ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

右翼M事件 第9回
ひとりいきり立つ右翼M

 東京高裁で千葉との裁判が結審した翌日の平成23年6月23日午後1時50分ごろ、右翼Mは東京地裁立川支部4階の法廷前に大股でやってきた。この日は午後2時から「行動する保守」の盟友である西村修平と元側近が千葉から提訴されている裁判の西村分の第4回口頭弁論が開かれる。右翼Mは西村の支援にやってきたのである。少なくとも右翼Mは西村の準備書面を書いてやっているようだし(右翼M本人は否定しなかった)、もはや傍聴にさえ来なくなった「行動する保守」Aに比べれば、形の上でははるかに西村を支援しているといえるだろうか。

 法廷前のベンチでは女傑Mが妙にしおらしい風情で開廷を待っている。包囲する屈強な若い警察官たちに対して精神的に萎縮させる行為を強要したあの恐ろしいイメージからは想像しにくいかもしれない。しかし今も女傑Mは法廷内で、ときおり千葉にするどい視線を投げるという。表面上はおとなしくなったようにみえても、やはり女傑の本質は何も変わってはいないのである。

 この裁判も「行動する保守」関連裁判の例にもれず、開廷5分前にならなければ傍聴人の入廷は許されない。当事者および傍聴人の入口脇では裁判所の職員が4、5名、警戒にあたっている。ところが右翼Mは「千葉君に話がある」などといって当事者入口を勝手に開けて法廷内に侵入したのである。法廷内からは「まだ入廷しないでください」という職員の声と、それに抵抗する右翼Mの大声が響いてくる。どうも右翼Mは「千葉が求釈明しているから、答えてやるといっているんだ」といっているようである。

 その日の裁判の当事者は右翼Mではなく西村修平である。それに千葉はこの裁判で西村に求釈明などしていない。右翼Mはなんのことをいい、なぜ職員の制止に逆らってまで「求釈明に答え」ようとしているのか。いずれにしても常人にはちょっと理解できない行動というほかなかった。かつて裁判官を追いかけて壇上に駆け上がった人物だけのことはあるというべきだろうか。

 何の「求釈明」のことだったのかがはっきりしたのは右翼M自身のブログによってである。それによれば、右翼Mは西村の裁判で、前日にあった自分の裁判の際に千葉が答弁書で行った「『行動する保守』Aの人証申請をするのかどうかについての求釈明」の回答をしようとしていたようだった。

 口頭で求釈明に答えてはいけないという法はない。ただその場合には、相手との距離感、時と場所、それに答え方というものがある。いかに回答の内容が求釈明の趣旨とかけ離れたものでなかったとしても、たとえば相手方の自宅に押しかけ、ハンドマイクでがなり立てたりすれば、それはただの嫌がらせかお礼参りと判断されてもやむを得ないものとなる。右翼Mに限らず、「行動する保守」一行の多くがこのあたりの節度にかなり鈍感なようにみえる。もちろん場合によっては、鈍感や無知ではすまない。

 この日の右翼Mの行動もまともではなかった。右翼Mは入廷許可前の法廷内でしきりに「千葉が求釈明しているからだ」などと騒いだものの、ほどなく職員によって法廷から排除された。右翼Mの心中は計り知れないものの、なにかよほど千葉の求釈明が気に障ったものとみえた。

 右翼Mが「行動する保守」Aのいう「内部告発」の内容をいまだに信用するというのであれば、千葉に対して怒る前に人証申請しない理由を明らかにすればいいだけのことではあるまいか。あるいは右翼Mには、それを説明するには不都合な理由でもあるのだろうか。

裁判所職員に八つ当たり

 法廷から排除された右翼Mは興奮が収まらなかったのかもしれない。今度は入口で警戒にあたっている職員に向かって大声でこうまくし立てた。職員にすれば不運としかいいようがない。

「飯塚宏(筆者注=一審の裁判長)君はここにいるかね? (一審判決文中の)『本件洋品店の店主を装って用心棒を演じたことは、被告の推測にすぎない』との根拠は何かを聞きたい」

 そんなことに裁判官がいちいち取り合うことは100%あり得ないし、いかに裁判所の職員でも、いきなり別件事件の裁判長の名前をいわれても答えられるわけがない。

 職員の困惑などおかまいなしに右翼Mは「千葉が店主と偽っていた証拠がある」(趣旨)と一方的に言い立て、「本件洋品店の店主を装って用心棒を演じたことは、被告の推測にすぎないという認定は間違っている」などと裁判所職員に対して主張した。裁判官の名前だけでなく、個別の事件の判決内容まで持ち出されてはますます困ろう。常識を著しく逸脱した八つ当たりというほかないが、それほど右翼Mには気に入らない判決だったということなのだろう。

 右翼Mは千葉との裁判の控訴理由書で、



 原判決では当日、被控訴人が「本件洋品店の店主を装って用心棒を演じたことは、被告の推測にすぎず」、と決め付けている。つまり、「店主を装っていないのだから、創価学会シンジケートとは繋がりがない」との判断に至っている。



 と右翼Mなりに解釈し、「(洋品店襲撃事件の日)千葉は店主と偽っていた」ことを立証することで原判決の判断が誤りであると主張していた。右翼Mはその控訴理由書の主張を、結審の翌日、まったく別の裁判の場で、しかも裁判上の主張について何の権限も持たない職員に対して行っていたということだった。よほど自信があったのかもしれないが、一介の職員が相手では右翼Mのせっかくの能弁も何の意味もなさないのである。

 いったい何があったというのか。この日の右翼Mはいつにもまして高ぶっているようにみえた。開廷の時間が迫り、裁判所職員から「その裁判官なら4階の書記官室に行ってください」と諭されるまで、右翼Mの興奮は収まらなかった。

(つづく)

TOP
右翼M事件 第10回
きわめて短絡的な解釈

 ところで、右翼Mが「判断の誤り」と指摘する一審判決の該当個所は次の部分である。



 原告が創価学会シンジケートで繋がり、本件洋品店での小競り合いの際、本件洋品店の店主を装って用心棒を演じたことは、被告の推測にすぎず、本件記事を記載した当時、これらの事実を被告が信じるについて相当の理由があったと認めることはできない。



 この部分をどう読めば、右翼Mのいうように〈「店主を装っていないのだから、創価学会シンジケートとは繋がりがない」との判断に至っている。〉という理解になろうか。

 判決は「店主を装ったか装っていなかったか」によって「創価学会シンジケートで繋がっているかどうか」が判断できるといっているのではなく、むしろ「創価学会シンジケートで繋がり」という事実が前提としてあり、その結果として「店主を装った」かどうかを判断しているのであり、「店主を装ったかどうか」を「創価学会シンジケートに繋がっているかどうか」の判断基準としているわけではない。したがって、上記の右翼Mの主張は独自の主張ということになろう。

 そもそも東京地裁立川支部(飯塚宏裁判長)は、右翼Mが記載した「(千葉は)創価学会シンジケートと繋がり」とする文言に対する一般人の理解について次のように認定している。



 当該用語は、創価学会の犯罪組織との意味として理解するのが一般人の通常の解釈であると認められる。

 また、被告は、……創価学会が犯罪集団であるという前提の下に、原告が、……本件窃盗被疑事件及び本件転落死事件の真実を歪曲したという本件記事の記載を見れば、……原告は、創価学会シンジケートなる組織との何らかの関係から、その意を受けて、当該行為(=前記「真実の歪曲」)を行ったと理解するのが一般の読者の読み方であり、……



 このように東京地裁立川支部は「創価学会シンジケートで繋がり」とする文言について、洋品店襲撃事件とは関係なしに、「(千葉はもともと)創価学会シンジケートなる犯罪組織と何らかの関係がある」と理解するのが一般人の通常の理解であると認定している。したがってこの点からも、〈「店主を装っていないのだから、創価学会シンジケートとは繋がりがない」との判断に至っている。〉とする右翼Mの解釈は誤りであるということになる。

DVDには言及せず

 控訴にあたり右翼Mは、どうしても千葉を「店主を装った」ことにし、「創価学会シンジケートと繋がっている」ことにしたかったのだろう。前回も述べたとおり、仮に千葉が「店主を装った」としても、そのことから千葉が「創価学会シンジケートと繋がっている」ということにはならないが、基本的に論理的整合性には特にこだわらないのが「行動する保守」一般の珍しい特性でもある。

 また万引き被害者襲撃事件をめぐって右翼Mは、千葉から「情けない右翼」ときわめて的確に指摘されたことを根に持っているようにみえる。プライドだけは高い右翼Mとしては、「情けない右翼」として広く知られることになった襲撃現場で千葉に一矢報いたいという思いが強いのかもしれない。いずれにしても、いまだに自らの過ちを認められないような器でしかないことこそ「情けない」ということなのである。

 では理屈はともかく、右翼Mは何を根拠に千葉が「店主を装った」といっているのか。右翼Mは控訴理由書で次のように主張している。



 被控訴人(筆者注=千葉)は、「店の人がダメだと言ったからダメだって言ったんだよ」と、言っている。この文言を平易に理解すれば、被控訴人が店主、若しくは店員であると公言しているのである。



 右翼Mはしきりにこう主張するが、私にはなぜこの発言によって千葉が「店主を装った」といえるのかよく理解できない。

 なおこの発言の事実関係について千葉は、右翼Mが提出した反訳しか裏付けがなかったため「動画の提出がないため検証できない」などと主張した。裁判所としても通常なら反訳の正確性を担保するDVDなどの提出を求めるところだろう。しかし東京高裁はDVDの件には触れさえしなかった。判決にはまったく影響しないから、反訳の正確性すら問題にしなかったものと思われた。

 右翼Mは前日の控訴審の結果を具体的にどう受け止めただろうか。私には、これまで裁判(敗訴)の経験を重ねてきた右翼Mにとって色よい判決を想像することは難しかったものと思われる。その焦慮のようなものが高じて、翌日の他人の裁判で、まったく筋違いの人間に意味不明の論争を吹っかけてしまうというめったに見られない醜態を演じさせたのではあるまいか。ただ「情けない右翼」の意味をいまだに理解していないように、右翼Mはたぶんこれを醜態とは思っていない。

平穏な開廷

 こんなちょっとした前哨戦を経て、ようやく傍聴人の入廷が許された。右翼Mはどうしたのか、わざわざ千葉が座る原告席側の最前列に座った。

 ほどなく裁判官が入廷し、西村・細川事件の西村に対する第4回口頭弁論が始まった。被告の西村はこの日の午前中、おそらくは右翼Mの代筆による第3準備書面を送ってきていた。

 裁判長は型通り、原告・被告双方から提出された書面を確認したが、特に西村が準備書面で主張した内容について踏み込むことはなかった。この日提出された準備書面にはまだ十分に目を通せていないということだろうか。あるいは新たに論点とすべきものは含まれていないという判断だった可能性もないとはいえなかった。

 新たな論点がないとすれば、これまでの経過からみて、裁判官は双方の主張等の確認と次回までの段取りを明確にした上で今日は終わるのではないか、またそろそろ結審を視野に入れた訴訟指揮もあるかもしれないと私は感じていた。少なくとも裁判官が書面を確認した時点では、原告・被告ともに特に意見を述べることもなく、取り立ててややこしい動きが起きる要素は見当たらなかった。

(つづく)

TOP
右翼M事件 第11回
傍聴人の主張

 千葉が西村修平と元側近を提訴していた裁判の西村に対する第4回口頭弁論は当初、これまでの主張の確認等を行い、平穏に終わると思われた。ところが裁判官が、千葉が請求していた記事および写真の削除についてすでにそれが実行されているかどうかの確認を千葉に求めたとき、それまで静かだった法廷に異変が起きた。急に聞かれた千葉は、西村のホームページがどうなっているかすぐには思い出せず、明確に答えられなかった。そのとき、傍聴席の右翼Mが突然うなるような大声を上げたのである。

「12月に削除したじゃないか」

 右翼Mは開廷前の興奮状態が続いているのか、どこまでが自分の裁判で、どこからが他人の裁判なのか区別がつかなくなっているようだった。相手方は同じ千葉で、準備書面の代筆までしているとなると、自分も当事者のようなものだと考えたとしてもおかしくない。しかしだからといって、西村が提訴された裁判で右翼Mが当事者になれるわけでも代理人になれるわけでもない。右翼Mはたまに私的現実と公的現実の区別ができなくなるようである(たとえば右翼Mが西村と同じ立場で西村の準備書面を代筆することは右翼Mの私的現実だが、その準備書面はあくまで西村が書いたものとして提出しなければならないのは公的現実である)。

 法廷内で傍聴人の発言は許されない。温和な裁判官もさすがにこのときばかりは少し色をなし、強い口調で「(発言を)やめてください」と命じた。傍聴席から裁判官に向かって、野次ではなく当事者のように発言する者を見たのはこれが初めてである。このとき右翼Mは裁判長に制止されて発言を止めたが、退廷を命じられてもおかしくない状況だった。この間、当事者である西村は一言も発言しなかった。

 ちなみに千葉が請求している記事および写真の削除が実行されているかどうかあとで確認したところ、写真は削除されているが文言はまだ残っているようである。右翼Mは「削除した」と明言したが、写真を削除したことで要求に応じたものと勘違いしているのだろう。

戻ってきた裁判官

 右翼Mが発言を止めたことで法廷には平穏が戻り、最後に西村が「交通費と時間がかかるので移送の申し立てをしていたがどうなりましたか」などと間の抜けた質問をした。裁判官は「すでに却下したでしょ」ときわめて事務的に応じ、そのほかに意見等がないことを確認すると、次回口頭弁論を9月8日に開くことおよび準備書面は8月初めまでに提出することなどを双方に申し渡して閉廷した。裁判官は最後に「人証の申請があれば次回までに提出してください」と双方に伝えている。人証の話が出るのは結審が近いということで、人証が却下されれば結審となる可能性が高い。

 ところが裁判官が後ろを向き、専用のドアから退出しようとドアノブに手をかけようとしたそのときだった。右翼Mが裁判官の背中に向かってなにやら抗議の言葉を投げつけたのである。裁判官が閉廷を宣言した以上、もう裁判官には自分を黙らせる権限はないとでも考えたのか。右翼Mは裁判官に向かってうなり声を上げた。

「なぜそういう質問をするんだ」

 右翼Mは削除したかどうかを裁判官が確認したこと自体が気に入らなかったらしい。しかしそんな感情を表に出すような場所ではないし、また傍聴人である右翼Mにはそんな質問をする権利もない。裁判官はこれを無視して退廷してもよかった。しかしこの裁判官は立ち止まり、振り返って右翼Mを制止した。

「私がまだ法廷にいる間は、この法廷の管理権は私にあります。もうやめてください」

 千葉が西村と元側近を提訴していたこの裁判で、裁判所はとりわけ元側近の身の安全をどう確保するかに苦慮し、かなりの警備態勢をとってきた。その指揮をしたのは法廷管理者である裁判官である。それだけに右翼Mの傍若無人の振る舞いに対し、余計に毅然と対処しようとしたのだと思われた。

 それでも右翼Mは、削除の確認が、すでにわかっているのに意図的に行ったとしてさらに抗議し(趣旨)、しまいには裁判長に対して、

「そんなことをするのは北朝鮮と同じだ」

 とまで非難したのである。右翼Mの主張は、この裁判官が予断をもって判断しようとしており、最初から西村に不公平な進行をしようとしているとの趣旨のように私には聞こえた。どうみても裁判官はたんに確認しようとしただけだが、右翼Mはすべての裁判所が彼らに否定的であると感じているのかもしれない。それにしても、人権に最も配慮する裁判官に対して「北朝鮮と同じ」とまでいってしまったのではむしろ、右翼M自身の誇大性、非論理性を疑わせるだけではなかろうか。

 さいわいこの日、右翼Mは裁判長の壇上にまで行こうとはしなかった。学習の跡はみえるものの、裁判長の再三の退廷命令にもかかわらず抗議をやめなかったのは、やはりどうみても尋常ではなかった。他の傍聴人が職員に促されて退廷したあとも右翼Mは5分近く法廷内に居すわり続けた。

右翼Mの別の用事

 この日の右翼Mの異常さをどうみるべきか。やはり私には、右翼Mの気持ちは前日の裁判の延長線上にあったように思える。相手はいずれも千葉だし、西村裁判の準備書面も右翼Mが書いているとなればなおさらだろう。右翼Mはその内心を、異なる現実に合わせてうまくコントロールできなかったということのような気がした。

 そのうち右翼Mがようやく法廷から出てきた。右翼Mはまだ裁判所に別の用事があるのを忘れていなかった。どうしても行かなければならないというようなものでもないと思うが、右翼Mは飯塚裁判長のところに行くようだった。

 しかし右翼Mが追及すべきなのは第1に彼を東村山デマに引きずり込んだ「行動する保守」Aであり、東村山デマの発信元である東村山市議、矢野穂積と朝木直子なのではないのか。右翼Mはそれができないために飯塚裁判長に責任を転嫁しようとしているにすぎないような気がしてならない。やはりどこまでも「情けない右翼」である。

 私と千葉は西村や右翼Mが法廷前から消えたことを確認して、すみやかに裁判所をあとにした。われわれが余計な動きをすることは、結果として裁判所職員の手をわずらわせることになりかねないのである。

 したがって、右翼Mが飯塚裁判長と会えたかどうかは定かではない。はっきりしているのは、仮に右翼Mが飯塚裁判長に抗議できていたとしても、ひと月後(7月20日)に迫った控訴審判決には特になんらの影響も与えないだろうということである。

(「控訴審判決」後につづく)

TOP
右翼M事件 第12回
 控訴審口頭弁論終結の翌日、一審判決を言い渡した飯塚裁判官に面会を求めるという右翼Mの常軌を逸した行動を目撃した千葉は急遽、平成23年7月20日の判決言い渡しの出廷を見合わせることにした。法廷に行けばまた右翼Mが「求釈明しているから」などと嫌がらせをしかねないし、裁判所にも余計な警戒をさせることになると考えたからだった。私も千葉の判断に従った。

一審判断を丸々「引用」

 同日午後1時15分、東京高裁は大方の予想通り、右翼Mの控訴を棄却する判決を言い渡した。千葉のもとに判決正本が送達されたのはその2日後である。右翼Mの控訴が棄却されたことは傍聴した知り合いから連絡を受けていた。したがって千葉の関心は右翼Mの主張に対して東京高裁が具体的にどんな判断をしたかということだけだった。

 しかし、裁判所の控訴棄却理由を読む前に、判決文のあまりの薄さに驚かされた。判決文はわずか6枚、実質4ページしかなかったのである。かつて経験したことのない薄さだった。

 一読して、その理由も明らかになった。東京高裁は右翼Mの控訴審での新たな主張を除き、一部文言を訂正したほかは一審判決20ページ分をいずれも追認し、判決文ではその追認を「引用する」というわずか4文字で示していた。あとは新たな主張に対する判断を加えただけだから、実質4ページしか必要がなかったということだった。

 この判決をみる限り、東京高裁はまず一審判決を全面的に支持していることがわかる。その意味では結審の翌日(判決の1カ月前)、右翼Mが一審裁判官である飯塚宏裁判官に抗議するために直接会おうととしたのは、法治国家において許される行為ではないものの、抗議対象の定め方としては的確だったということになろうか。

 さてこの裁判は、右翼Mが機関紙「政経通信」(平成21年9月1日付)に掲載した〈創価学会の犯罪を許さない 徹底した総力戦で粉砕するぞ! 殺人さえも厭わない犯罪者集団が政治を牛耳る 高額賠償請求の乱発は司法を駆使した恐喝行為だ〉と題する記事において、〈(朝木市議の転落死事件は)創価学会が口封じに殺害した可能性が高く、現場の状況証拠から見て、これはら確定的である。〉とした上で、当時の捜査責任者だった千葉もこの謀殺事件に関与した(趣旨)と主張、これに対して千葉が提訴していたものである。具体的に右翼Mは千葉について次のように記載した。



〈(朝木市議の転落死事件は殺人事件である)にも拘わらず捜査の指揮をとった東村山警察署の千葉英司副署長(当時)は強引に自殺として処理。〉

〈自殺に見せかけるためにはその動機が必要となる。そのために同年6月19日に朝木市議が駅近くの洋品店でブラウスを万引きしたという事件をでっち上げた。後日取調べを受けた朝木市議は書類送検されたことを苦に自殺したというストーリーまでお膳立てしていた。〉

〈この男(筆者注=千葉)こそが13年前、自殺事件にすり替えた張本人・千葉英司だったと分かった。警察を退職した今でも創価学会シンジケートで繋がり、店主を装って用心棒を演じていたとは。〉



 一審の東京地裁(飯塚宏裁判長)はこれらの表現が千葉の社会的評価を低下させるものであると認定した上で、

〈被告(右翼M)が本件窃被疑事件(筆者注=朝木明代による万引き事件)や本件転落死事件について十分な裏付け調査をしたことを認めるに足りる証拠がない本件においては、本件窃盗被疑事件がえん罪であることや本件転落死事件が殺人であることを被告が信じるについて相当な理由があったと認めることはできない。ましてや、本件において、原告が、本件転落死事件が殺人であることを知りながら、あえてこれを強引に自殺として処理したこと、本件転落死事件を朝木市議の自殺に見せかけるため、原告が朝木市議の本件窃盗被疑事件を捏造したこと、原告が創価学会シンジケートで繋がり、本件洋品店での小競り合いの際、本件洋品店の店主を装って用心棒を演じたことは、被告の推測にすぎず、本件記事を記載した当時、これらの事実を被告が信じるについて相当の理由があったと認めることはできない。〉

 と述べ、右翼Mに対して10万円の支払いを命じる判決を言い渡した。今回の控訴審判決は上記部分を含む一審判決を丸々「引用」したということである。

絶対的な信頼

 一審判決に対して右翼Mは控訴理由書で「相当性」に関して一審では主張していなかった新たな主張を行っていた。「行動する保守」Aによる「内部告発」に関する主張である。右翼Mは控訴理由書で次のように主張していた。



 平成20年9月1日に東村山駅前で保守系団体が開催した「朝木明代さん殺害事件を13年目の命日に市民に訴える」集会において主催者は明確に「殺人事件である」「創価学会の関与は間違いない」「万引きは捏造である」等々の演説を行っている。……

 上記、演説が行われる前段階として同年7月29日JR八王子駅前において、主催者の瀬戸弘幸は殺人事件であることを明言している。

 現職警察官の内部告発があり、瀬戸弘幸は国民運動として全貌を明らかにする決意を述べている。かようなる決意のもとで展開された国民運動に対し、同人の主宰するインターネット上での呼びかけを見て、控訴人は9月1日の集会に参加したものであり、集会タイトルからしても、純粋に朝木市議殺害事件の真相究明に期待したものである。



 街宣の主催者である「行動する保守」Aが公の場で「内部告発があった」と明言していたので、朝木明代転落死事件は殺人事件だったと信じたのであり、自分が「行動する保守」Aの演説内容を信じたことには相当の理由があったと右翼Mはいいたかったようである。

 本来、ある事実が社会的にどれほど信頼されている人物の口から語られようと、その時点ではまだその事実が真実であるという保証はない。しかし右翼Mにとって「行動する保守」Aは、少なくとも平成20年9月1日の時点では、「行動する保守」Aが語ったというだけでその内容をすべて信じてしまうほど信頼する人物だったのだろう。

(つづく)

TOP
右翼M事件 第13回
微妙に後退した主張

 かつて右翼Mは「行動する保守」Aに絶大な信頼を寄せていたものとみえる。しかし最近になって、「行動する保守」Aへの信頼がやや揺らいでいるのではないかと思われるフシがある。右翼Mは浦安の行政書士とともに創価学会から提訴されていた「東村山街宣事件」の控訴審でも「行動する保守」Aのいう「内部告発」を根拠に街宣内容の相当性を主張していた。

 その控訴理由書で右翼Mは「内部告発」について〈今現在、関係者を通じて警察関係者との交渉で調査・聞き取りを継続している。〉と記載している。「行動する保守」Aからそう聞かされたのだろう。しかしそれから半年後、この裁判で提出された控訴理由書(平成23年6月19日付)には〈調査・聞き取りを継続している。〉との文言は、残念ながらもうない。

 この2つの控訴理由書の違いは、「東村山街宣事件」の際には「内部告発」の内容そのものの真実性を主張しようとしていたのに対し、この裁判で提出されたものはたんに「行動する保守」Aが「内部告発」があったとする演説を行った事実を主張しているにすぎないという点にあった。この半年間に右翼Mと「行動する保守」Aの間に何があったのかはわからない。しかし少なくとも右翼Mの中で、「内部告発」は真実性を主張するに値しない代物となったことは間違いないようだった。

 千葉から提訴されていた「行動する保守」Aは、この間に陳述書で、「内部告発」をしたはずの警察官もまた誰かわからない第三者に聞いたにすぎないことを明らかにし、4月20日には千葉の要求を丸飲みするかたちでの和解に応じ、10万円を支払っている。「行動する保守」Aが千葉との闘いを放棄した時点で、さすがの右翼Mも「行動する保守」Aの主張が信用できないものであることに気がついたのかもしれなかった(だとすればますます情けない話である)。

 この裁判で右翼Mは「内部告発」の中身ではなく、「行動する保守」Aが「内部告発」があったとする演説を行った事実を主張しようとしたようである。右翼Mはその事実を立証するために演説の映像が映ったDVDを証拠として提出したのだった。真実性・相当性の主張・立証という点では、「内部告発」関連の主張が唯一の新しい主張である。

徒労に終わった立証活動

 新しい主張については「引用する」というわけにはいかない。東京高裁は「内部告発」に関する主張については、それによって〈(朝木市議の転落死事件は殺人事件である)にも拘わらず捜査の指揮をとった東村山警察署の千葉英司副署長(当時)は強引に自殺として処理。〉などとする記事を掲載したことについて相当の理由となるかどうかを新たに検討しなければならなかった。

 右翼Mは控訴理由書で、〈主催者(筆者注=「行動する保守」A)は明確に「殺人事件である」「創価学会の関与は間違いない」「万引きは捏造である」等々の演説を行っている。〉〈上記演説が行われる前段階として同年7月29日JR八王子駅前において、主催者の瀬戸弘幸は殺人事件であることを明言している。〉〈現飼育警察官の内部告発があり、瀬戸弘幸は国民運動として全貌を明らかにする決意を述べている。〉などと、「行動する保守」A のいう「内部告発」が真実であると信じた理由を並べている。

 しかし、いかに全幅の信頼を置く人物がそういったからといって、それだけでその事実が真実であると信じる理由にはならないのではないか。通常問題となるのは、その事実について真実であると信じた者がその事実についてどのような裏付けを取ったかということである。

 東京高裁は右翼Mの主張に対して次のように述べた。



 控訴人(筆者注=右翼M)は、平成20年7月29日、JR八王子駅前において、瀬戸は、現職警察官の内部告発により、朝木市議の転落死が殺人であることが明らかになった旨明言していたのであるから、控訴人が、朝木市議の転落死が殺人事件であり、同市議の万引き事件は捏造であったと信じるについて、相当の理由があった旨主張し、瀬戸が演説する様子を録画したDVDを乙9として提出する。

 しかしながら、乙9によれば、瀬戸が、朝木市議の転落死事件は殺人であり、犯人3名が特定されたものの、警察側から圧力があって、捜査を断念せざるを得なかったと現職警察官が内部告発により明言した旨演説したことは認められるが、その内容は、内部告発をした上記現職警察官から瀬戸が聞いたとするものであって、あくまで伝聞にとどまり、しかも、その現職警察官の氏名すら明らかにされておらず、その伝聞内容が真実であることを裏付ける根拠も全く示されていないのであるから、控訴人が、朝木市議の転落死が殺人事件であり、同市議の万引き事件は捏造であったと信じるについて、相当の理由があったということはできない。



 これが「内部告発」に関する主張に対する東京高裁判断のすべてである。「行動する保守」Aが「内部告発があった」とする演説を行った事実ではなく、その内容がいかなるものだったかを問題にしていることがよくわかろう。「内部告発」の内容が事実であることの裏付けを示さなければ、それはただの妄想にすぎない。「行動する保守」AのDVDを提出したところで何の事実の証明にもならないのである。

右翼Mの控訴の意義

「行動する保守」Aのいう「内部告発」が事実の裏付けを持つものではないという判断は平成23年4月21日に判決が言い渡された東村山街宣事件における東京高裁判決でも共通している。



(東村山街宣事件判決)

 控訴人槇は、客観的にみたすべての状況証拠、犯行に至るまでの経緯からみても、朝木市議殺害事件に被控訴人(筆者注=創価学会)が関与していると確信するなどと主張し、平成20年1日に行われた「東村山市議朝木明代さんの謀殺事件の真相を究明する集会」において、主宰者である瀬戸弘幸が「創価学会の関与は疑いの余地がない。警察関係者からの内部告発があった。」と断言しているなどと主張する。

 しかしながら、瀬戸弘幸が述べたとされる内容は伝聞にすぎず、「警察関係者」なる者がいかなる人物であるかも明らかにされていないのであるから、これをたやすく採用することはできない。



「行動する保守」Aのいう「内部告発」がきわめて怪しいものであることは、「行動する保守」A自身が、「内部告発」を聞いたとする警察官が実は直接体験した事実ではなく、その警察官自身がどこの誰ともわからない人物から聞いた話であると自白していることからも明らかである。いかに右翼Mが信頼していたからといって、「行動する保守」A自身が「伝聞の伝聞」だったといっているのだから仕方がない。

 今回の判決によって、「行動する保守」Aが「初めて明らかにします」などと真相究明の決め手であるかのように持ち出した「内部告発」なるものになんらの根拠もないことが再び認定されたことになる。その意味において、右翼Mが控訴理由書で「内部告発」の存在を主張したことにはそれなりの意義があったのである。

 右翼Mは今回の判決をそう理解すべきなのではあるまいか。しかし判決直後の言動をみるかぎり、事実を事実として受け入れ、「行動する保守」Aや矢野穂積のデマを鵜呑みにしてしまった自分自身の不明を恥じるような器量を右翼Mに期待することはきわめて難しいようだった。

(了)

TOP
右翼M事件最高裁判決(その1)
上告を受理しない決定

 警視庁東村山警察署元副署長の千葉英司が東京都中野区在住の右翼Mを提訴していた裁判は、東京高裁判決を不服として右翼Mが上告していたが、さる平成23年12月8日、最高裁は右翼Mの上告を受理しない決定を行い、10万円の支払いを命じた東京高裁判決が確定した。

 右翼Mは自身が発行する『政経通信』(平成21年9月1日付)において、千葉について次のように記載した。



①〈(朝木明代自殺事件で)捜査の指揮をとった東村山警察署の千葉英司副署長(当時)は強引に自殺として処理。〉

②〈自殺に見せかけるためにはその動機が必要となる。そのために同年6月19日に朝木市議が駅近くの洋品店でブラウスを万引きしたという事件をでっち上げた。後日取調べを受けた朝木市議は書類送検されたことを苦に自殺したというストーリーまでお膳立てしていた。〉

③〈この男こそ13年前、自殺事件にすり替えた張本人・千葉英司だったとわかった。警察を退職した今でも創価学会シンジケートで繋がり、店主を装って用心棒を演じていたとは。〉



 千葉はこれらの記載によって名誉を毀損されたとして右翼Mを提訴していた。

踊らされた右翼ら

 右翼M自身の供述によれば、右翼Mは「行動する保守」Aが公表した「朝木市議の転落死事件は謀殺事件であり、東村山警察署は犯人を確保していたが、他殺を隠蔽して自殺として処理した」とする「現職警察官による内部告発」を信じ込んだ。その結果、朝木明代の万引き事件でアリバイ工作と被害者に対するお礼参りを共謀した東村山市議、矢野穂積のさまざまなデマ宣伝もまた事実と思い込み、上記の記事を掲載したものと推測できた。

 また③の記載は、平成20年9月1日に「行動する保守」が東村山駅前で「朝木明代謀殺事件の真相究明を求める」と称する街宣活動を行った際に発生した万引き被害者に対する襲撃事件(=「洋品店襲撃事件」)で、右翼Mが洋品店に侵入しようとして千葉に阻止されたことに対する腹いせのようにも思える。朝木明代に万引きされ、被害を申告しただけで何の落ち度もない無実の市民に対して「万引き捏造を許さないぞ」などと暴言を浴びせ、店内に押し入ろうとするなど許されるはずがない。

 洋品店主が明代を陥れたとするデマを右翼らに吹き込んだ矢野はすでに提訴されて100万円の損害賠償を支払っており、表立って洋品店を攻撃することはできない。右翼Mらは自らの判断で洋品店に行ったつもりらしいが、現実は矢野に踊らされ、矢野の身代わりとなって嫌がらせをしたにすぎない。矢野は一応、右翼らを擁護したものの、もちろん何かあった場合に矢野が表に出ることはない。

 さて上記①~③の記載について東京地裁はいずれも千葉の社会的評価を低下させるものと認定、右翼Mは「不特定多数には配布していない」「警察捜査に対して疑問を呈しただけ」などと主張したが、東京地裁は右翼Mの主張をいずれも斥け、右翼Mに対して10万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

「内部告発」を信じたM

 この判決に対して右翼Mはただちに控訴した。控訴理由書の中で注目されたのは、右翼Mが東村山デマ宣伝に参入したきっかけとなったのが「行動する保守」Aによる「内部告発」だったとする趣旨の内容が書かれていたことである(相当性の主張)。

 平成20年7月29日、「行動する保守」Aは八王子駅前において次のような演説を行った。



(「行動する保守」Aが主張した「内部告発」)

 なぜあえて私が今回この問題を取り上げるか、その最大の理由はですね、現職の警察官が私に内部告発をしたからであります。これだけは初めて明かします。現職の警察官は、

「自分たちは犯人を特定した、3名であった。しかし警察側から圧力があって、これを、捜査を断念せざるを得なかった」

 こうはっきりと断言しました。

「だから、Sさんたちがこの運動を時効前に国民運動として盛り上げてくれるならば、われわれはその全貌を明らかにする用意がある」

 このようにはっきりと断言したのであります。この件については、今日初めて明らかにさせていただきます。



 右翼Mはこの「行動する保守」Aが公表した「内部告発」と、同年9月1日に東村山駅前で行われた「朝木明代さん殺害事件を13年目の命日に市民に訴える」と称する街宣で〈主催者(筆者注=「行動する保守」Aと西村修平を指すとみられる)が明代の転落死事件について「殺人事件である」「創価学会の関与は間違いない」「万引きは捏造である」等々の演説を行った〉ことを相当性の根拠の1つとしていた。とりわけ「内部告発」について右翼Mは次のように述べている。



 現職警察官の内部告発があり、「行動する保守」Aは国民運動として全貌を明らかにする決意を述べている。かようなる決意のもとで展開された国民運動に対し、同人の主宰するインターネット上での呼びかけを見て、控訴人は9月1日の集会に参加したものであり……



「行動する保守」Aの発言だからといって、裏付け調査もしないまま事実と信じてしまう致命的な軽率さはともかく、右翼Mが東村山デマに引きずり込まれた大きな要因の1つが「行動する保守」Aによる「内部告発」だったことが推察できる。「意気に感じた」ということかもしれないが、市民に訴えるには裏付けが必要なのである。

 また浦安の行政書士とともに創価学会から提訴されていた裁判で右翼Mが、「内部告発」の中身が現職警察官の証言などによって立証されることを期待しており、「行動する保守」Aに調査状況を問い合わせていたことをうかがわせる内容の陳述書を提出したのはちょうど去年の今ごろである(平成22年12月21日付)。陳述書によれば、「行動する保守」Aは「関係者を通じて警察関係者との交渉で調査・聞き取りを継続している」と答えたようである。

 この時点で右翼Mは、「行動する保守」Aの説明に一縷の望みを託したのだろう。

(つづく)

TOP
右翼M事件最高裁判決(その2)
低レベルの伝聞

「行動する保守」Aから「内部告発は調査中」(趣旨)という返事をもらった右翼Mが、そのときかすかな希望を抱いたのか、適当にあしらわれたと感じたかは定かではない。

 しかし「行動する保守」Aは千葉との裁判で、「内部告発」が実は事実を体験した者から直接聞いたのではなく、〈「そのような話を聞いた」と聞いた〉という伝聞の伝聞にすぎないことを自ら認めた。右翼Mに対して「調査を継続中」と説明してから半年後、平成23年4月のことだった。平成20年7月に八王子駅前で公表した「内部告発」があったとして演説した内容は嘘だったということである。「行動する保守」Aは陳述書を提出した直後、千葉に10万円を支払って和解する道を選んだ。

「内部告発」を相当性の根拠とした右翼Mの主張に対して東京高裁はこう述べた。



(「内部告発」に対する東京高裁の判断)

 その内容は、内部告発をした上記現職警察官から(「行動する保守」A)が聞いたとするものであって、あくまで伝聞にとどまり、しかも、その現職警察官の氏名すら明らかにされておらず、その伝聞内容が真実であることを裏付ける根拠も全く示されていないのであるから、控訴人(筆者注=右翼M)が(「行動する保守」A)の演説を聴いたからといって、これをもって、控訴人が、朝木市議の転落死が殺人事件であり、同市議の万引き事件は捏造であったと信じるについて、相当の理由があったということはできない。



 こうして東京高裁は右翼Mの控訴を棄却したのである。新たな証拠を提出するたびに自分の首を締めてしまう珍しい裁判だった。「行動する保守」らはどうもそのことに気づいていなかった。

 右翼Mは東村山街宣裁判でも浦安の行政書士とともに110万円の損害賠償を命じられている。後日、「矢野に利用されたとは思わないか」と聞くと、右翼Mは「自分自身の判断だ」と答えた。さすがに「行動する保守」Aの「内部告発」を信じたことを後悔していると思うが、いまだ矢野の主張を事実と考えているのだろうか。残念ながら、右翼Mの口から「自分自身の判断」が誤りだったことを認める発言は聞かれない。右翼Mが事実よりも自分自身のプライドを優先しようとしているのなら、右翼として恥ずかしいことではあるまいか。

「目撃情報」の出所

 なお「犯人目撃説」については、平成7年9月に「静岡在住」という男から次の情報提供が東村山署にあった。男はこういった。
「私は4名の創価学会員が、朝木市議をマンションに連れ込むのを目撃した」

 男から2度目の電話がかかった際、今度は千葉が「その際に110番しなかった理由は何か、創価学会員であると断定した根拠は何か」と聞いた。すると男は、「バカヤロー、お前も創価学会から金をもらっているのか」といって一方的に電話を切ったという事実がある。

 また矢野も平成8年4月18日発行の『週刊宝石』で、

「『朝木氏が4人の人にビルへ連れ込まれるのを見た』……など、こちらには新たな話が集まっています」

 とコメントしている。「静岡在住」の男の話と出所は同一とみられる。ただ双方の話だけでは、この「目撃談」の出所が「静岡在住」の男なのか矢野なのかは判断できない。

 いずれにしても『週刊宝石』にコメントして以後、矢野が「明代をビルに連れ込んだ4人の犯人」について追及した形跡がうかがえないのは不可解である。理由は定かでないが、この情報には信憑性がないと判断したのだろう。

 矢野は「行動する保守」Aのいう「内部告発」を「新情報」などと持ち上げたが、15年にわたって「真相究明活動」に従事してきたはずの矢野も朝木も、「内部告発」の真相を追及しようとはしなかった。もともと矢野が放棄したネタであることを知っていたのだろうか。

笑ってごまかされる程度の存在

 平成20年9月に東村山デマ宣伝に参入して以後、現実的な責任を取らされているのは右翼らである。明代の万引きを苦にした自殺に関して、今も「行動する保守」は矢野の宣伝内容を信じているのだろうか。平成23年12月、東村山議会で矢野に会ったので私はこう聞いた。

――今日は右翼は来ないんですか?

 すると矢野は、「ハーッ、ハッ、ハー」と芝居がかった大声を上げて笑ったものである。その隣では朝木がニヤニヤしながらこちらを見ていた。これが私の質問に対する矢野と朝木の答えだった。

 東村山駅前街宣(平成20年9月1日)後の平成21年3月議会には「行動する保守」Aや行政書士など多くの右翼が傍聴にやってきた。当時、矢野・朝木と右翼らの間にはまだ一応の信頼関係があった。

 しかし、西村修平が千葉から提訴された裁判では、矢野と朝木が全面支援したにもかかわらず、東京地裁は「明代には自殺の動機がなかったとはいえない」とまで判示し、西村は無残に敗訴した。さらにその後の東村山街宣裁判では右翼Mらに110万円の損害賠償が命じられるに至り、さすがの「行動する保守」一行も矢野の主張が法廷では通用しないことを感じ始めたかもしれない。

 もともと矢野と朝木は「行動する保守」一行と手を組むことを避けていたフシがある。少なくとも当初は積極的ではなく、「八王子街宣に参加するのか」という私の質問に矢野は困惑ぶりを隠せなかった。右翼らのシンポジウムに参加したのも、「行動する保守」Aの申し入れを断りきれなかっただけなのではないかと私はみている。

「行動する保守」一行にすれば、矢野と朝木の協力がないということでは街宣の迫力をやや欠く。動員にも影響が出よう。一方の矢野と朝木にしてみれば、相手が右翼というだけでなく、これまでの裁判の経過を知らない者と手を組むことにはマイナス面もあるというのが当初の判断だったのではあるまいか。

 右翼が相次いで損害賠償を命じられるようになると、右翼に対する距離感も変わっていったようにみえる。相次いで提訴された「行動する保守」の中で、矢野が直接的に支援したのは西村修平だけで、西村の敗訴後、矢野が右翼を支援した形跡は表面上はみられない。それが矢野の本音だったろう。

 矢野が見せた異常な高笑いは、右翼との微妙な関係と、右翼と結託していると見られることに対する嫌悪感を率直に表しているように思えた。要するに矢野と朝木の「行動する保守」に対する認識は最初からその程度だったのではあるまいか。

 なお余談だが、右翼Mの敗訴が確定したちょうどその日、「行動する保守」Aから私に対して10万円余の振込があった。これにより、私が写真の掲載をめぐり「行動する保守」Aを提訴していた事件は終結した。

(了)

TOP
右翼M事件・債権取り立て編(その1)
 警視庁東村山警察署元副署長の千葉英司が機関紙の記事をめぐり東京都中野区在住の右翼Mを提訴した裁判は、平成23年12月8日、最高裁が右翼Mの上告を棄却し、10万円の支払を命じた東京高裁判決が確定した。

 右翼Mは平成7年9月1日に発生した東村山市議・朝木明代の万引きを苦にした自殺をめぐり、「現職警察官による朝木明代殺害犯を警察は確保していたという内容の内部告発があった」とする「行動する保守」のAの現実ばなれした伝聞(のちにこの「伝聞」が実際には箸にも棒にもかからない「伝聞の伝聞」だったことが明らかになった)情報を、頭から信じ込んだ。確かなところはわからないが、右翼Mはよほど「行動する保守」Aを信用していたということではないかと推察する。

 いずれにしてもその結果、右翼Mは明代の万引き事件でアリバイ工作を共謀した矢野穂積(現東村山市議)のデマ宣伝も事実であると思い込み、機関紙「政経通信」に「朝木明代の転落死は他殺で、副署長の千葉は真実を隠蔽して自殺にすり替えた」とする内容の記事を掲載した。この裁判はこの記事に対して千葉が提訴していたものである。

右翼Mから届いた「宣戦布告」

 判決確定から約1年半がたっても右翼Mから損害賠償金の支払いはなかった。このため千葉は平成25年3月7日付で右翼Mに対して督促状を送付した。〈賠償金の支払について〉と題し、支払い催促の文言と「支払い期限 平成25年4月30日」などを記しただけのきわめて簡潔な督促状である(なお、千葉は「主権回復を目指す会」代表の西村修平に対しても2件分、計43万円の支払いを求める督促状を同日付で送付している)。

 これに対して右翼Mからはしばらく何の回答もなかったが、4月5日になって右翼Mから次のような文書が届いたのである。



〈賠償金の支払請求について〉(1)筆者注=カッコ数字は便宜上、筆者が付けたもの)

一、貴殿におかれましては、一連の事件における責任を痛感し反省すると共に、今までの所業を悔い改めたものであろうと、私なりに推察致しておりました。

 しかしながら、今般貴殿より金員の支払を求めるが如き書状が舞い込んでまいりました。この事態を直視するにおいては、貴殿の今までの反省を示す平穏なる態度が欺瞞なるものであるのか、と疑問を持たざるを得ません。

 貴殿及び貴殿を取巻く勢力が反省し悔い改めたということを前提として、貴殿と貴殿を取巻く勢力に対する下記の行動を実行する権利を一時的に留保してきました。

 しかしながら今般、貴殿が私に対し不当とも言える金員の支払を強要するような事態に直面し、権利の留保を解除することをも検討しなければなりません。



 一言でいえば、ここまで読んだだけでも、早くも並大抵ではない文書であるといえようか。

 本件において千葉が何を反省すればいいというのかさっぱりわからないし、千葉がこれまで損害賠償金の請求をしなかったことを右翼Mが「千葉の反省」を表すものと理解したという理屈はますます理解できなかった。千葉がこれまで支払いの督促をしていなかったからといって、それを理由に千葉が「かつての所業を悔い改めて損害賠償の請求を放棄した」と考えていたとは、ずいぶんとまた甘ったれた、あるいはきわめて自己中心的な発想である。

 また右翼Mがいう「貴殿を取巻く勢力」にいたっては、救いようもない妄想というほかなかった。

 それでもとにかく右翼Mは、こんなわけのわからない理由によって「行動を実行する権利を一時的に留保してきた」という。そもそも、その理由は妄想に基づくものだから「権利を留保する」理由は最初からないのだが、右翼Mは一方的に、千葉が支払いを強要(日本社会では、判決に基づく請求権の行使を「強要」とはいわない)するなら次のような事項を実行に移すというのだった。



〈賠償金の支払請求について〉(2)

1、 創価学会による言論弾圧事件を検証するパネルディスカッションの開催を要求する。

    広く世間一般に開放し、大衆を前にして真実を明らかにする。

   創価学会信者であり公明党活動家である箱崎慎一氏にはパネラーとして登場を要請する。
   パネルディスカッションの場に置いて、都議・高倉良生の写真を転用されたことで、如何なる被害を受けたのか説明する機会を与える。

   私達がJR中野駅前で高倉の写真を掲載したビラを頒布していた平成21年6月17日、箱崎は現場にいなかったにも拘らず、裁判においては「現場に行った」、と偽証した経緯について釈明する機会を与える。

2、 都民の税金を詐取した高倉の犯罪行為を有権者に広報宣伝する。

   本年6月の都議選における再出馬をしないように要請する。

3、 高倉が私を名誉棄損罪で警視庁に告発した件について、如何なる名誉が毀損されたのか高倉に真意を問い合わせる。

4、 私を公職選挙法における虚偽事項公表罪で警視庁に刑事告発した、当時の中野区議飯島謹一・岡本勇夫・平山英明・梁川妙子・江口済三郎・久保りか・小林秀明・南勝彦・白井秀史に対しては、「虚偽事項」の内容と刑事告発の経過について問い質す。

5、 平成7年に創価学会によって殺害されたとされる朝木明代東村山市議(当時)の死の真相究明の為の活動を行う。

6、「5」の事件を自殺として処理した千葉英司・東村山警察署副署長(当時)の責任を追及する。



 右翼Mはこう息巻くのである。しかし上記6項目のうち、1~4までは千葉とは何の関係もなく、これだけみても右翼Mが著しく冷静さを欠いていることがうかがえる。5、6については止めることはできないが、右翼なら罪もない市民に迷惑をかけるようなことだけはするべきではない。

 ただ、右翼Mが「行動する保守」Aや東村山市議、矢野穂積のデマ宣伝にもかかわらずなお明代の自殺が本当に「他殺」だとする根拠を持っているのなら、千葉が損害賠償を請求したかどうかとは関係なくやるべきだろう。千葉が請求したことを理由にやるというのは、千葉に対する報復的意味合いが含まれていると勘繰られてもやむを得まい。

 いずれにしてもここまで読み進めた時点で、右翼Mは機関紙に掲載した千葉および明代の自殺に関する記載についていっさいの非も認めていないことがうかがえた。やはり右翼Mは、この期に及んでも自分が「行動する保守」Aと矢野穂積のデマを信用したこと自体を認めたくないということなのだろうか。千葉が喝破した「情けない右翼」という評言はますます右翼Mにふさわしいものである。

(つづく)
TOP
右翼M事件・債権取り立て編(その2)
裁判での主張を法廷外で蒸し返し

 さて右翼Mは続いて、裁判でも主張した独自の主張を繰り返している。千葉が「記事によって社会的信用及び評価を低下させられた」と主張した部分のうちの「社会的評価」に対する解釈・理解である。右翼Mはまず記事が千葉の社会的評価を低下させたか否かについて次のように主張している。



〈賠償金の支払請求について〉(3)

二、私が発行した政経通信第38号に記載された記事の内容によって、貴殿の持つ「社会的信用及び評価が低下」させられた、との主張を真摯に受け止めます。
 
 私からの116,600円の支払を受けなければ、低下させられた貴殿の評価を回復できないという主旨による支払の請求であると理解いたします。

 上記主張が真実であれば、要求に従ってお支払いを実行する必要性を認めるところであります。

 しかしながら、記事は何ら貴殿の社会的信用及び評価を低下させるものでないことは明白であります。



 裁判所は、「機関紙を不特定多数には配布していない」「警察捜査に疑問を呈しただけ」で名誉毀損の不法行為は成立しないとした右翼Mの主張を排斥し、記事は千葉の社会的評価を低下させたと認定して10万円の支払いを命じたのである。また損害賠償金は社会的評価を低下させられた相手方に対する慰謝料であって、相手方の評価を回復させるためのものではない。

 法治国家である日本においてこの判決は絶対で、この結論が覆ることはない。したがって、右翼Mが支払いの必要を認めるか否かなどという議論が存在するかのような主張をすること自体、あり得ない。

 ところが右翼Mは今もなお記事は千葉の社会的評価を低下させるものではないと主張し、したがって損害賠償金の支払い義務はないと主張しているものと理解できる。右翼Mのこの主張は裁判所の判決を無視するもので、裁判所の判決と自分の考えが一致しなければ判決に従わなくてもいいと主張しているに等しい。これが右翼Mの法治国家に対する考え方であり政治姿勢なのだとすれば、右翼Mには「情けない右翼」というだけでなく「反社会的な右翼」という評価も加えなければなるまい。

不穏な文言

 右翼Mはさらに自らが提起したあり得ない議論、「記事が千葉の社会的評価を低下させたかどうか」についての議論を続ける。まともに取り合うような内容ではないが、なにやら不穏な動きを予感させるような文言も含まれている。右翼Mの人物像を表すものとして紹介しておこう。



〈賠償金の支払請求について〉(4)

 つきましては、貴殿の主張を立証するにあたり、以下質問を致します。

1、低下させられる以前の貴殿に対する信用及び評価とは如何なるものでありましたか?

2、記事を読んだ事によって、従来から持つ信用と評価を低下させた人物とは誰ですか?

3、低下させた人物によって、貴殿はどのような損害・不利益を被りましたか?

 以上は、裁判の審理の過程において、質問したことでありますが、貴殿からはなんら回答がなかったので、ここに質問するものであります。
 
 これは貴殿に対し損害金を支払う事を前提として、その正当性を固めるための質問であります。

 裁判の過程において明らかになりましたように、過去・現在においては一般社会との接触を持たぬ貴殿であります故、「2」については○○近辺(筆者注=○○には千葉の住所が記されている)に居住する人々であろうことは容易に推察できます。

 貴殿からの回答を待たずとも、信用と評価を低下させた人々に対しては、私から直接に聞取り聴取することは可能です。

 その上で、低下させた事は全くの誤読と誤解によるものであり、貴殿の信用及び評価を低下させてはならないことを充分に説明させて頂く用意があります。

以上



 質問の内容は現実的にまったく意味を持たない。名誉毀損裁判でいう「損害」とは「社会的信用及び評価が低下させられる可能性」が認定されればいいのであって、具体的な「損害」の立証は必要とされていない上に、すでに裁判所の結論は出ている。

 それよりも上記(4)で注意を要するのは、3項目の質問のあとで右翼Mが、「回答を待たずとも」千葉の住所の周辺に行き、「聞取り聴取することは可能」で、「貴殿の信用及び評価を低下させてはならないことを充分に説明させて頂く用意がある」と述べている点である。質問の直後、右翼Mが千葉の「信用と評価を低下させた人物」が「千葉の近所に居住する人々」となぜ限定するのかといぶかしく思ったが、千葉の家の近所に行く理由を作るためだった。文言自体は丁重であるものの、当事者の立場に立てば、その内容はけっして穏やかなものとはいえない。

 右翼Mが批判しようとする相手の自宅に押しかけたことは1度や2度ではない。右翼Mは今回もまた、千葉の近所に「説明しに行くぞ」といっているのだろうか。仮に街宣車で乗りつけたり拡声器を使用したりしなくても、そんな「説明」をして歩くこと自体が千葉に対する嫌がらせにほかならない。右翼Mはその「用意がある」といっているように聞こえる。

 いずれにしても、今回右翼Mが送付してきた回答を端的にいえば、支払いを拒否するというものである。しかしもちろん、この回答書にはなんらの法的根拠も正当性もない以上、右翼Mの債務がなくなるはずもなく、遅延損害金が増えるだけである。

 西村に対する請求も含めて、進展がありしだい改めて報告したい。

(了)
TOP
右翼M事件・債権取り立て編(その3)
3度目の督促

 平成25年3月7日に千葉が損害賠償金の支払いを求めたのに対し、右翼Mは常識では理解できない回答書(平成25年4月5日付「賠償金の支払い請求について」)を送りつけたきり、支払いの意思をまったく見せていない。裁判所で排斥された主張を法廷外で蒸し返し、裁判所の命令を無視して損害賠償の支払いを拒否するとは、やはり千葉が見抜いたとおりの「情けない右翼」である。あるいは右翼Mは、社会のルールに適応できない(したくない)風変わりな性質なのだろうか。当たり前の話だが、いずれにしても右翼Mは裁判所の支払い命令から逃れることはできない。

 そこで千葉は右翼Mに対し、平成25年7月2日付で〈賠償金の支払いについて〉と題する督促状を送付した。これが3度目の督促である。

 督促状にはまず「1」として、請求総額が「11万7800円」であること、支払い期限を「平成25年7月31日」とすることなどが記載されている。

 続いて「2」で千葉は、右翼Mが4月に送ってきた回答書に記載した主張と質問に対して反論と回答を行っている。便宜上、右翼Mの主張と質問を再度記載し、おおむねそれに対応するかたちで今回の千葉の反論と回答を紹介する。



(右翼Mの主張1)

〈(貴殿の請求は)私からの116,600円の支払を受けなければ、低下させられた貴殿の評価を回復できないという主旨による支払の請求であると理解いたします。上記主張が真実であれば、要求に従ってお支払いを実行する必要性を認めるところであります。しかしながら、記事は何ら貴殿の社会的信用及び評価を低下させるものでないことは明白であります。〉

(千葉の反論1)

(1)上記1の賠償金の支払請求は、貴殿が公表した記事が、私の名誉を侵害したとして、貴殿に賠償金の支払を命じた確定判決に基づくものであり、不当な請求ではない。



 右翼Mは東村山市議、矢野穂積と「行動する保守」Aの主張を鵜呑みにし、千葉について以下のように記載した。



①〈(朝木明代の自殺に際して)捜査の指揮をとった東村山警察署の千葉英司副署長(当時)は(「殺人事件」という事実に反して)強引に自殺として処理。〉

②〈自殺に見せかけるためにはその動機が必要となる。そのために同年6月19日に朝木市議が駅近くの洋品店でブラウスを万引きしたという事件をでっちあげた。後日取調べを受けた朝木市議は書類送検されたことを苦に自殺したというストーリーまでお膳立てしていた。〉

③〈この男こそ13年前、自殺事件にすり替えた張本人・千葉英司だったとわかった。警察を退職した今でも創価学会シンジケートで繋がり、店主を装って用心棒を演じていたとは。〉



 上記記載について裁判所は千葉の社会的信用および評価を低下させると認定し、右翼Mが真実性・相当性を立証できなかったため、名誉毀損の成立を認定したのである。右翼Mは正当な反論をしているつもりかもしれないが、法廷で排斥された独善的な主張を繰り返しているにすぎない。社会的に通用する主張かどうか客観的な判断ができないか、損害賠償金を支払いたくない気持ちの表れと理解するほかあるまい。

非を認められない体質

 続く千葉の反論をみよう。



(右翼Mの主張2)

〈貴殿におかれましては、一連の事件における責任を痛感し反省すると共に、今までの所業を悔い改めたものであろうと、私なりに推察致しておりました。しかしながら、今般貴殿より金員の支払を求めるが如き書状が舞い込んでまいりました。この事態を直視するにおいては、貴殿の今までの反省を示す平穏なる態度が欺瞞なるものであるのか、と疑問を持たざるを得ません。〉

〈貴殿及び貴殿を取巻く勢力が反省し悔い改めたということを前提として、貴殿と貴殿を取巻く勢力に対する下記の行動を実行する権利を一時的に留保してきました。しかしながら今般、貴殿が私に対し不当とも言える金員の支払を強要するような事態に直面し、権利の留保を解除することをも検討しなければなりません。〉

筆者注=さらに右翼Mは、よくわからないが、〈創価学会による言論弾圧事件を検証するパネルディスカッションの開催を要求する〉などの、本件とは無関係であるにもかかわらず創価学会に関する独自の活動を行うことを勝手に表明した上、明代の万引きを苦にした自殺について次のように息巻いている。)

〈5、平成7年に創価学会によって殺害されたとされる朝木明代東村山市議(当時)の死の真相究明の為の活動を行う。〉

〈6、「5」の事件を自殺として処理した千葉英司・東村山警察署副署長(当時)の責任を追及する。〉

(千葉の反論2)

(2)矢野穂積や瀬戸弘幸の根拠のない「冤罪(筆者注=明代の万引きが「冤罪」であるとするデマ)及び謀殺説」を確認・検証しないままに公表した貴殿に責任があるのであって、私に責任を転嫁することは、本末転倒である。また、創価学会・公明党員、そして、私の近隣住民は、賠償金の支払とは無関係である。



 判決後しばらくの間、千葉が督促しなかったことを「反省と悔い改め」の表れと理解していたとは独りよがりも限度を超えていよう。

 また明代の自殺について「真相究明活動を行う」というのなら、右翼Mが「他殺」と信じるきっかけとなった「行動する保守」Aの「内部告発」の究明から始めるべきだろう。「行動する保守A」を追及すれば、「内部告発」なるものが出所の突き止められないもの、つまりデマであることを理解するのではあるまいか。

 デマと理解できない場合は仕方がないが、デマと理解できた暁には、右翼Mは右翼らしく、「行動する保守」Aを信用したことは誤りだったと、潔く認めるべきである。「行動する保守」Aがそうであるように、具体的に何もする気がないのにいつまでも「真相究明活動を続けます」などという言い訳を繰り返すだけなら、非を認められない卑怯者ということになろう。

 さて千葉は3度目の督促状で次のように結んでいる。 



(千葉の反論3)

(3)貴殿の書面での主張と質問は、支離滅裂である上に、私に対する嫌がらせであり、極めて不愉快である。私は、貴殿からのかような書面の送達を拒否することを申し添え、貴殿の書面での主張と質問に対する反論と回答とする。



 なお、千葉に対して当初40万円を超える支払い義務を有している西村修平は、右翼Mと異なり、不定期かつ少額ずつではあるが、支払いを続けているとのことである。

(「その3」了)
TOP