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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第26回
山川が附帯控訴

 東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が発行した彼らの政治宣伝ビラ『東村山市民新聞』第186号(平成27年7月31日付)に掲載された記事によって名誉を毀損されたとして元東村山市議の山川昌子が彼らを提訴していた裁判の控訴審第1回口頭弁論が、平成28年10月17日、東京高裁で開かれた。

 一審の東京地裁立川支部は矢野と朝木に対して15万円の支払いを命じた。この判決を不服として矢野らが控訴していた。第1回口頭弁論期日までに、控訴人である矢野、朝木側が控訴状と控訴理由書を提出。原告の山川からは控訴状・控訴理由書に対する答弁書及び、一審判決の認定内容と損害賠償認容額が不十分であるとして附帯控訴状が提出され、さらに矢野側からこれに対する答弁書が提出されていた。

 控訴理由書によれば、一審で矢野らはかつて共闘関係にあった「行動する保守」Aや西村修平など「行動する保守」一派の代理人を務めた田中平八弁護士に弁護を依頼していたが、控訴審では田中弁護士ではなく、矢野が理事長を務めるりんごっこ保育園の顧問でもある福間智人弁護士を代理人として選任していた。この日、矢野側は矢野、朝木の当事者2名と福間弁護士が出廷。弁護士が裁判官寄りに座るのは当然として、その隣に朝木、傍聴席側に矢野が座った。この席次が、なにかこの裁判に対する関与度を物語っているようにも感じられた。

 被控訴人である山川は、控訴審も本人訴訟で臨むという。なおこの日、一審では一度だけ傍聴に現れた「行動する保守」Aの姿をみかけることはなかった。

注目された2つの判断

 第1回口頭弁論では注目点が2点あった。1つは、矢野らの控訴だけでなく、山川から提出された附帯控訴を東京高裁がどう扱うのかという点だった。山川の附帯控訴の内容を端的にいえば、一審の判断は「記事の読み方」についての認定が不十分だから、見直してほしいというものだった。

 もう1点は、矢野らの控訴に対する反論の中で、山川が申し立てていた被害者に対する証人調べについて裁判官が必要性を認めるのかどうか。矢野らは控訴に際して被害者の新たな陳述書を提出していた。その供述内容は、裁判の本筋においてはともかくとして、少なくとも矢野らの主張において重要な部分で山川の主張とは食い違いがあった。だから山川は、直接の尋問を請求したのだった。はたして裁判官は、山川の申し立てを採用するのかどうか。

山川が市議会手帳を提出

 午前10時30分、3名の裁判官が入廷し、控訴審第1回口頭弁論が始まった。まず裁判長は控訴人(矢野と朝木)に対して控訴状、控訴理由書、附帯控訴に対する答弁書の陳述を、被控訴人(山川)に対して控訴に対する答弁書と附帯控訴状の陳述を確認し、双方とも同意した。さらに裁判長は一審における口頭弁論の内容について確認を行った。一審で提出した主張の内容について間違いがないかどうかの確認と思われた。これに対しても双方同意した。すなわち、この日までに提出したすべての主張について、双方が陳述したことを確認したということである。

 次に裁判官は控訴審に際して双方から提出されている書証の確認を求めた。控訴人が提出した書証は本件詐欺事件の被害者による新たな陳述書と、それが被害者本人によるものであることを証明すると称して提出された被害者本人の印鑑証明書、さらには朝木直子の2度目の陳述書である。控訴人の書証については原本はワープロ書きの原稿と東村山市が発行した印鑑証明書の原本だから、原本確認に時間はかからなかった。

 やや手間取ったのは被控訴人が提出した書証だった。実は、矢野らは「被害者は詐欺グループの一員である松田を山川から紹介された」と主張し、被害者の新たな陳述書の中でその具体的な日付を提示していた。それに対して被控訴人の山川は、かつての議会手帳を探したところ、予定表の中に被害者が「山川から松田を紹介された」とする日時および主張内容を否定する記録を発見したため、そのコピーを事前に提出していた。この日の法廷では、手帳の原本を提出し、事前に提出されていたコピーが原本と相違がないかどうかの確認を行ったのである。

 手帳の予定表の欄はひと月分が見開きになっていて、1日の予定はその中の1行分しかない。提出された手帳は平成11年と12年、14年のものとかなり古く、文字もかなり薄れている上に、当時市議会議員だった山川の手帳には1日分のスペースに何件もの予定が細かな字でびっしりと書き込まれていた。

 その原本の記載内容が、山川が提出した証拠説明書に記載された内容と同じものであるかどうか、東京高裁は2名の裁判官が確認を行った。もちろん、その確認の中には最近書き込まれたものでないかどうか、明らかな偽造や捏造がないかどうかの確認も含まれていたのではないかと思う。明らかな偽造や捏造が発見された場合には心証がよくなるはずがない。

「記載日に疑問」と主張

 確認を終えた裁判長は、手帳の原本を今度は控訴人側代理人に渡し、確認を求めた。弁護士が確認したものを朝木に手渡し、さらに朝木が入念にチェックしていたが、傍聴席から見ていると、朝木は証拠として提出されたコピーの該当部分以外のページもめくっているように見えた。そのうち朝木は弁護士に小声でこう話しかけた。

「あとから書いてるんじゃないの? 鉛筆で書いてあるところとボールペンで書いてあるところ、おかしいですよ、誰が見たって」

 朝木はどうやら、山川が主張の辻褄を合わせるために、「最近になって書き込んだのではないか」といっているようだった。ひととおり3冊の手帳を確認し終えた弁護士は立ち上がり、裁判長に発言の許可を求めた。以下はその後のやりとりである(趣旨)。

矢野側代理人  原本を見ましたが、記載日については争います。記載された時期について争うということです。

裁判長  どういうことですか、説明してください。

代理人  甲9号はボールペンで書いてあります。

裁判長  見せてください。『レナウン』というところはボールペンのような気がする。

代理人  ですから、記載日については争います。

 矢野側代理人は「手帳に書き込まれたメモがいつ書き込まれたか」については疑問があるといっているらしい。「手帳の記載には信用性に疑問がある」とする主張といってもよかろう。予定表だから、その日の前なら、書き加えることもあろうし、鉛筆がボールペンになることもあるから、それだけで信用できないとは断定できないのではあるまいか。その「予定」と称する記載がいつ書き込まれたのか、「予定日」後あるいは直近に記載されたのではないか――という疑問も、明らかに筆跡が新しいとか、明らかに筆跡が異なるなどの場合はともかく、たんに「記載日については争う」と主張したところでやや説得力に欠けよう。

 裁判長は代理人の申し立てに応じ、控訴人側が手帳の記載の「信用性については争う」とする意思表示をしたことを調書に残すことにし、双方から提出された証拠の確認を終えた。

 次に裁判長が言及したのが、山川が申し立てていた被害者に対する証人尋問についてだった。これについて裁判長は、矢野側代理人に意見を聞くこともなく、山川に向かって「裁判所では必要がないものと判断して却下します」と申請を退けた。

 矢野らは「松田を被害者に紹介したのは山川である」と主張するために被害者の新たな陳述書を提出した。これに対して山川は、手帳を提出することによってその主張が事実に反するとする主張・立証を行った。

 しかし、そもそも本件記事は「山川は詐欺事件に関与した」とするもので、「誰が松田を被害者に紹介したか」は本筋ではない。したがって、被害者の証人尋問を申請はしたものの、却下されることも十分にあり得ると山川は考えていた。

 さて、裁判長は山川にそう告げると、こう述べた。

「判決は平成28年12月7日、午後1時15分からこの法廷で行います。これで閉廷します」

 東京高裁は、一審からこの日までで双方の主張は十分に尽くされたと判断したようだった。

 控訴審第1回口頭弁論で注目された2つの論点のうち、山川が申し立てた被害者に対する証人申請は却下された。もう1点の山川の附帯控訴に対する判断は判決で示されるということだった。
 
(つづく)
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