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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第13回
市は虚偽申告を否定

 返還額を確認した朝木は、不正計上は山川が横領したものであるとして市に対して告発すべきではないかと迫った。これに対して健康福祉部長は次のように答弁した。

健康福祉部長  二重に計上された経費や補助対象外経費とすべき経費の混在など、会計処理において多摩湖寿会において補助金の返還命令に至るような不適切な状態があったことは確認をしております。しかしながら、……当市が実施した旧役員等々のヒアリングでは、補助金の交付申請時において虚偽申告があったとまで断定、確認することはできませんでした。このことから、犯罪があったと断言することは困難と考えております。したがいまして、現状においては刑事訴訟法に基づく法的措置を講じることは考えておりません。

 市の判断は、返還金が生じた部分について、山川に着服の意図があったと断定するには至らなかったということだった。これに対して朝木は「これ横領じゃないといってますけど、だったら横領の要件をいってください」と引かなかった。いきなり横領の刑法上の要件を聞かれた所管は答弁に詰まった。

 横領の要件を所管に答えさせてどうしようというのか。朝木が知っているのなら、最初から要件を提示すれば、わざわざ時間を割いて聞く必要はなかろう。自ら「横領」の定義を示し、今回の不適切な会計処理が横領に該当すると主張すればいいのではあるまいか。所管が答弁に窮したため、ここでまた、議会は長い休憩に入った。

 するとその間にまた、傍聴席から寿会会長の声が響いた。

「告訴できないんだ。元市会議員だから、仲間だから」

 これもまた「山川は横領した」とする事実を前提とするものにほかならない。その上で、東村山市は元市議会議員を特別扱いしていると主張している。寿会会長は、東村山市は「横領」に目をつぶろうとしているとでもいいたいようだった。

 長い中断のあと、所管がようやく「横領」の刑法上の定義を答えると、朝木はさらに質問を続けた。

朝木  ……(山川の不適切な会計処理は)私は横領とそれから詐欺にも当たると思ってるんですね。たとえばレシートと領収書の二重計上、これは支出がないのにあったと見せかけて、入浴料もそうですけれども、あったと見せかけてお金を盗ってるわけですから、これは詐欺にも当たる。これは弁護士も同じ見解です。そういう意味では詐欺の、詐欺もなかったとおっしゃるんであれば、今度は詐欺の成立要件はどのように認識してらっしゃるのか伺います。

 朝木のいう「レシートと領収書の二重計上」とは、同じ商品を買ってレシートと領収書の両方をもらい、別々の支出があったことにして二重に計上し、その半分を懐に入れたという意味なのだろうが、架空請求であるとする「入浴料」とともに、それが「横領」、「詐欺」とまで断定するからには、その確かな証拠を示さなければならないだろう。

 朝木は立ち上がって上記のように質問し、着席したあとも健康福祉部長を非難した。

「犯罪がなかったというんだったら、きちっと勉強してからいってくださいよ。常識ですよ、そのくらい。公金横領を告訴したことあるじゃないですか。特定の人間は特別扱いなんですか」

 着席したままの発言はいわゆる不規則発言にすぎない。しかし、議長があえてそれを放置したものだから、「詐欺の定義」をめぐり市側が答弁を始めるまでに、市職員の席を挟んで、傍聴席と朝木の間で通常はあり得ないやりとりが行われた。

我が物顔の傍聴者

 まず口を開いたのは寿会会長だった。それをきっかけに以下のようなめったに見られない議場風景が繰り広げられたのである。

寿会会長  「人を騙して財物を奪う」。

会員  ああそういうことか、早いねー。(筆者注=「市と違って、会長は」という趣旨と思われる)

朝木  詐欺の要素の方が強いかもしれないですね。

寿会会長  市もわからない。市にもすぐにわからない。

 本来、市と協力関係にあるはずの多摩湖寿会会長が、このような不遜な態度で市の担当者をからかう理由は何なのだろうか。しばらくして、健康福祉部長はこう答弁した。

健康福祉部長  失礼いたしました。詐欺につきましては、「人を欺いて財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する。また前項により財産上不法な利益を得又は他人にこれを得させた者も同項と同様とする」。個別の要件に関しては、さきほどの横領と同様でございます。以上です。

 この答弁に対して、今度は寿会会長らが即座に賛意を示した。

会員  そのとおりじゃない。

寿会会長  そのとおりですよ。

 相当のふてぶてしさである。我が物顔といえばいいのだろうか。しかし議長は傍聴規則で禁止された彼らの度重なる振る舞いを放置したままである。あえて、こんな傍聴者がいたということを議事録に残そうという考えだったのかもしれない。

 いうまでもなく、寿会会長らがいった「そのとおりですよ」とは、「山川が行ったのは部長が説明したとおりの行為で、詐欺だ」という意味であると理解できた。すると朝木は、傍聴席の声をなぞるように「今の(説明)とまったくそのものじゃないですか」と健康福祉部長に同意を求め、続けてこう発言した。

朝木  ということで、239条の第2項について確認しておきますけれども、これは訓示規定と考えているのか義務規定と考えているのか、そこをはっきりしてください。

「公務員の告発義務」について定めた規定が、「場合によっては告発すべき」というものなのか「どんな場合でも告発しなければならない」というものなのかと迫ったのである。「義務規定」ということになれば、東村山市は山川を告発しなければならないと認めることになる。朝木はその点に対する東村山市の考えを質したのである。答弁しだいでは、「告発」の方向に追い込もうという思惑であることは明らかだった。

(つづく)
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