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著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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「東村山」の民主主義汚染を検証する 第1章 遺族の主張とメディアの報道  第8回
靴に関する情報

 95年9月2日、初動捜査を終えた時点で、集まっていた報道陣に対して副署長の千葉が「事件、事故の両面でから捜査中である」とし、「今後は不明の靴やカギの発見、目撃者の発見等事実解明のため所要の捜査を行う」と付け加えた会見内容のうち、「不明の靴やカギ」と具体的な捜索内容を挙げたのは、矢野が「殺された」と騒ぎ、「靴がない、カギがない」と訴えていたからだった。

 明代が履いていたストッキングは足の裏が汚れ、破れていたから、どこから来たのかは明らかでないものの、明代が現場まで靴を履かずに歩いてきたと推測しても不合理とはいえなかった。現場に遺留品にはバッグもなかったから、明代がカギを持っていなくても特に不審な状況ではない。カギはバッグに入ったままだったとしてもなんら不思議はないのである。

 実はそのころ、千葉の元にはある新聞記者から靴に関する興味深い情報がもたらされていた。以前喫茶店だった物件を借りていた草の根事務所は、1階にはテーブルや椅子を置いていて、2階を事務所として使用しており、2階は靴を脱いで上がるようにして使っていた。9月2日早朝、明代の転落死情報を聞きつけて事務所に取材に行った記者によれば、「2階の入り口に女性ものの靴が一足、脱いだままの状態で置かれていた」というのだった。それが明代の靴だったとすれば、明代は草の根事務所から転落現場まで裸足で歩いてきたとする推測が成立する。

矢野と夫が立ち入りを拒否

 そのような予断はともかく、本来明代の所有物である靴とカギを探すにあたり、転落現場以外に草の根事務所と明代の自宅が捜索対象となったのは当然である。ところが、千葉によれば、この2カ所については調査がされていなかった。なぜなのか。千葉は東京地裁で次のように証言している。



(草の根事務所と自宅の調査に関する千葉の証言)

東京都代理人
  (筆者注=矢野と直子が「なくなった」と主張する靴とカギについて)どこか探さない場所があったんじゃないですか。

千葉  はい。事件現場と原告らが主張します事務所、それから朝木さんの自宅、この2カ所については調査がされておりません。(筆者注=矢野は当初、「明代は事務所から誘い出されて拉致され、自宅に監禁されたのち、ビルから転落させられた」と主張していた)

代理人  どうしてですか。

千葉  拒否されました。(筆者注=このとき、原告席にいた直子がすかさず「ウソをつくな」と千葉を非難した)

代理人  最も靴だとかカギが残っていそうな、明代さんが当時勤めていた事務所、それから自宅、こういったものについて見せてくれといったんだけども拒否されたと、こういうことですね。

千葉  はい。

代理人  だれが拒否したんですか。

千葉  事務所については原告矢野さんだと聞いておりますし、自宅については亡くなられたご主人であります大統さんと聞いております。

代理人  大統さんが断ったということですね。

千葉  はい。

代理人  それでは、いろいろ、そういったものを捜すにあたって、その当時履いていた靴とかカギの特徴、こういったものは聞いたんでしょうか。

千葉  協力を得られませんでした。わからないという話でした。



 靴とカギが現場にないのはおかしいというのなら、現場から歩いても3分もかからない事務所、あるいは現場から5分以内で行ける自宅を捜すことはきわめて自然だろう。仮に警察が事務所と自宅を捜索する気がないようなら、矢野はむしろ自ら捜索するよう要請してもおかしくない。ところが、「ないのはおかしい」と訴えている矢野や遺族が、調査してしかるべき場所への立ち入りを矢野と大統が拒否したというのである。司法解剖を求めてまで真相を追及しようとしていたはずの矢野と大統は、なぜ事務所と自宅に対する警察の立ち入り調査を拒否したのだろう。

 真相を究明したいのなら、この対応は不可解というほかない。不可解どころか、事務所と自宅の調査を拒否した彼らの対応は、非協力的を超えてもはや何かを隠そうとしていたように思えてならない。

 仮に捜査員が矢野の態度から不自然なものを感じ取ったとしても、明らかな刑事事件(殺人事件)でない以上、強制捜索を行うことはできない。あくまで任意の調査であり、警察の立ち入りを拒否できることを矢野は知っていたのである。だからといって、警察の調査を拒否することはないと思われるが、いったいどんな理由があったのだろうか。

直子の大声の意味

 直子が「ウソをつくな」と非難したのは、千葉の証言が、本来なら捜査に協力すべきであるはずの矢野と大統が、表面上は真相究明を訴えていながら、その言葉とは裏腹に「事務所と自宅への立ち入り調査を拒否したこと」に言及した箇所である点に注目すべきである。

 東村山署が転落現場で発見されなかった明代の靴とカギを捜すために、残されている可能性のある場所として事務所と自宅を想定するのは当然であり、調査に行かないはずはない。しかし、東村山署は事務所と自宅については調査することができなかった。

 その点については、直子はまったく反応しなかった。直子も警察が事務所と自宅には立ち入り調査をしていないことを知っているから、黙って聞いていたのだろう。ここまでならまだ我慢できた。

 もちろん直子は、警察が立ち入り調査をしていない理由も知っていただろう。しかし、「矢野と大統が立ち入りを拒否した」という事実が明らかにされることは、都合のいいことではないと認識していたということのようだった。これが世間に知られれば、真相究明を求めているはずの矢野が、なぜ警察の立ち入り調査を拒否したのかとの疑念を持たれることになりかねない。むしろ矢野は真相を隠そうとしていたのではないか、と。直子が千葉の証言中に大声を出したのは、真相を隠したかった矢野の本心を知られたくないという思いからだったように思えてならない。

 矢野が事務所の調査を拒否したことと関係があるのかどうか、9月2日早朝、女性ものの靴が脱ぎ捨てられているのを目撃した記者が、次に草の根事務所に行ったときにはもうその靴はなくなっており、記者が見た靴が誰のものだったのか、確認することはかなわなかった。記者が見た靴がなくなったということは、靴が実際にあったという事実自体を確認することができなくなったということでもあった。

(つづく)
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