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多摩湖寿会事件 第6回
社会福祉協議会の中立性に疑義

 平成28年11月30日に行われた朝木直子の一般質問は、通告書に従い、「1.社協の監査は適正に行われているか」から入った。社協が東村山市内の老人クラブの会計監査を行うようになった経過、監査の内容、範囲、決算関係書類の確認方法、責任の所在等である。そこまでは一応、あまり違和感のない普通の質問だった。

 様子がおかしくなったと感じたのは、「(多摩湖寿会以外の)他のクラブに聞いたところ、補助金の使途については社協からは厳しく指導されており、帳簿の内容も指導手引きの内容に沿ったものだった」と前置きし、次のように聞いたときである。朝木はやんわりこう聞いた。

朝木  老人クラブによって監査の方法や指導が違うようなことっていうのはあるんでしょうか?

 この質問が、彼らの政治広報紙『東村山市民新聞』第188号(平成28年10月31日付)で〈社会福祉協議会事務局の中には、山川・元公明市議の横領に見て見ぬふりをした職員がいるのではないかとの疑惑が出ている。〉、〈元市議だと、特別扱いなのでしょうか?〉と記載したことと無関係でないのは明らかである。朝木としては「社協が山川だけを特別扱いした」ということにしたいのだろう。

「(多摩湖寿会以外の)他のクラブに聞いたところ、補助金の使途については社協からは厳しく指導されており、帳簿の内容も指導手引きの内容に沿ったものだった」というからには、多摩湖寿会以外の老人クラブの会計責任者すべてから事情を聞いた上で、多摩湖寿会以外の老人クラブに対する社協の扱いは多摩湖寿会に対する対応とは異なっていることを確認したということなのだろうか。

 朝木の質問は公的性格を持つ社会福祉協議会の中立性・公平性に疑義を呈するものである。したがって上記の朝木の質問は、多摩湖寿会以外のすべての老人クラブに対する調査を行い、確認が取れたというのでなければ、軽はずみな発言として慎むべき内容である。東村山市内には、多摩湖寿会以外に50の老人クラブが存在する。仮に調査を行ったのだとしても、ここまでいうからには当然、アンケートなどの表面的な調査では十分とはいえない。

 朝木の質問に対して健康福祉部長は次のように答弁した。

健康福祉部長  ……老人クラブによって異なった方法で監査をすることはないというふうに認識をしております。しかしながら、……各老人クラブの自主性、主体的な会の活動を重んずるがゆえに一部拡大した解釈などがあったことは認めざるを得ません。

 監査で特定のクラブに便宜をはかったり、不公平な扱いをした事実があれば大変な不祥事で、そんなことがそうそうあるはずがない。なおここで健康福祉部長がいった「拡大解釈」とは、補助対象経費がどこまで認められるのかについての解釈に、拡大し過ぎた部分があったという趣旨である。補助対象経費として認めていた経費の中に、規則上は認められていないものまで認めていたものがあったということだった。要するに、これまで補助対象経費の扱いについてはけっこう緩かったということでもあろう。

 健康福祉部長の口から「拡大解釈」という文言から出ただけでも朝木にとっては収穫だったろう。「拡大解釈」といえば聞こえはいいが、判断の誤りではないかといわれれば反論できない。朝木が行政のミスを認めさせたかたちだった。

朝木の深謀

 ただ、朝木の狙いはその点にあるのではない。さらに朝木は質問を重ねた。

朝木  ちょっと今気になった「拡大解釈」という問題ですけれども、これが特定の老人クラブにだけ許されていたという現状はありますか?

 所管としては多摩湖寿会に限定した問題と割り切るしかない。所管はこう答弁した。

健康福祉部長  少なくとも所管としては、そういう認識は持っておりません。

 所管の答弁に対して、朝木は根拠を示して反論することはなかった。これで終わってしまえば、ただ所管に「社協は不公平な扱いはしていない」と答弁させただけとなり、朝木は何のために質問したのかということになる。

 しかし朝木の狙いはその先にあった。朝木は次のように質問を継続させた。

朝木  ……老人クラブによって監査の方法は変えてないよということで、……(手引きによって)監査が行われて、補助対象経費、対象外経費の区分けがされる……それを前提にして伺いますけれども、この多摩湖寿会の今、平成26年度の領収書と帳簿がここにあるんですけれども、……同じように監査をしているということであれば、……拡大解釈もまあ若干あるかもしれないと……勘案したとしても、何十件というね、たとえばお酒、……ビールとかいいちこから始まって神社へのお祝い金から、……下見に行った役員数人が東武ホテルの食事、東武ホテルで食事代として6400円の支出とか、こういうわけのわからないものがいっぱい貼ってあるわけですよ。東武ホテルもそうだしファミリーレストランの食事の領収書から宴会の酒類、備後ゲーム用品、それから市内外の寿司店、中華料理店の飲食費……神社へのお見舞い、神社へのお祝い、これを4年間にわたって市老連(筆者注=東村山市老人クラブ連合会)は認めてきたということであるのか。そうするとね、……この手引きについては、これはどういう位置付けで考えているのか、ちょっとお答えいただけますか。

 ここでいう「手引き」とは、「どこまでが補助金の対象となる経費なのか」についての手引きのことである。朝木からこの「手引き」の位置付けを聞かれた所管は、「補助金の対象となる経費について、老人クラブを指導していただくためのガイドライン」であるとの趣旨の答弁をするしかなかった。すると、それまで朝木が挙げた、ホテルでの食事代や神社へのお祝い金などの支出はこの「手引き」に沿ったものなのかということになる。

 警察が犯罪者を問い詰めているのならともかく、ここは取調室でも裁判所でもなく、議会なのだった。議会では自分の把握している事実を述べた上で、疑問点を問えばいいのではあるまいか。朝木の質問は、相手の言質を取った上で、自分のつかんでいるネタを後から出していき、相手をやり込めようとするもののように思える。「手引きの」の位置付けなど、あえて議場で聞くような話ではない。

 しかし朝木は、「手引き」の性質をわざわざ所管に答えさせた上で、さらにたたみかけた。

朝木  ……では、この手引きに基づいて、一律に監査したということであれば、なぜこの多摩湖寿会の、この帳簿、領収書が4年間にわたって監査を通ってきたのか。……真相が知りたいので、この原因について伺います。はっきり答えてください。

 ここまでくると朝木が冒頭でやんわり「社協の監査の公平性」を聞いたことの意図が見えてくる。ここで朝木は、「公平といっているにもかかわらず、多摩湖寿会に対する監査の状況は公平とはいえないのではないか」といっているのである。健康福祉部長は次のように答弁した。

健康福祉部長  ……今回確認をさせていただいて、一定、議員からもご指摘が、決算特別委員会でございましたように、会計として不適切なものがあるということで今回確認をさせていただいております。……会の自主性、主体性を重んじるあまり、拡大解釈の部分が出てしまったというような形で報告を受けているところでございます。

 所管は社協の監査に落ち度があったことを認め、9月議会以降に行った再調査の結果、補助金の返還が発生するような状況であることを説明した。それでもなお朝木は、「社協が市に虚偽の報告をした」と主張したのだった。

 朝木としては、「社協が山川を特別扱いした結果、不正な会計報告を見逃した」という結論に持っていきたかったのだろう。しかしこの点はまだ、ほんの入り口にすぎなかった。

(つづく)
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