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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第41回
 平成28年12月7日、東京高裁511号法廷では午後1時15分から7件の判決言い渡しが予定されていて、静まり返った法廷では山川の他に2組の当事者が開廷を待っていた。一審判決を不服として控訴した矢野穂積と朝木直子の姿は見えない。

 開廷時刻が近づき、書記官が傍聴席に向かって当事者がいるかどうかを聞き、当事者席に着くかどうかを確認した。山川ともう1人の当事者が入廷して判決を聞くと答えた。間もなく3人の裁判官が入廷し、ただちに開廷が告げられた。

 本件に対する判決言い渡しは5番目ということだった。次々に判決言い渡しが進み、書記官が本件の事件番号を読み上げ、「山川さん、お入りください」と山川に入廷を促した。山川が被控訴人席に着いたのを確認すると、裁判官は「それでは判決を言い渡します」と述べ、主文を読み上げた。



主文

 本件附帯控訴に基づき、原判決主文1項及び2項を次のとおり変更する。

 控訴人らは、連帯して、被控訴人に対し、50万円及びこれに対する平成27年11月1日から、各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 本件控訴をいずれも棄却する。

 訴訟費用は、第1、2審を通じこれを2分し、その1を被控訴人の負担とし、その余を控訴人らの負担とする。

 この判決は、2項に限り、仮に執行することができる。



 主文を聞き終わると、山川は退廷の前、裁判官に頭を下げた。裁判長は山川の方を向き、黙礼を返したように見えた。

 その時点では判決理由はわからないものの、主文を聞く限りにおいては、矢野らの控訴が棄却され、山川の附帯控訴における請求がほぼ100%認められたということだった。一審での認容額が300万円の請求に対して15万円だったことからすれば、請求額を50万円に減縮していたとはいえ、まさかそれがそのまま認められるとは考えていなかった。矢野にしても、そこまでは想定していなかったのではあるまいか。

 そういえば、控訴審第1回口頭弁論の終了後、法廷前の廊下で矢野と朝木は山川に向かって、大声で新たな名誉毀損とも思えるような罵詈雑言を浴びせていった。その声が法廷の中まで聞こえたのか、書記官の女性が廊下に出てきてあたりを見回したほどである。矢野らのめったに見ることのできない荒れようは、控訴審に対する認識の裏返しでもあったのだろうか。判決を聞き終えて法廷を出ると、2カ月前の山川を罵る矢野らの声が、誰にも相手にされない負け犬の遠吠えのように思い出された。

 一審判決を聞いた直後の山川は、勝訴したけれどもなにか納得できないという様子だった。しかしこの日の判決によって、そんなわだかまりも少しは払拭できたのではないかという気がした。

東京高裁が認定した「本件記事の読み方」

 では、東京高裁が今回の判決を言い渡すに至る具体的な理由はいかなるものだったのか。

 山川は附帯控訴においてまず、原判決はそもそも本件記事の読み方を誤っていると主張していた。本件記事の見出しと本文は以下のとおりである。



(本件記事1)

(見出し)


〈1860万円詐欺、元公明市議らが関与〉〈創価、元市議らが仲介して〉〈言葉巧みに、一般市民から、借りて1860万円も返さず〉

(本文)

〈山川元公明市議は口では被害者女性の味方になってお金を取り戻すそぶりをしていたが、結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった。〉

(本件記事2)

(見出し)


〈勝手は許さない〉〈本山破門「ご本尊」放棄の政治集団化の先は、「詐欺師集団?」〉〈新興宗教の衣を脱ぎ捨てた集団〉

(本文)
〈少なくとも仲介のような役割を果たした山川元公明党市議も1860万円を変えそうとしていないことについて、知らん顔をしています。 元議員の立場で、貸金の仲介者のような役割を果たしながら、山川元市議は「知らん顔」、あきれた人たちです〉



 上記のような本件記事について一審の東京地裁は、一般読者は次のように読むと認定した。



(一審が認定した「本件記事の読み方」)

〈塩田(筆者注=被害者から借金をした本人)が被害者女性から約2140万円を借り、うち1860万円を返しておらず、この行為が詐欺まがいの行為であり、市議会議員である原告(筆者注=山川)が松田(筆者注=塩田の姉)を被害者女性に紹介し、松田が妹の塩田を被害者女性に仲介したことにつき、原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だと述べていると読むことができる。〉



 上記原判決の認定について、山川は附帯控訴状で「記事1」と「記事2」を一括りに判断していること、また〈1860万円詐欺、元公明市議らが関与〉などの見出しがまるで考慮されていない点が不十分であると主張。その上で山川は、「記事1」については〈「1860万円詐欺」「元公明市議らが関与」「創価、元市議らが仲介」といずれも断定しているから、一般読者は「(山川は)借金をして1860万円を返さないという詐欺事件に元公明市議が仲介という形で関与した」と理解する〉とし、「記事2」については原審が認定した「読み方」に加えて〈(一般読者は)「やはり山川は『詐欺師集団』の一員で詐欺まがいの行為を仲介したから、返済されなくても『知らん顔』をしているのだ」と理解する〉と主張していた。

「一般読者がどう読むか」は、名誉毀損の有無と立証対象が何であるかの前提となる基本的な認定、判断である。この点について東京高裁は、上記の一審判断の中に(「一般読者の……」の前)、〈「1860万円詐欺、元公明市議らが関与」、「創価、元市議らが仲介して」、「言葉巧みに、一般市民から、借りて1860万円も返さず」という見出しと併せて読むと〉とする文言を加える、という判断を示した。

 一審の認定に〈1860万円詐欺、元公明市議らが関与〉などの断定的な見出しが加わると、以下に続く「口きき」や「仲介」といった文言が「詐欺」という文言と結びつき、より悪質性を帯びてこよう。いずれにしても、少なくとも上記の判断は、本件記事を一般読者がどう読むかについては見出しを含めて考慮すべきあるという東京高裁の基本的な考え方を示したものであると理解できた。山川が主張したように、東京高裁もまた一審判決が見出しに対する考慮を欠いていると判断したのだろう。
 
(つづく)
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