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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第37回
主張と一審判決の隔たり

 矢野らの控訴に対して、山川は「被害者に松田を紹介したのが自分ではないこと」を中心に反論を行った。しかし、だからといって、一審の東京地裁が示した本件記事に対する「一般読者の読み方」に対する判断および名誉毀損を認定した理由(「被害者に松田を紹介したのが山川だったのか否か」)について必ずしも納得していたわけではない。むしろ山川は、このまま控訴審を闘うことに危惧を抱いた。矢野らの控訴理由に反論するだけでは、裁判は自分の考える本来の争点を素通りしたものとなり、本来問題とされるべき記事本来の狙いや悪質性を矮小化されかねない――と。

 山川が問題にした『東村山市民新聞』第186号に掲載された記事は以下のような2本の記事だった。



(記事1)

(見出し)


〈1860万円詐欺、元公明市議らが関与〉、〈創価、元市議らが仲介して〉、〈言葉巧みに、一般市民から、借りて1860万円も返さず〉

(本文)

山川元公明市議は口では被害者女性の味方になってお金を取り戻すそぶりをしていたが、結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった。

(記事2)

(見出し)


〈勝手は許さない〉、〈本山破門「ご本尊」放棄の政治集団化の先は、「詐欺師集団?」〉、〈新興宗教の衣を脱ぎ捨てた集団〉

(本文)

 1面に、公明党元市議らが仲介した創価学会信者らが、高額のお金を借り、そのまま返さないという詐欺まがいの行為を繰り返している事件を紹介しましたが……。

――中略――

 1面の被害者女性の場合は1860万円の被害が、そのまま残っていますが、この件で松田、主犯格の塩田も、現在返済しようとしていませんし、少なくとも仲介のような役割を果たした山川元公明党市議も1860万円を返そうとしていないことについて、知らん顔をしています。

 元議員の立場で、貸金の仲介者のような役割を果たしながら、山川元市議は「知らん顔」、あきれた人たちです。こういう人たちが公明党の議員というのですからあきれます。



 山川は「記事1」「記事2」ともに、「原告が詐欺事件に関与した」との虚偽の事実を摘示するものであり、原告の名誉を毀損するものであると主張していた。

 これに対し一審の東京地裁は、「記事1」「記事2」の「一般読者の読み方」について次のように認定した。



(東京地裁が認定した「一般読者の読み方」)

 本件記事は、一般読者が普通の注意を払って読んだ場合、塩田が被害者女性から約2140万円を借り、うち1860万円を返しておらず、この行為が詐欺まがいの行為であり、市議会議員である原告が松田を被害者女性に紹介し、松田が妹の塩田を被害者女性に仲介したことにつき、原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だと述べていると読むことができる。



 東京地裁は上記「一般読者の読み方」に基づき名誉毀損の有無を検討した結果、「原告が松田を被害者に紹介した事実については根拠がない」などとして、

「市議会議員である原告が松田を被害者女性に紹介し、松田が妹の塩田を被害者女性に仲介したことにつき、原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だ」

 と述べる部分について、原告の名誉を毀損するものであると結論付けた。東京地裁の判断は、記事が原告の名誉を毀損するものであるという結論においては原告の主張を容認するものだったものの、その内容においては原告の主張とはかなりの隔たりがあることがわかろう。

「一般読者の読み方」に対する疑問

 矢野らは一審が認定した上記の「一般読者の読み方」とそれに対する判断に基づき、判決理由を覆すための控訴理由書を提出してきた。いうまでもなく、その主張の前提は一審の東京地裁が示した「一般読者の読み方」だった。

 したがって控訴審では、〈1860万円詐欺、元公明市議らが関与〉、〈創価、元市議らが仲介して〉、〈言葉巧みに、一般市民から、借りて1860万円も返さず〉などとするタイトルの記事が、「市議会議員である原告が松田を被害者女性に紹介し、松田が妹の塩田を被害者女性に仲介したことにつき、原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だ」という記事であるという前提で進行することになる。山川の訴状における「本件記事は『原告が詐欺事件に関与した』との虚偽の事実を摘示した」という主張はもはや争点ではなくなる可能性が高いと判断できた。

 一審が判断したとおりの「一般読者の読み方」が確定すれば、山川から提訴された記事の趣旨は「山川が詐欺事件に関与した」というものではなかったことになってしまおう。一審で敗訴したとはいえ、〈1860万円詐欺、元公明市議らが関与〉とする見出しが訴える「山川が詐欺事件に関与した」とする事実が争点でなくなることは、矢野らにとって好都合だったのではあるまいか。

 このまま控訴審が進行すれば、「本件記事は『山川が詐欺事件に関与した』というものではない」という主張が一応成り立つことになりかねない――。控訴されたことで山川は、最も基本的な主張だった本件記事の意味と意図がこのまま消えてなくなってしまうことに対する違和感がしだいに大きくなっていった。このまま矢野らの控訴に対して防御するだけでは悔いが残る気もした。

 こうして山川は、あらためて本件記事の「読み方」とそれに対する判断を求めて附帯控訴に踏み切ったのである。

(つづく)
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