ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

りんごっこ保育園問題とは何か(第2部)  第7回

矢野と高野の同居を知っていたTBS

 TBSは市長の「しっかりやってきました」という部分のみを取り上げて、あたかも認可申請の過程で市に何の落ち度もなかったように描き、ことさら議会が理不尽にも認可を阻止したかのように視聴者に印象づけた(真意は別にして、自らに減給処分を課した市長としては、このような誤解を受けることは議会に対する信義に背くことになる)。ではTBSは、りんごっこ保育園の開園に議会がこれほどまでに反対した本当の理由はどこにあったといいたかったのか。それから先が『ニュースの森』の報道の要点だった。ナレーションはいわくありげにこう語った。

「問題を複雑にしたのは、りんごっこ保育園を支援している市議(すなわち矢野と朝木)が、ふだんから市議会の多数派と対立する人物だったからだという声もあります」

議会を冒涜した共産党市議

 その「声」なるものの根拠となったのが共産党、田中富造の発言である。

「政争の具というんでしょうか。問題にしている保育園は誰々が関係しているとかですねえ……」

 聞き捨てならない発言である。平成15年3月の予算委員会で田中は、認可保育園の計画は市民の理解を得られる方法で進めるよう求めた市民や議会と、それらの動きを妨害であると主張した高野、矢野、朝木との対立を「泥沼の抗争」と切り捨てた。今回の「政争の具」発言がりんごっこ保育園に対する市の予算案を否決した3月議会の決議以後のものである以上、「泥沼の抗争」からさらに一歩踏み込んだものとなる。これは自民、公明、市民自治(当時)など予算否決に回った党派は、党派の都合によって待機児解消を求める多くの市民の声を無視した議決を行ったといっているに等しかろう。

 田中のいう「政争の具」発言が事実なら、予算案に反対しなかった「草の根」と共産党以外の党派は市民に対する重大な背信行為を働いたことになるが、田中はその根拠を具体的に示すことができるのか。示せなければ、田中のこの発言は議会決議に対する冒涜というのみならず、りんごっこ保育園の不透明なままの認可に疑義を表明し、その意見を議会に付託した多くの市民、保育園関係者に対する重大な侮辱となる。少なくとも議会人としてあってはならない発言だろう。

 はたしてTBSは、田中の「政争の具」発言についてどんな裏付け取材を行ったのか。私の取材した限り、議会関係者や市幹部の中に田中の発言を容認した者は誰もいない。しかし、すでにシナリオが固まっていたTBSにとって、田中発言の中身が真実であるかどうかなど問題ではなかった。「国の基準を満たした保育園」が、議会の理不尽な反対によって開園できなくなったというストーリーを完結させるには、「政争の具」という言葉だけが必要だったのである。

取材前に決まっていた報道スタンス

 TBSが議会関係者らに対する取材を行ったのは平成15年6月13日(市議)と放送前日の同16日(市長、保健福祉部)のわずか2日間である。TBSにこの問題を公平に扱うつもりがあれば、たった2日間の取材を終えた翌日にすぐ放送するとは考えにくい。かなり以前から一方当事者、つまり高野や矢野に対する取材は終えていて、すでにストーリーの方向性が決まっていたことは容易に推察できた。しかしそれにしても、普通のバランス感覚を持ったジャーナリストなら、議会関係者の取材を終えた段階でこの問題の複雑さ、少なくとも矢野と高野の言い分のみを正当化してしまうことの危うさを感じ、方向性を修正することを考えてもおかしくない。しかし6月13日、私がTBSに放送の趣旨を聞くと桜井記者はこう答えた。

「完成しているにもかかわらず開園できない事態になっている保育園があるというスタンスです」

 この若い記者は聞く耳を持たないようだった。

 TBSのスタンスのおかしさをさらにうかがわせるのは、「善意の設置者」である高野を支援していた矢野と朝木がその名前さえもいっさい登場しない点だった。TBSは佐藤や田中にインタビューしておきながらなぜ、この間の事情を最もよく知る立場にある矢野と朝木を登場させなかったのか。TBSは矢野に取材していたにもかかわらず、矢野を登場させなかった。私は「矢野と高野が同居している事実を知っているか」と記者に聞いた。すると記者はその事実を認識していたのである。だからおそらくTBSは、あえて矢野を表に出さなかったということだろう。

 これは当然、そのように要請したかどうかは別にして、矢野の意思でもあったにちがいない。一方当事者にこれだけの配慮をした上で、「善意の設置者」が作った保育園が「政争の具」によって開園が妨害されているという複雑なストーリーが、わずか数日間の取材で完成すると考える方がむしろ不自然である。

 平成15年3月31日、東京都がりんごっこ保育園の不認可決定を下して以降、市側は何度も保育園に足を運び、高野との間で認可の方向を探ろうとしていた(この市側の姿勢にはもちろん異論がある)。6月には3度保育園を訪ねている。その間、高野の側も市の指導に従うそぶりをみせたこともあった。ところが市との話し合いに並行して、高野は矢野とともに、一方的に議会を非難し、自らはまったく落ち度のない「善意の設置者」として、不認可の不当性を世論に訴えるための情報操作を画策していたことになる。市に対する裏切り行為であるという以前に、高野には最初から誠実に話し合う意思などなかったということである。市はナメられていたといってもいい。

 高野の背信行為はそれだけではなかった。『ニュースの森』の締めくくりは高野が東京地裁で提訴の記者会見を行う場面だった。提訴は高野が市側との話し合い自体を拒否するという明白な意思表示である。話し合いに応じるそぶりをみせながら、そのころ高野は矢野の指示のもと、訴訟準備を着々と進めていたのである。TBS(矢野も同様)が錦の御旗のように使った起案書に決裁印を押した市長の判断が重大な誤りだったことはもはや誰の目にも明らかだった。
 

(第8回へつづく)

関連記事

テーマ:社会 - ジャンル:政治・経済

TOP