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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第18回
貸金が重荷に

 被害者Tの陳述書によれば、Sからの本格的な借金申し込みが始まったのは、10万円を貸したのに対して12万円を返してきた翌月(平成21年6月)のことである。Sは「知り合いの魚屋が資金を必要としている。年内には返すから300万円を貸してほしい」というのだった。

 Tは躊躇したが、Sは「2人の娘が保証人になるから」というので貸すことにした。Tは陳述書で、「病院についてきてもらったり、ホテルで食事をご馳走になったりしたこともあり」、断りきれず、Sに金を貸してしまったと述べている。Sがそこまで計算していたのかどうかは定かではない。しかし、多額の借金を申し込んだタイミングとその後の状況をみれば、Tからみて過剰とも思えるSの「親切」ぶりは、Tにできるだけ恩を売ろうとしていた可能性を否定できないのではあるまいか。

 いずれにしても現実に、その300万円を手始めにSはいろいろな理由を付けて同年7月に300万円、8月ごろには400万円と立て続けに借金を申し込むようになった。「貸付先」はいずれもS以外の事業主で、名目は「事業資金」だった。だから、それぞれの事業に応じた、それらしい「見返り」があるとも説明された。金の受け取りは必ず現金で、いずれもSが「仲介」するといって受領し、「事業主」は姿を見せなかった。

 Tはこのころから、貸した金をすべて早く返してもらってSとの貸借関係をすべて清算したいと思うようになっていた。その時点で、誰かに相談することも考えた。しかし、そうなれば貸金のすべてを打ち明けなければならないし、また人に相談したことがSの耳に入れば、金を返してもらえなくなるのではないか--。Tはこのような出口の見えない不安にさいなまれるようになっていたという。

返してもらえない不安

 そんなとき、Sはさらに米屋の事業資金名目で借金を申し込んできた。Tは「もう遠慮したい」というそぶりをみせたのだろう。するとSはこう畳みかけた。「これを貸してくれれば、前に借りた分も全部返してしまうから」と。まるでTの心中を見透かしているようだった。

 これを聞いたTは「今度貸すことで今までの金が全部戻ってくるのなら、誰にも知られずにすむ」と考えてしまう。通常なら、Tは金を貸している立場で、金を返してもらうことについて相手に遠慮する必要はない。ところが、それどころか相手は「金をもっと貸してくれなければ金を返せない」などと身勝手な要求をしているのだった。Tにとって、すでに1000万円を超える金を相手に渡してしまっていることが、むしろ弱みになってしまっていたのである。

 借金をカタにした無言の脅しといってもよかろう。Tはそこまで追い込まれた状況にあったということである。こうしてTはさらにSに金を貸してしまった。

 それから間もなくSは「米屋さんからのお礼」といって米30キロを持ってきた。資金を必要としていた米屋の気持ちということで、Tを安心させようとしたのだろう。その時点でTに法的手段にでも出られては元も子もないということだったかもしれなかった。 

「返済のためには金が必要」

 とうとう最後には、Sはあからさまにこういって借金を申し込んできた。「今まで借りた金を返すだけの金が入る予定があるが、そのためには急いで500万円が必要だ」と。Tはまたしても、「金を返してもらえるのなら」との思いから、さらに500万円を貸してしまった。

 こうしている間に平成21年10月、最初の返済期限が訪れた。しかし返済はなく、それどころか、Sは貸してくれないと返せないような口ぶりで重ねて借金を申し込んできた。Tは「返してもらえないと困る」という気持ちが先に出て、仕方なくさらに2回にわたって計300万円を貸してしまった。

 こうして最終的にTは、Sに2600万円を貸してしまう。なおSは借金の際には「銀行には振り込まないで」と、いずれもSが「仲介」するといってベンツに乗って手土産持参で受け取りに来たという。「事業主」は姿を見せなかった。直接取りに来たのは証拠を残さないためだったものとみられる。

 しかし、やはり期限が来てもSから返金はなかった。「警察に相談するしかない」といったところ、やっと一部が返金されたが、TがSらに対して返金訴訟を提起するまでに、2000万円以上が未返済の状態となったのだった。

Tの述懐

 Tの具体的資産額を知ったSは、Tを病院に連れて行くなど世話を焼いて人間関係を築いた。最初の300万円を借りることに成功すると、Sは「むげには断れない」というTの心理を見透かし、あるいはTにそれなりの見返りをぶら下げて期待感を刺激しつつ借金を重ね、しまいには「貸さなければ返してもらえないのではないか」という恐怖を植え付け、断れない状況に追い込んでいった――。TがSに多額の金を貸してしまった経過は以上のように要約できる。

 仮にTがSに金を貸した経過の中で、ほんのわずかでも山川が顔を出した事実があれば、Tはそのことを記載しただろう。しかしTの陳述書の中に、原告山川の名前すら発見することはできない。矢野と朝木は、山川がM(Sの姉)に「Tさんが独り暮らしになっちゃったのよね」と話したことが「本件詐欺事件の端緒となった」と主張しているが、陳述書の中にそのような記載もいっさい存在しなかった。

 それどころか、Tは陳述書で、Sから最初に多額の借金の申し込みがあったときの心境についてこうも述べていた。

「そのような申し入れは断ればよかったのですが、SやMにいろいろとお世話になっていたこともあり、断りきれず……」(趣旨)

 TはSに最初に金を貸してしまった理由を明確にこう述べている。「山川がM(Sの姉)に『Tさんが独り暮らしになっちゃったのよね』と話したことが本件詐欺事件の端緒となった」とする矢野らの主張とはかなりの開きがある。陳述書全体を見渡しても、「独り暮らし」であることが原因で大金を貸してしまったとする記載はいっさいない。つまりTは、「山川がM(Sの姉)に『Tさんが独り暮らしになっちゃったのよね』と話したことが本件詐欺事件の端緒となった」などとはまったく考えていないということにほかならなかった。

 陳述書に山川の名前がいっさい出てこないことに加え、Sに大金を貸してしまった理由についてのTの認識から判断すれば、「山川が詐欺事件に関与した」などという事実は存在しないとみるのが常識的な結論だろう。だから矢野は、Tの陳述書を入手していたにもかかわらず提出しなかったということではあるまいか。

(つづく)
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