ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

多摩湖寿会事件 第17回
議長の進行を非難

 一般質問で停滞が繰り返されている理由について朝木は、「肥沼さんの議事進行が悪いからこういうことになるんですよ」と主張し、それが議長の責任であると主張した。しかしその主張は正当だろうか。

 朝木は所管に対して刑事訴訟法第239条第2項に対する認識を聞く前に、その前提である多摩湖寿会における不適切な会計問題について、市はそれを「犯罪」と認識するのかどうかの判断をいっさい聞かなかった。「犯罪」と認識する前提がなければ刑事訴訟法第239条第2項を検討する余地はないし、当然、それが「義務規定」か「訓示規定」かを判断する必要性もない。

 朝木は前提について聞かないまま、一方的に「横領があった」と断定し、市に対して刑事訴訟法第239条第2項の解釈について答弁するよう迫っていた。この質問は質問通告書にも記載されていない。したがってこれは、ルール上も論理上も正当な根拠を欠いた質問というほかなかった。しかし市に「山川は横領をした」とする事実を認めさせ、さらに市に告発せざるを得ない状態に追い込むには、このような強引な質問を重ねるしかなかったのだろう。

理に適った答弁

 長い休憩を経て、健康福祉部長がようやく議長に向かって手を挙げ、答弁に立った。

健康福祉部長  さきほどの答弁の繰り返しになりますが、補助金の交付申請等において、虚偽申告があったとまでは確認することはできませんでした。犯罪があったと断言することが困難と考えていることから、法的な措置を講じることは考えていないというところでございます。

 刑事訴訟法第239条第2項の前提部分について説明し、今回の会計問題が同法の検討を要するものではないと判断したものと理解できる。きわめてまっとうな答弁である。

 それでも朝木はなお、市に告発の必要性を認めさせることをあきらめなかった。朝木はさらにこう聞いた。

朝木  (筆者注=犯罪があったと)断言できないということは、疑いは持っているということですか?

 朝木はわずかでも告発を迫るための言質が欲しかったのだろう。

「断言できない」というのは客観的な事実に基づく公的な判断である。これに対して「疑いを持っているかどうか」は主観的な認識にすぎず、「告発しない」という公的な判断において主観的認識はまったく意味も持たない。したがって、本会議という公的な場で市の公式の判断を述べるにあたり、「疑いを持っているかどうか」などという主観的な判断に言及する余地はない。「犯罪があったとまでは断定できない」という答弁は、それ以上の意味を持たないのである。だから健康福祉部長は、上記の朝木の追及に対して次のように答弁した。

健康福祉部長  さきほどご答弁したとおりです。

 所管としては、これ以外の答弁はない。しかし、いなされたと感じたのか、朝木は着席したまま議長に次のように抗議した。

朝木  それじゃダメです。ちゃんといって。肥沼さん、「さきほどの答弁」というのはどの答弁かわからない。部長、どの答弁かわからない。「さきほど」っていうのは。同じ質問してませんから、私。

「さきほどの答弁」というのは、「犯罪があったとまでは断定できない」という答弁にほかならない。朝木がそのことに気がつかないはずはなかろう。しかし、「犯罪があったとまでは断定できない」と明確に答弁された朝木としては、そこで引き下がるわけにはいかない。悪くても「疑いはある」という答弁を引き出したかったということだろう。所管がそう答弁すれば、「疑いがあると認識しているにもかかわらず、その究明をなぜ市はしようとしないのか」と追及することができる――そう考えたとしても不思議はない。

答弁に立った市長

 いずれにしても、「疑いは持っているということですか」という朝木の質問は、前提を否定することで刑事訴訟法第239条第2項を検討する必要性を否定した市の判断を、再び同法の解釈問題という現実的には必要のない議論に後戻りさせかねないものだった。そこで健康福祉部長に代わって答弁に立ったのは渡部市長だった。

 一般質問では、質問者の要求や質問の内容に応じて適切と判断した担当者が答弁に立つのが通常だが、ここに至り、市長は「告発はしない」との結論を出した責任者として自ら答弁する必要があると判断したのだろう。

市長
  この間、私どもとしても調査をしですね、顧問弁護士とも相談させていただいて、これが、われわれが刑事告発する義務がある犯罪に当たるのかどうかは慎重に検討をさせていただきましたが、犯罪と断定するには至らない、そういう結論に至ったということでございます。

 この答弁に対して朝木は、「(筆者注=市の顧問弁護士は)どういうふうな根拠によってそういうふうなご意見をおしゃっられたのか伺います」と食い下がったが、市長は「刑事訴訟法第239条の第2項に該当する犯罪であるかどうかということを確認をしたということでございます」と手短に答えた。これに対して朝木は、着席したまま、不快感も露にこう批判した。

朝木  239条の2項を持ち出しときながら、さっき答えられないっていったじゃないですか。その整合性はどうするんですか。

 市長は「刑事訴訟法第239条の第2項に該当する犯罪があったとは断定できない」といっているのだから、市長の答弁がそれまでの所管の答弁と整合性がないということはない。議長は着席したまま発言を続ける朝木に対して質問するよう促した。すると朝木は、開き直ったようにこう主張した。

朝木  そうすると、虚偽の、架空の経費計上によって、お金が抜かれている、公金を抜かれている、この状態については市としては見逃すということですね。で、これは市としての考え方なんですね。

 それまで朝木は、山川の不適切な会計行為について、「これは横領だから告発すべきと思うがどうか」と市の姿勢を問うというスタンスだった。しかしこの質問になると、すでに「市は犯罪行為を見逃すという方針だ」と決め付けていることがわかる。市長の答弁を境に、朝木の質問は「多摩湖寿会の会計問題」から「犯罪行為に見て見ぬフリをする東村山市(=市長)」という新たなステージに移行したようだった。

(つづく)
関連記事

TOP