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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第35回
傍聴席から不満の意思表示

 担当者が調査の当事者である山川に資料をファックスで送信したことについて追及した朝木は、当初は質問通告書に記載しなかったことで担当所管を少なからず混乱させたものの、健康福祉部と総務部は経緯と背景事情を確認して以後、担当者の行為が正当なものだったことを確信し、そのように答弁した。朝木が最初から質問通告書に記載していれば、わざわざ最終日に朝木一人のために時間を取ることもなかったはずである。

朝木に対する答弁の時間を取ったために、最終日は傍聴席がほとんど埋まるほどの盛況ぶりだった。傍聴者の多くは多摩湖寿会関係者のようだった。

しかし、朝木が担当者の行為について問題があるとさまざまに指摘した点がことごとく否定されたことで、朝木だけでなく、傍聴にやって来た多摩湖寿会会長の清水や、清水の主張を鵜呑みにしている一部の会員たちにとっても、市側の答弁はかなり期待外れの結果となったのではないかと思われた。健康福祉部長と総務部長が朝木の主張を否定したのに対し、朝木が「この問題また継続します」と納得しない姿勢を見せたのも、詰めかけた傍聴者を意識した部分があったのかもしれない。

所管の答弁に対して傍聴席からは不満を訴える声も聞こえた。しかし、冷静に事実関係と経緯を検討すれば、所管の答弁にはなんらの矛盾も不合理もない。それでも、少なくない傍聴者が行政が隠し事をしているように受け取ったとすれば、誤った情報を鵜呑みにした結果の思い込みによるものとしか思えなかった。

根拠は刑法上の規定

「しょうもない答弁」などと所管の答弁を侮蔑的に切り捨てたにもかかわらず、多くの傍聴者の期待に反して、朝木はその根拠を示し、市側の答弁を修正に追い込むことはできなかった。その代わりかどうか、朝木は最後に、東村山市長が告発をしない理由を質した。 

朝木  ……12月の一般質問での答弁を聞くと、市長答弁を聞くと、本人が横領を認めることが横領罪の構成要件であるかのように取れますが、根拠を伺います。

平成28年12月定例会で市長は、朝木の質問に対して「(山川を)告発しない」とした上でその理由について「われわれがこれまで明確な公金横領として刑事告発したケースは、本人が横領を認めたケースだけでありますので、それに照らしても、ご本人の証言からは明確な横領、詐欺があったとまで断言は現時点ではできないと、そのように考えております」と答弁した。朝木はこの点をあらためて質したのである。これに対して市長は次のように答弁した。

市長  刑法上の罪に該当するか否かにつきましては、原則として当該罪状について規定する各号の各要件を満たすことだけでなく、故意があることも必要とされていることはご案内のとおりでございます。議員ご指摘の横領罪も故意犯の罪でありますことから、横領罪の構成要件を満たすということは刑法第252条第1項の規定の要件に該当するとともに、刑法第38条第1項に規定する故意性があること、主観的構成要件も満たしている必要があるというふうに認識いたしているところでございます。さきの私の答弁で申し上げた事例では、本人がその罪を認めたことにより故意について確証が得られたことから、告発に至ったと説明したものでございます。以上。

 刑法上、横領を認定するには当事者に不法領得の意思があったことが確認されなければならない。市長は12月議会で告発しない理由として「横領の事実があったとまでは断定できない」と説明したが、その根拠として刑法上の規定も考慮していたのである。もちろん山川が横領の事実を否定していることはいうまでもなかった。しかし朝木は市長の答弁に聞く耳を持たず、次のように自説を一方的に早口でまくしたてた。

朝木  会計担当者である元公明党市議は4年間にわたり100件を大幅に超える経費の二重計上や会費、旅行代金、福祉募金などの未納入によって会計から多額の金を抜いており、その中には多額の公金も含まれていることは部長答弁で明らかとなっています。そして会計引継後にこの事実が発覚したため、この元公明党市議は一部金である42万円を返金した。にもかかわらず、あくまでもこれは横領ではなく積み立てであると言い張り、渡部市長が犯罪ではないと答弁していることから、自分の濡れ衣は明白だと主張して、横領を告発した元多摩湖寿会会長、現寿会会長を名誉棄損で損害賠償金を請求するなど異常な事態となっている。100件を大幅に超える経費の二重計上は故意ではなく過失だという当市の判断は社会的に認められるか。

 山川は訴状で「渡部市長が『犯罪には該当しない』旨の答弁をした」とする趣旨の主張をしている。朝木は渡部市長の答弁を山川が利用したと受け止めている。だから、この点に関する市長の答弁を崩そうとしたものと思われた。

市長答弁の意味

 質問の途中で朝木の持ち時間は切れてしまい、議長は朝木の一般質問を打ち切ろうとした。規則上は時間切れをもって一般質問が打ち切られても文句はいえない。しかし、朝木は時間が切れたあとも、着席したまま「市長に答弁を求めてるんですから、答弁させてください」「市長は答えないんですか。答えないんですか」と答弁を求め続けた。これに傍聴席を埋めた寿会会員の間からも答弁を求める声が上がり、議場内は騒然とした状態となった。

ルールはルールであるものの、質問の時間切れを理由に答弁もしないというのは民主主義の理念に反すると批判されても仕方があるまい。議長はやむなく市長に答弁できるか確認すると、市長は答弁に立った。

市長  12月定例会でも申し上げましたけれども、私どもとしては、犯罪ではないとまでは申し上げておりません。あくまでも、犯罪を構成するとまで断定できなかったというふうに申し上げているところでございます。二重計上の問題や、またなおかつ市の補助金が、補助対象外経費として、にも充てられていたという事実については認識をいたしております。

補助金執行上、不適切なものについては返還を求めさせていただき、かつ再発防止については朝木議員からのご質問で、予算特別委員会でお答えをさせていただいたような形で老人クラブ連合会を通じ、各クラブの会計処理のあり方については今後見直しをさせていただいております。こうしたことを通じて、市民の皆さまや納税者の皆さまにご理解いただけるものと、そのように認識いたしております。

「私どもとしては、犯罪ではないとまでは申し上げておりません」という市長の答弁で朝木は目的を達したのだろうか。

市長はまた、告発しない理由として本人が横領を認めていないこと、刑法上も横領には不法領得の意思がなければならず、「犯罪を構成するとまで断定できなかった」とも述べている。刑法上の犯罪は、犯罪と認定されなければ犯罪とはいえない。

市長は「犯罪ではない」とまではいわなかった。しかし、告発もせず、捜査機関が犯罪として立件しなければ、事実上、横領という犯罪はなかったということになるのではあるまいか。つまり、「犯罪を構成するとまで断定できなかった」とは、「犯罪はなかった」と認定したに等しいという結論になろう。

結局、朝木は多摩湖寿会会長の清水澄江をはじめ、本質を理解しているとは思えない多くの市民を味方につけて、2回にわたって一般質問を行ったものの、裁判に役立つ答弁は何1つ得ることができなかった――ということになるのではあるまいか。

(つづく)
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