FC2ブログ
ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

多摩湖寿会事件 第96回
誓約書に関する質問

 清水が山川に対していっさいの説明もしないまま署名捺印だけをさせようとした示談書の存在について、裁判官もまた疑問を持っていたのかもしれない。

 今度は陪席裁判官に代わり裁判長が自ら示談書に関する質問を続けた。



(誓約書に関する清水の供述①)

裁判長  誓約書なんですけれども、先ほど来からときどき話に出ているんですが、「誓約書」と書いてあってずっと本文がありますよね。

清水  はい。

裁判長  で、「一切申し立てをしない」と書いてありますよね。

清水  (うなずく)



 上記のやり取りの中で、裁判官の「『一切申し立てをしない』と書いてありますよね」との発言は、「示談書との関係で重要な意味がある」という趣旨だろうか。示談書の「山川は横領を認めて謝罪する」との条項は、「一切申し立てをしない」という誓約条項とは矛盾するのではないか、と。続けて尋問をみよう。



(誓約書に関する清水の供述②)

裁判長
  この部分(筆者注=誓約書の本文の部分)というのは、山川さんが全部書いたんですか。

清水  そうです。

裁判長  その左に、「甲」「乙」「立会人」と書いてありますよね。

清水  はい。

裁判長  この字は誰ですか。

清水  それぞれが書きました。

裁判長  そうすると、甲の部分はあなたが書いたということ。

清水  はい、そうです。

裁判長  あなたと。

清水  副会長の清水昇さんです。

裁判長  細かい話ですけど、「甲」という字もあなたが書いたの。

清水  いえ、山川さんです。

裁判長  そうすると、「甲」「乙」「立会人」というところは、厳密に言うと山川さんが書いたということですか。

清水  はい。

裁判長  その余の肩書と名前がありますよね。それは、それぞれ清水さん、あるいは加藤さん、大野さん、ほかにもいますけど、その方が書いたということですか。

清水  御自分の名前だけは書きました、住所と。



 裁判官は誓約書に記載された清水や加藤ら当事者の署名が、自らの責任でなされたものであり強制されたものではないことを押さえておきたかったのだろう。当事者の署名がそれぞれの意思で行われたものであることに間違いなかった。

誓約の当事者

 続いて裁判官が誓約書の趣旨について聞くと、清水は「この問題は返金されたからといってすむ問題ではないとの意見が新役員の間から多数出たため、どうするかを聞いたところ、山川さんの公的な役職は降りてもらいたいという結論に達した」などとし、山川がその要求に沿って役職を降りることを了承したことを説明した。誓約書の前段の部分である。

 その部分だけを見れば、誓約書は山川が寿会の要求に従ったもので、山川のみが遵守すべきものであると理解できる。しかし、後段の「今後、金銭的な内容についてこれをもって一切申し立てをしない」については、清水がこれまで主張しているように、山川だけが遵守すべきものなのか。裁判官はこの点について踏み込んだ。



(誓約書に関する清水の供述②)

裁判長
  「誓約書」と書いてありますよね。

清水  はい。

裁判長  これは、後ろの方に「甲」「乙」と書いてあるから、「甲」に書いてある方と「乙」と書いてある方がそれぞれ誓約したという意味なのか、それとも山川さんが誓約したという意味なのか、どういう意味ですか。

清水  山川さんが誓約したんです。



 上記の清水の供述は、誓約書の前段にある、山川が団体の役職を退くことについてである。

 では後段の「今後、金銭的な内容についてこれをもって一切申し立てをしない」についてはどうなのか。



(誓約書に関する清水の供述③)

裁判長
  一番末尾に、「今後、金銭的な内容についてこれをもって一切申し立てをしない」と書いてあるのは、これはどういう意味なんですか。

清水  山川さんがお書きになった、だから、私たちはこれで彼女がこのとおり、文面どおり全ての役職を降りて、責任を取って辞めてくれれば、それで今後のことはもうないことにしようという思いがありましたから、素直にこの文書を受入れました。

裁判長  私が先ほどから聞いているのは、山川さんが誓約したというようなことをさっきおっしゃってたでしょう。

清水  はい。

裁判長  ただ、今のお答えと、最後の2行の意味がちょっとよく分かりにくいんですけど。

清水  その時点では、彼女がこれだけの、私たちの要職を辞めてほしいということを受け入れたので、そして、その後の文面についても、私たちはなるべく早くもう決着をつけたかった、この問題の整理をしたかった、だから、今後一切申立てないという文面も受け入れました。



 これまで清水は誓約書の記載事項の履行義務は山川のみが負うものであると主張していた。山川が役職を辞することを記載した誓約書の前段については山川だけが誓約するものであることは理解できる。しかし、続けて後段の「今後一切申立てない」について清水に聞いたところ、清水は「責任を取って辞めてくれれば、それで今後のことはもうないことにしようという思いがありましたから、素直にこの文書を受入れました」と供述した。

裁判長の関心事

 これはどういう意味なのか。改めて裁判長が聞くと、清水は、山川が役職を退くことを受け入れたので、「今後一切申立てないという文面も受け入れました」と答えた。「文面を受け入れた」とはまたよくわからない表現である。そこで裁判長は、さらにこの点について聞いた。



(誓約書に関する清水の供述④)

裁判長
  そうすると、それはあなたたちが、あるいは寿会として申立てをしないと、そういう意味なんですか。

清水  この時点ではそうでした。彼女が全ての役職を8月17日付けで退任させていただきますということを信頼して、この2行も信頼して署名捺印いたしました。



 この答えを確認すると、裁判長は清水に対する尋問を終えた。清水の最後の供述が何を意味するかは明らかだった。清水も他の寿会役員も、その場に居合わせた当事者のすべてが、誓約書の内容について納得し、これですべてが終わったと考えていたということだった。裁判長はそのことを確認したかったのだろう。

 それがなぜ、わずか4日後、清水が朝木と会ったとたん、誓約書の内容を破棄する示談書を作成するという話になったのか。どうしても「山川は寿会の金を横領した」ということにしたかったということではないのだろうか。

 裁判長の尋問終了後、清水の代理人はすかさず清水に対して再尋問を行い、誓約書について「寿会の現役員としては、山川さんがこの内容を守りますという誓約書だというふうに受け止めていたんですね」と、裁判長に対する清水の供述を修正しようとした。しかし、清水が後段の誓約事項について「寿会としても申し立てをしない」という趣旨であると供述したあとでは、すでに手遅れという感じは否めなかった。

 最後に山川に対して裁判官からの質問および清水、朝木の代理人から尋問が行われた。山川はこれまで準備書面や陳述書で述べてきたとおり、今回の会計問題に関して不適切な処理があったことは認めたが、寿会の金を着服したとする被告らの主張に対しては一貫して否認した。

 こうして、平成30年5月24日、午前10時15分から午後遅くまでかけて実施された関係者に対する尋問のすべてが終了した。尋問の中で最も印象に残ったのは、平成28年8月17日に清水ら新役員と山川との間で交わした誓約書の「今後、金銭的な内容についてこれをもって一切申し立てをしない」との文言について、清水が「その時点では寿会としても申し立てをしないという認識だった」と供述したことである。

 その後に「その時点」での認識が覆されるどんな事情があったのだろうか。思い当たるのは、誓約書の署名捺印から4日後に清水が朝木と会ったことだけだった。尋問の結果を清水がどう受け止めているかはわからないが、清水ら新役員が、いったんは誓約事項を容認していたことを清水が認めた事実はきわめて重いように思えた。

(つづく)
関連記事

TOP