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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第49回
「横領」の法的定義

 朝木は準備書面で、「原告が同会(筆者注=多摩湖寿会)の現金を保管中、自己の用途に充てる目的で現金を持ち出す等して横領したとの強い疑いを抱いた」と主張している。これは山川が簿外で現金を保管するにあたり、最初から自分のものにする意思があったと主張するものといえる。

 ところで、判例では「窃盗罪には不法領得という主観的要素が必要である」とされている。窃盗と同じ財産犯罪である横領を認定するにあたっても、本人に不法領得をする意思があったという要素が必要となると考えられる。

 したがって山川は、朝木らが「山川は多摩湖寿会の金を横領した」と主張するには、山川に不法領得の意思があったことを立証しなければならないとして次のように主張している。

「被告らが『原告が横領した』とする主張を裏付けるには、原告が不法領得の意思・目的を持っていたとする自白あるいは原告が不法領得の意思・目的を持っていたことを裏付ける資料・証拠が必要となるが、提出された丙号証(筆者注=朝木らの証拠)の中に自白を裏付けるものは存在せず、被告らが抱いたとする『強い疑い』の根拠が証明されたとは到底いえない。」

 山川はこう主張した上で、「不法領得の意思」などなかったと主張している。

すぐに清水宅を訪ねた原告

 この点について朝木は、「山川が清水新会長から請求されてすぐに返還したことは、簿外で現金を保管していたことが不正行為であることを十分に認識していたからである」と主張している。つまり、山川がすぐに返還したことが、山川に「横領」の自覚があった証拠だというのである。

 平成28年6月26日、その1カ月前の5月に寿会新会長となっていた清水澄江は山川に対し、会計帳簿に未記載の入金があり、収入に計上されていないとして、その分を支払うよう求める請求書を送付した。請求書の末尾には、「ご返答なき場合は前役員会に対し請求させていただきます」との記載があった。

 仮に山川に横領、着服したという認識があったとすれば、清水は「返答がなければ前役員会に請求する」といっているのだし、こんな請求書など見なかったことにすることもできた。しかし山川は、清水からの請求書を読むとすぐに、簿外で保管していた金を渡すために清水の自宅を訪ねた。

 その理由について山川はこう説明している――。山川は簿外の保管金を早く返還しなければならないと考えていた。だから、すぐに返還に出向いたのである。けっして朝木が主張するように、「会長が請求するとすぐに返金したのは『横領』を自覚していたから」ではない、と。

 清水からの請求書が届いてすぐに山川が清水の自宅を訪ねたことには、もう1つ、重要な背景があった。清水からの請求書が届く9日前、山川は前会長の自宅を訪ね、簿外で保管していた金の扱いについて相談していた。山川は清水からの請求書を見てあわてて対応したのではないことがわかろう。

 前会長宅を訪ねた山川は、保管金の引き継ぎについて前会長からアドバイスを受け、話がまとまっていた。だから山川は、清水からの請求書を見るとすぐに清水宅に行くことができたのである。山川の説明に不自然な点は見当たらない。

「会長が請求するとすぐに返金したのは、山川が『横領』を自覚していたからだ」とする朝木の主張に対し、山川は上記の事情を説明した上で、「原告が保管金をすぐに返還したことをもって不正を認識していたとの被告らの主張は失当である」と反論している。

消された「共謀」の文字

 この準備書面で山川は、平成28年9月から11月にかけて朝木が行った「山川は多摩湖寿会の金を横領した」とする議会質問に根拠がなかったことを明確に裏付ける証拠を提出している。朝木が平成28年10月3日付で東村山市監査委員会に提出していた東村山市長措置請求(いわゆる監査請求)である。

 朝木の請求内容は、「東村山市長は、山川が違法に詐取した公金26万5435円を東村山市に返還させるよう求める」というもの。しかし、この請求書では原因となった事実について次のように記載されていた。

「多摩湖寿会会計山川昌子は〇〇(筆者注=マスキング)と共謀し、同会計金銭出納簿に二重計上する方法で同額を詐取した。」

 このうち、「〇〇」の後の「と共謀し」については二重線で消されていて、朝木が主張する「詐取」の主語である「山川」の後には「ら」が当初は付いていたが、この「ら」もやはり二重線で消されていた。この「と共謀し」及び「ら」が消されたのがいつの時点なのかは定かでない。しかし少なくとも、朝木がこの請求書を作成した時点ではこれらの文言が記載されていた。つまりこの請求書を提出した時点で、朝木は「多摩湖寿会における横領事件」には山川1人によるものではなく、他に共犯者がいると認識していたことになる。

 朝木が監査請求前の9月議会で行った質問では「共犯者」の存在についてはいっさい触れておらず、山川が「横領」するにあたって協力者がいたことをうかがわせる発言もなかった。つまり朝木はこの監査請求によって、9月議会における質問を自ら否定したことになる。

 いったい、この「共犯者」はどんな経緯で監査請求の相手方当事者として名を連ねることになったのだろうか。

監査請求の適当さ

 それをうかがわせるのが、監査請求書の末尾で朝木は、監査にあたっては、監査委員の1人である公明党市議の除斥を求め、その理由として「〇〇(筆者注=山川と連名で監査請求の対象となった人物=マスキング)が所属した政党と同一の政党」だからとしている点だった。山川が多摩湖寿会で会計を務めていた当時、元公明党市議だった人物が寿会の会計監査を担当していた。

 マスキングされ、朝木自身が監査請求の対象として削除した人物とはこの元公明党市議以外には考えられなかった。つまり監査請求で朝木は、「会計監査を担当していた元公明党市議は山川の横領を知っていたが見逃した」、あるいは「2人は最初から共謀して寿会の金を横領した」というストーリーを描いていたということになる。 朝木と矢野にすれば、2人の元公明党市議が「横領」に関与したということになれば、個人ではなく十分に「公明党の組織ぐるみの犯罪」という宣伝ができると考えたとしても不思議はない。

 しかし、それがいつの時点かは定かでないが、朝木はもう1人の元公明党市議の関与については撤回したのだった。最初から「山川と元公明党市議が共謀して寿会から横領した」などという主張に根拠はなかったということである。

 この監査請求は、「補助金は多摩湖寿会に対して交付されたものだから、個人は返還請求の対象とはならない」という理由で却下された。しかし、形式的な理由以上に、この監査請求が内容的にいかに適当で、社会をナメたものであるかがわかろう。

「山川は多摩湖寿会の金を横領した」とする根拠のあやふやさも推して知るべしというべきではないのだろうか。

(つづく)
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