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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第70回
かなり珍しい事例

 平成29年12月1日、朝木が東村山市議会12月定例会で、山川の陳述書の一部を改ざんし、この裁判で自分が有利になるような質問を行ったことを境に、東京地裁はそれまで1人だった裁判官を3人の合議制に変更した。裁判官はその際、「公益性に関することは合議制にすることになっている」と述べた。

 その意味するところが何なのか、しかと確認できたわけではない。しかし、それまで検討するまでもなく認められると判断していた公益性について、少なくとも検討の必要があるとする判断に傾いたことだけは確かなようだった。

 記事や発言等における名誉毀損裁判においては、その内容に①公共性、②公益性があり、かつ③その内容が真実であることの証明があったとき、④またはその表現者が、表現した事実が真実であると信じたことについて相当の理由があったと認められる場合には、記事等が他人の名誉を毀損するものであったとしても違法性が阻却される――というのが最高裁の判例であり、この裁判もその基準に従って判断されることになる。

 多摩湖寿会は会員から集めた会費と東村山市から交付された補助金によって運営されている老人クラブである(現在、補助金の交付はストップされている)。この裁判において問題とされている表現内容は「山川は多摩湖寿会の金を横領した」というものだから、当然公共性があり、普通なら「山川は多摩湖寿会の金を横領した」と追及することには公益性があると判断される可能性が高い。

 まして議員による議会発言は、通常は公益目的に基づくものと認識されているし、判例でも議員による議会質問に対して公益性が否定された例はほとんどない。仮にその発言に十分な客観的根拠が認められなかったとしても、「自分はそう認識した」ということなら、真実性・相当性が認められなかったとしても、質問そのものの公益性までが否定されることはめったにないのである。

 国会議員は憲法51条で議会における発言の自由が保障されている。一方、地方議会議員には発言の自由を保障する法律上の規定はないが、民主主義社会において地方議員が行政上の問題を質すことは不可欠かつ重要と考えられており、よほどのことがないかぎり発言の自由が最大限に認容されている。つまり、その発言は公益性を有するものとみなされている。

 ただ、地方議員が議会においてなんらかの違法性が疑われる行為の存在を指摘する場合に、それが相当の根拠に基づくものとはいえないにもかかわらず、公開の場で関係者を名指しし、行為の内容や根拠を問うことに止めるのではなく、自ら当該行為が違法であると断定し、第三者の名誉を毀損したことが明らかであると判断されるような場合には、例外的に議員の職責に対する考慮を超えた判断を示した判例もないわけではない。平成28年9月以降に行われた朝木直子による「山川は多摩湖寿会の金を横領した」と断定した質問について、東京地裁は上記のような理由で公益性を検討する必要性を認めたのだろうか。

改ざんに基づいた質問

 さてタイミングからみて、東京地裁が裁判官の構成を変更するきっかけとなったのは、平成29年12月議会における朝木の一般質問であると思える。その質問内容を簡単に振り返ると、概要は以下のとおりだった。

  山川は多摩湖寿会の会計に就いた初年度(平成24年)に、福祉募金を市老連に送金した際、知識不足から会計帳簿に福祉募金の「出金」のみを記載した。このことをめぐり、山川は翌年の監査の際(平成25年=平成24年度会計の監査)に社協の担当者から「福祉募金については入金も出金も記載しないように」と指導されたと準備書面で説明していた。ところが朝木は一般質問において、山川が社協の担当者から上記の指導を受けたと説明している時期を意図的に曲解し(「平成23年」と主張)、それによって山川が会計帳簿に誤った記載をしたことについて虚偽の説明をしていると主張したのである。

 つまり朝木がいおうとしていたのは、山川は横領を隠蔽するために、「福祉募金の入金を記載せずに出金だけを記載したのは社協の担当者からそのように指導されたからだ」と行政側に責任を転嫁しようとしているということだった。その目的は福祉募金の横領を隠蔽することであるとする主張と理解できた。

 質問の際、朝木は山川の陳述書の一部を引用したが、朝木は山川が説明する社協による指導がなされた時期を特定する重要な箇所を意図的に脱落させた。朝木は山川の説明した箇所を改ざんして引用し、社協の指導時期について山川が虚偽の説明をしていることにしたのである。

 このため山川は、平成29年12月7日付で朝木が行った上記一般質問(朝木と清水が主張する「山川による横領」の根拠のうちの「福祉募金」に関する質問)について、音声記録を証拠提出し、朝木が「原告が提出した陳述書の一部を改ざんして質問を行った」こと」を具体的に示した。その上で「本件質問は、議会質問を利用して原告を陥れようとするものであることが明らかであり、市議会議員の議場での発言として保障されるべきものとは到底いえない。本件質問は、被告朝木が原告を横領犯人に仕立てるために一貫して議会質問を利用している事実を雄弁に物語るものにほかならない。」と主張したのだった。

否定できなかった代理人

 この準備書面を見た朝木の代理人は、その後の平成29年12月20日に開かれた口頭弁論の際、福祉募金の帳簿への記載について山川が社協から指導された時期がいつなのか、山川に対して不意に口頭で回答を求めた。この日、山川は平成25年以降(山川が多摩湖寿会の会計担当として最初に会計監査を受けた年)に社協から指導を受けた日を記録した手帳を持参していて、その記載に基づき、指導を受けた年月日を正確に答えた。

 その年月日とは、「平成25年4月19日」だった。朝木が「山川は福祉募金を盗んだ」と主張しているのは平成24年の福祉募金であり、「山川はその前年に『指導を受けた』と説明している」と主張していたのである。朝木の代理人に対する山川の回答は、朝木の主張を完膚なきまでに葬り去るものにほかならなかった。

 山川の回答を聞き届けた代理人は、裁判官に対して上記のやりとりを「調書に残しておいてください」と念を押した。その意図を理解するのは難しいが、この結果、山川が社協から指導された時期について明確にしたことは動かせない事実となった。

 少なくとも、朝木なり朝木の代理人が山川の回答を覆す証拠でも握っているのでないかぎり、山川の回答が調書に残ったことは山川にとってプラスであってもマイナスとなることはない。実際にこの日、朝木の代理人はただ「調書に記録しておくように」と主張するのみだった。山川の回答を否定できなかった時点で朝木の負けだったのである。

 前回口頭弁論ではこのようなやり取りがあった。それから第8回口頭弁論(平成30年3月13日)が開かれるまでには、被告側の都合で3カ月という異例な長期のブランクがあった。しかしこの間には、公益性をめぐり、書面のやりとりが行われていた。

(つづく)
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