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多摩湖寿会事件 第86回
作成を急いだ朝木

 朝木の供述からは、示談書を作成したのが朝木であり、「山川は横領を認めて謝罪する」との文言を示談書に入れることを発案し、具体的に記載したのも朝木だったとしか考えられなかった。これが事実とすれば、誓約書の成立からわずか4日後に清水澄江と朝木が示談書の作成を決めたのはどんな理由によるのだろうか。

 また、朝木は作成を依頼された示談書を、翌9月22日にはもう清水の下に届けている。寿会役員の間で話し合った可能性も低い。そんな状況にあって、示談書の作成はかなり性急に行われたもののようにみえる。なぜそんなに急ぐ必要があったのだろうか。山川の尋問はその辺の背景事情に及んだ。



(示談書に関する朝木の供述③)

山川  横領を認めて謝罪するという文言が欲しかったのは、議会で9月の一般質問で出されていますよね。だから、そこで謝罪のある示談書を必要としたのは、議員としての朝木さん、あなたではなかったですか。

朝木  私は示談書は必要としません。



ここで山川がいう「9月の一般質問」とは、東村山市議会平成28年9月定例会で朝木が行った一般質問を指している。その質問通告の締め切りが8月24日だった。

 朝木が8月22日に示談書を清水に届け、清水が8月23日ないし24日の午前中に署名捺印の日を設定できていて、首尾よく山川の署名捺印を取り付けることができていれば、朝木の質問通告書には「多摩湖寿会と山川との間で交わされた示談書には『山川は横領を認めて謝罪する』との条項が入っている」との記載がなされたことは間違いない。朝木は質問通告の締切日を念頭に示談書の作成を急いだのだろう。

 清水はなんらかの事情により8月24日までに署名捺印のための会合を開くことができなかった。このため、結果として朝木は質問通告署に「山川は示談書で横領を認めて謝罪した」とは書けなかったにすぎない。

 ただし、8月24日までに示談書が間に合わなかったとしても、朝木が一般質問を予定している平成28年9月7日までに山川の署名捺印を取りつけることができれば、一般質問で行政に対して朝木側の情報としてぶつければいい。もともと朝木は質問通告書に記載していない内容を持ち出すことなど何とも思っていない。したがって、質問通告書に間に合うかどうかは、朝木にとっては最初から大きな意味を持たなかったのではあるまいか。

存在しなかった話し合い

 ではなぜ清水は、朝木が示談書を作成してから3日後、誓約書の成立からわずか8日後の8月25日に示談書への署名捺印を求めたのだろうか。9月7日の一般質問に間に合わせるだけなら、当日の昼に連絡するというような性急な日程を設定する必要はなかっただろう。

 ところが現実には、示談書作成の日程はかなり急いで設定した様子が歴然である。清水が当事者である山川に対して、当日の昼まで日程を知らせなかったこと、示談書の内容についても事前にいっさい知らせず、会合の現場でいきなり示談書を突きつけ署名捺印を求めたことを考えると、朝木と清水はなにか一気呵成に示談書を完成させたかった様子がうかがえる。

 このことは誓約書の成立に関わり、示談書作成の席にも呼ばれていた大野清吉と前会長の加藤幸雄についてもいえるだろう。彼らもまた直前まで示談書の内容を知らされていなかった。彼らは示談書の直接の当事者ではないとはいえ、示談書の成立に同意し、見届けた人物として重要な役割があっただろう。しかし、大野や加藤もまた、事前に何も知らされていなかったという意味では、朝木と清水による示談書作成の計画に利用されたようにみえる。
 
 仮に朝木が供述したように、清水が朝木に示談書の作成を依頼する前提として寿会内部の話し合いがなされていれば、山川や大野、加藤といった重要人物が、示談書作成の当日までその内容だけでなく日程も知らされなかったということはあり得ない。何も知らされていなかったこと自体が、「山川は横領を認めて謝罪する」との文言を含む示談書の作成が必要とする寿会内部の話し合いが存在しなかったことを裏付けていよう。

朝木がもちかけた可能性

 では、示談書の署名捺印まで一気呵成に進めることを企てたのは誰だったのだろう。これまでみてきたように、示談書の必要性を話し合ったという役員会など存在しなかった可能性がきわめて高い。清水は役員会の結論に基づいて朝木に示談書の作成を依頼したことになっているが、その供述も信用できないことになる。

 示談書の作成を清水が朝木に依頼したという事実の信憑性が崩れると、では示談書の作成を発案し、その内容を決定したのは誰だったのかいうことになる。これまでの関係者の供述をみるかぎり、示談書の作成に関わったのは朝木と清水以外にはいない。清水は役員の意向を前提として、朝木に示談書の作成を依頼した人物としての役割を担っていた。

 しかし、朝木と清水が供述していた上記のストーリーが崩れると、清水は示談書の作成段階において重要な役割を果たしたとはいえなくなる。すると、示談書の発案と作成に直接関与したのは朝木以外にはいないという結論になるのではあるまいか。

 仮に清水が役員会での話し合いに基づいて朝木に作成を依頼したのだとすれば、すなわち清水が主導して示談書を作成しようとしたのだとすれば、なにも山川の署名捺印を急ぐ必要はなく、また山川をはじめ前会長の加藤や理事の大野昇に対して示談書の内容を事前に知らせなかった理由がみつからない。誓約書に続いて示談書を作成する理由について、正面から堂々と説明すればいいのである。

 しかし清水は、山川に署名捺印を求める直前まで、本来あるべき手順を踏まなかった。むしろそのやり方は、どさくさに紛れて、内容に気づかせないまま署名捺印だけを取りつけようとしたのではないかとみられても仕方のないものだった。

 多摩湖寿会役員の総意に基づくものなら、こんなやり方をする必要はなかろう。誓約書の成立からわずか4日後に「今後、金銭的な内容についてこれをもって一切申し立てをしない」とする誓約条項を一方的に破棄し、一方当事者である山川や立会人である大野、前会長の加藤幸雄にもいっさい内容を知らせないまま署名捺印させようとした事実経過からすれば、やはり示談書の発案と作成は朝木によるものだったとみるのが妥当ではなかろうか。

必要としたのは「文言」

 さて、「示談書はあなたが必要としたのではないか」との質問に朝木が「私は示談書は必要としません」と答えたのは、そのとおりだったろう。示談書の当事者は清水であり、朝木は当事者ではない。その意味で、朝木が「示談書を必要としない」というのは事実なのである。

 朝木が必要としたのは示談書ではなく、示談書に記載された「山川は横領を認めて謝罪する」との文言である。仮に示談書の署名捺印が通告に間に合わなくても、一般質問に間に合えばいい。したがって、清水が示談書の署名捺印のために設定した日付が質問通告のあとだったとしても何の問題もなかったのである。通告に記載していない質問をすることなど、朝木には何の抵抗もないのだから。

(つづく)
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