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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第27回
判決理由を覆すことに全力

 では、双方は第1回口頭弁論までに提出した書面で具体的にどんな主張をしていたのだろうか。

 控訴人の矢野らは、控訴理由書で原判決の判決理由を示し、それを覆すための具体的な主張を行っていた。原判決は山川が問題とした記事について、次のように読めると認定した。

〈本件記事は、一般読者が普通の注意を払って読んだ場合、塩田が被害者女性から約2140万円を借り、うち1860万円を返しておらず、この行為が詐欺まがいの行為であり、市議会議員である原告が松田を被害者女性に紹介し、松田が妹の塩田を被害者女性に仲介したことにつき、原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だ。〉

 東京地裁は上記記載が山川の社会的評価を低下させるものと認定した上で、〈原告(筆者注=山川)が松田を○○(筆者注=被害者)に紹介したことについては、これを認めるに足りる証拠がなく、被告らが原告が松田を○○(同)に紹介したと信じたことに相当の理由があることを認めるに足りる証拠もない。〉と述べ、次のように結論付けている。

〈本件記事のうち、原告が松田を○○(同)に紹介したとの事実を摘示して、原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だと述べる部分については、事実を摘示して原告の名誉を毀損する内容であるから、かかる記事が記載された本件新聞の発行は原告の名誉を毀損する行為であるというべきである。〉

 東京地裁は「原告が松田を被害者に紹介したとする証拠がなく、そう信じたことに相当の理由もない」という理由で、本件記事の上記部分は名誉毀損の不法行為が成立すると認定した。したがって、原審の判決理由によれば、「原告が松田を被害者に紹介したとする証拠」あるいは「そう信じたことについて相当の理由があったこと」を証明できれば、不法行為は成立せず、矢野らに15万円の支払いを命じた一審判決は覆ることになるのである。

一審での主張に固執

 なお矢野らは、東京地裁が認定した上記本件記事の読み方のうち、「原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり」とする部分については、〈本件記事の記載は「結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった」というものであって、原判決が「原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり」とした点は誤りであり、「原告が、結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかったのであり」とするのが正しい。〉と主張していた。「口ききでしかなかった」とする表現を「『ただの口きき』という意味で、『口きき』よりも弱い表現だ」という主張と思われた。

 しかし、日本語の意味としては「口ききであり」も「結局は口ききでしかなかった」も、表現の仕方が異なるだけで「口きき」いっていることに変わりはない。むしろ「結局は……でしかない」という表現は、矢野らの主張とは逆に、たんに「口きき」というよりも読者に対してより「口きき」であることを印象付けているのではあるまいか。

 いずれにしても、その上で矢野らは、一審の判決理由を覆すため、「松田を被害者に紹介したのは山川だ」とする事実の主張・立証に全力を傾注していた。

 本件は、山川が矢野らによって「山川が詐欺事件に関与した」とする記事を掲載されたことによって名誉を毀損されたと主張して損害賠償を請求しているものである。したがって、山川が主張するように、仮に本件記事が「山川が詐欺事件に関与した」とするものと認定されれば、仮に山川が松田を被害者に紹介していたとしても、そのことと詐欺事件の間に直接的な因果関係があることが立証されなければ、「山川が松田を被害者に紹介したかどうか」について検討することには意味がないことになる。

 しかし一審判決は、本件記事について「原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だ」という記事であると認定した。そのために、矢野らの控訴においては「山川が松田を被害者に紹介したかどうか」が最大の争点となったのである。

 山川の本来の主張とはかなりのズレがあった。しかしそれがいかに不本意なものであっても、裁判所が判決で作った流れである以上、無視することはできなかった。

「『友人』とは山川だ」と主張
 
 矢野らは控訴理由書において、「被害者を詐欺グループの一員である松田を被害者に紹介したのは山川である」とする事実を主張・立証するにあたり、具体的にどんな主張をしていたのか。

 一審判決は、被害者が「友人の紹介で松田と知り合った」ことについては認めている。被害者自身、矢野側が一審で提出した「告訴状」(被害者が塩田らを告訴しようとして警視庁に提出したもの=平成24年作成)では〈平成18年から19年ころ、告訴人(筆者注=被害者)は友人の紹介で被告訴人松田と知り合った〉と述べ、原告が一審で提出した被害自身の陳述書(平成23年、被害者が塩田らに対して貸金の返還を求めて提訴した際に作成したもの)では〈今(筆者注=平成23年)から数年前に、私の友人の紹介で松田美枝さんと知り合いました〉と供述している。被害者が供述する「松田を紹介された時期」については、その範囲においてはほぼ矛盾がない。

 被害者は2つの書面で「友人の紹介で松田と知り合った」と供述しているが、「山川の紹介で知り合った」とは供述していない。しかし朝木の陳述書によれば、朝木は被害者から「『服飾関係の仕事をしていた関係から山川と知り合い、山川が松田を連れて自宅にやってきた』と聞いた」と供述している。

 つまり、朝木の陳述書の段階において、平成23年時点で被害者が陳述した「友人の紹介で松田と知り合った」の「友人」とは山川であるとかなりの確率で推測できると考えても、あながち不合理とはいえないように思える。被害者が朝木に対して本当にそう話し、またその内容が事実とすれば、すなわちこの「友人」が山川を指しているということが立証されれば、状況はがぜん矢野有利に転じる可能性がないとはいえなかった。

(つづく)
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