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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第24回
「詐欺事件への関与」を全面的に否定

 さて、一応記事の「公共性」「公益性」を認めた上で、東京地裁は真実性および真実と信じるに足りる相当の理由があったかどうかについて検討している。東京地裁がその前提として事実認定した事実を要約すると以下のとおりだった。



(真実性・相当性判断の前提事実)

①「原告が平成10年頃、マッサージ師をしていたMと客として知り合ったこと」
②「被害者Tが友人の紹介でMと知り合ったこと」
③「MがS(筆者注=Tから多額の借金をした中心人物)をTに引き合わせたこと」
④「Sが平成21年頃、Tから次々と合計約2140万円を借りたこと」
⑤「Sが借金の返済をしないため、Tが平成22年、原告に相談したこと」
⑥「原告がT弁護士を紹介するなどして支援したこと」
⑦「TがSらに対し貸金返還訴訟を提起したこと」
⑧「上記訴訟で、Sが分割で返済する内容の和解が成立したこと」
⑨「Sが借金のうち1860万円を返済していないこと」
(※○囲み数字は筆者)



 東京地裁によるこの認定事実において最も注目すべきは、上記認定のすべてが原告の陳述書と原告が提出した被害者Tの陳述書の内容に依拠している点である(①⑤⑥⑦⑧⑨が原告の陳述、②③④がTの陳述書の記載内容)。少なくとも基本的な事実関係について裁判官が本件事件および、その後のTに対する支援活動の当事者であるTと原告の陳述内容を信用したということだろう。裁判官が判断の前提として示した事実関係になんら誤りは見当たらない。 

 矢野らは本件記事の冒頭で〈(被害者Tは)山川昌子・元公明市議の紹介で……Mというマッサージ師と知り合い……〉と記載し、裁判でも「『詐欺グループの一員』であるMをTに紹介したのは原告」であると主張していた。しかし上記②のとおり、東京地裁はMをTに紹介したのは山川ではなく「Tの友人」であると認定している。

 また矢野らは裁判で、「山川がMに対し『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と話したことが本件詐欺事件の端緒となった。このことは本件詐欺行為を仲介したものである」などと主張し、本件記事の真実性を主張していた。

 しかし東京地裁は山川がMに対してTの近況を話したことについて、違法性判断の前提とする事実の中で一言も触れていない。裁判官は山川がMに対してTの近況を話したことは、SがTから多額の借金をするに至ったこととは無関係であると判断したということと理解できた。「山川がMに対し『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と話したことが本件詐欺事件の端緒となった」、すなわちそれが「関与」の根拠とする矢野らの主張は排斥されたということである。

 最終準備書面になると、矢野らは「詐欺事件に関与した根拠」どころか、「『原告がMに対しTが一人暮らしになったという個人情報を報せたことが詐欺事件になった』ということが本件訴えの争点事実」とまで主張したものだった。ところが、裁判官は矢野らが「本件訴えの争点事実」と主張した事実に一言も触れていない。これは、判断の対象とさえ認定しなかったということのようでもあった。

すべて否定された記事内容

 上記認定事実に基づき、東京地裁は真実性・相当性について次のように述べた。

〈原告がMをTに紹介したことについては、これを認めるに足りる証拠がなく、被告らが原告がMをTに紹介したと信じたことに相当の理由があることを認めるに足りる証拠もない。〉

 矢野らは最初にMをTに紹介したのは山川であると主張し、これに対して山川は「MからTを紹介された」と主張しており、双方の主張が対立していたという経緯はあった。矢野らはことさらそのことをもって、山川が詐欺事件に関与した根拠であると主張したわけではなかった。矢野らは、山川がMに対して「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と報せたことが関与の根拠であると主張していたのである。

 しかし東京地裁は、TにMを紹介したのが山川だったのか否かを重視したようだった。山川は矢野らの主張を否認し、Tは陳述書で〈私の友人の紹介でMさんと知り合いました〉と述べていた。東京地裁は山川の主張およびTの陳述書の記載から、TにMを紹介したのが山川であるとは認定せず、また矢野らがそう信じたことに相当の理由は認められないとした。

 その上で、本件記事の違法性について次のように結論付けた。

〈そうすると、本件記事のうち、原告がMをTに紹介したとの事実を摘示して、原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だと述べる部分については、事実を摘示して原告の名誉を毀損する行為であるというべきである。〉

 東京地裁はこう述べて本件記事の違法性を認定し、〈原告が上記記事によって相当の精神的苦痛を被ったことは、上記記事の内容から容易に推知できる〉と述べた。こうして東京地裁は、矢野らに15万円の支払いを命じる判決を言い渡したのである。

 本件記事の評価に関して、原告の主張(「原告が詐欺事件に関与した」)と裁判官の認識には温度差があったようである。しかし上記の認定によれば、本件記事のうち、山川が詐欺犯側の人間だったと思わせるような部分についてはすべて否定されたものと理解できる。少なくとも山川に関して本件記事の真実性は否定されたという結果に変わりはないということになる。これではもはや、記事としての体をなさないのではあるまいか。

 本件記事が掲載された『東村山市民新聞』第186号(平成27年7月31日付)が発行、配布されたのはちょうど1年前である。それ以後、山川は記事について聞かれるたびに、それが虚偽であることを説明しなければならないなど、本来なら必要のない多大な労力を割かざるを得なかった。しかし、今回の判決は山川に関する部分を否定するものだった。少なくともその意味で、提訴したことには大きな意義があったといえるのではあるまいか。

矢野と朝木が控訴 

 なお、矢野と朝木が一審判決を不服として平成28年7月29日までに控訴したことがわかった。

(つづく――「控訴審」開始後に再開)
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