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多摩湖寿会事件 第65回
すでに出来上がっていた「示談書」

 山川の供述によれば、平成28年8月25日夜、清水はカバンから示談書を取り出すと集まった関係者に配布し、山川に対して署名捺印を求めたという。示談書はすでに出来上がっていたということであり、大野宅における会合は話し合いの場ではなかったということになる。

 寿会前会長の加藤幸雄は、清水から「山川さんの……会計処理問題について、現役員らとしては、正式な示談書を作って終わりにしようということになったとのことで……」との連絡を受けたとして、誓約書の当事者である加藤自身は清水のいう示談書についての「話し合い」にはいっさい関与しなかったことを明らかにしている。その上で加藤は、大野宅での状況について次のように供述している。

「示談書に、山川さんが横領を認めて謝罪する、との文言があり、山川さんが、横領でない、寿会のためにお金を貯めていたのだなどと言い出し、署名押印を拒否しました。山川さんが示談書への署名押印を拒んだため、清水さんら新役員は、これでは示談はできない、として帰ってしまいました。」

 示談書を見せられた山川が「横領はしていない」として署名捺印を拒否したとする状況は山川の供述と一致している。加藤の上記の供述からは、山川がすでに出来上がっていた示談書を突きつけられたこと、山川が署名捺印を拒否すると、清水は「これでは示談はできない」と何の説明も話し合いもしないまま帰っていったことが明らかである。つまり、清水にとって大野宅での集まりは示談書に何を盛り込むか等の話し合いの場ではなく、山川に署名捺印させるためだけのために設定された会合だったということである。

何も知らなかった加藤と大野

 山川に示談書への署名捺印を拒否された清水が帰ったあと、前会長の加藤は山川、大野とともに大野宅に残っていた。大野はそのとき山川に、「示談書に捺印するよう説得した」と供述する。加藤もまた「その後、私と大野さんで、山川さんに対して、示談書への署名押印をするよう説得を試みました」と供述する。しかし加藤は具体的にどう「説得」したのかについては言及していない。

 大野同様、加藤も、清水が供述する寿会で行われた示談書に関する話し合いには参加しておらず、示談書に記載された内容に盛り込まれた当事者の意思や趣旨についていっさい知らなかった。誓約書の当事者でもあった加藤は示談書においても当事者だったのだろう。すると、加藤の立場からすれば、清水から渡された示談書の内容について、どんな経緯でこの内容になったのか聞くのが当然だろう。

 清水としても、示談書の当事者から内容について聞かれれば答える義務がある。しかし加藤自身はもちろん、清水や大野の陳述書には、大野と同じく加藤が示談書の趣旨等について清水に聞いたという供述はない。加藤は当事者であるにもかかわらず、清水からいわれるままに署名捺印するつもりだったのだろうか。

 示談書の内容についても目的についてもなんら聞いていない加藤が、山川にいったい何を「説得」するというのだろうか。大野同様に、これでは加藤が山川を「説得」する根拠はない。それに山川を「説得」するのなら、清水がいるときにしなかったというのは不自然だった。これらの事実を総合すると、清水が帰ったあとで加藤が山川を説得したという供述は信用できないという結論にならざるを得ない。

知らせたくなかった可能性

 前会長の加藤と寿会の新理事で、立会人である大野が、調印を行いたいというその夜に清水から示談書を渡されるまでその内容を知らなかったことは明らかである。重要な当事者であるこの2人が知らない示談書の内容を、それでも他の役員は知っていたとは、常識ではとうてい考えられなかった。

 すると当然、清水が供述する示談書に向けた「話し合い」などなかったのではないかという疑いが、かなりの信憑性をもって浮上してこよう。清水にとって最も重要な当事者である山川に対して示談書の必要性を伝えず、さらには調印するという当日の昼まで調印の日時を知らせなかった事実からすると、山川に対してギリギリまで示談書の内容を知らせないつもりだったのではないかとさえ思える。

 山川に事前に内容を伝えず、調印の日時をギリギリになるまで知らせなかったのは、清水は山川の署名捺印だけが欲しかったということと理解すべきだろう。清水にとって、山川が内容をよく理解しないまま署名捺印してくれればそれでよかったのである。示談書には山川が「横領を認めて謝罪する」とする条項が記されていた。山川が署名捺印すれば、一応、山川が「横領を認めた」と主張できる文書が残ることになる。

 示談書の内容を山川に事前に知られないためには、誓約書の立会人である大野と前会長の加藤にも知らせない方がいい。大野や加藤、あるいはそれ以外の役員の口から山川に情報が洩れる可能性がないとはいえない。

 こうして清水は、山川はもちろん、調印の場所を提供した大野や前会長の加藤にさえ知らせないまま、示談書の調印を決行しようとしたのではあるまいか。山川に判を押させるために、山川だけでなく、大野をはじめとする役員にもいっさい知らせない作戦でいくことは、当然、示談書を作成した朝木も承知していたのだろう。

 ただ、清水が示談書の内容を山川だけでなく大野、加藤にまで知らせなかった理由は、それだけだったろうか。

(つづく)
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