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りんごっこ保育園問題とは何か(第2部)  第6回
典型的な情報操作の手法

 読者はTBS『ニュースの森』の報道をどうご覧になっただろうか。私にはこの放送が、国基準という数字上の基準を満たしていればそれだけで認可されるのは当然とする、きわめて短絡的な前提に立ったもののように思える。

 はたしてTBSは、「善意の設置者」である高野が、建設に着工する段階に至っても保育関係者や議会に対していっさい情報を開示しようとせず、それどころか「同業者による妨害」などという虚偽をでっち上げることでそのことを正当化しようとさえした経緯、あるいは高野と矢野穂積が内縁関係にあること、またその矢野穂積が再三にわたって市幹部を脅していた事実について何も取材していなかったのだろうか。

 TBSが最初に議会関係者の取材に来たのは放送4日前の平成15年6月13日で、放送前日にも市長や複数の議員に取材しており、りんごっこ保育園の予算が否決された経緯については十分な説明を受けていた。助役からは「偏った報道にならないように」と釘を刺されている。TBSがこの放送に関してまず高野を取材したことで一定の先入観を持ったとしても、市議会などに対する取材の時点でそれまでの考え方を修正する機会は十分にあったことになる。

 しかしこの放送ではついに最後まで、TBSは高野が情報を開示しようとしなかった点について一言も言及せず、国基準を満たしていることのみを根拠に、この保育園が開園できないことの理不尽さを印象づける仕立てになっていた。TBSがその意図を持っていたとまではいわないが、TBSが高野の姿勢に触れなかったことは、事実評価を左右する重要な要素に触れるのをあえてさけるごとで世論を逆の方向に導こうとする典型的な情報操作の手法である。

切り取られた市長のコメント

 TBSの取材に応じた市長や議員たちのコメントも、まるであらかじめ出来上がっていたシナリオの空白部分を埋めていくように都合のいい部分だけが切り取られ、「国基準を満たしているにもかかわらず理不尽にも認可されない保育園」というストーリーのつなぎ役として利用された。たとえば、

――ただ、市の方としては今までのプロセスには別に落ち度はなかった?

 とする記者の質問に、市長はこう答えている。

「ああ、もう、しっかりやってきました」

 市長はこの言葉で、議会で問題となって以降、高野との間で誠実に話し合いを行う努力を続けてきたことを説明したにすぎない。その前段として市長は、保育が市にとって重要な事業であること、その事業を委託するには市と事業者との間に信頼関係が構築されていなければならないこと、しかし残念ながら、現在のところ、高野は弁護士や「支援する市議」の同席がなければ話し合いに応じない状況にあり、市と高野との間には信頼関係と呼べるような関係は築かれていないことを説明している。桜井記者の質問はそのあとのものだったのである。

 つまりTBSは、市長が高野の事業者としての姿勢に触れた部分についてはそっくりカットし、「しっかりやってきました」という部分のみを使うことで、「市側の認可申請プロセスに落ち度はなかった」とする誘導的な質問を「事実化」しようとしたのだろう。情報開示の不十分さなど、市側にも落ち度があったからこそ議会で問題となったのである。あくまで高野を「善意の設置者」=「理不尽にも保育事業を阻害されている被害者」と位置づけようとする偏向報道というほかなかった。


 国基準を満たし、行政も認可の方向で動いていた計画がなぜ暗礁に乗り上げたのか。TBSがその原因としたのが議会で、事実経過としてその点は間違っていない。議会は確かにりんごっこ保育園の予算を否決し、それが東京都の不認可決定の根拠の1つとなった。しかし、議会が予算を否決した経緯と理由については、いったい誰にたいする取材に基づいていたのか。TBSは報道番組としてみごとに最悪のシナリオを描いていた。

 TBSは「劣悪な環境であることを理由に、開園2カ月前の土壇場になって議会が認可の見直しを決議した」とし、あえて「土壇場」という言葉を使用することで、議会が開園直前になって強引に認可の見直しを決議したかのように印象づけている。しかし実際には、りんごっこ保育園の情報が開示され始めたのは開園予定3カ月前の1月末から2月の初旬にかけてであり、議会はそれ以前にはそもそも反対のしようもなかったのである。
 
 つまり、議会の見直し決議が2月末になったのは、高野と行政が情報開示を拒否してきたからにほかならない。にもかかわらず、TBSは議会が意図的に「土壇場」になって見直し決議をしたかのように印象づけた上で、その理由についてこう説明する。

「理由にあげられた1つは、保育園に庭がないことでした」

 これも誤解を招く取り上げ方である。議会はあくまで関係者の理解が得られない段階での拙速な認可を見直すべきであるとする決議を行ったのであり、庭がないことはその後の問題にすぎない。ところがTBSは、それをあたかも最大の理由であるかのように扱い、さらに保健福祉部によってこう否定させている。

――庭がないという理由で劣悪な環境だということは?

「国の基準でいけば適合してますので、問題ないとは思いますけど」(児童課長)

 TBSは児童課長にわざわざこう否定させることで、議会決議の理不尽さを強調しようとしているように思える。保育環境は庭だけではない。しかしこうして、ストーリーは行政と設置者である高野博子には何の落ち度もなかったにもかかわらず、議会のみが理不尽な反対をしたことで認可がストップされた――という方向に収斂されていった。


(第7回へつづく)
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テーマ:社会 - ジャンル:政治・経済

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