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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 上告審
東京高裁が朝木らの上告を却下

 元東村山市議、山川昌子の名誉を毀損したとして東京高裁が50万円の支払いを命じた判決を不服として東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が上告状を提出していた裁判で、東京高裁は平成29年3月13日、矢野らの上告を却下する決定を行った。

「却下」とは内容的な審議に入ることなく訴えを退けることである。弁護士だけでなく「法律にくわしい」矢野がついていながら、矢野と朝木は審議もされないような上告状(上告理由書)を提出していたということになろうか。それとも、弁護士が矢野らに無断でそんな上告理由書を提出していたのだろうか。

 この裁判は、矢野と朝木が発行する彼らの政治広報紙『東村山市民新聞』第186号(平成27年7月31日発行)で「山川は詐欺事件に関与した」とする記事を掲載、これによって名誉を毀損されたとして山川昌子が朝木と矢野を提訴していたものである。一審の東京地裁立川支部は矢野らに対して15万円の支払いを命じたが、朝木らはこれを不服として控訴、この控訴を受けて山川もまた、一審判決は不十分であるとして朝木らに対して50万円の支払いを求めて附帯控訴した。

 朝木らは新たな陳述書等の証拠を提出したが、東京高裁は1回の口頭弁論で結審。平成28年12月7日、東京高裁は山川の附帯控訴における主張を全面的に認容し、矢野と朝木に対して50万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

敗訴を認めなかった朝木

 判決主文には「50万円の支払い命令については仮執行ができる」との条項が付いていたため、山川は朝木に対して50万円の支払いを求めた。すると、朝木は支払いには応じる意思を示したものの、一方で「上告の手続きをしているので、判決は確定していない」として、「仮執行には応じるが敗訴を受け入れるわけではない」と、依然として自らの正当性を主張する姿勢を崩さなかった。

 当然、上告した結果、控訴審判決が覆れば、山川は受領した50万円を朝木に返還しなければならない。50万円を支払ったからといって、敗訴を認めたということではないのである。

 山川と朝木がそんな仮執行に関するやりとりをした数日後、山川に対する上記回答で「判決は確定していない」と述べたとおり、朝木らは東京高裁に対して平成28年12月20日付けで「上告状兼上告受理申立書」を提出。さらに平成29年1月31日には上告理由書を提出していた。

「不適法」な上告理由

 では、東京高裁はどんな理由で朝木らの上告を却下したのだろうか。東京高裁は決定の「理由」で次のように述べている。



(東京高裁が朝木らの上告を却下した「理由」)

 本件記録によれば、本件上告状及び民訴規則194条所定の期間内に提出された平成29年1月31日付けの上告理由書には、民訴法312条1項及び2項に規定する事由の記載がないから、本件上告は不適法でその不備を補正することができないことが明らかである。よって、同報316条1項1号、67条1項、61条を適用して主文のとおり決定する。



 決定理由の中で「記載がない」とされている「民訴法312条1項及び2項に規定する事由」とは、1つには原判決に憲法解釈の誤りがあるとか、原判決が憲法の規定に違反している場合、2つ目としては、裁判自体に違法な手続き等があった場合(条文には細かな事例が挙げられている)、判決に理由が書いておらず、また書いてあっても矛盾があるときなどだが、一般に上告審で判断されるのは憲法上の判断である。現実に、本件裁判において上記第2項に違反するような事実があったとは考えられなかった。

 したがって、朝木らが提出した上告理由書には憲法上の主張がなされていなかったのではないかと推測できた(却下となったためか、朝木らが提出した上告理由書は山川には送達されていない)。決定がいう「不備」とは、原判決には憲法上の問題があるとする主張がないことを意味するのだろう。

 ところで、上告は最高裁判所に対して行うのではなく、その判決を下した裁判所に対して行うものである。原裁判所は、提出された上告書類の内容が要件を満たしていると判断すれば上告は受理され、その主張の可否は最高裁の判断に委ねられることになる。しかし上告書類が上告の要件を満たしていないと判断される場合には、原裁判所はこれを上告として取り上げることはできない。

 民訴法316条は、「上告が手続きに違反していて、その不備を補正できないことが明らかな場合には、判決を下した裁判所は決定で上告を却下しなければならない」と定めている。この規定に基づき、東京高裁は朝木らの上告受理申立を却下したのである。

 ただ、東京高裁が朝木らの上告受理申立を却下したことで山川の勝訴が確定したわけではない。この決定から1週間以内なら不服申立(即時抗告)をすることができるのである。即時抗告がなされれば、裁判所は新たにその主張についての裁判(判断)をしなければならず、決定がなされるまでの間、東京高裁が行った「却下」の決定は保留となる。

 東京高裁の決定理由を読めば、この決定を覆すことは難しいとみるのが常識的な判断だろう。しかし朝木と矢野に限っては、私には「即時抗告をする可能性はない」と言い切る自信はない。

(了)
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