を求めたあと、原告の意見を聞き、さらに田中弁護士に対してさらに意見を求め、「裁判官の判断におまかせする」という回答を得たのだから、手続きとしてもあとで「一方的な判断」と非難される理由もなくなった。

 そもそも、田中弁護士が尋問の確認を求めるまで、裁判官からそのことに触れる素振りはいっさい見えなかった。つまり裁判官としては、予定どおり、この日で弁論を終結する心づもりで法廷に臨んでいたのではないかという気がしてならない。

 この日までに、矢野と朝木が「山川は詐欺事件に関与した」と書いた出来事の実態はどんなものだったのか、それを明らかにする2つの重要な証拠が、原告側から新たに提出されていた。

(つづく)
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