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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第21回
Tの陳述書を持っていた可能性

 最終準備書面に至り、矢野らが「山川は詐欺事件に関与した」というものから「山川がMに対して『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と話したことが詐欺事件の引き金となった」というものへと主張を変遷させたのはなぜなのだろう。

 矢野らが「詐欺事件の引き金となった」と主張するようになる直前に、原告は矢野らが「提出する必要はない」と強弁していた被害者Tの陳述書を提出した。陳述書には、TがSと知り合い、最終的に2600万円を貸してしまうまでのいきさつと経過が詳細かつ具体的に記載されている。その一方、山川の名前はいっさい記載されておらず、もちろん山川の関与をうかがわせるような記載もなかった。そのことを矢野らが初めて知ったわけではあるまい。

 矢野らは第3回口頭弁論(平成28年2月10日)において、被害者TがSに返金を求めた裁判で和解調書のほか、「原告山川がTの個人情報を報せた」と主張するMから借金で迷惑をかけられたとする複数の市民による陳述書も提出していた。これらの陳述書はTの貸金問題とは別件の事案に関するものである。すると、矢野らはどうやって別の市民の陳述書の存在を知り、または入手し得たのだろうか。

 上記陳述書を提出したのが2月だったというタイミングから推測すると、山川から提訴されたあと、矢野らは被害者TにSを提訴、告訴した際の資料の提供を依頼したのだろう。Tは関連資料一式をそっくり手渡した。その中に、Mから借金で迷惑を被ったという市民の陳述書が含まれていたということではあるまいか。

 その資料の中に、Sに大金を貸してしまったいきさつや経緯を詳細に記載したT自身の陳述書だけが含まれていなかったと想定するのはかなり無理があろう。この陳述書は被害者Tが貸金被害を訴える基礎事実を記載した最も重要な資料である。したがって、Tが矢野らに渡した資料の中にはTの陳述書が含まれていたと推測する方がよほど自然だろう。

 矢野らは山川から300万円の損害賠償を求めて提訴されているわけだから、当然、Tから提供された資料を精査しただろう。その結果、「山川が詐欺事件に関与した」とする事実を裏付ける資料を発見することはできなかった。

 それどころか、Tは陳述書でSに大金を貸してしまった背景事情とともに、Tが最終的に精神的にも追い込まれた状態だったことまで告白しており、「貸さなければ返してもらえないのではないか」との思いからさらに貸金を重ねてしまった経緯を詳細に記載している。その一方で、山川の関与をうかがわせる記述はいっさい存在しなかった。Tが陳述書で記載したSへの貸金の経過の中に多少の記憶の混乱があったとしても、山川の名前さえいっさい出てこないということは、この件について山川がいっさい関与していないことを裏付けていると判断できた。

 貸金に関する記憶の問題なら、矢野としてもまだつけ込む余地があったかもしれない。しかし、名前がいっさい出てこないということになると、もはやTの記憶の問題でさえない。だから矢野らは、Tの陳述書を提出するのは得策ではないと判断した――矢野らがTの陳述書を「不要」などとして提出しなかったのはこういうことではなかっただろうか。

変遷を重ねた事情

 終結が予定されている口頭弁論の前にそのTの陳述書が、本来は被告側が提出すべきであるはずのTの陳述書が原告側から提出された。被告側からすれば、どうみても、あってはならない事態だったのではあるまいか。立場上、Tは矢野側の人間のはずだからである。原告山川がTの陳述書を提出したことを確認した矢野らが、これで「山川が詐欺事件に関与した」とする主張を押し通すのはますます難しくなったと考えたとしてもなんら不思議はなかった。

 そこで思いついたのが、「山川がMに対して『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と話したことが詐欺事件の引き金となった」という主張だったのではあるまいか。「詐欺事件の引き金となった」というだけなら、事実関係としては「詐欺事件」が発生する前の話であり、まったく別個の出来事ということになる。

「山川がSとの間に意思疎通があった」と書いていなければ、「引き金」となるかならないかは結果論にすぎず、「山川が詐欺事件に関与した」ということにはならない。「詐欺事件」そのものではなく、「詐欺事件の引き金となった」とする記事だということにすれば、「山川は詐欺事件に関与した」とする事実とは関係がないから、「山川は詐欺事件に関与した」とする事実について立証する必要はないということになるのである。

 だから、矢野らは準備書面4でこうも主張している。

〈(被害者Tの陳述書)と同様に、(Oの陳述書等)を含め、原告山川がMに被害者女性(T)が……独居となったという個人情報を報せたことが詐欺事件の引き金となった、という本件訴えの争点事実とは全く無関係な内容である。〉

 したがって、いかにTが陳述書で山川にいっさい触れていなかったとしても、そのことは「争点事実」とは無関係だから、原告がTの陳述書を提出したことには意味がないと主張しているのだった。この裁判にTの陳述書を提出する意味がないということになれば、矢野らが提出しなかったことも正当化されるという理屈だろう。

尋問申請を却下した背景

 問題は、「山川がMに対して『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と話したことが詐欺事件の引き金となった」とする事実が「争点事実」であるとする矢野らの主張を裁判官がどう判断するかである。変遷を重ねた主張である上に、新たな争点のすり替えのようにみえる。

 本来、矢野らが上記の主張をするのなら、和解調書を提出した第3回口頭弁論で主張していても不思議はなかった。矢野らは第3回口頭弁論で、山川がMに「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と話したとする内容を記載した山川の陳述書を提出していたからである。しかし矢野らはこのとき「山川が詐欺事件の引き金となった」とは主張せず、「結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった。」とする記載が「摘示事実」であるなどと主張したのである(=被告ら準備書面2)。

 結局、矢野らは平成28年4月に提出した準備書面3でも「山川が詐欺事件の引き金となった」とは主張せず、原告が被害者Tの陳述書を提出した時点で初めてこう主張したのである。

 双方の主張の流れをみると、原告が「詐欺事件に関与した事実はない」と一貫して主張しているのに対し、矢野らは口頭弁論のたびに主張を変遷させている。「山川が詐欺事件の引き金となった」とする最後の主張にしても、原告がTの陳述書を出したために新たな主張をせざるを得なかったようにみえる。

 裁判官がこの流れをどう捉えているかは定かではないが、朝木直子に対する尋問申立をめぐり、「不要」であるとする原告の主張を容れ、申立を却下したところに、裁判官の心証の一端がうかがえるように思えた。

(「判決後」につづく)
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