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「セクハラ市議」誹謗中傷事件 第2回
公論を拒否

 矢野と朝木は薄井に対する誹謗中傷をエスカレートさせる一方で、「職業差別」として彼らを批判していた市民に対して訴訟をちらつかせて脅すなどした。その結果、同年8月21日にはたまりかねた市民が矢野と朝木に対する辞職勧告を求める請願を提出するという出来事も起きた。

 この請願は同年9月20日、議会運営委員会で審議されたが、委員会での弁明を求められた矢野と朝木は市民らを提訴(同年9月3日)したことを書面で明らかにし、それを理由に出席を拒否した。最終的に請願は平成20年2月4日、不採択となったものの、委員からは矢野と朝木が委員会での議論を拒否したことに対して批判的な意見が相次いだ。

 請願に対する提訴があり得たとしても、朝木を紹介議員として辞職勧告を求める請願を提出された薄井は理不尽であると感じながらも政策総務委員会に出席して堂々と弁明を行っている。矢野と朝木も頭から議論を拒否するのではなく、弁明を行ってから提訴すればよかったのではあるまいか。

 この請願をめぐって矢野が市民を提訴した裁判は平成22年3月17日、東京地裁が矢野と朝木の請求を棄却し、同年10月6日には東京高裁が彼らの控訴を棄却する判決を言い渡している。

 さて、朝木による東村山市長に対する苦情申出が棄却されたことを受けて薄井は平成20年4月16日、「セクハラ市議」「職業安定法違反」「薬事法違反」などの記載や放送によって名誉を毀損されたとして矢野と朝木、さらには多摩レイクサイドFM(理事長・岡部透)に対して損害賠償の支払いなどを求めて提訴した。提訴から2年後の平成22年3月8日、一審の東京地裁立川支部は「職業安定法違反」「薬事法違反」の部分について薄井の請求を認容し、矢野と朝木らに対して総額200万円の支払いと多摩レイクサイドFMにおける謝罪放送を命じていた。

 総額200万円の支払いと謝罪放送命令という判決内容は一般的にみても軽いものではない。しかし薄井にとって「超セクハラ市議」などと誹謗された部分について請求が棄却された点には大きな不満が残った。このため矢野と朝木の控訴に対して薄井も、棄却された部分の見直しを求めて附帯控訴した。

2つの表現行為にまとめて検討

 問題となった表現は政治宣伝ビラ「東村山市民新聞」、ウェブ版「東村山市民新聞」、多摩レイクサイドFMを合わせて10件以上にのぼるが、裁判所は意味内容の共通する表現行為を、

①薄井に対する「セクハラ市議」「風俗マニア」などとする表現行為

②薄井に対する「職業安定法違反」「薬事法違反」とする表現行為


 の大きく2項目に整理した上で名誉毀損の有無を判断している(この点だけをみても、矢野の宣伝とはニュアンスが異なることがわかろう)。

 記事や放送による名誉毀損では、その表現が他人の社会的評価を低下させるものであったとしても、それが論評や意見表明である場合には、前提事実の重要な部分が真実であり、論評や意見表明の域を逸脱せず、公益性・公共性があると認められる場合には違法性が阻却される(損害賠償の支払いなど、名誉毀損の不法行為責任は問われない)というのが判例である。

 では、東京高裁は矢野と朝木による薄井に対する誹謗中傷事件をどう判断したのだろうか。まず、一審でも違法性が認定された前記②「職業安定法違反」「薬事法違反」という表現からみていこう。東京高裁はそれぞれの具体的表現について検討している。

「疑いさえも認められない」



〈職業安定法違反〉との表現について

⑴ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年8月7日付)


〈『有害業務』の宣伝(求人など)は職業安定法63条2号違反の犯罪(懲役刑)〉

〈法が否定する『有害業務』を『職業』などと叫んだ薄井氏及び薄井擁護派は、これで完全に破綻です。……犯罪の疑いまで出てきたのです。〉



 これらの表現について東京高裁はこれが「意見ないし論評の表明に範疇に属するものというべきである」と認定した上で次のように述べた。

〈前記意見表明は、被控訴人(筆者注=薄井)が職業安定法違反の犯罪行為をした疑いがあるとし、かつ、これに基づいて被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであるから、いずれにしても、被控訴人の社会的評価を低下させるおそれがあることは明らかである。〉

 では、「薄井は職業安定法違反の犯罪行為をした疑いがある」とする意見表明の「前提事実」についてはどうか。この点について矢野と朝木は、

「薄井は『公衆道徳上有害な業務』に該当する特殊性風俗業界の求人誌に関与した疑いがある」

 などとして、薄井が同求人誌を発行する会社の名刺を所持していたことなどを挙げて「意見表明」の前提事実であると主張した。しかし、東京高裁はこの点について次のように認定した。

〈被控訴人(筆者注=薄井)が特殊性風俗情報誌「○○」及び求人誌○○を発行する○○社に勤務していたこと……を加えても、被控訴人が○○社で求人誌○○の取材又は編集の業務に関与していたことを認めるには足りず(その疑いがあることを認めるにさえ足りない)、他にこれを認めるに足りる証拠はない。また、控訴人矢野及び控訴人朝木が、被控訴人は○○社で求人誌○○の取材又は編集の業務に関与し、又は関与していた疑いがあることを真実であると信じるについて相当の理由を認めるに足りる証拠もない。〉

 その上で、東京高裁はウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年8月7日付)の表現について次のように判断している。

〈上記意見表明は、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的は専ら公益を図ることにあるが、本件訴訟において控訴人矢野及び控訴人朝木が上記意見表明の前提事実として主張した事実(被控訴人が○○社で求人誌○○の取材又は編集の業務に関与していたこと又はその疑いがあること)の重要な部分が真実であるとは認められず、また、控訴人矢野及び控訴人朝木がこれを真実であると信じるについて相当の理由を認めるに足りる証拠もない。

 したがって、上記意見表明の違法性は阻却されないから、上記意見表明は名誉毀損の成立を免れない。〉

 東京高裁は「職業安定法違反」だとする矢野らの意見表明の前提事実を認めなかったのである。「(求人誌業務に関与した)疑いがあることを認めるにさえ足りない」のだから、職業安定法違反の前提事実が認められるはずもあるまい。矢野と朝木は、裁判所から「疑いがあることを認めるにさえ足りない」と認定されるようなあやふやな根拠で、選挙で選ばれた市議会議員を「職業安定法違反」などと非難していたことになる。どういう判断基準を持つ市会議員だろうか。

提出されない準備書面

 余談だが、朝木明代(矢野ときわめて親密な関係にあった元東村山市議で朝木直子の母親=故人)の万引きを苦にした自殺をめぐり千葉英司から提訴されている右翼一派、「行動する保守」の重鎮で矢野、朝木ともきわめて近い関係にある「行動する保守」Aは前回口頭弁論(3月2日)で3月31日までに陳述書を提出すると述べたが、4月4日現在、千葉のもとには送付されていない。

 同じく千葉から提訴され、とりわけ朝木直子から証拠提出をはじめとする手厚い援助を受けている西村修平も前回口頭弁論(3月3日)で裁判官から4月4日までに準備書面を提出するよう命じられたが、やはり4月4日現在、千葉のもとには送付されていない。右翼Mはどうしたのだろうか。

 なお、「東村山市民新聞」170号によれば矢野と朝木が「東村山の闇」Ⅱを発刊したというから、「行動する保守」Aも西村も右翼Mも、証拠として提出しない手はあるまい。どこまで役に立つかは保証の限りではないが。

(つづく)

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「セクハラ市議」誹謗中傷事件 第3回
マッチポンプ

「職業安定法違反」について矢野と朝木はウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年8月7日付)以外にも⑵「東村山市民新聞」158号(平成19年8月29日付)、⑶「東村山市民新聞」159号(平成19年12月15日付)⑷多摩レイクサイドFM「ニュースワイド多摩」(平成19年9月5日放送分)(筆者注=矢野穂積が進行役と解説役を務める1時間番組。1日に6回の放送枠がある)でも類似の表現を掲載・放送しているが、いずれも違法性を認定している。

 参考までに総務省が認可し、東村山市議会議員矢野穂積が「パーソナリティー」を務める多摩レイクサイドFM「ニュースワイド多摩」の放送を紹介しておこう(ほんの一部)。



「ニュースワイド多摩」(平成19年9月5日放送分)

 東村山市民新聞提供のニュースです。「問題は、犯罪関与の疑惑に進展」というニュースです。

 ……法律上も判例上も、性風俗は公衆道徳上有害業務であることがはっきりしていますが、(薄井擁護者らは)これを知らず、性風俗=有害業務の差別を許すな、などと叫んでいます。問題の薄井市議は、……調査の結果、薬事法や職業安定法の違反をしているのではないか、という疑惑まで出ています。



 この部分について東京高裁は具体的に言及していないが、東京高裁はウェブ版の類似記載について「(求人誌業務に関与した)疑いがあることを認めるにさえ足りない」と認定しているのだから当然、この部分についても同じ理解でいいのではないかと私は考えている。「ニュースワイド多摩」がいう〈「犯罪関与の疑惑に進展」〉とはまさに、明確に名誉毀損が認定された「東村山市民新聞」158号の記載そのままである。

 なお、「(矢野が発行する彼らの政治宣伝ビラにすぎない)東村山市民新聞提供のニュース」を矢野の番組で読み上げるとはまさにマッチポンプということになると思うが、「東村山市民新聞」が「ニュースワイド多摩」にニュースを「提供」する例は少なくない。その際、「東村山市民新聞」がどういう性質の「新聞」であるかについていっさい説明はない。

 恐ろしいのは、「ニュースワイド多摩」では「朝日新聞」や「読売新聞」などまっとうなメディアからの引用も多く、それらと並んで「東村山市民新聞提供のニュースです」とやることである。聴取者が「東村山市民新聞」も「朝日新聞」などと同等の「新聞」で、社会的信用があるのだろうと勘違いする可能性もあろう。もちろんそれが矢野の狙いでもあるのだろう。

「宣伝」はないと認定

 では、矢野と朝木が「薬事法違反」と主張した点についてはどうか。



〈薬事法違反〉

⑴「東村山市民新聞」158号(平成19年8月29日付)


〈問題は『犯罪』関与の疑惑に進展!〉

〈調査の結果薬事法や職業安定法の違反をしているのではないか、という疑惑まで出ている。〉

〈薄井氏、セクハラどころか、ついに犯罪の疑惑が〉



 これらの表現は薄井が前職時代にインターネット配信ビデオに出演した際、厚生省から認可されていない特定医薬品について紹介したことが違法な宣伝にあたるなどとして批判したものである。

 東京高裁はこれらの表現について「職業安定法違反」と同様に〈いずれも法的意見の表明に当たるものと解される〉とした上でそれが薄井の社会的評価を低下させたかどうか、また公益性があったかどうかについて次のように認定した。

〈前記意見表明は、被控訴人が薬事法違反の犯罪行為をしたとし、かつ、これに基づいて被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであるから、いずれにしても、被控訴人の社会的評価を低下させるおそれがあることは明らかである。〉(社会的評価の低下)

〈本件事実関係の下においては、被控訴人が東村山市議会議員であること、前記意見表明が、被控訴人の東村山市議会議員としての適格性等をめぐってされていることによれば、前記意見表明は、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと評価するのが相当である。〉(公共性・公益性)

 では、その意見表明の前提事実の真実性・相当性について東京高裁はどう判断したのか。

〈薬事法85条5号で罰則が定められている同法68条(承認前の医薬品等の広告の禁止)の「広告」は、①顧客を誘引する(顧客の購買意欲を昂進させる)意図が明確であること、②特定医薬品等の商品名(姫アグラ)が明らかにされていること、③一般人が認知できる状態であることの各要件を充たすことを要するものと解される。

 そこで、被控訴人(筆者注=薄井)による姫アグラの紹介の内容をみると、前記②及び③の要件の存在は認められるが、①の要件については議論の余地がある。この点について控訴人矢野及び控訴人朝木は、被控訴人が紹介の中で姫アグラの効能を挙げたことをもって顧客を誘引する「宣伝」、「広告」があったと主張するものと解される。しかし、「広告」とは上記①のとおり、顧客の購買意欲を昂進させることを目的として行われるものであるところ、本件事実関係の下においては、被控訴人は、姫アグラの流行と効能に言及しているものの、それを超えて、本件ネット動画の視聴者を誘引し、姫アグラを購買する意欲を昂進させる意図が明確であるとまでは認められない。……よって、控訴人矢野及び控訴人朝木の上記主張を採用することはできない。
 
 ……そうすると、控訴人矢野及び控訴人朝木が、被控訴人は本件ネット動画において姫アグラの「広告」をしたことを真実であると信じるについて相当の理由あったと認めることもできない。〉

 東京高裁はこう述べて、〈薬事法違反の疑いがある〉とする矢野と朝木の表現について相当性を認めず、

〈薬事法違反の疑いがあるという意見表明について名誉毀損の成立が認められる。〉

 と結論付けた。

異なるニュアンス

 矢野は政治宣伝ビラでこの点について、

〈薄井市議の薬事法違反等の疑いについては認めなかったものの〉

 と、さらっと触れただけである。スペースの都合もあるのかもしれないが、他には何の説明もなく、裁判を追いかけた者でなければこの1文の意味は理解できない。「職業安定法違反」に至っては「等」ですまされてしまった。

 東京高裁は〈薬事法違反等の疑いについては認めなかった〉だけでなく明確に名誉毀損の成立を認定(矢野と朝木の敗訴)しているのである。矢野は市会議員なら、〈薬事法違反等の疑いについては認めなかった〉ではなく〈薬事法違反等の疑いがあるとした部分については違法性を認定(矢野・朝木の敗訴)〉と、事実が市民に正確に伝わるように記載すべきではあるまいか。

 いずれにしても、判決文と矢野の「東村山市民新聞」の記載を具体的に比較すると、かなりニュアンスが異なることがよくわかろう。矢野、朝木という2人の市会議員は、よほど事実を市民に伝えたくなかったようである。

(つづく)

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「セクハラ市議」誹謗中傷事件 第4回
謝罪放送を命令

 矢野と朝木は⑴「東村山市民新聞」158号(平成19年8月29日付)のほかに⑵多摩レイクサイドFM「ニュースワイド多摩」(平成19年9月5日放送分)、⑶「東村山市民新聞」159号(平成19年12月15日付)でも薄井に対して類似の表現で「薬事法違反」と誹謗したが、東京高裁はこれらの放送、記載についても名誉毀損の成立を認定している。

 このうち「職業安定法違反」と同じく、東村山市議が行ったきわめて悪質な放送として、総務省認可の多摩レイクサイドFM「ニュースワイド多摩」の放送内容を紹介しておこう。アシスタントは、警視庁東大和署が2名の会社員をネット通販で姫アグラと名付けた無許可医薬品を販売していたとして逮捕したニュースに続けて、次のような原稿を読み上げた。もちろんストーリー構成から原稿作成、番組構成・進行までを采配したのは多摩レイクサイドFMの実質的支配者である矢野以外にはいないだろう。



 逮捕のあった翌日に、この間問題となっているアダルト動画サイトで薄井市議が実際に登場している3月29日までの動画を、薄井市議が在籍した会社は突然削除しました。なんとこの削除した動画の中には、無許可無承認薬品「姫アグラ」の効能にまで触れて、薄井氏が宣伝をしていたのです。薬事法68条は無許可医薬品の効能効果または性能に関する広告をしてはならないと定めています。薄井氏、セクハラどころかついに犯罪の疑惑が浮上しました。



 アシスタントに原稿を読ませておいて、東村山市会議員の矢野が「解説」を加える。



 ……で、この逮捕したのが6月25日(東大和署の事件)。問題の薄井さんが出ていたアダルト動画が削除されて見えなくなったのが6月26日です。



 動画が削除されたことが東大和署の事件と何か関係があると思わせる口ぶりである。得意の印象操作だろうか。その上で矢野は続けた。



 で、よくですね、ちょっと調べてみると、この削除された動画の中に、アダルト動画の中に、薄井さん自身がこの姫アグラという違法ドラッグについて、効能ですね、こういう効果が表れるというこの無許可の違法ドラッグの効能についてですね、得々としゃべっているんですね。宣伝しています。一種こう紹介記事風の形はとっていますが、イメージ映像なんかも出てましてですね、で、これを使えばこういう効き目があるんだよ、というふうにまさにこの薬事法が禁止しているですね、そういう性能じゃなくて効能っていうんですよね、を宣伝をしている。広告を実質的に行っている、ということが、わかったわけなんですね。ま、それでですね、いろいろこれから問題が大きくなっていきますが、この点についてはですね、また時間をみてご紹介していきたいと思います。



 この放送について東京高裁は次のように述べて名誉毀損の成立を認定している。

〈被控訴人が姫アグラの広告、宣伝をしたとは認められないから、前提事実の真実性を論じる前提を欠く。また、これを真実であると信じるについて相当の理由があったと認めるに足りる証拠もない。……違法性は阻却されないから、上記意見表明について名誉毀損の成立が認められる。〉

 薄井に「薬事法違反」の疑いがあると主張しているという意味では冒頭の「ニュース」も矢野の「解説」も一体だから、真実性・相当性を否定した東京高裁の認定は矢野の「解説」内容をも否定したものと理解できよう。

 こうして東京高裁は、「職業安定法違反」「薬事法違反」とする表現行為を行った矢野と朝木らに対して計100万円の支払いを命じる判決を言い渡したが、〈薬事法違反の疑いがある〉とする放送を行った多摩レイクサイドFMに対してはさらに次のような内容の謝罪放送を行うよう命じている。よほど悪質と判断したということだろうか。



(謝罪放送)

 これから謝罪放送を行います。本局の番組「ニュースワイド多摩」は平成19年9月5日、東村山市議会議員薄井政美氏が同年2月10日にアダルト動画サイト「マンゾクTV」でした「姫アグラ」の紹介は薬事法に違反する旨の放送を行いました。しかし、上記放送内容は根拠が不十分であり、上記放送は同氏の名誉を傷つけるものでした。よって、本局は、上記放送内容を取り消すこととし、同氏に対し、謝罪いたします。

特定非営利活動法人多摩レイクサイドFM 理事長 岡部透

(放送条件)

二日間連続して、番組「ニュースワイド多摩」の放送(1日4回)に近接する広告放送の時間帯に(合計8回)、40秒のCM放送の中で、聴取者が明確に聞き取ることができる速度で行うこと。



 総務省が認可した放送局に8回もの謝罪放送を命じるとはよほどのことと思うが、彼らが薄井に対して行ってきた放送の回数およびその悪質性に比較すれば決して多いとはいえない。

責任を逃れようとした朝木

 なおこの放送に関して朝木は、「(朝木は)多摩レイクサイドFMの事務局長ではあるが、番組制作部長(=同局の番組編集について責任を有する)ではない」として、本件放送内容についての責任を否定していた。この点について薄井側も一審では十分な立証ができず、一審では朝木の責任が認定されなかった。

 しかし控訴審で改めて資料を精査したところ、開局申請時に矢野が東村山市に提出した書類(「放送番組の編集の機構及び考査に関する事項」)の中に「事務局長」の役割が明記されており、「多摩レイクサイドFM」の事務局長は番組編成制作部長(=「番組編集の責任者」)を兼務することになっていた。「番組編集の責任者」とはすべての番組編集の責任を負うということであり、事務局長である朝木が「ニュースワイド多摩」の編集についても責任を負うのは当然である。東京高裁は次のように述べて朝木の損害賠償責任を認定した。

〈控訴人朝木は、控訴人法人の事務局長であり、ニューワイド多摩の番組編成制作部長を兼務している。すなわち、控訴人朝木は、番組の製作に関わる立場にある者であり、(上記番組=筆者)の編成製作にも関与していたことが推認されるところ、この推認を覆すに足りる特段の主張、立証はされていないから、被控訴人が被った上記損害賠償責任を負う。〉

 そもそも「多摩レイクサイドFM」の事務局長である朝木が「事務局長は番組編成制作部長を兼務する」ことを知らないはずはない。朝木は自分自身の責任の所在を知っていながら、責任を逃れようとしていたのである。やはりこの市会議員の神経も並みではない。

 もちろん「多摩レイクサイドFM」の放送内容に関して、「ニュースワイド多摩」に出演して進行・解説役を務めている矢野に対して東京高裁が〈損害賠償責任を負う〉と認定したことはいうまでもない。

(つづく)

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「セクハラ市議」誹謗中傷事件 第5回
常人には真似できない執拗さ

 では、一審で請求が認容されなかった「超セクハラ市議」「エロ・ライター」「風俗マニア」などとする表現について東京高裁はどう判断したのか。矢野と朝木が行った誹謗中傷宣伝として薄井が挙げた表現は、文言の悪質さと宣伝の持続力、執念深さはさすがに他に例をみない特異な市議によるものというほかなく、とうてい余人には真似のできるものではない。

 まずそれがどんなものか、改めて確認しておこう。もちろんここには名誉毀損が認定された「風営法違反」と「薬事法違反」に関する表現は含まれていないことに留意いただきたい。つまり以下にあえて示すのは、矢野と朝木がこの4年間に行ってきた薄井攻撃のほんの一部だということである。



ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年4月23日付)

「これじゃまるで『エロ・ライター』! 薄井政美特集」

ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年5月1日付)

「薄井セクハラ問題」

「市職員が机に『ヌード写真』を飾ったりすることが許されないのは勿論のこと、意図的に薄井さんがやっているような性的情報を流布させたり、性的言葉を吐く、性的体験を語るなどすれば、その『セクハラ行為』を理由に、その職員は処分され、場合によっては懲戒免職の事態もありうる話なのです」

「市議に立候補し、市議として活動する人物が『セクハラ』を公然と肯定する立場にある」

「『セクハラ』を公然と肯定する人物」

「『セクハラ』を公然と肯定している薄井さん」

「どっぷりと染み付いたセクハラ体質」

ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年5月4日付)

「薄井『超セクハラ活動』問題!」

「改正『均等法』に真っ向朝鮮、女性蔑視、障がい者蔑視の『超セクハラ』映像」

ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年5月17日付)

「薄井『超セクハラ活動』問題!」

「改正『均等法』に真っ向朝鮮、女性蔑視、障がい者蔑視の『超セクハラ』映像」

「やっぱり、風俗だけが得意な『セクハラ活動家』でした!」

ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年5月18日付)

「薄井『市議』、実体は『超セクハラ活動家』!」

「改正『均等法』に真っ向朝鮮、女性蔑視、障がい者蔑視の『超セクハラ』映像」

「やっぱり、風俗だけが得意な『セクハラ活動家』でした!」

「薄井『市議』、実体は『超セクハラ宣伝マン』!」

「『超セクハラ』映像」

「違法セクハラ宣伝マン」

ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年5月23日付)

「違法セクハラ宣伝マン特集」

「改正『均等法』に真っ向朝鮮、女性蔑視、障がい者蔑視の『超セクハラ』映像」

「違法セクハラ宣伝マン」

「やっぱり、風俗だけが得意な『セクハラ活動家』でした!」

「『グルメ日記』で何も気づかない有権者をひきつけておいて、その実体は単なる『セクハラ活動家』!」

「薄井さんの言動は、東村山市条例に違反しています。」

東村山市民新聞157号(平成19年5月29日付)

「薄井『超セクハラ市議』」

「『風俗マニア』がグルメで粉飾、市議に」

「公然と市条例違反の人権侵害行為を、5月以降も」

「薄井政美『市議』の場合は単なる『風俗マニア』」

「市議が公開のアダルト動画サイトでセクハラ発言を連発することなどもってのほか、条令違反の違法行為だ。」

「『セクハラ満載』の動画サイト」

「『風俗マニア』の素顔を粉飾」

ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年6月1日付)

「違法セクハラ『風俗マニア』薄井『市議』」

「『風俗マニア』であるあなたの市条例違反・違法セクハラ行為」

「単なる『風俗マニア』」

「自信をもって『風俗』の世界でそのマニアックな持ち味を存分発揮してください。」

ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年6月3日付)

「薄井『市議』は『違法セクハラ・風俗マニア』!」

「共産市議ら、『風俗マニア』を容認!!」

「『超セクハラ』映像」

「違法セクハラ宣伝マン」

ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年6月9日付)

「超セクハラ・風俗マニアの薄井『市議』の行為は市条例適用対象!」

「超セクハラ言動を繰り返している薄井『市議』」

「薄井さんは、『アダルト動画サイト』本件ネット動画に出演、超セクハラ言動を繰り返している」

東村山市民新聞158号(平成19年8月29日付)

「性風俗マニア『市議』」

「問題の薄井『市議』は、市議候補者になった後も『ソープランド』などの『性風俗特殊営業』の宣伝をしてきた」



 比類ない執念というほかないが、これらの表現について東京高裁はいずれも「意見表明」であるとした上で、

〈各意見表明は、セクハラ、条例違反、エロライター、風俗マニアを理由として、被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであり、……被控訴人の社会的評価を低下させるおそれがあるものということができる。〉

 と認定。またこれらの意見表明の前提は、薄井がキャスターとして出演していたネット動画が議員任期開始後も公開されていた事実であるとする矢野と朝木の主張を認め、その重要な部分において真実であるとした。

 薄井は議員任期開始前にはすでに会社を退職しており、動画の公開には関与していなかった。また当然、退職後に新たに出演もしていないが、ネット上に当時の動画が残っていたのは事実だった。

 上記「セクハラ」などとする表現行為に名誉毀損が成立するか否かについての次の判断は、議員任期開始後も薄井がキャスターとして出演していたネット動画が公開されていたという前提事実に基づくとする矢野と朝木の上記表現行為が客観的に正当といえるかどうかということになる。

(つづく)

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「セクハラ市議」誹謗中傷事件 第6回(最終回)
「『セクハラ』は独自の見解」

 東京高裁は「セクハラ」や「風俗マニア」などの文言は意見表明であり、薄井の社会的評価を低下させるが、その前提事実は薄井が出演したアダルト番組が議員任期開始後もネット上に公開されていたことであると認定した。

 その上で東京高裁は、①「セクハラ」「条令違反」②「エロ・ライター」「風俗マニア」に分けて、矢野と朝木の主張が正当なものであるか否かについて判断を示している。

 まず①「セクハラ」「条令違反」について東京高裁は次のように述べた。

(「セクハラ」とする主張について)

〈控訴人らは、被控訴人は市議会議員に当選し、任期が開始した後も本件ネット動画をネット公開していることを前提事実として、それは「セクハラ活動」であり、被控訴人は「セクハラ市議」、「セクハラ活動家」であり、セクハラを禁じる東村山市男女共同参画条例に違反するから、……(控訴人らの)意見表明は、その枠内にあると主張する。

 そこで判断するに、本件ネット動画は、被控訴人が市議会議員に当選し、その任期が開始した後も、平成19年6月25日ころまでネット公開されていたことは、争いのない事実……である。しかし、本件ネット動画は、通常のネット動画と同様、視聴者の方からアクセスしなければ見たり聴いたりすることはできず、視聴者がその意に反して見たり聴いたりすることを強要されるものではない。したがって、被控訴人が本件ネット動画で性的な言動をしても、それは、被害者(視聴者)の意に反する性的な言動という「セクハラ」の一般的な定義に該当しないから、セクハラには当たらないというべきである。したがって、これを「セクハラ」であるとする控訴人矢野及び控訴人朝木の意見表明は、独自の見解であるというべきである。〉

(「条例違反」とする主張について)

〈東村山市男女共同参画条例2条⑶号は、セクハラについて「性的な言動により当該言動を受けた相手方の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた相手方の対応によりそのものに不利益を与えることをいう。」と定義しているところ、前記のとおり、本件ネット動画における被控訴人の性的な言動は、受ける側がアクセスしない限り、その者の耳目に触れないものであるから、上記条例2条⑶号には該当しない。また、同後段は、性的な言動をした者が、それを受けた相手方の対応を不満とすること等により、地位の優越等を利用して相手方に対し不利益を与えることをいうものであるから、本件ネット動画における被控訴人の性的な言動は、本件条例2条⑶号にも該当しない。〉

 東京高裁は矢野と朝木が薄井の言動等に対して宣伝した「セクハラ」との主張は「独自の見解」で、「条例違反」も「『条令違反』にも該当しない」と結論付けた。いずれもきわめて常識的な結論である。

 では名誉毀損についてはどうか。東京高裁は次のように述べて、①「セクハラ」「条令違反」についての名誉毀損の成立を否定した。

〈意見ないし論評を表明する自由は、民主主義社会に不可欠な表現の自由の根幹をなすものであるから、少数説や独自の見解の表明、さらには誤った意見ないし論評の表明もまた保護されるべきであり、これに対する反論、反撃は言論の場において行われるべきである。したがって、控訴人矢野及び控訴人朝木が、被控訴人の性的な言動を録画、録音した本件ネット動画のネット公開を「セクハラ」に該当すると誤り考え、さらに、セクハラを禁止する東村山市男女共同参画条例に違反すると誤り考えたことをもって、意見表明の域を逸脱したものということはできない。〉

 動画の公開について、矢野と朝木の記載は誰が主体だとしているのかという論点もあった。この点について東京高裁は、矢野と朝木の記述からは動画の公開について「『薄井が主体的に関与した』と断定したとまではいえない」と判示した。そう断定したと判断されていれば名誉毀損に関する判断も変わった可能性がある。

 誤った意見を内心で抱くことと、それをすぐ不特定多数に対して断定的に公表することとは別のようにも思うが、議員任期開始後も、薄井が出演した動画がインターネット上に公開されていたという事実に照らせば、矢野と朝木が薄井に対する認識を誤ったとしてもやむを得ない側面があるという判断なのだろう。

「『エロ・ライター』『風俗マニア』の相当性には疑問」

②「エロ・ライター」「風俗マニア」について東京高裁は次のように述べた。

〈被控訴人は勤務先である○○社の仕事として本件ネット動画に出演していたものであること、被控訴人はキャスターとして与えられた原稿を読み上げていたものであり、自ら原稿を書いていたものではないことに照らせば、「風俗マニア」、「エロ・ライター」という意見表明の相当性には疑問なしとしない。〉

 薄井に対する「風俗マニア」「エロ・ライター」という意見表明の内容は相当ではないという判断である。

 しかし東京高裁はここでも、薄井の意思とは無関係であるとはいえ、動画がネット公開されていた事実を重視し、薄井に対する「エロ・ライター」、「風俗マニア」とする表現については「相当」とは認めなかったものの、〈意見表明としての域を超えるとまではいい難い。〉と結論付けた。

異なるニュアンス

「セクハラ」「条令違反」「エロ・ライター」「風俗マニア」とする意見表明に関する東京高裁の判断を改めて整理すると次のようになる。



①議員任期開始後も、薄井が出演していた動画がネット公開されていたことは事実である。

②「セクハラ」「条令違反」「エロ・ライター」「風俗マニア」とする矢野と朝木の意見表明は「独自の見解」であるか「相当ではない」。

③しかし、いずれも意見表明の域を超えるとまではいえない。



 平たくいえば、矢野と朝木の薄井に対する「セクハラ」などという宣伝は、名誉毀損をかろうじて免れただけで、誤りだったと認定されたということになろう。意見表明の内容は否定されたが名誉毀損は認定されなかったという点において、この部分は佐藤裁判の結論とよく似ている。

 矢野と朝木は政治宣伝ビラ「東村山市民新聞」170号とウェブ版「東村山市民新聞」で〈任期後も出演した「アダルト動画」が公開されている以上、「エロライター」「性風俗マニア」等と批評されても仕方がないと断定〉と記載している。しかし東京高裁は動画がネット公開されていた事実は認めているものの、彼らの意見表明を「誤った見解」「相当ではない」と明確に認定しているのであり、「(東京高裁が)……と批評されても仕方がないと断定」とする矢野の記載とはだいぶニュアンスが異なろう。「見解としては誤りとしたが、意見表明の域を逸脱していないと認定した」とすべきだが、自らの非を絶対に認めない矢野と朝木の特異性においては容認できなかったということだろうか。

 いずれにしても、ネット動画の公開に関して薄井が関与を否定し、矢野と朝木も関与を立証できていない(東京高裁は「関与はない」と認定した)。動画も4年前に削除されている。したがって矢野と朝木にはすでに、薄井に対して新たに「セクハラ」「条令違反」「エロ・ライター」「風俗マニア」などと「意見表明」する根拠はないということになる。

(了)

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佐藤ブログ事件控訴審 第1回
 東村山市議、佐藤真和のブログに掲載されたコメントをめぐり同市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が佐藤を提訴していた裁判で東京地裁立川支部は平成23年6月29日、矢野らの請求を棄却する判決を言い渡した。これに対して矢野らは控訴。10月3日、控訴審の第1回口頭弁論が開かれ、平成23年12月21日午後1時に判決が言い渡されることになった。 

思い余ったコメント

 平成19年4月に行われた東村山市議選の翌日、矢野穂積と朝木直子が突然、新人で当選を果たした薄井政美に対する誹謗中傷を開始した。

 矢野と朝木が他の議員を誹謗するのはこれが初めてではない。佐藤真和に対しても市議選の半年前から「越境通勤市議」などと、あたかも佐藤に東村山市議に立候補する資格がないかのような激しいネガティブキャンペーンを繰り返していた。だから矢野と朝木が他人を誹謗中傷すること自体は珍しいことではなかったものの、市民を驚かせ、怒らせたのはその内容だった。

 矢野と朝木による薄井に対する誹謗中傷は前職を問題とするものだった。これに対して市民の間から職業差別だとする批判の声が挙がり、この動きはインターネットを通じて全国に広がった。

 しかし、いかなる非難を浴びても自らをいっさい省みないのが矢野と朝木の顕著な特異性である。彼らは薄井攻撃をいっそう強めるとともに、薄井を擁護する市民らに対してもハンドルネームを名指しし、「法的手段」を匂わせるなどして恫喝を繰り返した。要するに、訴えられたくなければ薄井擁護と彼らに対する批判を止めろという趣旨であると理解できた。

 誹謗中傷の激しさだけでなく、批判をいっさい受け付けず、それどころか彼らを批判する側に対してまで矛先を向けてくる矢野と朝木の特異な体質を初めて経験した市民は驚き、名指しされた本人の中には恐怖におののいたという人もいた。佐藤真和が運営するブログに市民から次のようなコメントが寄せられたのは、そんな騒動のさなかのことだった。



(コメント1)

(矢野と朝木は)自尊心を欠如させたトラウマ=自分の問題と向き合う辛さを避けて、トラウマの原因とは全く関係ない他人を攻撃することで、心の虚無を埋めようとする方々とお見受けしました。心理学では、

「共依存」?
「境界性人格障害」
「攻撃性人格障害」
「パワーゲーム」など

 幾つかの名を付けて分析・対処方法を研究しているはずです。

(コメント2)

 草の根の人たちは、病気なんです。他人を攻撃することで、自己のアイデンティティを保っているんですから。まあ、昔から住んでいる市民なら、みんな知ってることですが。

(コメント3)

 こんにちは! 佐藤さんや薄井さんのブログを愛読している東村山新住民です。矢野・朝木両市議が発行する東村山新聞は、一読しただけで……と判ります。この二人が市議として存在することが東村山の大問題ではないでしょうか。たまこさんが挙げておられる心理学上の分類に「サイコパス」も追加させてください。

筆者注=このコメントについては一部に差別用語が含まれており(……の部分)、佐藤が当該部分を修正した旨を説明した上で掲載した。)



 公人である矢野と朝木の特異性に対してこのような評価があってもなんら不思議はないし、とりわけ直接的な攻撃を受けた市民からすればむしろ自然な感覚だろう。ただ個人的には、不特定多数に対して公表するについてはやや思い余った部分があったような気もする。

 これに対して矢野と朝木は、ブログを運営する佐藤に対して名誉毀損に基づく慰謝料の支払い等を求めて提訴したのである。

「事実を表明するもの」と認定

 東京地裁立川支部は矢野と朝木の請求を棄却したが、彼らが問題とした3つのコメントについてどんな判断をしたのか。東京地裁は前記コメント1、2、3について次のように認定した。



(コメント1について)

(コメント1)は、原告らがパーソナリティ障害等の障害を有するとの事実を表明するものと認められる。

 ……パーソナリティ障害は、精神病ではないとはいえ、精神医学で取り扱われ、治療の対象となっているものであるから、その指摘が名誉毀損となるか否かの観点からは、やはり病気の一種であり、その指摘は事実の表明と認めるべきである。

(コメント2について)

(コメント2はコメント1の)パーソナリティ障害等との指摘に同意し、さらに、「草の根の人たちは、病気なんです。」と付言しているが、……精神医学におけるパーソナリティ障害等の取扱いを考慮すると、上記「病気」の付加は、原告らが病気の一種であるパーソナリティ障害等を有するとの事実を表明したものと認めるべきである。

(コメント3について)

(コメント3はコメント1の)パーソナリティ障害等との指摘に同意し、さらに、「たまこさんが挙げておられる心理学上の分類に「サイコパス」も追加させてください。」と付言しているが、……サイコパスが人格障害とほぼ同義と解されていることからすると、……原告らがパーソナリティ障害等を有するとの事実を表明するものと認められる。



 これらコメントがブログ管理者(佐藤)自身によって記載されたものなら、コメントによって社会的評価が低下したと認定された場合、直接的に真実性・相当性の立証が必要になると思われる。しかし今回のケースは、佐藤のブログに投稿されたコメントをめぐるものであるという違いがあった。

 ブログ掲示板の記載に関わる法律にはプロバイダ責任制限法がある。プロバイダ責任制限法とは、プロバイダが負う損害賠償責任の範囲や情報発信者の情報の開示を請求する権利を定めた法律である。佐藤が同法にいう特定電気通信役務提供者に該当すると判断されれば、今回のコメントは同法の規定に基づいて判断されることになる。

 同法によれば、コメントをめぐって管理責任が問われるケースでは、特定電気通信役務提供者は、あるコメントに真実性及び相当性が存在しないことを知っていたか、知ることができたにもかかわらず当該コメントを放置した場合には損害賠償責任を問われる可能性が高い。

 問題は、本件がプロバイダ責任制限法が適用されるケースであるかどうかである。一般に特定電気通信役務提供者とは、いわゆるプロバイダだけに限らずコメント欄を設置するブログ管理者なども含まれるとされている。この点について東京地裁は次のように述べた。



 プロバイダ責任制限法2条3号にいう特定電気通信役務提供者とは、特定電気通信設備を設置又は所有している者である必要はなく、特定電気通信設備を他人の通信の用に使用させていれば足りると解される。



 東京地裁は佐藤がプロバイダ責任制限法に定める特定電気通信役務提供者であると認め、本件が同法が適用されるケースであるとした。

(つづく)

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佐藤ブログ事件控訴審 第2回
佐藤の削除義務を否定

 東京地裁は佐藤がプロバイダ責任制限法が定める特定電気通信役務提供者であると認定した。この場合、ブログ管理者である佐藤がコメント1、2、3に真実性および相当性が存在しないことを知っていたか、あるいは知ることができたと認めるに足りる相当の理由があった場合には削除等の対応をしなくてはならず、真実性・相当性が存在しないことを知りながらこれを放置したことが立証された場合には、損害賠償責任が生じることもあり得る。

 すると問題となるのは、コメント1、2、3を掲載するにあたり佐藤にプロバイダ責任制限法が定める「権利侵害の事実を知っていた、あるいは知ることができた場合」に該当するような事由があったかどうかである。この点について東京地裁はとう判断したのか。東京地裁は、

〈被告ブログ掲示板の管理者である被告につき、(プロバイダ責任制限法)に該当する事由があったと認めることはできない。〉

 とした上で、次のように述べた。



 かえって、後記イ~オに説示するとおり、原告ら(筆者注=矢野と朝木)にはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があったものである



 したがって、佐藤にはコメント1、2、3について削除義務が生じることはなく、これらのコメントを掲載したことに違法性はないと認定したのである。

 それにしても、それどころか裁判所が、あろうことか現職の市議会議員をつかまえて〈パーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があった〉と認定するとはよほどのことではあるまいか。しかし、東京地裁がこの認定の根拠とした以下の事例をつぶさに見れば、この判断もやむを得ないと読者も十分に納得できるのではあるまいか。

「パーソナリティ障害等を疑わせるそれなりの言動」

 東京地裁は続いて〈原告ら(筆者注=矢野と朝木)にはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があったものである〉とした根拠を述べる。その根拠として挙げられたのは矢野と朝木が彼らの政治宣伝メディア「東村山市民新聞」「東村山市民新聞インターネット版」「多摩レイクサイドFM」で行ってきた誹謗中傷の例だった。

 もちろんこれらは佐藤が証拠として提出したもので、その内訳は①万引き被害者に対する誹謗中傷(「東村山市民新聞」第84号)②無実の少年に対する暴行事件の捏造と裁判官に対する誹謗(「東村山市民新聞」第118号)③佐藤、薄井に対する常軌を逸した執拗な非難・中傷(「東村山市民新聞」第148号、第152号、第153号、第154号、第155号、第165号、多摩レイクサイドFM平成18年12月6日放送、さらには④東村山市議に向けられた揶揄や雑言の数々(複数のビラ)⑤矢野の特異性に言及した判決(「石井事件」「パラノイア事件」「超党派で作る新聞事件」)――などである(なお、「東村山市民新聞」インターネット版も前記「東村山市民新聞」の内容と重なっている)。

 矢野と朝木の特異性がより顕著に知られるようになったのは平成7年に執行された東村山市議選直後である。この市議選で朝木直子は母親で後に万引きを苦に自殺を遂げる朝木明代とともに当選したものの、矢野は次点で落選した。ところが直子は千葉県松戸市に住民票を移し、自らの当選の無効化をはかり、まんまと矢野を繰り上げ当選させた。有名な議席譲渡事件である。

 2年後、最高裁が矢野の繰り上げ当選を無効とする判決を言い渡し、矢野は東村山市議会を追われた。しかし矢野も直子も市民に対してなんらの謝罪もしておらず、それどころか彼らの暴挙と責任を追及した市民に対して告訴や民事提訴を繰り返した。

 議席譲渡事件発生から2カ月後に起きたのが朝木明代による万引き事件である。最終的に明代は書類送検され、このことが自殺の動機になったのではないかとみられている。トップ当選議員である明代にとって、また社会的批判を浴びた議席譲渡の末に東村山市議となった矢野穂積にとって、明代の万引き発覚は痛手だったにちがいない。矢野と明代は万引き被害者を脅し、あるいはアリバイ工作を共謀するなどして事件の隠蔽をはかった。しかし逆に、これらの工作が悪質と判断され、明代は書類送検されるに至った。

 矢野は明代の自殺後も万引きの事実を認めず、「草の根」の政治宣伝紙「東村山市民新聞」で逆に万引き被害者について「あたかも万引き事件を捏造し、明代を陥れた」かのような宣伝を繰り返した。万引き被害者は平成9年、矢野と朝木直子を提訴したが、彼らはその際「東村山市民新聞」第84号で万引き被害者を次のように揶揄した。



(「東村山市民新聞」第84号=佐藤提出の書証①)

「飛んで火に入る夏の虫?」
「『真犯人の指紋のついたTシャツのビニールカバーを保管もしないで、なぜ物的証拠もなしに朝木議員をTシャツ万引きの犯人扱いしたの』と指摘した本紙を女洋品店主が提訴。本人尋問ができ、逆に手間省け。」



 明代の万引きの事実を誰より知りながら、しかも万引き被害者をどこまでも加害者扱いするとはやはり尋常とはいえない。被害者が矢野と朝木を提訴したこの裁判では、東京高裁が矢野らに100万円の支払いを命じる判決を言い渡している。この事実からも、矢野の記事が事実を隠蔽しようとするものだったことがわかろう。

役に立たない「東村山の闇」判決

 矢野・朝木の共著『東村山の闇』の記載をめぐり当時の捜査責任者、千葉英司から提訴された裁判で東京地裁は〈控訴人ら(筆者注=矢野・朝木)において、本件窃盗被疑事件について明代が犯人でないことをうかがわせる証拠があると信ずるについて相当の理由がなかったとはいえない〉と判示し、千葉の請求を棄却した。矢野は佐藤を提訴したこの裁判で「東村山の闇」判決を理由に、「戸塚に敗訴した判決の判旨が否定された(明代の犯人性が否定された)」(趣旨)などと主張した。これに対して東京地裁は次のように述べて矢野らの主張を排斥している。



 警察の捜査や広報のあり方についての批判が名誉毀損にならないことから直ちに、私人である「被控訴人(万引き被害者)が創価学会や公明党と共謀の上、本件万引き事件を捏造して故明代を罪に陥れようとしたとの事実」を「真実と信ずるについて相当の理由があった」ことにはならないものであるから、上記原告らの主張は理由がない。



 万引き被害者の訴えを捏造呼ばわりするなどした被害者に対する矢野の執拗な嫌がらせの事実を事実上認定したに等しく、東京地裁はこの事実もまた、矢野と朝木が〈パーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動〉の一つと考えたことがうかがえた。

(つづく)

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佐藤ブログ事件控訴審 第3回
常軌を逸した雑言の数々

 矢野、朝木による他の議員に対する誹謗中傷の例では、最近では佐藤に対する「公選法違反の疑惑」などとする執拗なネガティブキャンペーン、薄井政美に対する「エロキャスター」などの誹謗中傷(佐藤提出書証の③=本連載第2回)が記憶に新しいが、矢野は市議になる以前から朝木明代以外の東村山市議に対してさまざまな揶揄や暴言を繰り返している(佐藤提出書証の④=同)。これらについて東京地裁は次のように認定している。



 その批判に当たり使用された文言及び回数については、例えば「ピーマン議員」「アホキピーマン」「心身症」「失語症」「ハエ男」「足の長さが足りなくて」「常軌を超える偏執」「偏執症」のように、口汚く(一部は、差別的でさえある)、激烈であり、執拗であるとの批判が当てはまるものである。



 これらの文言には議員に対する批判を超えてなんらかの個人的な感情やこだわり、あるいは必要以上に市議たちを見下そうとする矢野特有の優越意識が働いているように思える。少なくともここに挙げられた文言はどうみても政治的批判とは無関係のように思える。

 また矢野と朝木は裁判で、佐藤と薄井に対する非難をめぐる裁判(薄井については一部)では違法性は認められなかったとして、これらについて批判されるいわれはないなどとも主張していた。この主張に対して東京地裁はこう述べた。



 意見ないし論評を表明する自由が民主主義社会において不可欠な表現の自由の根幹を構成するものであり、不法行為法上違法とはならないことと、不法行為法上は違法ではない意見を表明した者が公選の公務員としてふさわしいか否かを判断するために、そのような意見表明がどの程度の根拠を有してされたか、その際の表現方法が過激なものかについて論評することは、別問題である。



 簡単にいえば、その表現行為が不法行為に当たるかどうかということと、その表現内容がまともであるかどうかについて論評することは別問題で、その点について市民が論評することには問題がないということである。その上で東京地裁は佐藤、薄井に対する批判を含めた市議に対する誹謗中傷の点について次のように述べた。



 他者に対する批判につき正当な根拠を有する場合であったとしても、表現方法における口汚さ、過激さ及び執拗さは、公選の公務員としての適格性を判断するに当たって当然考慮されるべき事項であるが、原告らには、表現方法の点で、厳しい批判を受けてもやむを得ない点があったものである。



 東京地裁は佐藤や薄井、さらにはかつての他の議員たちに対する誹謗中傷の事実についても、矢野と朝木の「パーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動」の重要な根拠とみなしたようである。きわめて正当な判断ではあるまいか。

過去にも「特異性」を認定

 ところで、矢野と朝木の特異性が認定されたのはこれが初めてではない。

 明代の自殺後、これを「他殺」と印象づけたかった矢野は「暴漢に襲われた」として見ず知らずの少年を暴行犯に仕立て上げたことがある(=少年冤罪事件)。少年はいったんは東村山署の取り調べを受けたものの即日、嫌疑なしとして釈放されている。ところが矢野は、今度はこの少年に対して民事で損害賠償請求訴訟を提起したのである。裁判は2年に及んだが、東京地裁八王子支部は矢野の請求を棄却する判決を言い渡し、矢野について次のように述べている。

〈仮にも公職にある者(筆者注=矢野)がこの曖昧な記憶に基づき、しかも司法警察職員による捜査……がなされながら刑事訴追の手続きが執られていない被告を名指しで犯人であると断定している点において極めて特異であると言わねばならない。〉(佐藤提出の書証⑤=同)

 この判決に対して矢野が、そもそも裁判官が「中立ではなかった」として非難したのが「東村山市民新聞第118号」(佐藤提出の書証②)の「……95年7月16日夜に、暴漢に襲われて前歯をおるなどの重傷を負った事件で……創価より裁判官はこの事実をわざと無視。」とする記事である。

 この判決の存在について今回の裁判で東京地裁は次のように述べている。



 公選の公務員の適格性を有するか否かを判断するに当たっては、不当な訴訟上の請求の存在は、それが多くの訴訟上の請求の全部ではない場合であっても、当然批判の対象となるものである。



 さらに矢野と朝木による議席譲渡を追及した「『草の根グループ』の議席の私物化を許さない会」(以下=「許さない会」)を矢野と朝木が提訴した裁判でもきわめて的確な判断がなされた。有名な「パラノイア裁判」(佐藤提出の書証⑤=同)である。

 平成9年12月、「許さない会」は議席譲渡事件を追及する『手を結ぶ市民のニュース』で矢野と朝木について次のように記載した。



(「手を結ぶ市民のニュース」の記載)

〈一人の異常とも思える人間(筆者注=矢野を指す)〉

〈矢野氏は物事を自分本位に解釈して、訴訟を計画し、これをもって時には脅し、執拗なまでに実行します。また自分の憶測を理屈づけ、朝木直子さんという媒体を巧みに利用し、多くの市民を味方に惹きつけようとしています。精神分析のリポートによりますと、パラノイア(偏執病・妄想病)の中でも好訴妄想者がこうした傾向を示す場合が多いと云います。〉



 東京地裁はこの文章について、矢野の行動が「パラノイアの中でも好訴妄想者」と同様の傾向を示すものであると論評するもので、矢野の社会的評価を低下させるものと認定したが、東京地裁は次のように判示し、矢野の請求を棄却した。



〈原告矢野は物事を自分本位に解釈する、また、自分の憶測を理屈づけるとの論評及び……一人の異常とも思える人間との論評の前提となる事実は相応の根拠があるということができる。〉

〈原告矢野は訴訟を計画し、これをもって時には脅し、執拗なまでに実行するとの論評の前提となる事実は相応の根拠がある。〉

〈パラノイアに関する論評は、上記各論評を前提にしたものであることからすると、表現自体はやや穏当さを欠くものであるが、当該論評の前提たる事実もまた相応の根拠があると認められる。〉



 矢野は控訴したものの、控訴審第1回口頭弁論当日、なぜか控訴を取り下げて一審判決が確定している。また「超党派で作る新聞」事件では「矢野は訴訟を脅しに利用」などとする記載について東京地裁は「記事の前提には根拠がある」と認定し、確定している。

 これらの判決もまた「パーソナリティ障害等」をうかがわせるコメントの前提として、相当性の根拠として提出され(佐藤提出書証の⑤)、東京地裁はこれらの判決もコメントの相当の根拠と認めた。

 こうして矢野と朝木の請求は棄却されたのである。

矢野と朝木をよく知る構成

 当然、矢野と朝木は控訴し10月3日、控訴審第1回口頭弁論が開かれた。裁判官席を見ると、これまで何度か見たことのある裁判官が並んでいた。薄井が矢野と朝木を提訴した事件を裁いた加藤新太郎裁判長、右陪審は八王子地裁時代に千葉が提訴した事件の裁判官で矢野と朝木の人となりをよく知る加藤見枝子裁判官である。この2人は偶然かどうか、私が浦安の行政書士を提訴していた裁判も担当していた。

 さて矢野と朝木は8月下旬に83ページに及ぶ控訴理由書と分厚い書証を提出しており、控訴審も予断を許さないと私はみていた。加藤裁判長は開口一番、とぼけたセリフを口にした。

裁判長  控訴人も被控訴人も、いずれも議員さんですね。

 念を押したということかもしれないが、2人が市議会議員であることを加藤裁判長が知らないはずがない。特に矢野と朝木には、薄井の裁判で100万円の支払いを命じたばかりである。

 加藤裁判長はこの裁判をどう見ているのか。しかし裁判長はこんな独り言をつぶやいただけだった。

裁判長  (2人とも議員だから)議会で議論すればいいと思うけど、そうもいかないのかな……。

 裁判長は「そうもいかない」理由も薄々承知のはずだが、あえて議論うんぬんを持ち出したのはあてつけだろうか。いずれにしても、これだけでは裁判長の心中を推し量ることは難しい。結局、裁判長は最後まで特に裁判の内容には触れないまま、判決期日を言い渡した。

裁判長  はい、それではこれで結審といたします。判決言い渡しは12月21日午後1時とします。

(「控訴審判決後」につづく)

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佐藤ブログ事件控訴審 第4回
 平成19年6月から7月にかけて、東村山市議、佐藤真和のブログに市民が投稿したこれらのコメントによって名誉を傷つけられたとして、東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が同市議の佐藤真和を提訴していた裁判で平成23年12月21日、東京高裁は一審に続き矢野と朝木の請求を棄却する判決を言い渡した。

そもそもの発端は矢野らによる誹謗中傷

 矢野と朝木が問題としたコメントとは以下のとおりである。


 
〈他人を攻撃(=八つ当たり)する事で、心の虚無を埋めようとする方々とお見受けしました。心理学では「共依存」!? 「境界性人格障害」「攻撃性人格障害」……など幾つかの名を付けて分析・対処方法を研究しているはずです。〉

〈草の根の人たちは、病気なんです。他人を攻撃することで、自己のアイデンティティを保っているんですから。〉

〈この二人が市議として存在することが東村山の大問題ではないでしょうか。Aさんが挙げておられる心理学上の分類に「サイコパス」も追加させてください。〉(これはブログの運営者である佐藤が、コメントの一部に明らかに不適切と判断できる文言が含まれていたため、削除した上で掲載した)



 市民らは理由もなくこれらのコメントを投稿したわけではない。平成19年4月に執行された東村山市議選で新人の薄井政美が当選を果たした。ところが矢野と朝木は当選が確定するや否や薄井に対して「セクハラ市議」などとする誹謗中傷を始めたのである。薄井の前職を問題とするきわめて卑劣かつ執拗なものだった。

 これに対して市民の間から「職業差別だ」とする批判が巻き起こった。しかし矢野と朝木は薄井に対する誹謗中傷をエスカレートする一方、薄井を擁護し、矢野らを批判する市民に対して提訴を匂わせて脅すなど一般市民に対しても攻撃の矛先を向けたのである。

 薄井攻撃だけでなく、自分たちを批判する者たちに対しても際限なく攻撃の手を広げる矢野と朝木の姿を目の当たりにした市民は、世の中にこんな人間がいるのかと恐れおののき、さらに市議会議員として当選していることに驚きを隠せなかった。このことは、それまで「草の根」を何か市民の声を代弁するグループと思い込まされていた東村山市民の目を覚まさせもした。

 こうした矢野と朝木の、市民に対して常に優位に立とうとする姿勢は今に始まったものではなかった。今から16年前の平成7年4月に行われた東村山市議選で矢野と朝木は、当選した朝木が落選した矢野を繰り上げ当選させるために当選を辞退するという、前代未聞の議席譲渡事件を引き起こした。もちろん「草の根」グループは社会的な批判を浴びたが、彼らはいっさい非を認めず、自己正当化を続けたのみならず、彼らを批判した市民に対して告訴、提訴を繰り返したのである。

 矢野はいったん繰り上げ当選者となったが、それから2年後、最高裁が矢野の繰り上げ当選を無効とする判決を言い渡し、矢野は議会から放逐された。議席譲渡は民意を愚弄するものであるとして市民(「『草の根グループ』の議席の私物化を許さない会」)が闘い続けたことで民主主義が守られたのである。

 しかし現在もなお、矢野と朝木の口から市民に対する反省の言葉は聞かれない。彼らはいっさいの批判を受け付けず、非を認めることもない。それどころか逆に、彼らを批判する者、地位を脅かす者に対してはさまざまな嫌がらせを繰り返す。

 薄井問題でも矢野と朝木の対応は同じだった。一般市民が「提訴するぞ」といわれれば怯えるのが普通だろう。実際に、矢野と朝木から名指しで攻撃された市民の中には精神的に追い詰められたり、体調をおかしくした人さえいた。こうした矢野と朝木の特異な体質を知り、思い余った市民が佐藤のブログに正直な感想を述べたのだった。つまり今回の問題の本当のきっかけは、矢野と朝木による薄井に対する悪質な誹謗中傷にあったといえる。

「それなりの言動」を認定

 矢野と朝木の提訴に対して一審の東京地裁立川支部は請求を棄却する判決を言い渡した。まず東京地裁はブログに投稿されたコメントについて次のように認定した。

〈原告ら(矢野と朝木)が病気の一種であるパーソナリティ障害(筆者注=判決では「パーソナリティ障害」について、「精神病ではないとはいえ精神医学で取り扱われ、治療の対象となっている」と規定している)等を有するとの事実を表明したものと認めるべきである。〉

 また、提訴されたのが投稿者本人ではなくブログ運営者であるためプロバイダ責任制限法が適用されるとし、本件は「運営者が記載内容に真実性および相当性が存在しないことを知っていたか、知ることができたと認めるに足りる理由があった場合には名誉毀損が成立する」との認識を示した。コメントの投稿が自由なブログの運営者は、コメントの真実性を事前にすべて確認することは不可能だから、明らかな虚偽や悪質なコメントと判断できる場合を除き、責任を問われないようにするのがプロバイダ責任法の趣旨である。

 その上で東京地裁は、



〈被告ブログ掲示板の管理者である被告につき、(プロバイダ責任法)に該当する事由があったと認めることはできない。かえって、後記イ~オに説示するとおり、原告らにはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があったものである……〉



 と述べて彼らの請求を棄却した。判決文のこの一節で注目されるのは、東京地裁が後段で〈かえって、後記イ~オに説示するとおり〉として、判断の主たる根拠となったのが矢野と朝木がこれまでに行ってきた誹謗中傷の数々、あるいはかつて裁判所が彼らに対して行った珍しい認定だった(判決文中の「後記イ~オ」)ことをうかがわせている点である。

 その中には、矢野と朝木による薄井攻撃も含まれる。この点からも、問題となったコメントが投稿される原因が彼ら自身にあったといえるのではあるまいか。

(つづく)

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佐藤ブログ事件控訴審 第5回
控訴審も一審を追認

 矢野は控訴審で80ページを超える準備書面を提出していた。その主張はおおむね以下のとおりである。



①佐藤はプロバイダ責任制限法がいう特定電気通信役務提供者に該当せず、一審の判断は誤りである。

②このため一審判決は〈草の根の人たちは、病気なんです。〉などとのコメントについて真実性・相当性があるか否かの判断をしていない。



 ――などである。

 これに対して東京高裁は次のように述べて矢野らの主張をいずれも否定した。



(東京高裁の判断)

〈佐藤は特定電気通信役務提供者に当たり〉

〈本件各書き込みには、控訴人ら(筆者注=矢野と朝木)について「共依存」、「境界性人格障害」、「攻撃性人格障害」、「パワーゲーム」、「病気」及び「サイコパス」という指摘があるが、原判決30頁26行目ないし35頁8行目の事実に照らせば、①上記各指摘が真実でなく、又は投稿者がこれを真実であると信じるについて相当の理由がないことを被控訴人が知っていた事実、②被控訴人がこれを知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある事実を認めることはできない。〉



 ここで東京高裁が、「矢野らに対する『病気』などとするコメントが事実に反することを被控訴人が知っていたとは認められない」と判断した根拠として採用したのが、一審判決が〈かえって、後記イ~オに説示するとおり、原告らにはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があったものである〉として示した各事実=〈原判決30頁26行目ないし35頁8行目の事実〉だった。東京高裁もまた、過去の矢野と朝木の言動によって、「パーソナリティ障害等であることを疑わせる言動」があったと判断したものと理解できよう。

 矢野と朝木は一審判決が真実性・相当性の判断をしていないと主張したが、そもそもプロバイダ責任制限法において特定電気通信役務提供者はコメント内容の真実性・相当性までを検証する必要はなく、①コメント内容が真実でなく、または相当性がないことを運営者が知っていたか、②知ることができたと認められる以外は違法性は問われない。

〈パーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動〉

 ブログ運営者である佐藤の免責を認定した裁判所が一、二審とも、たんにコメントに真実性・相当性がないことを知り得なかったとしたのではなく、むしろ矢野らに「パーソナリティ障害等であることを疑わせる言動」あったと積極的に認定したことは特筆に値しよう。

 裁判所が〈原告らにはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があった〉と認定させた事例について改めて確認しておこう。



①万引き被害者に対する誹謗中傷

『東村山市民新聞』(矢野と朝木が発行する政治宣伝紙)の記載


〈飛んで火に入る虫?〉

〈『真犯人の指紋のついたTシャツのビニールカバーを保管もしないで、なぜ物的証拠もなしに朝木議員をTシャツ万引きの犯人扱いしたの』と指摘した本紙を女洋品店主が提訴。本人尋問でき、逆に手間省け。〉



 朝木明代(朝木直子の母親)の万引き事件をめぐり、矢野は万引き被害者に対して万引きを捏造したとする宣伝を繰り返した。これに対して被害者は矢野を提訴した。その直後に掲載したのがこの記事である。ここでも被害者が加害者であるような宣伝をしていることがわかろう。

 明代の万引き事件で矢野は明代とアリバイ工作を共謀し、万引き被害者に対する嫌がらせを繰り返した。すなわち矢野は、明代の万引きが事実であることを認識していたはずである。それでもなお被害者に対してここまで誹謗中傷を繰り返すとは、やはり「原告らがパーソナリティ障害等であることを疑わせる言動」と判断されてもやむを得まい。



②少年冤罪事件

『東村山市民新聞』の記載


〈95年7月16日夜に、暴漢に襲われて前歯をおるなどの重傷を負った事件で……創価より裁判官はこの事実をわざと無視。〉



 平成7年7月、矢野は暴行を受けたとして1人の少年(当時は未成年)を警察に突き出した。しかし少年は矢野とはまったくの見ず知らずで、暴行についても身に覚えがないことが判明した。ところが矢野は、今度は少年を民事で提訴したのである。

 しかし裁判で矢野は、当然ながら少年が犯人であるとする確たる証拠を提出することはできず、裁判所は矢野の主張には信憑性がないと判断し、次のように述べた。

〈原告(矢野)が被告を本件暴行の犯人である旨断じた根拠は専ら原告の記憶にあるというのであるが、記憶の曖昧さは経験則上明らかであるから、仮にも公職にある者がこの曖昧な記憶に基づき、しかも司法警察職員による捜査がなされながら刑事訴追の手続きが執られていない被告を名指しで犯人であると断定している点において極めて特異であると言わねばならない。〉

 きわめて正当な判決だと思うが、矢野は、「創価より裁判官」と今度は裁判官に公平ではないというレッテルを貼ることで自らを正当化しようとしたのである。そもそもありもしない事実をでっち上げただけでも尋常ではないが、今度は裁判官まで誹謗するとはやはり「パーソナリティ障害等であることを疑わせる言動」と判断されてもやむを得まい。

(つづく)

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