ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

りんごっこ保育園問題とは何か 第7回
「拙速な認可の見直しを求める決議」を議決

なされていなかった近隣説明

 さて、平成7年2月10日に開かれた東村山市議会厚生委員会は午後の再開直後、朝木の乱入によって一時騒然となったが、1人を除き、ほぼこの認可申請計画に関わった者たちの存在が明らかになり、この計画がなぜ秘密裏に進められてきたかということもおぼろげながら見えてきたようだった。ただ、現実問題として東村山市はこの問題をどう収束しようとし、また議会はどのような態度を取ろうとしていたのか。続く鈴木茂雄委員の質疑をみよう。

鈴木  今回の認可申請計画の情報をなぜオープンにしなかったのか。

保健福祉部長  計画がおおむね固まり、認可申請を出せるようになった時点で公表するつもりだった。

鈴木  近隣を一軒一軒訪ねたが、何の説明もされていなかった。そのことを所管は知っているのか。

保健福祉部長  2月5日に行ったことは聞いている。

――部長のいう「認可申請を出せるようになった時点」とはどの時点のことをいうのか。少なくとも、4月1日の開園を目指している保育園が2月10日の時点でまだ認可申請を出しておらず、これから先、4月1日までの間に認可申請を出すとすれば、その時点で公表したとしても、東村山市長の決済印がすでに押されていることと合わせ、誰が反対しようともすでに後戻りできない状況になっていることは明らかだった。部長にしても、何のための公表なのか、その意味を理解していないわけではあるまい。こういうやり方を既成事実化というのであり、事実上、いっさいの反対意見や批判、修正を受け付けないようなタイミングでの情報公開は、実際には情報の隠蔽にほかならない。

 読者はもうお気づきのことと思うが、鈴木市議はこの質疑の中で高野が提出した文書の虚偽をすでに指摘している。高野は文書の中で近隣への説明について「私どもは昨年末から近隣を一軒一軒まわって説明し了解を得ております」と述べている(文書中の7の冒頭部分)。りんごっこ保育園の建設予定地はもともとは畑だった地域で、当時新しい住宅地として開発されたばかりだった。たとえば保育園の送迎や子供のにぎやかな声など、保育園の設置によって直接的な影響を受ける近隣の住宅はまだそう多くはなかった。

 りんごっこ保育園の予定地に鉄骨が建ち始めた当時、まだ東京都認証保育所「空飛ぶ三輪車」の職員だった佐藤真和もまた、そこに何ができるか知っているかと近隣を訪ね歩いた。すると、近隣の住民で保育園ができることを知っている人はごくわずかで、それどころか「工場でも建つのかと思っていた」という反応がほとんどだった。

 保育園ができるらしいことは知っている人にしても、その保育園に何人の園児が来るのかまでは知らなかった。実はそこに定員80名の保育園を作ろうとしているというと、「20人程度かと思った」と、その住民は驚きを隠さなかった。予定地は分譲住宅用に売り出された土地で、高野は売れ残っていた2軒分の土地約100平米を購入したのである。一戸建て2軒分の土地に80名の園児を入れるというのだから、住民が驚いたのも無理はなかった。

 高野は「年末から近隣を一軒一軒まわって説明した」というが、仮にそれが事実だったとして、いったいどんな説明をしたのか。重要な事実を説明していないのでは、説明したことにはなるまい。まして、部長のいうように2月5日に説明に行ったとしても、すでに建物は完成に近づいており、事前に了解を得たというには少し無理があるのではなかろうか。

「公明正大な方法で行うことを求める請願」を全会一致で採択

 東村山市において待機児解消がいかに緊急の課題であるとしても、市民や議会になんらの説明もなしに進めてよいということにはならない。保育関係者や市民から公明正大な方法で進めるよう強い要望が出されている現状と、それまで情報が公表されないまま進められてきた事実、それへの疑問に対する保健福祉部の答弁、高野の対応を総合的に判断した場合、この計画を無条件に許していいとは考えにくかった。

 鈴木市議は単刀直入に「予算凍結の考えはないか」と保健福祉部長に聞いたが、もちろん保健福祉部長に予算決済権限はない。そこで行政側は沢田泉助役を委員会に呼び、質疑が継続された。

鈴木  ここまで問題が発展した以上、来年度予算にはりんごっこ保育園関連予算は計上しないでいただきたい。

助役  所管からは2カ所の新規保育園について一定の予算要求があった。理事者としては、現在の予算案の中には組み込まれている。今後の審議で、この予算については慎重に扱っていきたい。

鈴木  この段階で、都に申請にあたっての市長の意見書を提出する環境が整っていると考えるか。

保健福祉部長  現状では厳しいと受け止めている。 

 市議会公明党は市議会においては与党の立場にあるが、市長との関係においては自民党ほどの純然たる与党でもない。しかし、この厚生委員会では市長与党である自民党議員からも疑義が出されており、今回の進め方そのものに対しては自民党でさえ適切だったとは考えていないことがうかがわれた。

 こうして厚生委員会は、1月29日と2月10日の審議を経て市民から提出された「待機児童の解消は、保育の質を確保し、多くの関係者の協力が得られる公明正大な方法で行うことを求める請願」を全会一致で採択。これを受けて、2月24日には東村山市議会本会議においてりんごっこ保育園の認可申請計画の見直しを求める動議(「認可保育園の設置基準の作成と予定されている新設保育園の拙速な認可の見直しを求める決議案」)が提出され、「草の根」を除く圧倒的多数で議決するに至ったのである。

「補償問題」に言及した朝木直子

 鈴木市議が厚生委員会で「予算を計上しないでほしい」と述べたのに対し、助役は「慎重に扱う」と答弁し、保健福祉部長は「現状での意見書提出は厳しい」と答えたが、いずれの答弁も、確定的に計画を見直すというものではない。「拙速な認可の見直しを求める決議」は、行政側がこのまま市長決済のメンツにこだわった場合には議会はこれを認めるかどうかわからないという強い意思を示すものでもあった。

 そのことを感じたのかどうか、3月4日に開かれた東村山市議会本会議での一般質問で朝木直子は高野と行政のやり方を擁護する発言を繰り返し、さらには次のような、妙に生々しく具体的なことまで口にしたのである。

「このまま認可が遅れれば、総工費1億数千万円、月々数百万円の補償問題が生じることになる」

「すでに新社会人など20数名の採用も決まっており、認可されなければ彼らの採用もできなくなる」

 利害関係がないはずの朝木がなぜこれほど内部事情に精通しており、肩入れするのか。この認可申請計画情報が漏れてきた当時、高野と同居している矢野に事情を聞いたことがある。すると矢野は、

「保育園の問題にはいっさい関知していない」

 として関与を全面的に否定したものだった。しかし、朝木が東村山市長に対する牽制とも取れる「補償問題」まで口にする以上、矢野が事情を知らないことはあり得まい。同時に、朝木が堂々とりんごっこ擁護を始めたということは、すでに彼らがなりふりかまっていられない状況に至ったと認識していることを示しているようだった。

(第8回へつづく)
関連記事

テーマ:社会 - ジャンル:政治・経済

TOP