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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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東村山市議会傍聴記(平成27年6月--その2)
転んでいた年配者

 矢野の「体調不良」の度合いをうかがわせる出来事があったのは、一般質問の2日目が行われた6月8日午前9時30分ごろである。

 東村山は南北に府中街道が通っており、東村山駅東口から市役所まで府中街道を通れば徒歩15分程度の距離にある。東村山駅から市役所に向かうと、そのすぐ手前に警視庁東村山署がある。かつて矢野と親密な関係にあった朝木直子の母親、「草の根市民クラブ」の朝木明代が平成7年6月19日に洋品店で万引きをし、取り調べを受けたのはここ東村山署だった。ちょうど20年前の今ごろである。

 一般質問の開始時刻は午前10時である。ある東村山市議が議会に出席するために自転車で府中街道を東村山駅方向から市役所へと向かっていた。すると東村山署の手前に差しかかったあたりの左側歩道の脇で、しゃがみ込んでいたのか、転んだのかはわからないが、両膝をついた状態から立ち上がろうとしている男がいた。男は立ち上がろうとしてまたつまずき、また転びそうになった。市議は男の状態が普通とは思えなかったので、自転車を降りて近づくと、男は矢野穂積だとわかった。

 市議が矢野に「大丈夫ですか」と声をかけると、矢野は「つまずいて転んだんだよ」と答えた。市議が「市役所までいっしょに行きましょうか?」と聞いたところ、矢野は「大丈夫」というので、市議は再び自転車に乗って市役所に向かった。市議は矢野の様子がただ転んだのではないように見えたから声をかけたのだという。その日、矢野は本会議が始まる前に議長に対して「体調が悪いので午後から早退させてほしい」旨の届けを出し、早退したのだった。

 普通の議員なら問題視するようなことではないが、体調不良で議会を休んでいた議員を非難していた矢野に限っては「体調不良」だろうが何だろうが、這ってでも議会に出なければならない。だから、体調不良を押して会議に出席したこと自体は評価もしよう。しかし残念ながら矢野は、現実には3月定例会に続き、6月定例会でも早退(欠席)してしまった。矢野は自分の言葉に対する責任を取るのだろうか。

 6月議会では1回の早退ですんだが、矢野の早退は3月に続いて2度目である。9月議会でも同じような欠席が続くようなら、矢野は自分自身の発言に対するけじめをつけねばなるまい。あるいは朝木ともども、別の「けじめ」を求められる可能性もあるのかもしれないが。

不可解な経路

 余談だが、矢野が転んだ日、矢野が東村山駅方向から徒歩で府中街道を通って市役所に向かっていたことが明らかである。矢野の自宅は市役所を挟んで東村山駅とはまったく逆の方向にある。つまり矢野が歩いていたのは、矢野が自宅から市役所に向かったのだとすれば、通常ではあり得ない経路だった。

 あるいはたまたまその日に限って東村山駅方向に行く用事があり、そこから市役所に向かったという可能性も考えられた。しかし翌日も、東村山駅方向から市役所に向かって歩く矢野が目撃されていたのである。その理由は定かではない。

不親切な慣例

 ところで6月8日午後、矢野がいなくなった議場の様子はどうだったのだろうか。この日も3月のときと同様、議長(午後からは公明党の副議長に交替していた)からは矢野の早退とその理由について議場内に向けて何のアナウンスもなく、名札も立ったままで、議席を見るかぎり「出席」しているのと同じ状態となっていた。

 このことについて議会事務局に聞くと、東村山市議会にはこんな慣例があるというのである。「終日欠席」の届けがあった場合には議長が開会前に議場内にアナウンスをする。しかし開会前に「早退」の届けがあり、午前中は本人が会議に出席し、午後に早退した場合には、そのことについて特に議場内にはアナウンスしない。だから、この日も副議長は議会事務局から矢野の不在について説明の必要はないといわれたという。議会事務局もまたこのまったく合理性のない慣例を継承してきたのだ。

 名札の扱いについては、事務局には特に何も感じていないようだった。6月議会の最終日、議長が閉会を告げると矢野は立ち上がるやいなや名札を倒していた。議場を退出する際には倒し、着席すれば立てるのが通常ではないのだろうか。名札の扱いについて東村山市議会にはどんな慣例があるのか知らないが、短時間の退出は別にして、早退を含めて欠席している議員の名札が立ったままというのは市民だけでなく他の議員にも誤解を招こう。

つれない返事

 さて、矢野に対しては確認しておきたいことがあった。武蔵村山市議のコメントで初めて明らかになった『東村山の闇2』に関してである。東村山中央図書館のサイトで検索すると『東村山の闇2――女性市議殺害事件20年目の真実』という書籍名が出てくる。『東村山の闇』の副題は「女性市議転落死事件」だった。つまり最初は「転落死事件」だったものが「殺害事件」へと変わったことになる。捜査機関は事件性を否定したが、矢野には「殺害事件」と断定する根拠があるということらしかった。

 それがどんな根拠によるというのか、20年間取材してきた者としては内容を読みたいと思うが、あいにく図書館は「貸出中」でいつ順番が回ってくるかわからない状態である。しかも「自費出版」ということだから、本を入手しようと思えば発行人に直接申し込むしかない。

 6月11日、矢野が委員を務める総務委員会が開かれた。3日前に早退した矢野も(一見)元気に出席していた。委員会終了後、控室前に矢野が戻ってきた。ちょうどいい機会なので、私は本のことを直接聞いてみることにした。以下は矢野とのやりとりである。



――本を売ってもらえない?

矢野  お前に売る本なんかない。

――せっかく出版したんなら、広く読んでもらわないと。

矢野  売る本なんかないんだよ。



 矢野は立ち止まることもなく、そう言い放つと控室の中に消えた。矢野は私に『東村山の闇2』を売ることを拒否したのである。武蔵村山市議や香川大学の教授には売っても、私には売れないとは、いったいどういう事情なのだろう。あるいは、その答えは『東村山の闇2』の中にあるのかもしれなかった。

(了)
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矢野穂積(草の根市民クラブ)が9月議会を「全休」
3月から早退繰り返す

  東村山市議、矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が年4回(3月、6月、9月、12月)発行している政治宣伝ビラ『東村山市民新聞』が、平成27年6月分に限ってはひと月遅れの7月31日付で発行された。3面の記事によれば、矢野は〈3月末から3カ月間〉入院したというから、6月末から7月の頭に退院して7月末の発行にこぎつけたということだろうか。

 矢野は3月議会から6月議会にかけて早退や遅刻を繰り返している。すると6月議会については入院先の病院から議会に出席していたようである。確かに当時、矢野は自宅とは反対方向(東村山駅方向)から市役所に歩いているのを目撃されている。市役所から東村山駅を過ぎてさらに北に向かうと入院可能な病院がある。

 退院して体調は回復したのだろうか。9月1日に開かれた東村山市議会9月定例会の初日、矢野は10数分も遅刻して本会議場に入ってきた。その足元はフラついており、どことなく痩せたようにみえる。その様子入院先の病院から議会に通っていた6月から改善されたようにはあまり感じられなかった。

 それでも7月31日付のビラでは〈関係者には大変ご心配をおかけした〉などと記載している。たまたまその日にかぎって調子が悪かっただけかもしれない――そう思っていた。

「9月定例会を休む」との届出

 ところがそれから1日の休みを挟んで開かれた9月3日の本会議では、朝木を通して事前に「矢野さんは今日は欠席する」との届出があった。そのとおり、矢野はこの日、終日会議を欠席した。6月議会では午前中は出席して午後早退したことはあったが、会議を終日欠席することはなかった。終日欠席するとは、まだ体調が戻っていないのだろうか。

 翌日の9月4日になって、矢野の体調があまり思わしくないらしいことがはっきりした。矢野は朝木を介して、今度は文書で「9月4日以降の9月定例会を全休する」との届出を、診断書を添えて提出したのである。なお、届出書には「出席できる場合には出席することもある」旨の記載もあったという。

 東村山市議会会議規則第2条には、〈議員は、事故のため出席できないときは、その理由を付け、当日の開議時刻までに議長に届け出なければならない。〉と規定されている。矢野は会議規則に従い、議長に欠席する旨の届出をしたわけだが、その「理由」が、添付された診断書ということになる。

 診断書の内容(病名)までは開示されないが、矢野がビラで自ら明らかにした入院の原因と同じとみるのが自然だろう。その上に、肋骨を骨折したという話も聞こえている。足の衰えから転倒でもしたのだろうか。ただ「何者かによって突き倒された」とは主張していないようである。

 9月4日からは一般質問が始まった。矢野は9月8日に質問に立つ予定で、すでに通告書も提出していたから、多少無理をしてでも一般質問だけには出席する可能性もあると思われた。しかし9月8日も、開会前に議長から矢野が欠席する旨のアナウンスがあり、矢野はこの日も出席しなかった。

1年前の主張

 ところで、ほぼ1年前に発行された平成26年6月30日付『東村山市民新聞』第182号には〈公明市議、4カ月長期欠席を続ける〉との記事があり、矢野は次のように主張している。



(ビラ第182号の記載)
 
 公明・小松賢市議が今年3月議会の2月28日から4カ月以上も長期欠席を続けており、6月市議会も……結局、1日も会議には出席しなかった。むろん、報酬は毎月うけとっている。

 欠席が続いているのに、診断書が提出されたのは、6月市議会が始まってからで、それまでは欠席理由さえ明らかにされてなかった。

 過去にも長期欠席していた自民・伊藤順弘市議は……任期を2年残して途中辞職している。

 途中で辞職するとすれば、小松市議には気の毒な話だが市議というのは、公職だ。



 要するに矢野は、「長期欠席するのなら辞職すべき」と主張しているのである。矢野は平成26年9月30日付第183号でも〈公明市議、半年以上長期欠席を続ける〉とタイトルを変えてほぼ同じスペースで同様の主張を行い、「辞職すべき」との批判を繰り返した。

 市議会議員は市民の負託を受けた存在であり、第三者がその出処進退について軽々に口にすべきものではない。そのことを前提にいわせてもらうと、上記の主語を「矢野」に入れ替えれば、「終日の休み」と「早退」の違い、また期間の差こそあれ、9月議会を初日に出席しただけで全休する矢野自身にそのまま跳ね返ってこよう。

未来を予見したかのような記載

 平成26年12月15日付第184号になると矢野は、1面で〈公明・小松市議、10カ月もの長期欠席〉として同様の批判を繰り返し、さらに3面では次のように主張している。



(ビラ第184号の記載)

 仮に病欠の場合、10カ月もの長期にわたって、欠席しているのだから、尋常な状態ではない。会議出席が中心の公務ですらできないとすれば、はやく職を辞して、治療に専念すべきだろう。



 小松は平成27年4月の市議選には立候補しない道を選んだ。政治家らしく自ら引退を決断したのである。

 一方、矢野は平成27年3月末から6月まで入院して病院から議会に通い、さらに9月議会は初日に出席しただけであとは全休するという。〈10カ月もの長期〉というわけではないが、「尋常な状態」なのかどうか。

 というよりも、この記事はまるで9カ月後の自分を予見していたかのようでさえある。ただ矢野の場合は、病気だけでなく、公選法違反で朝木直子とともに告発された身だというおまけ付きではあるが。

(了)
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東村山市議会傍聴記(平成27年12月--その1)
 東村山市議(「草の根市民クラブ」)で社会福祉法人「林檎の木」理事長の矢野穂積は平成27年11月30日、元東村山市議から提訴された裁判の口頭弁論に姿を見せなかった。同じく提訴され出廷した相被告の朝木直子(東村山市議=同)によれば、矢野は月水金は差し支えがあるとのことだった。

 矢野は9月議会をほぼ全休していた。仄聞するところによれば、どうも矢野は最近まで入院しており、月水金は差し支えがあるというのも入院と関係があるようだった。

 12月1日、東村山市議会12月定例会の初日を迎えた。この日は火曜日で、矢野は議場に姿をみせていた。しかしその足元は、病み上がりのせいか、かなりおぼつかないようにみえた。議事終了後には壁を伝うように廊下を歩いていたと聞く。

 翌日の水曜日は矢野の一般質問が予定されていた。月水金は差し支えがあるとのことだったが、矢野は朝から議会に出席し、午後3時ごろから一般質問を行った。本来は差し支えの日だが、通院の予定を変更したということらしかった。

 では、矢野があえて予定を変更して行った、6月定例会以来半年ぶりの一般質問の内容はどんなものだったのか。

尋常でない前置き

 12月定例会の矢野の一般質問の内容は①自衛隊員募集に関わる問題点②河川改修について③昭和病院運営の諸問題――の3点だった。なお、このうち②は9月定例会で行う予定だったが入院したためにできなかった質問である。

 順を追ってみていこうと思うが、質問の前置きが矢野の特異性と精神状態を映しているように思えてならなかった。矢野は最初にこう発言したのである。

「質問時間制限に抗議しておきます。かなり前に暴漢に襲われて前歯を折って、差し歯を入れていたんですが、その差し歯が取れてしまって聞き取りにくいかもしれません」(趣旨)

 と。「聞き取りにくいかもしれない」と断っておきたいのなら、それだけでよかろう。しかし矢野はいきなり余計な話をかぶせたのだった。

 矢野のいう「暴漢に襲われた」事件とは、矢野が「犯人」として突き出した未成年の少年を東村山署が「犯人」とは認定せず、また民事裁判でもその「少年」は無関係と認定された有名な「少年冤罪事件」のことである。矢野が特定する「少年」の冤罪が刑事でも民事でも確定しているということは、もはや事件の存在自体が疑わしいということでもあろう。にもかかわらず、矢野と朝木直子の共著『東村山の闇Ⅱ』ではとうとう「少年」の実名まで公表に及んでいる。

 矢野は議場で「少年」の実名を明かすことはなかったが、存在すら疑わしい「事件」を議会の場に持ち出すこと自体、もはや正気の沙汰とは思えない。存在を疑われるような話を冒頭に持ってきた背景には、元公明党市議から提訴されたこと、公選法違反で告発されたことに対する矢野特有の強い敵愾心があったのではないかと推察する。

 いずれにしても、実名を出していないとはいえ、「暴行事件」の存在を主張するこの発言は、根拠もなく1人の東村山市民を「暴行犯」と主張するもので、とうてい許されるものではあるまい。それを議会の場で発言するなど、東村山市民を愚弄しているといわれても仕方があるまい。

 矢野と朝木直子は一般質問の際に必ず「質問時間制限に抗議する」という主張から入る。この「質問時間制限」とは、時間に制限のある行政運営に遅滞をきたさないために議会が議決(矢野と朝木は反対)したものである。したがって、議決した以上は、質問をする議員の側も、極力無駄を省いた中身の濃い質問を心がけなければならない。

 ひるがえって矢野の質問をみるとどうか。存在自体が疑われる「暴行事件」に触れることは市政とは何の関係もない。「質問時間制限に抗議する」などという前に、矢野は無意味な発言に質問時間を費やすことで自ら質問時間を浪費していることがわかろう。

 では、続く矢野の一般質問は「質問時間に抗議する」という発言に値するようなものだったのか。

趣旨不明の追及

 見ず知らずの市民を「暴行犯」と決め付ける悪質な前置きのあとに始まった最初の質問は、①「自衛隊募集に関する問題点」である。具体的な質問内容は、東村山市は平成27年3月、「自衛隊入隊予定者激励会」を開催したが、この激励会はどんな法令に基づくもので、また市は開催にあたって経費負担をしているのか――などというものだった。

 担当所管は、この激励会が法令に基づくものであること、東村山市の負担はない――などと答弁した。しかし矢野にはその答弁が納得のいくものでなかったらしく、何度も同じ質問を繰り返した。

 矢野は東村山市が自衛隊入隊予定者の激励会を開催したことを批判したいのだと推測されるが、法令上の裏付けがないというのなら、その旨を明確にして質問すべきではあるまいか。所管に対して同じ質問を繰り返すだけでは、たんに所管を追及するために質問しているように受け取られかねまい。

 結局、何のためにこの質疑を行ったのか、私にはよく理解できなかった。矢野は以前にも似たような質問をしているが、そのとき同様、私には矢野が、渡部市長の政治的スタンスが「自衛隊の存在を積極的に容認するもの」であると印象付けようとしているだけのように感じられてならなかった。なお矢野は、この質問に持ち時間の半分近くを費やした。

3月議会をなぞった質問

 次に取り上げたのは、②の「河川改修について」。この質問には複雑な背景事情があった。ざっと説明すると、平成26年、不動産業者が市内の急傾斜地(多摩湖町)を住宅地として開発しようとしたところ、当該地の下に位置する住宅地に水があふれるという事態が発生したため住民は開発の差し止めを求めるなどした。ところがその後に何が起きたのかは不明だが、最終的にその急傾斜地を墓地公園として開発しようという動きになった。

 平成27年3月議会で矢野は、墓地の建設を後押しするような質問を行った。墓地公園の開発によって雨水対策にもなるという主張のようだった。つまり、12月の一般質問で取り上げる「河川改修」とはそもそも墓地開発とセットで出てきたものだった。

 矢野としては「雨水対策」を追及して「雨水対策には急傾斜地の整備が必要」という答弁でも引き出したかったものと思われた。そうなれば、急傾斜地再開発の大義名分となる。

 しかし、これに対してまちづくり部長は「中・長期的な課題として対策を研究してまいりたい」と答弁するにとどまった。また墓地開発について市長は「東村山市墓地等の経営の許可等に関する条例」により認められないとし、「同条例の成立にあたっては矢野も賛成している」などと答弁した(この結果、この急傾斜地の開発は止まったままになっているようである)。市長の答弁によって、条例上、この急傾斜地における墓地開発は不可能であることがほぼ確定したことになる。

方便としての「河川改修」

 矢野も条例に賛成しているから、現状、墓地開発を求めていくのはやはり無理筋と判断したのだろうか。かといって、このまま手を引くのはプライドが許さなかったのだろうか。こうして3月議会の重要な要求のうちで生き残ったのが、本来は方便にすぎなかった「河川改修」だったようにみえる。

 12月議会で矢野は、「3月議会で中・長期的な課題として対策を研究してまいりたいといっていたが、どうなったか」(趣旨)と聞いた。しかし、まちづくり部長から返ってきた答弁は同じもので、「急傾斜地」に関する文言すら出てこなかった。

 矢野は「抜本的な対策(すなわち矢野の主張する「急傾斜地対策」)には手をつけないということか」と追及したが、所管の答弁内容に変わりはなかった。ところがこれに対して矢野はそれ以上の追及材料を持たないらしく、「もっと真剣に、地域住民のことを考えて対策を研究するようにお願いしておきます」と述べるのが精一杯だったのである。

 ②「河川改修について」と題する矢野の質問は、3月議会の質問をただ繰り返しただけであるのは明らかだった。この質問もまた、「質問時間制限に抗議する」というほどの内容とはとうてい思えなかった。しかし矢野のお粗末ぶりは、これで終わりではなかった。

(つづく)
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東村山市議会傍聴記(平成27年12月--その2)
衝撃的な告発

 矢野の3つ目のテーマは「昭和病院運営の諸問題」である。この質問については、論評抜きで現実にあった質疑の様子をまずみていただきたいと思う(なお、矢野の一般質問以外の不規則発言等については一部、筆者が補足した)。



(昭和病院運営の諸問題)

矢野  最後の昭和病院の問題ですが、この(筆者補足=病院のパンフレット)中に、ずいぶんなにか近代的で、職員も非常に真面目だというふうに書いてるんですが、私は10月の真ん中ぐらいまで入院してましたので、現実を味わわされたので、その点についてうかがっておきます。

 昭和病院の職員とりわけ看護師なんですが、3階の病棟の男性看護師2名、それから名前は1人はわかってますが、女性の看護師が何をやったかというと、私が入院して10日ちょっとたったあたりの話ですが、(筆者補足=やや音量を上げ、ゆっくりと)私の、局部を、つかんで、非常に人権侵害的な行為をした。私が激しく抗議をして、ようやくやめたわけですが、局部を、つかんで、(筆者補足議長「ちょっと言葉を慎んでいただけますか」。矢野「局部というのが何が悪いんだ。それはそういうことをした看護師がいたからだ」。議長「もうちょっと場所をわきまえて」という趣旨の発言)ということをあえていっておきたいと思います。

 患者に対するこのような人権侵害を看護師がしていいのかということを、あえて明らかにした上で、見解をうかがっておきます。

健康福祉部長 (筆者補足=昭和病院の看護師は患者、家族から)信頼される看護師としており、具体的には看護専門職として患者・家族の意思を尊重しながら高いレベルの知識、技術および判断に基づいて患者の生命力を引き出す看護を提供できる。看護専門職として思いやりのある対応ができる。看護専門職として自ら学ぶ姿勢を持ち、前向きに取り組むことができる。――ということでございました。

矢野  これは具体的な話ですから、「あなた、やったろ」といってもですね、素直に答える人はいないんですよね。で、質問として私が聞くのはこのへんでやめておきますが、所管としては、昭和病院に対して、きれいなパンフレットを作って宣伝をするだけじゃなくて、具体的な患者の人権を、守るように、きちんと指導をすべきであると思いますが、どうでしょうか。

議長 (筆者補足=健康福祉部長に)どうですか。答弁のしようがないでしょ。

健康福祉部長  申し訳ございませんが、事実(筆者注=局部に対する人権侵害)の確認ができない中で、ご答弁いたしかねます。

矢野  えー、普通はですね、そんなことはないんじゃないかと思いますけどね、私もね、びっくりしましたよ。それで相当強い抗議をして、やめてもらいましたけど、一般の人だったら、こんなことですむのかなと思ったりするぐらい激しいやり方で、やられました。

 で、こういうことを一応お伝えしたわけですから、機会をみてですね、昭和病院に対してはきちんとね、調査をして、こういうことはやんないようにということを、きちんと指導をするようにしてもらいたいと思います。

議長 (筆者補足=矢野に対して)終わり?

矢野  終わり。



 本会議のもようはインターネットだけでなく市役所1階ロビーでも実況中継されている。つまり、矢野の一連の発言はさまざまな手続きに訪れた市民が行き交う1階ロビーにも響いた。市議会としては痛恨の極みというほかあるまい。

 市会議員が本会議場で「局部をつかんで、人権侵害的行為をされた」などと発言していることに対して多くの市民が違和感を覚えたことだろう。温厚な議長まで「場所をわきまえていただきたい」と注意したように、矢野が入院していた病院で「人権侵害的行為を受けた」というのが仮に事実だったとしても、本会議の場であえて具体的行為に触れる必要があったとは思えない。そのこと自体が不適切であり、また議場でそのような発言をする議員(社会福祉法人の理事長でもある)が存在したこと自体が「衝撃的」というべきではあるまいか。

通告書に記載しなかった矢野

 矢野が平成27年11月24日付で議会事務局に送付した質問通告書には「昭和病院運営の諸問題」と題し、細目として「①職員(看護師)の資質について、②患者に対する人権意識のありかた、③職員研修はどのようになっているか、以上について総括的にうかがう」となっている。矢野は議場で自分が「人権侵害的行為」を受けたとし、所管にそれに対する見解をただした。しかし「人権侵害的行為」があったというのなら、通告の時点でその具体的内容を明らかにしておくべきではないのだろうか。そうすれば、所管としても一般質問までの1週間の間になんらかの調査ができるだろうし、答弁の仕方も大きく変ってこよう。

 矢野は通告書になぜ「人権侵害的行為」を受けたことを正直に書かなかったのか。そのこと自体、所管からまともな答弁を期待するものではなく、この質問によって何か市政の健全化や市民の利益に寄与しようとする気など最初からないことを示している――そう疑われても仕方がないのではあるまいか。

 事実ならそれはそもそも病院内で起きたことで、矢野が「人権侵害的行為」をされたというのなら、まずは病院に対して法的措置を含めた正式な抗議をすべきではあるまいか。しかし矢野の質問を聞くかぎり、東村山市に対して「機会をみて、きちんと指導してもらいたい」とやんわり要求する程度で、病院に対して直接抗議した様子はうかがえない。

 所管も答弁したように、矢野の主張だけでは事実の確認はできない。事実ならなんらかの指導か措置の必要も生じる可能性があるとはいえるだろう。しかしその一方、矢野が主張するような事実が確認できない場合には、「人権侵害的行為」と断定した矢野の発言は昭和病院の信用を著しく貶めるものということになる。質問を聞くかぎり、今後の対応は市にまかせたという感じだが、そんなことでいいのだろうか。

 この日の矢野の質問が病院の日程を変更するほどのものだったのかどうか。また、「質問時間制限に抗議する」と主張するほどの政治的、社会的意味を持つものだったのかどうか、今後の推移が注目される。
 
(了)
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東村山市議会傍聴記(平成28年3月定例会--その1)
 平成28年2月22日、東村山市議会3月定例会が初日を迎えた。実は3月議会が始まるにあたり、気になっていることが1つあった。平成27年12月定例会の最終日、議事の最後に議長がこんな発言をしたのである。



議長  地方自治法第132条にかかる発言、事実関係がはっきりしない事柄、すなわち確定されていない事柄を私的判断によって発言した者等があった場合には、その発言の取り消しを議長において判断します。このことは当然、これからの議会運営委員会(以下=「議運」)での議論、調査を待つわけでありますが、この条項違反の発言がなければこれを取り消す必要はないわけで、あればこれを取り消していくという処置をとっていきたいと思います。



 地方自治法第132条は、〈普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。〉と定めている。議長がわざわざ地方自治法を持ち出して発言するということは、議運で検討すべき議題があるということである。

普通ではあり得ない発言

 議運関係者によれば、本会議終了後、議長が述べた問題を議題とする議運が開かれた。問題となったのは、「草の根市民クラブ」代表の矢野穂積が行った一般質問における発言だった。矢野は「昭和問題の諸問題」と題する質問の中で次のように質問した。



(平成27年12月議会本会議における矢野の発言)

矢野   昭和病院の職員とりわけ看護師なんですが、3階の病棟の男性看護師2名、それから名前は1人はわかってますが、女性の看護師が何をやったかというと、私が入院して10日ちょっとたったあたりの話ですが、私の、局部を、つかんで、非常に人権侵害的な行為をした。私が激しく抗議をして、ようやくやめたわけですが、局部を、つかんで、……

議長  ちょっと言葉を慎んでいただけますか。

矢野  局部というのが何が悪いんだ。それはそういうことをした看護師がいたからだ、ということをあえていっておきたいと思います。患者に対するこのような人権侵害を看護師がしていいのかということを、あえて明らかにした上で、見解をうかがっておきます。



 答弁に立った健康福祉部長は矢野の具体的な質問内容には触れず、いったん病院側が示している看護師の指針について答弁した。すると矢野はさらに次のように畳みかけた。



矢野   これは具体的な話ですから、「あなた、やったろ」といってもですね、素直に答える人はいないんですよね。で、質問として私が聞くのはこのへんでやめておきますが、所管としては、昭和病院に対して、きれいなパンフレットを作って宣伝をするだけじゃなくて、具体的な患者の人権を、守るように、きちんと指導をすべきであると思いますが、どうでしょうか。



 議長は健康福祉部長に対して「どうですか。答弁のしようがないでしょ」と一応、答弁をうながした。すると健康福祉部長は立ち上がり、「(人権侵害の)事実が確認できない中で、ご答弁いたしかねます」と答えた。賢明な答弁である。

訴えられる可能性

 一般質問にあたっては、議員は事前に質問内容を通告することになっている。12月の一般質問に際して、矢野の通告書をみると、〈3 昭和病院運営の諸問題〉とする項目があるが、そこには〈①職員(看護師)の資質について②患者に対する人権意識のありかた③職員研修はどのようになっているか。以上について総括的にうかがう〉と記載されているのみである。したがって、いきなり一方的に「局部をつかんで」などといわれても所管が答弁できるはずがない。矢野としてもなんらかの事情があって、通告書には詳細を記載しなかったものと推測される。

 いずれにしても、市議会の本会議場で、議員の口から「局部をつかんで」などという発言はめったに聞かれるものではあるまい。通常は、事実が存在したとしても「人権侵害があった」ぐらいで止めるだろうし、それが事実なら、「人権侵害とは具体的に何か」と聞かれて初めて具体的な主張をすればよかろう。「局部」などという具体的な主張をするのは本会議場である必要もない。

 昭和病院は東村山市を含む近隣8市で構成する組合が運営する公立病院だから、市議会の一般質問で同病院の問題を取り上げること自体は問題がない。しかし、取り上げるにしても、取り上げ方というものがあろう。

 また矢野は上記の行為を「人権侵害的な行為をされた」と主張しているが、これはその時点ではまだ一方的な言い分に過ぎず、客観的にそのような事実があったことが確認されているわけではない。矢野は「局部をつかんで」と具体的行為を特定し、さらに「3階の病棟の男性看護師2名、それから名前は1人はわかってますが、女性の看護師」と、調べれば簡単に当該の看護師が特定できる発言をしている。したがって、その事実が存在しなかった場合には、逆に矢野が本会議場で行った発言こそが当該看護師に対する人権侵害となろう。

 その発言は傍聴人のみならず、庁内放送(1回ロビーで視聴できる)やインターネットを通じて不特定多数の市民(市民だけとは限らない)が視聴できる状態にあった。仮に矢野の発言をめぐり昭和病院が提訴すれば、東村山市は相当の対応を迫られるのは避けられない。また当然、矢野の発言が黙認されることになれば、このまま議事録に残ることになる。東村山市議会としてはそれだけでも末代までの恥というほかなく、議会として看過できないと判断されたのは当然だったのではあるまいか。

(つづく)
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東村山市議会傍聴記(平成28年3月定例会--その2)
議運も「不適切」と判断

 平成27年12月21日、本会議の終了後、議会運営委員会(以下=「議運」)が開かれた。その席で議論されたのは、「草の根市民クラブ」の矢野穂積が12月議会の一般質問で行った発言の一部が不適切ではないかということだった。「(昭和病院の看護師が)局部をつかんで、非常に人権侵害的な行為をした」とする趣旨の発言部分である。

 議運は自民3、公明3、共産1、民主1、「ともに生きよう!ネットワーク」1、「草の根市民クラブ」1(=朝木直子)、市民自治の会1の計11人で構成されている。議運関係者によれば、議運では全会一致かどうかは定かでないが、矢野に対して問題部分の削除を求める方針になったという。

 本会議で議長が述べた「地方自治法第132条にかかる発言」すなわち「無礼の言葉を使用」した場合に該当すると判断されたということと理解できる。なおここでいう「削除」とは、具体的にはのちに作製される議事録から削除するという意味である。

病院側もすでに把握

 その前に事実関係はどうだったのかという問題があろう。おそらく健康福祉部は矢野の質問のあと、矢野が訴えたような事実が本当にあったのかどうかを昭和病院に確認したものと思われた。病院側も当然、すぐに矢野を担当した看護師から事情を聴いたのではあるまいか。

 なぜなら、この議運が開かれたあと、矢野が「昭和病院で人権侵害行為を受けた」と議会で発言した事実を知っているかどうかを病院側に確認すると、担当者はその事実は知っていると答えた。矢野の発言の事実を知った以上、病院の担当者が現場に事情を聴くのは当然だろう。

「人権侵害的行為があった」というのが事実なら、矢野から損害賠償を求められる可能性もないとはいえない事案である。病院側としても事実関係を確認する必要があると考えるのはきわめて自然な判断だろうと思われた。

支離滅裂な事態に

 平成27年12月21日に議運で矢野の問題発言の削除を求める方針が確認されてから2カ月、その扱いはどうなったのか。3月議会が始まる前に東村山市議会HPをみると、平成27年12月定例会の議事録はすでに公表されていた。すると、平成27年12月2日に矢野が行った一般質問のうち、次の箇所が消えてなくなっていた。



(矢野の一般質問のうち、議事録から消えていた箇所)

「昭和病院の職員とりわけ看護師なんですが、3階の病棟の男性看護師2名、それから名前は1人はわかってますが、女性の看護師が何をやったかというと、私が入院して10日ちょっとたったあたりの話ですが、私の、局部を、つかんで、非常に人権侵害的な行為をした。私が激しく抗議をして、ようやくやめたわけですが、局部を、つかんで、……」

「局部というのが何が悪いんだ。それはそういうことをした看護師がいたからだ、ということをあえていっておきたいと思います。患者に対するこのような人権侵害を看護師がしていいのかということを、あえて明らかにした上で、見解をうかがっておきます。」



 しかし、上記の矢野の質問に対して健康福祉部長が昭和病院の基本姿勢を述べることでかわした直後の、矢野の次の質問箇所は削除されていない。

〈これは具体的な話ですから、「あなた、やったろ」といってもですね、素直に答える人はいないんですよね。で、質問として私が聞くのはこのへんでやめておきますが、所管としては、昭和病院に対して、きれいなパンフレットを作って宣伝をするだけじゃなくて、具体的な患者の人権を、守るように、きちんと指導をすべきであると思いますが、どうでしょうか。〉

 さらに、

〈普通はですね、そんなことはないんじゃないかと思いますけどね、私もね、びっくりしましたよ。それで相当強い抗議をして、やめてもらいましたけど、一般の人だったら、こんなことですむのかなと思ったりするぐらい激しいやり方で、やられました。

 で、こういうことを一応お伝えしたわけですから、機会をみてですね、昭和病院に対してはきちんとね、調査をして、こういうことはやんないようにということを、きちんと指導をするようにしてもらいたいと思います。〉

 との最後の質問部分も残っている。しかし、この議事録を読んだかぎりでは、矢野は「昭和病院に患者の人権を守るようにきちんと指導すべきである」といっているようではあるが、何に対して「相当強い抗議をした」のか、「こんなことですむのかなと思ったりするぐらい激しいやり方で、やられました」、「こういうことはやんないように」とはなんのことをいっているのか、さっぱりわからない支離滅裂な事態である。

 残した部分もいっそのこと削除してしまった方が、よほどすっきりした議事録になったのではないかという気もするが、議運としては、肝心な部分が削除されて意味が通じなくなったから、それでよしという判断だったのだろう。「一部を削除したからこうなった」という事実を残す意図なら意味がないとはいえないかもしれない。いずれにしても、かなり恥ずかしい議事録である。

回答しなかった矢野

 議運関係者によれば、平成27年12月21日の議論を経て、平成28年1月中旬に開いた会議で、矢野から問題箇所の削除に応じる旨の回答を得たことが報告され、了承されたとのことである。なお、議運の委員に名を連ねている「草の根市民クラブ」の朝木直子がどんな態度だったのかは定かでない。

 朝木直子の母親で、万引きを苦に自殺した故朝木明代は、東村山市議だった当時、不適切な発言をして議事録から削除されることが多々あった。削除をめぐり提訴したこともある。では今回、矢野の発言を削除したことで矢野から提訴される可能性はないのだろうか。

 矢野は本当に削除に応じたのだろうか。東村山市議会3月定例会の初日、午前の会議を終えて矢野が控室から出てきたところに出会ったので、直接確認してみた。

――議事録の削除に応じたんですね。

 削除に応じたのでなければ、当然「そんな事実はない」と否定するだろう。ところが矢野からはいっさい否定の言葉は返ってこなかった。午後の再開前にも遭ったので、再び同じ質問をしたが、やはり矢野から否定する言葉はなかった。与えられた時間の中で行った質問の一部の削除に応じたということは、矢野は市民の税金で運営されている東村山市議会本会議の貴重な時間を浪費したということになろうか。

 議員の本会議での発言を議事録から削除するという作業は、簡単なことではない。発言の削除をめぐって議運も会議を開かざるを得なくなり、議事録の再構成にあたって本来は必要のないエネルギーが費やされ、行政もまた無駄な労力を強いられた。

 ところが、東村山市議会としては、本来なら議事録に収載されるはずの本会議での発言が削除されたことについて、議場等の公の場で市民に説明することはないらしい。リアルタイムで放送された本会議場での市議会議員の発言が、市民の知らない間に議事録から削除、すなわち事実上、最初からなかったことになってしまうというのはいかがなものだろうか。

 削除までに何があったのか、とりわけ今回のような悪質な発言の場合には、より市民に対してきちんと経過説明をしておく必要があろう。議運が矢野の発言を削除させたことは評価できる。しかしそれだけではまだ、ツメが甘いのではあるまいか。

(了)
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東村山市議会傍聴記(平成29年3月議会一般質問)
 平成29年3月3日、東村山市議会では一般質問が行われた。この日、午前11時30分から朝木直子の一般質問が始まったが、朝木の質問は昼食休憩を挟んで午後4時30分まで続いた。東村山市がある資料を市民に提供したことを朝木が問題視して追及し、その答弁をめぐって何度も議会運営委員会が開かれるなどして、議会の進行が止まったのである(この質問内容についてはいずれ詳述する)。この5時間のうち、実際に質問と答弁が行われたのはせいぜい1時間程度だったのではあるまいか。

 この日の朝木の一般質問のタイトルは〈多摩湖寿会で発生した元市議による横領事件について〉である。朝木はこのテーマを平成28年9月議会から続けており、同議会の決算特別委員会での質問を含め、議会で取り上げるのは4回目となる。

 多摩湖寿会の会員たちとおぼしき市民が10人ほど傍聴に訪れていた。朝木の質問中、議会の進行が止まった際には、質問者の朝木直子と多摩湖町を地盤とする自民党の東村山市議蜂屋健次がたびたび傍聴席の寿会会員とおぼしき市民のところまでやってきて、なにやら話し合っているという光景が見られた。

 私の座っていたのは議場の左端で、寿会の人たちが座っていたのは右端だったから、何を話していたのかその内容は定かではない。ただ、議会が止まった際には寿会の中心的人物(会長と思われる)が議長に向かって大声で何かを訴え、議長からたしなめられるという場面もあったから、朝木の質問内容が寿会、とりわけ会長にとっても切実な問題であることがうかがえた。

傍聴席で携帯カメラを向けた寿会「会長」

 それにしても、何時間も議会が止まるのはめったにないことと思うが、議会が中断している最中に、傍聴席でもめったにない事件が起きていた。私の記憶では午後4時ごろのことである。私は元東村山警察署副署長の千葉英司と並んで傍聴席の左端に座って再開を待っていた。ふと傍聴席の右端に目をやると、どうしたのか、寿会の会長とおぼしき人物が、まずその人物の通路を挟んですぐ左側の市民(寿会会員と思われる)を携帯電話で撮影し始めた。

 それまで、その寿会会長と思われる人物は寿会会員と思われる市民たちに飲み物を差し入れるなど非常に気を遣っている様子だったから、記念写真でも撮っているのだろうかと思って見ていた。するとそのうち、その人物は携帯をすっと私たちの方に向けたのである。それが目的だったとすれば、まず会員たちに携帯を向けたのは、カムフラージュのつもりだったのかもしれない。

 携帯がこちらの方向に向けられたことに気がついた私と千葉は、ただちにその人物に向かって大声で怒鳴りつけた。

「こっちを撮るんじゃない」

 とっさのことで、また相手との間には相当の距離があるから、おとなしい声では聞こえないし、撮影を止めさせることもできない。だから、われわれの口調が強くなったのは致し方ない。

 寿会会長とおぼしき人物は、われわれが自分に対して怒っていることにすぐに気がつき、携帯を下に向けた。われわれが何をいっているのかにすぐに気がついたことを考えると、やはりこの人物の狙いはわれわれにあったとみるのが自然なようだった。このことについて、寿会会長とおぼしきこの人物からわれわれに対して直接的な反論はいっさいない。

 われわれが怒鳴ったことに対して、そばに座っていた2人の傍聴者から批判があった。1人はわれわれの方を向いて「そんないい方をしなくてもいいじゃないか」という。しかし距離があり、撮影を止めさせるには大きな声で、強くいうしかなかろう。撮影しようとした側を批判しないのは本末転倒である。

 もう1人の批判は「あなたも撮影してるじゃないか」というものだった。しかし私が「私は議長の許可を受けて、議会の開会中に議場(公人)を撮影しているだけで、傍聴席の私人を撮ってはいません。私人を勝手に撮るのはダメなんですよ」と説明すると、この傍聴者はすぐに理解してくれた。

割り込んできた蜂屋健次(自民党)

 そんな傍聴者とのやりとりがあった直後のことである。議場内にはその寿会会長とおぼしき人物の近くで、市の職員と自民党議員の蜂屋健次がわれわれの正面を向いて座っていた。すると、今度は蜂屋が割り込んできた。蜂屋は私に向かって薄笑いを浮かべて、「まあそんなに怒らなくても」という趣旨のことをいったのである。

 この議員は傍聴席で他の傍聴人からカメラを向けられることがどういうことか理解できないようだった。だから私は蜂屋をこう怒鳴りつけた。

「おまえ、傍聴人をからかうようなことをいうんじゃないよ」

 すると蜂屋は、私に対して「『おまえ』といったな」と強い不快感をにじませながら、議場から出ていった。「捨てぜりふ」というのだろうか。

蜂屋は自分の支持者が非難されていることに気がつき、支持者をかばおうとしたのだろう。支持者を大事にしようとする気持ちは人情かもしれないが、それも時と場合による。寿会会長とおぼしき人物がわれわれに携帯電話のカメラを向けたことは事実なのだから、蜂屋は市会議員として、それが自分の支持者であろうと、カメラを向けた側を注意すべきなのである。カメラを向けた側にはなんらの注意もせず、カメラを向けられた側に対してのみたしなめるような発言をするというのは、やはり筋が通らないのではあるまいか。

 かつて東村山市議会では「草の根市民クラブ」の矢野穂積が傍聴席にカメラを向け、また朝木直子が市役所の敷地内で千葉にカメラを向けた。また平成21年3月議会では、矢野が東村山に連れてきた右翼が傍聴席をビデオで撮影し、ユーチューブに上げたという事件があった。そのときには、右翼に対して議長が削除を求めるまでに発展した。

私の知るかぎり、傍聴人が傍聴席を撮影するという事件が起きたのは、上記の右翼によるビデオカメラ撮影事件以来のことである。しかし、傍聴席を無断で撮影しようとした者を自民党の市会議員があからさまに擁護した例は記憶にない。

(了)
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