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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第46回
いずれにしても悪質と主張

 東京高裁は判決で、矢野らが主張した「山川が詐欺事件に関与した」とする根拠についていずれも否定するとともに矢野らの記事作成の姿勢にも言及している。

 矢野らは控訴理由書において本件記事の前提として繰り返し〈○○(筆者注=被害者の実名)を取材することにより同人から聴取済みであった内容及び同人から入手済みであった資料からすれば、控訴人らが少なくともこの事実を真実と信ずるについて相当の理由がある〉と主張していた。記事は十分な取材と資料を根拠に作成されたもので、相当性があるという主張であると理解できた。

 矢野らがいう「入手済みであった資料」とは、被害者が塩田らを提訴した際の和解調書、塩田らを告訴した際の告訴状、山川が被害者に協力して提出した陳述書などである。これらの資料を矢野らが記事作成前に入手済みであったとすれば、当然その中には被害者自身の陳述書が含まれていないはずがない。しかし矢野らはその陳述書だけは提出せず、その陳述書については山川の方から提出したのだった。陳述書には、被害者が塩田からのたび重なる借金の申し入れに対して断れなくなっていた事情が語られている一方、山川の関与をうかがわせる記述はいっさいなかったのである。

「記事掲載前には被害者から資料を入手していた」とする矢野らの主張に対して山川は、矢野らは第1回口頭弁論では「『東村山市民新聞』に記載されているとおりである」と主張するだけで、上記資料に基づくとする具体的な主張をしたのが提訴から3カ月以上も経過したあとだったことを根拠に、矢野らが上記資料を被害者から入手したのは第1回口頭弁論のあとだったのではないかと主張していた。

 矢野らは控訴理由書で、記事掲載までに上記資料を入手していたと主張している。しかし、被害者が陳述書で〈(朝木に)書類などもすべて見せて今回の詐欺事件のことをお話ししました。その後も自宅や近くのファミリーレストランで何度も書類の確認や補足の説明をしました〉と述べている一方、「朝木にその書類のコピーを渡した」とする供述は一言も存在しない。

 被害者の陳述書の内容に加え、朝木が上記資料を証拠として提出した時期が提訴から3カ月もあとだった事実に照らすと、記事掲載の時点ではまだ上記資料のコピーはもらっていなかったとみるのが自然である。とすれば、「記事掲載前に告訴状などの資料は入手していたから、記事には相当の根拠がある」とする矢野らの主張はその前提から崩れることになる。

 仮に矢野らが上記資料を記事掲載前に入手していたとしても、それらの資料には山川が詐欺事件に関与したことをうかがわせる客観的な記載はいっさい存在しない。にもかかわらず、矢野らは「山川が詐欺事件に関与した」と断定する記事を掲載したということになってしまう。朝木が山川に取材した事実もない。山川は控訴審の答弁書で、矢野らが記事掲載時には資料を入手していたとして相当性を主張していることに対して次のように反論した。

〈(矢野らが本件記事掲載前に入手したとする資料)には、被控訴人(筆者注=山川が「詐欺に関与した」とまで断定できる要素は存在しないが、それを「詐欺に関与」とまで書くには当然、当事者に対する取材は不可欠である。しかし控訴人ら(筆者注=矢野ら)が被控訴人に取材した事実はいっさい存在しない。したがって、仮に控訴人らが本件記事掲載までに上記○○の資料を入手していたとしても、本件記事に相当の理由があったとは到底いえない。)

 さらに山川は、本件記事の悪質性についてこう主張している。

〈むしろ、……控訴人らが本件記事掲載までに(○○から資料を)入手していたとすれば、(上記資料には)被控訴人が「詐欺に関与した」と断定できる要素が存在しないことが明らかであるにもかかわらず、……被控訴人が「詐欺に関与した」との一方的な記事を掲載したということを意味する。すなわち、本件記事は、単なる思い込みや事実誤認ではなく、被控訴人を貶めようとする目的で作成されたより悪質な記事ということになる。〉

相当性に関する判断

 では、矢野らが「本件記事掲載時にはすでに和解調書や告訴状などの資料を入手していた」という理由で相当性を主張したことに対して東京高裁はどう判断したのだろうか。東京高裁は次のように述べている。



(相当性に関する東京高裁の判断)

 ○○(筆者注=被害者の実名)の陳述(筆者注=矢野らが控訴審で提出した新たな陳述書)は本件記事の内容が真実であることを裏付けるものではなく、また、控訴人らは、被控訴人に対して取材して、その反論を聴取することすらしておらず、控訴人らが本件記事の内容を真実であると信じたことに相当の理由もない。



 東京高裁は被害者の新しい陳述書以外の和解調書や告訴状などを朝木が入手した時期については言及していない。しかし〈被控訴人に対して取材して、その反論を聴取することすらしておらず〉と述べて、朝木が告訴状や山川の陳述書などを入手したと主張する時期、少なくとも本件記事掲載前の時期に山川に取材していないことを指摘し、その上で〈控訴人らが本件記事の内容を真実であると信じたことに相当の理由もない〉と結論付けていることからすれば、仮に朝木が本件記事掲載前に上記の資料を入手していたとしても、それらは「山川が詐欺に関与した」とする根拠にはならないと述べていると理解できよう。
 
 矢野らは本件記事掲載前に告訴状などの重要資料を入手していたとして、相当性を主張した。しかし東京高裁は、資料の入手時期にかかわらず、本件記事には相当の理由はないと結論付けたのである。

(つづく)
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