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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第47回
「特定」に等しい記載 

 朝木は「①山川が主張する不法行為1」において、「『山川は多摩湖寿会の会計から横領をした疑惑がある』旨の事実を摘示したにすぎない」としただけでなく、「人物を特定していないから、山川の社会的評価は低下していない」とも主張している。この主張が認容されれば、山川の主張は棄却されることになる。

 朝木のいう「人物を特定していない」とは、朝木が「横領した」とする人物を名指ししていないということに尽きる。名指ししていなければ「人物を特定していない」ということになるのだろうか。

 この点について山川は、朝木は上記①の中で「平成24年度から平成27年度にかけて多摩湖寿会の会計についていた元市議会議員」と限定しているから、「120名の多摩湖寿会会員や社会福祉協議会、東村山市役所職員、議会関係者にとって、この『元市議会議員』が誰であるのかを特定するのは容易である」と反論している。

 多摩湖寿会の会員が会内で「多摩湖寿会の会計を務めていた人物は誰か」と聞けば、それが誰だったのかはすぐに判明するだろう。また市役所関係者なら、補助金執行の対象団体である多摩湖寿会の会計を誰が担当していたかを知ることは難しいことではなかろう。前後の文脈等から当該人物が特定可能な場合には、具体的に特定していなくても特定したに等しいのではあるまいか。

「疑惑」と「断定」の間

「①山川が主張する不法行為1」に関する山川の主張をまとめると、上記①は「『山川は多摩湖寿会の公金や会員から集めた金を横領した』との事実を摘示するもの」ということになる。

 朝木は摘示事実について、「会計の不正処理を行った元市議会議員は、新年会の会費やお祝い金……などで集金したお金を会計収入に入れず、……寿会会計から抜いた」と断定しているが、これについても「横領をした疑惑がある旨の事実を摘示したにすぎない」と主張している。断定表現をしているにもかかわらず、朝木が準備書面で「抜いた」との表現については知らん顔をし、「疑惑」を摘示したにすぎないと主張したことは理由があるように思える。

「疑惑」と「断定」では、立証のレベルに大きな違いが生じる。「断定」だと「横領の事実」を、直接的に立証しなければならない。しかしその摘示が「疑惑」にとどまるなら、「横領」そのものの立証までは求められない可能性がある。少なくとも朝木は「疑惑がある旨の事実を摘示した」にすぎないと主張しているのだから、「『疑惑』を立証すれば足りる」と主張しているということになろう。これに対して山川は、上記①が摘示するのは「山川は多摩湖寿会の公金や会員から集めた金を横領した」との事実であり、その「摘示事実について真実性・相当性を立証しなければならない」と主張している。

 なお①と同様に、「山川が主張する不法行為」2~4についても、朝木が「疑惑を摘示したにすぎない」と主張しているのに対し、山川は「摘示事実は横領したとの事実である」と主張し、「摘示事実について真実性・相当性を立証しなければならない」と主張している。また朝木が「元市議会議員が多摩湖寿会の会計から横領した」旨の事実を摘示したという範囲で山川の主張を認めた「山川が主張する不法行為」5、6、7、9、10についても当然、「摘示事実について真実性・相当性を立証しなければならない」と主張している。

詳細な事実摘示の立証も要求

 上記の「山川が主張する不法行為」1~10は、それぞれに微妙な違いはあるものの、「山川は多摩湖寿会の金を横領した」というものだが、上記のうち2、3、5、6、7、10についてはより詳細な発言、記載がある。2、3、7は「山川は福祉募金を盗んだ」というものであり、5、6、10は「山川は、多摩湖寿会の研修旅行で、入浴もしていないのに入浴したとして1万円の架空の支出を計上し、その1万円を着服した」というものである。

 最初の準備書面において朝木は、福祉募金の件も「入浴料」の件も具体的にいっさい主張していない。山川は「横領した」という事実だけでなく、上記の摘示事実についても具体的に立証する必要があると主張している。普通に考えれば、「横領」の文言がなかったとしても、「福祉募金を盗んだ」、「架空の入浴料を計上し、着服した」との事実摘示は、それだけでも十分な名誉毀損といえるのではあるまいか。

「発言」否認に対する反論

 裁判所内での発言(山川が主張する不法行為8)と議会終了後の発言(同12)については、朝木は発言の存在自体を否定している。その存在の認定については裁判所の判断に委ねるほかない。

 ただ議場での発言については、朝木は「この日の市の答弁について納得がいくものではなかった旨の私的な会話をした」という範囲で認めている。すなわち、発言の完全否定ではなく、内容において山川の主張を否定しているのである。しかし、清水との間で交わしたという具体的な会話内容を示さなければ、これはたんに虫のいい主張ということになるのではあるまいか。

 全体として朝木らの認否をみると、断定表現が含まれているにもかかわらず「疑惑の摘示にすぎない」と主張したり、「原告を特定していない」、あるいは「発言はしていない」などとして名誉毀損の成立自体を否定しているものがほとんどだった。これに対して山川は、上記のとおり、名誉毀損の成立を主張し、朝木には「山川は多摩湖寿会の会計から横領した」との事実について真実性・相当性を立証する必要があると主張した。「疑惑の摘示にすぎない」とする主張を裁判所がどう判断するのか、その点も裁判の行方を左右する争点であると思われた。

(つづく)
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