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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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りんごっこ保育園問題とは何か 第5回
黒子の正体を現した朝木直子

 保健福祉部との相談に同席していた墨塗りの人物の名前が明らかにされたのは、厚生委員会が午後1時45分に再開された直後である。再開後の質疑をみよう。

保健福祉部次長  (墨塗りになっている)同席者については請願に関連しないので名前は出さないつもりだったが、本人に電話で確認したところ、出してもいいということなので出すことにした。相談に同席したのは朝木直子議員です。

――議員から内容に立ち入る相談はあったか。

次長  設置者(高野)以外とは相談はしていない。

――認可の方向にした基準は?

次長  すでに認証保育所を経営している。

 その後の休憩中の保健福祉部長の説明によると、朝木は保健福祉部と高野との相談の場に3度同席したという。1回だけならまだしも、3度も同席したとはどういうことなのか。部長によれば、話をしたのは高野だというが、それなら朝木が3度も同席する必要はあったのか。認可保育所を経営しようとするような人物なら、当然、市会議員の手を何度も借りなくても所管と必要な話し合いぐらいはできるだろう。それとも何か、通常の認可申請相談とは異質の相談でもあったのか。次長はその疑問に先回りするように、

「議員だからと、特別な便宜をはかることはない」

 と述べた。少なくとも、議会にも保育関係者にも公表しないままに決済したことが「特別な便宜」でないとすれば、この間の経過は東村山市の地方自治体としての主体性のなさ、あるいは市民に対する責任感の希薄さを示しているといえばいいのか。

 ところで、最初は公表を拒否していた朝木はなぜ自分の名前を公表することに同意したのか。当初、「個人情報」をタテにうまく保健福祉部をコントロールしながら水面下で進めてきた認可申請計画がバレて、市民から公明正大な方法で進めることを求める請願が提出されたことをきっかけに、議会でも少なくとも行政手続の方法について強い拒否反応が広がっていることは明らかだった。あらゆる行政手続は透明でなければならない。

 りんごっこ保育園の認可申請計画が、当事者と保健福祉部、市上層部以外の誰にも知らせることなく進められていたことに対しては、今回の請願だけでなく、2月10日付で児童育成計画推進部会長から「緊急要望」が、また保育所保護者連合会会長からは「緊急要望書」がそれぞれ市長宛に提出されていた。誰が見ても、開園を3カ月前に控えた保育園の名前も設置者の名前も公表できないなどあり得ない話で、保育環境を論じる以前に、いっさいの批判を頭から受け付けないというやり方にあらゆる方面から批判の火の手が上がるという状況になっていた。

 仮に今回提出された請願が採択されることになれば、平成15年春にも予定している開園に大きな支障が生じることにもなりかねない。情報公開によって改善や定員減の声が高まれば、開園時期の大幅な遅延や運営計画に狂いが生じる可能性もあろう。それが朝木1人の判断かどうかはわからないものの、朝木はもはや黒子として推移を見守っている状況ではなくなったと考えたようだった。

 しかし、朝木が考えたのは自分の名前を表に出すことだけではなかったらしい。保健福祉部次長が、相談の席にいたのが朝木直子であることを公表した直後のことだった。朝木は自分の名前を公表することに応じただけでなく、厚生委員会の傍聴席に現れたのである。もちろん、朝木はただ委員会を傍聴に来たわけではなかった。朝木は傍聴席に座るやいやなや、質疑に割り込んでこう発言したのである。

「文書を提出しているでしょ。全部読みなさいよ。読めないのは(開園に反対している人たちにとって)都合が悪い部分があるからではないですか?」

 いったい、進め方に異議を唱えている人たちにとってどんな「都合が悪い部分がある」というのか。むしろ、認可保育園という公益事業に関与していたのなら、朝木自身が最初から関与を認めた上で、それまで高野が保育園の名前を明かさず、朝木が相談に同席していたことを隠していたことを含め、この保育園が東村山市民にとっていかに有益な存在になり得るのかを議会や市民に堂々と説明すればよかろう。厚生委員会から呼ばれた高野が出席できないといってきたのならなおさら、朝木が高野に代わって説明すればよかったのではないか。

 本来すべきことをいっさいしようとせず、きわめて当然の疑問を述べているにすぎない市民や議会に対して一方的に「都合が悪い部分があるからではないですか」と逆に非難するとは、とても公益事業の認可申請相談に同席した市会議員の言葉とも思えなかった。私が横から「矢野も相談に来たのか」と聞くと、朝木はただ「うるさい」と怒鳴り返した。

 朝木の乱入によって質疑はいったん中断したが、その後も鈴木市議の質疑は続いた。とりわけ後半には、その後の東村山市議会の重大な意思決定を予感させる質疑があったが、その前に高野が厚生委員会に提出し、朝木が「読み上げろ」とわめいた文書を紹介しておこう。文書の題名は「認可園開設に関する経過等について」(平成15年2月8日付)。厚生委員長と保健福祉部長に宛てたものである。差出人は当然、「高野博子」となっており、高野の印が押されている。しかしもちろん、この文書を実際に高野が書いたという保証はどこにもない。

 裁判所に提出する書類なら、誰が書いたものであろうと署名人の責任であり、署名人の文書と認定されるが、ここは裁判所ではなく議会なのだった。厚生委員会は高野の生の声を聞きたかったのであり、生の声にこそ意味があった。実際に高野博子がいるのなら質問もできよう。しかし書面では、それが高野自身が書いたものかどうかさえわからない上に質問のしようもなく、ヘタをすれば高野の一方的な主張で終わってしまいかねない。厚生委員長が高野が提出した文書を読み上げなかったのは賢明な判断だった。文書は長い前置きから始まっていた。――
 
「2月7日午後、外出して不在中、市議会厚生委員長さんから、再三お電話をいただき、月曜日に行われる厚生委員会に出席してほしい旨の伝言がありました。

 市議会の委員会への正式の出席要請であるのならば、何らかの文書で事前にその趣旨をお知らせ頂けるものと思いますが、金曜日午後に翌週月曜日の件が突然、架電によってなされましても、あまりにも唐突ですし、10日はすでに先約も入っており出席できませんが、ちょうどいい機会ですので、経過及び私どもの考えをお書きした書面を、9日市役所時間外受付にお届けしておきます。ぜひとも、厚生委員会の委員さんだけでなく傍聴者の方々のいらっしゃる席で、この文面全部を読み上げて頂くようお願い致します。なお保健福祉部長さんにも、同じ内容の書面をお届しておきましたので、付け加えておきます。」

――そもそも市議会の委員会が民間人を呼び、見解を求めるということはそうあることではない。今回の場合、議会だけでなく保育関係者、市民から強い疑問が提出されるという重大なケースである。公益事業を行おうとする者が、本当に市民の疑問を解消しようとする気持ちがあるのなら、高野は自ら都合のいい日を指定することもできたはずである。ところが、厚生委員長から伝言があっても、高野が厚生委員長に電話をかけたことをうかがわせる記載はない。つまり、そもそも高野には最初から厚生委員会に出席する意思などなかったのではあるまいか。保健福祉部長にも同じ書面を届けたのは、その内容を保健福祉部長に読ませる意図があったのだと思われた。

(第6回へつづく)
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