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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第16回
傍聴席から響いた拍手

 刑事訴訟法239条2項の規定について「答弁を差し控えさせていただきます」と答弁した所管に対して、朝木はその答弁に対してではなく、今回の会計問題に関して東村山市が「犯罪とは認定しなかったこと」についてその法的根拠を聞くとする質問を行った。

 しかしこの質問は、答弁に対する再質問ではなかったため、議長がただちに制止した。すると朝木は、この議長の対応について非難を始めたのだった。珍しいやりとりなので紹介しておこう。

議長 (ルールを無視した朝木の質問に対して)それって違うでしょう?

朝木  犯罪に当たらないっていうから。

議長  そんな質問ないじゃないですか(筆者注=おそらく「質問通告書にはない」という趣旨と思われる)。

朝木  犯罪に当たらないっていわなかった?

議長  だからといって、そういう質問って当たらないじゃないですか。やるんなら、7番やりなさいよ(筆者注=「質問通告書」に記載された7番の質問=〈4年間に渡り、毎年監査を行っていたにも関わらず、不適正な会計が見逃されていたことにより被害が拡大した多摩湖寿会の横領事件について、責任はどこにあるのか、誰がとるのか伺う〉というもの)。

 質問通告書で朝木は、今回の会計問題について自ら一方的に「横領」と断定した上で質問を組み立てており、その前に市が犯罪と判断するかどうかを確認する項目が存在しなかった。朝木としては、市側が「横領」と認めることはないと考えていたのだろう。だから、市側の判断を聞かずに「横領」と決め付け、それを前提とする質問とする戦略を取ったのではないかと推測できた。

しかし所管が「答弁を差し控えさせていただきます」と答弁したことで、、その作戦が裏目に出た、あるいは作戦に無理があったことが明らかになったということのようだった。議長の「その質問は当たらない」という発言は、朝木の作戦ミスを指摘するものでもあったのである。

朝木もそう感じ、よほどプライドを傷つけられたと感じたのだろうか。朝木はいきなり議長個人に対して次のような言葉を投げつけた。

朝木  肥沼さんね、こんな議長運営で、冗談じゃないですよ。あんたにね、あんたに指図なんかされたくないよ。

 議長に向かって「あんたに指図なんかされたくない」とは侮蔑的であり、議会を冒涜する言葉でもあろう。ところがこの朝木の発言に対し、多摩湖寿会の役員から拍手が起きた。議長はこの傍聴規則に違反する行為について「私に対する拍手と思っている」と寛容な態度を見せたが、もちろんこれは議長の勘違いである。

我を忘れた朝木

 常識で判断すれば、議長に対して質疑とは無関係の無礼の発言をすることは議員として本当は恥ずかしいことである。ところが朝木は、寿会会長らから拍手を受けてしまったために、自分を見失ったらしい。朝木は自分が市民の負託を受けた市議会議員としてどれほど恥ずかしい振る舞いをしているかに気がつかなかったようだった。

むしろ朝木は、傍聴席の拍手に勢いづいたかのように、朝木はなおも議長にこんな無礼な発言をしたのだった。

朝木  肥沼さん、肥沼さん、239条って何かわかってますか? 公務員の告発義務の話をしてるの。

朝木がこれまで刑事訴訟法第239条第2項について所管に対して執拗に聞いていること、それに対して所管が「訓示規定か義務規定か、見解が分かれているので答弁は差し控えさせていただきます」と答弁したことを議長は確認している。議長は議長の判断として「答弁を差し控える」とした所管の答弁を答弁として認めた。その上で、議長に対して「239条って何かわかってますか? 公務員の告発義務の話をしてるの」とは、どういう物言いだろうか。

 さらに朝木は、議長に対して次のように主張した。

朝木  ……239条をお答えできないっていった。何も答えないから、じゃあ角度を変えて、訴えない根拠はどういう法的根拠で犯罪の事実がないっていうふうに解釈をしてるのか聞いてんの。

 これに対する議長の発言は的を射ていた。議長は朝木に対して次のように述べた。

議長  さっきいってたことと違うじゃんか。

 議長がいう「さっきいってたこと」とは、「刑事訴訟法第239条第2項の解釈がどういうふうに分かれているか」という質問のことと思う。

所管はこれに対しても「学説は様々で、長い説明になるので控えさせていただきます」と答えた。それに対する朝木の今の質問は再質問でもなく、質問通告書に記載された質問(上記の7番の質問)でもない――議長の発言はそう趣旨と思われた。言葉遣いはともかく、ルール上も論理上も、議長が間違ったことをいっているとは思えなかった。

しかし朝木は、議長の再三の注意にもかかわらず、なおも刑事訴訟法第239条第2項の解釈にこだわり、早口でこう反論した。

朝木  ……義務規定か訓示規定か、ちゃんと答えてくれればね、義務規定なんだから、それに基づいて訴えなさいよっていうし、訓示規定だったら、訓示規定のうち、どういう根拠に基づいて告発をしないというふうな態度をとるのか、それを聞こうと思ったけど、答えないから。答弁拒否じゃないですか。答弁拒否を許しといてね、あれこれいわないでくださいよ。

 この朝木の発言によれば、所管が「訓示規定」だと答えれば、その根拠を聞くつもりだったという。仮にそうなった場合、所管が示した「根拠」に朝木が納得するとは思えず、質問時間の許すかぎり、延々と追及が続いた可能性は否定できない。

いずれにしても、朝木は最終的に市に対して「告発せよ」と迫ることが目的だったということだったのではないかと推測できた。私の推測が正しければ、所管がこの日に行った「答弁は差し控えさせていただきます」という答弁は最善の答弁だった。

 朝木の「答弁拒否じゃないですか」という発言に対して議長はそれを否定したが、朝木が納得することはなかった。議会は再び長い停滞に入った。この間に朝木が今度は議長だけでなく他の議員に対しても非難を始めた。「特別委員会を作ってもいいくらいのことなんですよ、これは。公明党が反対するからできないじゃない、大反対でしょ、あんたたち」と。

平成28年11月30日午後2時ごろに始まった朝木の質問は、通常なら1時間程度で終わるところが、すでに1時間30分近くが過ぎたが、まだ終わる気配がなかった。その半分近くの時間は「休憩」が占めていた。

(つづく)
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