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多摩湖寿会事件 第95回
内容の説明をしなかった清水

 示談書の作成が清水と朝木の意思形成によるものであったとしても、清水と朝木はその事実を簡単に認めることはできない。それを認めれば、示談書に「山川は横領を認めて謝罪する」との文言を入れたことが山川を強引に横領犯に仕立てるためだったことも認めることになる。だから、それを避けるために、清水も朝木も示談書の作成は寿会役員の意見に基づくものであると説明している。

 しかし、それならなぜ、山川だけでなく誓約書の当事者である前会長の加藤幸雄や立会人の大野清吉に対しても署名の当日までなんらの説明もしなかったのか。山川はその点について聞いた。



(示談書に関する清水の供述⑤)

山川
  ……この示談書については、内容は、加藤さん、大野さん、私、当事者であるそれぞれに何の説明もなかったのはなぜでしょうか。

清水  いや、説明はいたしました。

山川  どのように、いつ、誰に。

清水  出席した方には、これで今夜の話合いをもって示談書を作成し終わりにしたいので、お集りいただきたいという旨は皆さんにお知らせしております。

山川  出席した人というふうに言いましたけれども、事前の話合いはなかったと当日大野さんからも加藤さんからも伺ってきておりますが、それはなぜですか。

清水  いや、私は説明したつもりでおります。



 ここで山川が聞いているのは、「今後、金銭的な内容についてこれをもって一切申し立てをしない」とした誓約書の内容を覆し、「山川は横領を認めて謝罪する」との文言を記載した示談書を作成することについて加藤らに説明したのかということである。しかし、ここで清水が供述しているのは、「示談書を作成し終わりにしたい」ということのみで、「なぜ誓約書の趣旨を否定する示談書を作成するのか」について説明したということではない。

 清水の供述によれば、むしろ誓約書の内容はいっさい変更せず、なにか示談書という名の正式に思える書類を作成するだけのように聞こえよう。上記の尋問の中で清水は「説明したつもりでおります」と供述するが、清水が内容の変更について伝えていなければ、示談書について説明したことにはならない。

朝木と清水の狙い

 午前中の加藤の供述からも清水が示談書の趣旨とその内容について事前に説明していないことは明らかだった。加藤は「示談書の内容について、いつ誰から知らされましたか」との山川の質問に「覚えてません」と答え、「清水さんが帰ってから大野さんが示談書は初めて見たというふうに言って、で、加藤さんもそのようにおっしゃいましたね。一緒に聞いてましたよね」と念を押され、加藤はあっさり「はい」とその事実を認めている。

 上記の清水と加藤の供述から、清水が誓約書の内容を変更して示談書を作成することについて他の出席者に何も説明していなかったことは事実であるとみるべきだろう。この事実が示すのは、示談書の作成が清水と朝木の2人の間の意思形成によって企図されたということにほかならない。

 清水と朝木は、誓約書の内容が変更されることを伏せ、あたかも誓約書を正式の書類にするために示談書を作成するかのように、つまり誓約書の内容を変更しないまま正式の書類を作成するだけのように思わせ、舞台を整えたのだろう。清水と朝木は、山川に「横領」の事実を認めさせ、さらに責任を追及しようとしたが、内容の変更に気づいた山川から署名を拒否され、彼らの企みは失敗に終わったというのが事実なのではあるまいか。

示談書の意味

 示談書については清水に対して裁判官からも質問があった。裁判官がまず聞いたのは、金銭に関する記載についてだった。



(示談書に関する清水の供述⑥)

裁判官  先ほど示談書について反対尋問でもお尋ねがありましたけれども、示談書には、金銭をこれまでに返還したとか、この金額が横領の金額であるというような金額の記載はあったんでしょうか。

清水  いえ、ございませんでした。

裁判官  その横領を認めて謝罪をするという内容以外にはどういう記載があったんでしょうか。

清水  謝罪をしますという文章の後に、これをもって、こちらから提訴するとかそういった行動には出ない旨の記載はありました。これをもって終わりにすると、一度もそれまで彼女から、17日(筆者注=平成28年8月17日)の話合いでも、7月1日の返金のときにでも、謝罪の言葉が一言も出てませんでしたので、やはり自分でその罪をお認めいただき、謝罪してほしかったんです。

裁判官  そうすると、返金のときや、その示談書を作成して示したというときには、金額に争いがあったわけじゃないんですね。

清水  そうです。全てのことをこの件でお互いに判こを押して終わらせましょうという文章でございます。



 上記のやり取りの中で清水が供述しているのは、示談書の時点では山川との間で金銭(返金額)の争いはなく、示談書にも金銭に関する記載はないこと山川に対しては示談書の中で謝罪してほしいと考えていたこと――の2点である。金銭に争いはないのだから、清水が示談書で山川に対して求めているのは「謝罪」だけということになる。しかし山川は、「横領などしていないのだから、謝罪の必要はない」と署名を拒否したのである。

 清水は上記の供述の最後で、示談書は「お互いに判こを押して終わらせましょうという文章でございます」と説明している。しかしそれでは、「今後、金銭的な内容についてこれをもって一切申し立てをしない」とする誓約書の条項を無視して、再び問題を蒸し返すことになる。

「横領を認めて謝罪してほしい」という清水の要求は、まさに金銭的な責任に対する追及にほかならない。そのことを含めて「金銭的な申し立ては一切しない」というのが誓約書の趣旨である。したがって、誓約書に署名捺印した時点で、清水のいう「お互いに判こを押して終わらせましょう」という状況は実現しているのだった。

 つまり、これまでの裁判官の質問に対する清水の供述では、どうしても示談書の必要性について納得のいく説明がなされたとは思えなかった。

(つづく)
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