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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第36回
最初の陳述書を隠匿か

 矢野らが主張する「被害者提供資料の入手」について不可解な点がもう1つあった。矢野らは一審の第3回口頭弁論の際、被害者から入手した「塩田を提訴した際の『和解調書』」、「塩田らに対する『告訴状』」、「塩田らを告訴した際に提出した『山川の陳述書』」などを提出した。しかしその中には、塩田を提訴した際に作成した被害者の最初の「陳述書」だけは含まれていなかった。その陳述書が当時存在していたことは、山川の方から同陳述書を証拠として提出したことからも明らかである。

 被害者は控訴審で提出した新陳述書で、本件記事の作成前に朝木から事情を聴かれた際、事件に関する資料を朝木に「すべて見せた」と供述している。すると、その資料の中に最初に塩田を提訴した際に作成した被害者の陳述書が含まれていないはずがない。

 では、矢野らが本件記事作成前に「入手した」と主張し、第3回口頭弁論で証拠として提出した資料の中に、被害者の最初の陳述書が入っていないとはどういうことなのだろうか。最初の陳述書で被害者は、

〈そのような申し入れは断れば良かったのですが、松田さんの紹介であったことや、……被告塩田や松田さんらに色々とお世話になっていたこともあり、断り切れずに……総額2600万円ものお金を貸してしまったのです。〉

 と述べ、さらにそれに応じてしまった被害者が、最後には貸金を断れない状況に追い込まれていった経過を包み隠さず述べている。

 その一方、その陳述書の中には「山川」の名前さえいっさい出ないばかりか、山川を責めるような文言はいっさいなかった。被害者が控訴審で提出した新しい陳述書にあるような、山川を非難する文言は一言も存在しなかったのである。

 被害者本人が直接的に事件の経緯を供述した最初の陳述書は、事件の真相を知る上で最も重要な証拠である。しかしその陳述書で被害者が述べている内容は、「山川は詐欺事件に関与した」と主張している矢野らにとって、その事実を立証するものではなかった。むしろ、その陳述書の中に山川の名前さえいっさい登場してこないことは、矢野らにとってマイナス材料でしかないように思えた。だから矢野らは、被害者の最初の陳述書を保有していたが、あえて提出しなかった――そう考えるのが自然なのではあるまいか。

 つまり矢野らは、被害者から提供された資料を入試したのが本件記事作成の前であるにせよ、提訴された後であるにせよ、その時点で山川が詐欺事件に関与していないことを理解していたのではあるまいか。本件記事掲載前に朝木に事情を聴かれた際、「資料をすべて見せた」と供述している新たな陳述書を被害者に提出させたことで、矢野らはかえって彼らの主張の矛盾を露顕させてしまったということになろうか。

 第1回口頭弁論から第2回口頭弁論に至る矢野らの主張の経過からすれば、被害者が塩田を提訴した際の「和解調書」などの資料を矢野らが入手したのは第1回口頭弁論から第2回口頭弁論の間のように思えてならない。その仮定が事実とすれば、控訴理由書における矢野らの再三にわたる主張――

〈控訴人らが本件記事を掲載した本件新聞を発行した時点において、○○(筆者注=被害者)を取材することにより同人から聴取済みであった内容及び同人から入手済であった資料からすれば、控訴人らが少なくともこの事実を真実と信ずるについて相当の理由がある。〉

 とする主張には理由がないことになる。確かな根拠もなく、意図的な解釈や憶測によって山川を「詐欺事件の共犯」呼ばわりしたとすれば、悪質な記事と評価されても仕方があるまい。

本件記事の意図

 また仮に矢野らが記事作成の前に被害者が提供した資料のコピーを入手していたとすれば、当然、その中には被害者の最初の陳述書も含まれていたとみるのが自然である。上記のとおり、被害者の陳述書には山川の名前すら登場しない。もちろん、控訴審で提出された被害者に新しい陳述書にある「被害者が山川に相談を持ちかけたところ、しだいに被害者に対する態度が変わり、被害者が電話をしても出なかったり、電話に出てもつっけんどんな態度をとるようになった」などの記載もない。

 その他の資料(「塩田を提訴した際の『和解調書』」、「塩田らに対する『告訴状』」、「塩田らを告訴した際に提出した『山川の陳述書』」)から矢野らの主張の根拠となるものがあるかどうかを探しても、わずかに山川の陳述書の中に「被害者が一人暮らしになったことを松田に話したこと」が記載されているだけで、山川が詐欺事件に具体的に関与したことをうかがわせる記載はいっさい存在しなかった。むしろ山川の陳述書は、山川がどれほど被害者を支援してきたかが理解できるものだった。

 山川は「矢野らが本件記事の作成前に被害者から上記の資料を入手していたとしても、山川が詐欺事件に関与したといえる根拠は存在しない」とした上で、次のように主張している。

〈にもかかわらず、控訴人らは「1860万円詐欺、元公明市議らが関与」……などと、被控訴人が詐欺事件に関与したとする内容の記事を掲載したのである。控訴人らが入手したとする乙3ないし乙6(及び甲6)には、被控訴人が「詐欺に関与した」とまで断定できる要素は存在しないが、それを「詐欺に関与」とまで書くには当然、当事者に対する取材は不可欠である。しかし、控訴人らが被控訴人に取材した事実はいっさい存在しない。したがって、仮に控訴人らが本件記事の掲載までに上記○○(筆者注=被害者)の資料を入手していたとしても、本件記事に相当の理由があったとは到底いえない。〉

 山川は本件記事の成り立ちについて次のように結論付けた。

〈控訴人らが本件記事掲載までに○○(同)から乙3ないし乙6(及び甲6)を入手していたとすれば、その事実は、……被控訴人が「詐欺に関与した」と断定できる要素が存在しないことが明らかであるにもかかわらず、被控訴人にも取材せず、被控訴人が「詐欺に関与した」との一方的な記事を掲載したということを意味する。すなわち、本件記事は、単なる思い込みや事実誤認ではなく、被控訴人を貶めようとする目的で作成されたより悪質な記事ということになる。〉

 矢野らが本件記事作成までに被害者が提供した資料を入手していなければ、相当性がないのは当然のこと、仮に矢野らが資料を入手していたとすれば、その上で本件記事を掲載したとすれば、より悪質である――山川の主張をまとめるとこういうことになろう。

 以上が、矢野らの控訴理由に対する山川の反論だった。

(つづく)
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