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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第20回
またしても立証対象をすり替え

 被告の矢野らは「原告山川が詐欺事件に関与した」とする事実に対する立証をいっさいせず、「原告がMに対して『Tが一人暮らしになったこと』を報せたことが詐欺事件の引き金となった」という事実が〈本件訴えの争点事実〉などと主張している。本来の立証対象である「原告が詐欺事件に関与した」という摘示事実に触れようとしない矢野らの主張をどう理解すべきだろうか。

 矢野らがここで用いた〈本件訴えの争点事実〉なる文言が「摘示事実」に替わるものであるなら、きわめて違和感のあるこの主張も理解できるのかもしれない。〈本件訴えの争点事実〉なる文言を「摘示事実」に入れ替えれば、「原告がMに対して『Tが一人暮らしになったこと』を報せたことが詐欺事件の引き金となった」という事実が摘示事実であるということになるのである。

 そうなれば、本件の立証対象は「原告が詐欺事件に関与した」ではなく、「原告がMに対して『Tが一人暮らしになったこと』を報せたことが詐欺事件の引き金となった」という事実であることになる。またしても矢野らは、争点をすり替えたとしか理解できなかった。

 立証対象が「山川が詐欺事件に関与した」という事実だとなんらの関連性も示せない。しかし、「原告がMに対して『Tが一人暮らしになったこと』を報せたことが詐欺事件の引き金となった」という事実なら関連性だけは主張できる、と。原告がMに対して「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と話したことは原告自身が認めている事実なのだから。

 原告がMに対して「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と話した事実は、それが「詐欺事件の引き金になった」とする事実が真実であることを証明するものではない。しかし原告がMに対してそのことを話したのは事実だから、それが「詐欺事件の引き金となった」と矢野らが信じたことにはまったく根拠がなかったわけではないと(それでも相当性が認められるのは難しいと思うが)。

 また、仮に「原告がMに対して『Tが一人暮らしになったこと』を報せたことが詐欺事件の引き金となった」とする事実が「本件訴えの争点事実」であるとする矢野らの主張が認められるとすれば、原告が提出した被害者T自身の陳述書の重要性は大きく後退することになる。Tが陳述書で述べているSに対する貸金の具体的経過は、あくまで事後の出来事ということになるからである。

 矢野らが「原告がMに対して『Tが一人暮らしになったこと』を報せたことが詐欺事件の引き金となった」とする事実が「本件訴えの争点事実」であると主張を変えたのは、TとOの陳述書は証拠価値がないものにしようとする意図もあったのではあるまいか。原告からTの陳述書を提出されたことは、矢野らにとってかなり痛手だったということなのかもしれなかった。

毎回のように主張が変遷

「本件記事は『原告山川が詐欺事件に関与した』と主張するものである」とする原告の主張に対し、矢野らの主張は次のように変遷してきた。



(本件における矢野らの主張の変遷)

「事実は本件記事のとおりである。」(答弁書)

「原告山川がMに、高額な資産を有する一人暮らしのTの情報を漏洩したことは、Sの詐欺行為を仲介したものである。」(のちに、上記の記載のうち「高額な資産を有する」の部分を削除)(準備書面1)(筆者注=ここまでは一応、摘示事実は「原告山川は詐欺事件に関与した」というものであることを前提にした主張である)

「摘示事実は『結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった。』『元議員の立場で、貸金の仲介者のような役割を果たしながら、山川元市議は『知らん顔』』との記載である。原告山川はMに対して『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と話しており、山川が本件事件を仲介し関与したことは明らかである。よって、上記の記載は客観的事実と一致する。」(筆者注=本件記事は、「山川は『口ききをしただけ』と記載したにすぎない」とする主張へと変遷=最初の摘示事実のすり替え=準備書面2)

「原告山川はMに対して『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と詐欺犯人にとって耳寄りな情報を提供し、本件詐取のきっかけを提供したものであるから、原告が本件詐欺に関与したことは間違いない。」(準備書面3)(筆者注=原告がMにTの話をした事実に基づき「原告山川は詐欺事件に関与した」とする主張に戻った)

「原告山川がMに対して『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と話したことが詐欺事件の引き金となった、というのが本件訴えの争点事実であり、その事実は山川自身が認めている。原告山川による上記情報漏洩によって本件詐欺事件が発生したことが真実であることは明らかである。」(=最後の準備書面における主張。前回の「原告山川は詐欺事件に関与した」とする主張から「山川がMにTの話をしたことが詐欺事件の引き金となった」とする主張へと変遷)



 矢野らの主張の変遷をみると、③で不可解な主張をしたものの、④においては「山川が詐欺事件に関与した」とする主張に戻っている。この時点から、山川がMに対して「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と話した事実を根拠に据えて主張を組み立てようとする方向性が明確になった。

 ところが最後の⑤になると、山川がMに対して「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と話したことが「詐欺事件の引き金となった」、山川がMに対して「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と話したことによって「本件詐欺事件が発生した」となり、〈「原告山川を詐欺の共犯であるとする主張」は存在しない〉とまで言い切っている。上記④では「原告が本件詐欺に関与したことは間違いない」と断定しているが、これは「詐欺の共犯」という意味ではないのだろうか。

 いずれにしても、最終準備書面に至り、矢野らの主張が「山川は詐欺事件に関与した」というものから「山川がMに対して『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と話したことが詐欺事件の引き金となった」というものへと変遷したことは明らかなようである。「詐欺事件に関与」ではなく「詐欺事件の引き金となった」とは、これまでにない主張だった。

(つづく)
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