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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第25回
根拠がなかったことを自白

 では、朝木側、清水側に分かれた被告らの答弁書の内容はどんなものだったのか。短いのですべて紹介しよう。



(朝木・矢野答弁書)

第1 請求の趣旨(=いくら払えという原告の主張)に対する答弁

〈原告の被告朝木直子及び被告矢野穂積に対する請求をいずれも棄却する。〉

第2 請求原因(=「横領した」などの名誉毀損の事実等)に対する認否、被告朝木直子及び被告矢野穂積の主張

〈事実関係、証拠資料を確認・精査したうえ、追って認否、主張する。〉

(清水・天目石答弁書)

第1 請求の趣旨に対する答弁

〈原告の請求をいずれも棄却する。〉

第2 請求の原因に対する認否及び反論

〈追って行う。〉



 訴状の送達から1カ月たって送られてきた答弁書の内容はこれだけで、被告らはいずれも第1回口頭弁論には差し支えがあって出廷できないとのことだった。第1回口頭弁論に出廷できないのはやむを得ないとして、あれほど「山川は多摩湖寿会の金を横領した」「盗んだ」と断定していた朝木と清水が、請求原因に対する具体的な反論を一言もしないというのはやや不自然に思えた。

 とりわけ朝木は、これから「事実関係、証拠資料を確認・精査」するという。朝木はこれまで東村山市議会で再三にわたって「山川は横領した」と発言してきた。その時点で確かな根拠を持っていたとすれば、答弁書でこれから「事実関係、証拠資料を確認・精査」するとはいわないだろう。つまり朝木の代理人は、たった1行で、議場での発言は「事実関係、証拠資料を確認・精査」した上でのものではなかったと自白したということになる。

 すると朝木は、市議会議員として議場で発言するにあたり、確かな根拠がなくても市民を犯罪者呼ばわりすることが許されると認識しているということだろうか。答弁書の記載を読むかぎり、そう理解することができる。

 第1回口頭弁論は原告だけが出廷し、訴状と甲15までの証拠書類を確認しただけで終了し、第2回口頭弁論は平成29年4月26日と決まった。被告らはその1週間前までに訴状に対する認否・反論を提出すればよい。被告らは訴状の送達から具体的な反論までに、実質的に2カ月半の時間が与えられたことになる。

非現実的な要求

 ところで、答弁書を提出する10日前、朝木は平成29年2月16日付で東村山市議会3月定例会の一般質問通告書を提出している。そのタイトルは「多摩湖寿会で発生した元市議による横領事件について」だった。平成29年2月27日付答弁書では〈(これから)事実関係、証拠資料を確認・精査(する)〉と記載しているほどだから、同年3月3日に行われた一般質問で朝木が「元市議による横領事件」の根拠を示したわけではない。朝木にとっては一般質問の中身よりも「元市議による横領事件」が事実であると主張することが重要だったのだろう。では朝木はどんな質問を行ったのか。

 朝木は一般質問で平成28年9月と12月議会における市側の答弁を逆手に取り、斬り込む形で質問を行った。まず追及したのは、朝木が同年12月議会で、過去の多摩湖寿会の監査において補助対象外経費であるはずの酒やビールの経費が補助対象経費として認められていた(再調査によって補助対象外であることが確認された)点を質したのに対し、所管が「元会計担当者が元市議だったために多摩湖寿会だけを特別扱いしたわけではない」と答弁したことについてだった。

 朝木はこう聞いた。

朝木  多摩湖寿会だけ特別扱いをしたんではないということになりますと、他の老人クラブの監査も同じようにルールを無視したかたちで行われているということではないんですか? そうすると、他の老人クラブの監査はどうするんですか。多摩湖寿会にだけ監査を行って、多額の補助金返還を求めるつもりなのか伺います。

 今回の再調査によって、東村山市は多摩湖寿会の平成24年度から同27年度の会計報告について、補助対象外経費として誤って計上されていた経費や二重に計上されていた経費等45万円余の返還を求めている。朝木は「『特別扱い』していないのなら他の老人会に対する監査でも補助対象外経費を補助対象経費として認めている可能性がある。多摩湖寿会に対して再調査を行ったのなら他の老人会も再調査すべきだ」といっているのだった。

 1度監査が終了していたものに対する再調査など、通常はあり得ない。多摩湖寿会の会計に対する再調査は、多摩湖寿会現会長の清水の主張に基づき、平成28年9月議会で朝木自身が「山川は多摩湖寿会の金を横領下。再調査すべきだ」と迫ったため、例外的に行ったにすぎない。東村山には51の老人会が存在する。その51の老人会の、しかも平成から27年度のすべての会計を再監査するのは現実的に困難であるし、市の方から老人会に対して再監査を受けるよう命じる大義名分もない。

 朝木は「再監査」を否定した市に対して「他の老人クラブについては放置するのか」と追及した。しかし、市が「そういった考えはない」と答弁したのは当然だったろう。

返還請求の対象を再確認

 東村山市が多摩湖寿会に対して45万円余の返還を求める決定をしたことで、寿会会長として清水が返還を求められるかたちになっている。山川を追及するつもりが、逆に会長である自分自身が返還を求められているのだった。もちろん清水が自腹を切るわけではないが、表面上は藪蛇をつついた形になっている。そのことも気に入らないのかもしれなかった。

 朝木はこの点について、返還を求める対象は「行政側としては当事者は、この件についての当事者は現役員だけだというお考えなんでしょうか」と、暗に山川に返還を求めるべきだと主張した。しかしこれに対して市はきっぱりと次のように否定した。

「補助金はあくまで多摩湖寿会にお出ししておりますので、個人というよりも多摩湖寿会ということでご説明をさせていただきたいというふうに考えております」

 山川は前任者に習って補助対象経費かそうでない経費かを仕分けていたにすぎない。その仕分けについては当時の会長も副会長も監査役も承認していたのだから、山川個人が勝手に補助対象経費でないものを補助対象経費であるとして計上していたわけでないのは明らかだった。

 市は返還金の発生について説明するために清水に対して説明会への出席を求めているが、清水は山川が出席しない(山川には出席する必要がない)との理由で出席を拒んでいる。しかしこれが、自ら再調査を望んだ結果である以上、多摩湖寿会会長として、清水は市からの返還請求を受け入れる以外にないのではあるまいか。

 朝木の最初の質問は、補助金の返還をめぐる市への牽制であるように思えてならない。しかし、返還請求の対象が多摩湖寿会会長の清水であることを再確認しただけに終わったようだった。

(つづく)
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