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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第64回
いきなり署名捺印を要求

 平成28年8月25日夜、山川は仕事を終えて大野宅を訪ねた。もちろんこのとき山川は、清水が自分だけには直接連絡してこなかったことなど知らなかったし、連絡がギリギリだった理由など考えもしなかった。山川の頭にあったのは、示談書の内容は具体的にはわからないものの、とにかく今夜の会合ですべてが片付くということだけだった。

 大野宅にはすでに加藤前会長と新役員の神山が来ていた。その後の様子について山川は次のように供述している。



(大野宅での状況①)

 間もなく清水さんが清水昇さんといっしょにやってきました。清水さんはすぐにカバンから示談書を取り出して出席者全員に配り、私に対して「署名捺印をお願いします」と言いました。この間、清水さんから私に対しても他の出席者に対しても、改めて示談書を取り交わす理由やその内容について説明はありませんでした。



 少なくとも山川、大野、前会長の加藤は示談書の内容はいっさい知らされていない。仮に清水が示談書を配布した時点で他の役員がその内容を知っていたとしても、示談書の当事者である山川および加藤、立会人で調印の場所を提供した大野に対しては、誓約書の上に示談書を作成することになった経緯とその内容について説明しなければならないだろう。ところが山川によれば、清水は示談書を配布しただけで何も説明せず、山川に対していきなり署名捺印を求めてきたというのである。

示談書を回収した清水

 署名捺印を求められた山川は、示談書に目を走らせるとすぐに署名を拒否した。示談条項の中に「山川は横領を認めて謝罪する」旨の記載があることが確認できたからだった。誓約書の時点で横領を否定しているのだから、山川がそのような記載のある示談書の署名に応じないのは当然だった。

 このとき山川は、示談書をあらためて作成することおよびその内容についてなんらの説明もなかったこと、この日の連絡がぎりぎりになされた理由を理解した。清水は山川に、事前に検討の時間を与えず、いわれるがままに署名捺印させられる状況を作り上げようとしていたのではないか――そう考えるのが自然なように思われた。

 山川が「横領はしていないのでこの示談書には署名できない」と拒否しても、清水から誓約書以降に行ったという役員間の「話し合い」やその内容等について説明はなかった。それどころか、清水は「一方的に怒り出し」(山川)、すぐに出席者に配布していた示談書を回収すると、清水昇とともに大野宅から出ていったのである。

 清水は山川や加藤、大野からは事前に意見を聞いていなかったのだから、すぐに回収などせず、役員間で行った「話し合い」について説明した上で、いったん持ち帰って検討してもらうなどの対応もできたはずである。しかし怒って帰るとは、ことが思うように運ばなかったことに苛立ったようにしか思えない。

示談書の狙い

 朝木は清水から聞いた話として示談書について次のように供述している。

「山川さんを刑事告訴することについては、寿会の役員からも『もう一度、山川さんに示談をもちかけてみて、横領を認め謝罪すれば刑事告訴はしない方向で納めるべきだ』という慎重な意見が出ていたとのことであり、……」

 しかし、何の説明もなしに署名を求めた清水のやり方は、とうてい「示談をもちかけてみる」というようなものとはいえない。それが清水1人の考えによるものでないのなら、当然、寿会役員の総意によるものであるとの説明があってしかるべきではあるまいか。しかし、清水の口からそのような説明はなかったのである。

 すると、この夜、清水は山川に示談書の詳細を知らせないまま、強引に署名捺印をさせようと考えていたのではないか――そう疑われても仕方があるまい。当然、その場合には、朝木の上記の供述も信用性が疑われることになる。

 平成28年8月25日夜、山川が示談書の中身も読まず、清水からいわれるままに署名捺印していれば、山川は「横領」を認めたことになっていた。それが、清水と朝木の狙いだったのだろうか。

大野の「説得」は事実なのか

 清水が出ていったあと、大野宅には大野のほか、山川と前会長の加藤が残された。そのとき大野は「加藤前会長と私とで、山川さんに対し、示談書に署名押印するよう説得を試みました」とし、次のように供述している。



(山川を「説得した」とする大野の供述)

 私は、山川さんに、「目的が別であっても、(寿会の役員の)誰にも言わないで、帳簿の外に会のお金を持っていた、それを横領と言うんだよ。」と説明し、この不正会計処理の問題について収めるには山川さんが示談書に署名押印するしかないのではないか、と改めて説得しましたが、山川さんはこれに応じず、帰ってしまいました。



 この大野の供述に対して、山川は次のように反論している。

「清水さんがいなくなった会合の場で、大野さんは私に『示談書は初めて見た』と言いました。誓約書を作成した際の立会人であり、新役員(理事)でもある大野さんが、示談書の内容について清水さんが配布するまで見ていなかったというのです。大野さんは私にこの示談書に『署名押印するよう説得した』と言っていますが、この日示談書を初めて見た大野さんが私を説得できるはずがあり得ませんし、そのような事実もありません」

 清水から示談書の調印場所を提供してほしいと連絡を受けた状況に関する大野の供述からすれば、大野が示談書の「話し合い」に参加していなかったのは明らかである。示談書の内容や経緯を知らない大野が、示談書に署名するよう山川を説得する立場になどあるはずがなかろう。

 また、この日まで示談書の内容さえ知らせず、署名を拒否されたあとになって署名の説得をするとは、本末転倒もはなはだしいというべきではあるまいか。説得する必要があるというのなら、示談書を作成するよりも前の段階、清水が行ったと主張する役員の「話し合い」の場で行うのが常識だろう。

「清水が帰ったあとで説得した」という話も不自然である。清水がいるときに説得すればよかろう。山川を「説得した」とする上記の大野の供述は信憑性に欠けるものというほかない。

(つづく)
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