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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第128回(最終回)
 元東村山市議の山川昌子が、老人クラブである多摩湖寿会会長の清水澄江と東村山市議の朝木直子(草の根市民クラブ)と矢野穂積(筆者注=矢野は先の東村山市議選で落選)、武蔵村山市議の天目石要一郎を提訴していた裁判は、さる平成31年4月24日、判決言い渡しが行われ、東京高裁は山川の控訴を棄却した。なお、山川は上告せず、控訴審判決が確定した。

証言を翻した寿会前会長

 本件の基本的な争点は、山川が寿会の会計を務めていた当時、不適切な会計処理を行ったこと、会計の一部を簿外で保管していたことに対して、清水や朝木らが「寿会の金を横領した」と主張したことに相当性があったのか――という点にあった。

 寿会の会計の一部を簿外で保管していたことについて、山川は「平成28年に訪れる多摩湖寿会の50周年記念事業のために保管していたもの」と主張していた。平成28年に清水が寿会の新会長に就任し、山川は会計を退任した。会計の引き継ぎの際、山川は簿外に保管金があることについて説明すべきだったが、いい出しそびれたという。

 それでも、簿外に保管金があることについては、清水が「会計に不足金がある」として山川に不足分を請求する以前に前会長である加藤幸雄に報告するとともに、その返還方法についても相談していたと主張していた。着服する目的で簿外で金を保管していたわけではないのだということだった。山川によれば、返還方法について相談した際、加藤は「50周年祝い金として渡せばいいのではないか」とアドバイスしたという。

 山川が保管金について加藤宅に相談に行った事実について山川は加藤に証言を求め、当初、加藤は山川から保管金の返還方法について相談を受けていた事実を証言する陳述書を作成してくれた。ところが、その数時間後、加藤は保管金に関する相談を受けた事実について証言できないと言い出し、上記の陳述書を撤回したのだった。

 山川によれば、加藤はその際、「『50周年のための保管金のことは山川さんから聞いていない』と清水らにもう話してしまった。いまさら『聞いていた』といえば、東村山に住んでいられなくなる」などと弁解したという。

 証人尋問でも加藤は「山川から保管金のことは聞いていない」と供述し、当初の陳述書を撤回した理由についても山川の主張を否定した。山川が「保管金の件は加藤会長に話していた」とする事実を知るのは山川と加藤の2人だけである。

 重要証人である加藤が、山川が簿外の保管金の存在を打ち明け、返還方法を相談していたとする事実を否定すれば、山川がその事実を証明する客観的証拠を提出できなければ、その主張には裏付けがないということになり、裁判所を納得させることは難しくなる。東京高裁は加藤の供述を重視し、簿外で保管していた金について、「清水から請求される以前に前会長の加藤に返還方法について相談した」とする山川の主張を採用しなかった。

 仮に保管金に関する山川の主張が認められていれば、結果も違ったものになったのではないかと思う。しかし、本来は寿会の会計について最終的な責任を負うべき前会長の加藤が、当初は山川の主張を裏付ける証言をしたにもかかわらず、なぜか証言を翻した。その結果、簿外の保管金に関して清水の主張の相当性が認められることとなった。

 東京高裁は、その他の不適切な会計処理に関しても、清水の主張の相当性を認めた。

入浴料と福祉募金

 山川が寿会の金を着服していないとする主張をする中で、「着服していない」ことを立証するより確かな証拠を示すことができなかったことが原因で主張を認められなかったのは、入浴料と福祉募金の場合も同様だった。

 おくたま路での研修における入浴料については、清水が「入浴止め」と記載されたおくたま路が作成した当日の日報と「当日入浴はなかった」とする寿会会員の陳述書を証拠として提出した。これに対し山川は、当時副会長だった人物の「入浴はできた」とする陳述書や「タオル持参」等が記載された事前の案内、さらに研修の後日に開催された理事会で配布された研修の会計報告書(入浴料1万円が計上されている)を提出した。

 双方の主張に対し東京高裁は、おくたま路が作成した日報の記載を重視し、山川の主張を否定した。

 福祉募金についても、会計帳簿に「入金」の記載がなく「出金」の記載のみがあったことを重視し、その理由について疑問が生じるとした。

 入浴料についても福祉募金についても、いずれも山川が着服したなどと認定するものではない。東京高裁は清水や朝木がそのような疑念を持ち、「着服した」と主張したことには相当の理由があったと認定したということである。

誓約書をめぐる判断

 山川は「清水が『山川は寿会の金を横領した』と主張し始めたのは『今後、金銭的な内容についてこれをもって一切申し立てをしない』との誓約書を交わしたあとであり、公益性もない。また『横領した』との主張は上記の誓約に反するもので違法である」と主張していた。この点についても東京高裁は、「『横領した』との主張は金銭的な申し立てではく、誓約書に違反しない」などとして山川の主張を退けた。

 ただ山川にとって、誓約書に関する主張は認められなかったものの、東京高裁が誓約書の記載内容を裁判所として解釈、認定したことの意義は小さくないように思える。誓約書の内容はおろかその存在にさえほとんど言及しなかった一審とは大きく異なる部分だった。その意味では控訴にはそれなりの意味があったといえるのではあるまいか。

  こうして本件は終結したが、判決確定を受けて新たな事態が生じる可能性がないとはいえない。その場合には改めて報告したいと思う。

(了)
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