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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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りんごっこ保育園問題とは何か 第13回
                      ★第1回から読みたい人はこちら


市民への責任感と良識を示した東村山市議会

無責任な「泥沼の抗争」発言

 保延の詭弁に輪をかけたのが、同じく共産党の議員団長、田中富三である。平成15年3月12日に開催された予算特別委員会で田中はこう述べた。

「(りんごっこ問題は)市の承認のもとで2003年度予算に計上したのに、市議会をはじめとする関係機関には個人情報保護を楯にとって事実を明らかにしないという方針を貫きました。このことが今回のりんごっこをめぐる『泥沼の抗争』を生み出した主因であります」

 東村山の共産党がなぜか矢野や直子を正面から批判しないことは議会内でよく知られた事実である。それにしても、今回のりんごっこ保育園の認可をめぐる市民や議会による一連の問題提起と追及を「泥沼の抗争」の一言で片づけるとはどういうことなのか。田中がこの言葉でいおうとしたのは結局、「矢野や高野のやり方と、それを批判してきた市民や市議会の双方ともに普通ではない」ということ以外にはあり得まい。

 田中とて、高野が厚生委員会や予算特別委員会に提出した文書の内容がすべて事実に基づくものであると主張することはできないだろう。すると田中は、情報公開を求めた市民や保育関係者の側にも虚偽や「工事妨害」といった妨害の事実があったと認識しているということだろうか。ならば田中は、責任ある市会議員として「泥沼の抗争」の根拠を示すべきだろう。根拠を示さなければ、田中の発言は矢野や朝木と同質のものとなる。

 この日の休憩時間、朝木が何度も共産党の控室に出入りしていた。共産党の控室で朝木が田中らと何を話していたのかはわからない。しかし、保延の主張といい田中の主張といい、「待機児解消」の大義名分を振りかざすことで、園舎がすでに完成に近づいているという既成事実を前提に、矢野と高野計画を実現させようとするものであることは明らかだった。

 これは同時に、一連の不透明な経緯から市民の目をそらそうとするものにほかならない。共産党は党を挙げて、草の根の年間8000万円という補助金詐取計画に一役買ったことになろう。もはや共産党も矢野、朝木と同罪というほかなかった。

東村山市議会初の予算修正決議

 矢野、朝木に加え、共産党もりんごっこの認可を求めるという異常な動きはあったが、東村山市議会の予算見直しを求める意思が変わることはなかった。この間、予算修正の動きを知った助役から市議会に対して「行政手続法上、りんごっこの申請書を東京都に提出することだけはお許しいただきたい」という申し入れがなされ、これに対して議会は、市長の意見書に加えて議会の意見書を添付することを条件にこれを認めたという経緯があった。

 不透明というよりもむしろ不正行為に近い決裁までの経過と、情報を公開しようとしない事業者の姿勢、補助金優先ともみえる計画からして、この保育園に対する予算を容認することによってもたらされる禍根の大きさは十分に想像できた。与党がかつて例のない予算修正を決断したのは、予算修正によって一時的に市長のメンツを潰されることになったとしても、それは結果的に市民の利益につながるという共通認識があったからだった。

 予算特別委員会は平成15年度の予算案からりんごっこ保育園などに対する予算修正決議案を採択。その後の3月19日、東村山市は認可申請書を東京都に提出したが、東京都は当然「予算がつかない状況では、申請されている保育園の運営に支障が出るのではないか」との懸念を示し、認可判断を保留した。最終判断は、3月26日に予定されている本会議での結論を待つということになった。

 こうして平成15年3月26日午前、東村山市議会は自民、公明議員らが共同提案した予算修正案を草の根と共産党を除く賛成多数で可決した。これに対して市長は同決議案を再議に付したが、同日夜、議会は3分の2の賛成によって再び予算修正案を可決したのである。予算措置(補助金)が伴わなければ保育園の安定的な運営は期待できない。この結果を受けて3月31日、東京都はりんごっこ保育園を不認可とする決定を下した。

 一方、東村山市幹部は一連の手続きの不透明さに対する責任を認めており、市長と助役は4月の給料について自ら10%の減給処分を科した。平成14年4月以来、りんごっこ保育園の認可手続きを進めようとしてきた東村山市行政にとって、予算が否定された上に認可が認められなかったことは、形の上ではこれほど不名誉なことはないのかもしれない。

 しかし、とりわけ高野を矢野が背後で操るであろうことが明らかで、認可すればこの先いかなるトラブルが発生するかもわからない保育園を認可することに比べれば、一時の不名誉を甘受することの方が東村山の未来のためにどれほど公益にかなうか。つまらない目先のメンツではなく、市長と助役はそう考えるべきだった。

「おまえも袖の下がほしいのか?」

 不透明な経過と異常な資金計画、貧弱な保育環境のみならず、矢野穂積と同居する高野博子が運営する保育園に市民の保育を委託することがいかに危ういことであるかを痛烈に予感させる出来事が起きたのは、共産党によるりんごっこ擁護質問が行われた翌日、予算修正の動きが確実になってきた予算特別委員会の最中だった。それまで水面下での関与を想像させても、決して直接的な関与の姿をみせてはこなかった矢野がとうとうその正体を現したのである。

 まだ予算特別委員会開催中の3月13日午後5時過ぎ、「3階の政策室の前で矢野が騒いでいる」という情報が伝わった。私はただちに階段を駆け下りた。すると矢野が朝木と若い女性弁護士、それに高野を従え、政策室長らに大声で詰め寄っているところだった。対応していたのは政策室長のほか、保健福祉部長と次長である。矢野はどうも「市長に会わせろ」といっているようだった。すでに予算修正が確実な情勢となり、矢野から見ればもはや議会に認可を止められようとしている市長以下市幹部に対し直接、認可を迫っているのだった。矢野は、

「認可しないつもりか」

「(損害賠償金を)2億円払ってやめるか?」

「家を抵当に入れておけ」

 などと大声で迫っていた。しかし、市長は面会を拒否したようだった。高野は一番後ろで不安そうに立ち、「高野側に落ち度はない」などと矢野が主張するたびに「そうですよ」と相槌を打つだけだった。保健福祉部長は「高野さんが公表するなといったんでしょ」「高野さんは何も説明しなかったじゃないですか」などと反論していた。押し問答の間には、政策室長や保健福祉部長と矢野が互いに後ろ手にして体をぶつけ合い、押し合う場面もあった。手で押せば暴力沙汰になりかねないことを矢野は知っているのである。

 ところでこのとき矢野は、市幹部に向かって損害賠償を匂わせる一方で、政策室長に向かって妙な言葉を口にした。矢野はこういったのである。

「なんだ? おまえも袖の下がほしいのか?」

 公人の口からめったに聞けるセリフではあるまい。認可申請の過程での話かどうかはわからないものの、矢野の55年の人生の中で「袖の下」を要求され、応じた経験があったということなのか。とすればつまり、その場合には矢野の側にも「袖の下」を要求される理由があったということになろうか。

 途中で私の存在に気づいた矢野はしばらくすると弁護士や高野を引き連れて階段を降りていったが、政策室の異常な騒動は10分近く続いただろうか。矢野を相手にすれば、何か矢野の意に沿わないことがあった場合にはこういうことが起きてもなんら不思議なことではない。東村山市はそれを想定できなかったのか、あるいは十分に想定できても高野の要望をはねつけることができなかったのか。その気があれば、拒否することはできたはずである。その場その場の面倒を避けてきた結果が、この日の脅しにつながったのだった。

 いうまでもなく、高野の保育園を認可するということは、絶えず矢野を相手にするということである。待機児解消は課題だろうが、いかなる代償を払ってもというものではあるまい。東村山市議会が勇断をもって予算を否決し、東京都が不認可とする決定を下したことで、東村山市は将来にわたる禍根をいったんは回避することができた。しかし、これでりんごっこ問題がすべて片づいたというわけではなかった。

(いったん了。以後の状況は「第2部」としてあらためて掲載する予定です)
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テーマ:社会 - ジャンル:政治・経済

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