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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第14回
十分にうなずける答弁

 公務員の告発について規定した刑事訴訟法239条の2項が「訓示規定」か「義務規定」かという法律的な解釈を聞かれた所管は、専門外なので再び議長に「休憩」を求め、またもや議会は長い休憩に入った。しかしそもそも、同法が「訓示規定」だろうが「義務規定」だろうが、今回の山川による不適切な会計処理について東村山市がなんらかの犯罪行為と認識していなければ、朝木の質問はまったく意味のないものということになる。

 朝木は山川の会計処理について自分の認識として「横領」や「詐欺」であると主張しているが、健康福祉部長はこれまでの答弁で「犯罪があったと断言することは困難と考えております」と述べている。「犯罪行為があった」というのはあくまで朝木の認識、主張にすぎない。

 朝木が提出した「一般質問通告書」には、〈虚偽の収支報告書を提出し、補助金(公金)を着服した元市議に対し、今後どのような措置を考えているか。刑事訴訟法239条第2項もふまえ、市の見解を伺う。〉と記載されている。しかし、刑事訴訟法239条の2項は公務員が犯罪の存在を認定して初めて現実的な検討課題となるものであって、犯罪の存在を認定していないところに刑事訴訟法239条の2項を考慮する余地はない。

 したがって、刑事訴訟法239条の2項の法律解釈を市に答弁させようとするのは順序が逆だし、東村山市の認識が変わらないかぎり、質問時間の浪費にすぎない。「刑事訴訟法239条第2項をふまえ」と通告書に記載されているといわれても、ふまえる理由がないのだから、市にしてみれば、同法が「訓示規定」か「義務規定」かについて確認する必要もなかったのだろう。この日の朝木の一般質問ではたびたび進行が滞り、寿会関係者以外の傍聴者にとっては耐えがたい不毛な時間だけが流れた。

議会が止まってから10分以上たって、市側はようやく答弁の準備ができたようで、健康福祉部長が答弁に立った。

健康福祉部長  239条の2が義務規定か訓示規定かどうかにつきましては、見解が分かれているところでございますので、答弁は控えさせていただきます。以上です。

 法律家の間でも見解が分かれているものを、東村山市がわずか10分程度で結論を出せるはずがない。東村山市は特に刑事訴訟法239条第2項に基づいて告発を検討する必要があると判断しているわけでもなく、「義務」か「訓示」かについて「答弁を控える」と答弁したとしても、それは十分にうなずける答弁だった。むしろ、今回の会計問題について東村山市が「犯罪」と認識しているかどうかを質し、「犯罪」と認識しているとの答弁があって初めて刑事訴訟法239条第2項が「義務規定」か「訓示規定」かを聞くのがものの順序というものではなかろうか。

不可解な質問

 この質問に入る前に朝木はすでにこう質問していた。

朝木  ……不正計上については当然、お金がなくなっているわけですから、その部分は間違いなく横領なんですよね。で、市に、この点について刑事訴訟法の239条の第2項……については市としてはどういう……ふうに考えようと思ってますか?〉

 朝木が自ら一方的に「間違いなく横領」と断定した上で、刑事訴訟法239条第2項に基づく対応をするかどうか聞いている。これに対して、所管は次のように答弁している。

健康福祉部長  ……二重に計上された経費や補助対象外経費とすべき経費の混在など、会計処理において多摩湖寿会において補助金の返還命令に至るような不適切な状態があったことは確認をしております。しかしながら、……当市が実施した旧役員等々のヒアリングでは、補助金の交付申請時において虚偽申告があったとまで断定、確認することはできませんでした。このことから、犯罪があったと断言することは困難と考えております。したがいまして、現状においては刑事訴訟法に基づく法的措置を講じることは考えておりません。以上です。

 市の答弁内容は、朝木が前提(犯罪があったかどうか)を飛び越えて刑事訴訟法239条第2項に対する考えを聞いたのに対し、きちんと前提条件を述べた上で結論を答弁した(「犯罪があったとは認定しないので、刑事訴訟法に基づく措置はしない」)もので、論理の順序としてもきわめてまっとうなものである。その前提があったから、所管は刑事訴訟法239条第2項を検討する必要はないと判断していたということと理解できる。

ところが朝木は、市が前提を明確に説明しているにもかかわらず、あえてそれを無視し、刑事訴訟法239条第2項に対する考えを先に聞こうとしているのだった。これは不可解なことではなかっただろうか。

議長の遠慮

 その理由は定かでないが、朝木にとっては、「犯罪の有無に対する認識」よりも先に刑事訴訟法239条第2項に対する対応を質したことに違和感はなかったらしい。「答弁を差し控える」と答弁された朝木は、その答弁がよほど気に入らなかったのだろう。朝木は着席したまま、今度は答弁した健康福祉部長に対してでなく、議長に直接、答弁に対する不満を述べ立てた。

 東村山市議会規則では、議会における質問は、挙手をし、議長に指名されてから、起立して行うことになっている。だからこの朝木の発言は、ただの私語ということになる。しかし、着席したまま発言を続ける朝木に対して、議長は「質問してくださいよ」とはいったものの、「休憩」の通告もしなかった。このため、今度は議長と朝木の間で「答弁に対する不満」をめぐるやりとりが行われるという珍しい状況となった。

 議長は何度も繰り返し「答弁を控える」という答弁を、「答弁として認める」とし、朝木に対してその答弁に対して質問するよう説得を試みた。しかし朝木は、「法律があるのだから、地方自治体である東村山市がそれに対する解釈をしないということはあり得ない」などと主張し、「『答弁を控える』という答弁は認められない」として譲ろうとはしなかった。朝木としてはどうしても「義務規定」であるという答弁を引き出したかったものとみえた。

 ところで、議長はなぜ「休憩」にしないまま、朝木との無為のやり取りを続けるのだろうかとふと気になった。そういえば議長は前に、不規則発言を続ける朝木に対して「休憩中じゃないんだよ」と釘を刺したことがあった。

 議員にはそれぞれ質問の持ち時間が決まっている。休憩中なら質問時間の時計は止まっているが、「休憩中」でないということは、朝木の質問時間はその間も刻々と減り続けているということだった。だから議長は釘を刺したのだろう。「私語ばかり続けていると持ち時間が減るだけだよ」と。

 さらに「質問するんであれば、ちゃんと手を挙げて」と促す議長に対して、〈時間がないのわかってて、いやがらせしないでくださいよ〉反発したように、このままでは時間がなくなっているだけであることを朝木がわかっていないわけではなかった。それならなぜ、朝木はここまで「答弁を差し控える」という所管の答弁にこだわるのか。朝木にはここまで不規則発言を続けるどんな理由があったのだろうか。

(つづく)
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