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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第11回
「証拠」を掲げて追及

 多摩湖寿会の会計問題で山川に対するヒアリングを終えた東村山市健康福祉部は、経費の二重計上や補助対象外経費を補助対象経費として計上していた部分があったことは認定したが、山川が寿会の経費を私的に流用したり、実績報告で虚偽の申告をしようとする意思があったとは確認できなかったと答弁した。これに対して朝木は、「(山川は)厚顔無恥というふうにいうしかない」と前置きし、健康福祉部長の答弁に対し、具体的な実例を挙げて次のように反論した。

朝木  ……平成25年度の入浴料、これも日帰り研修の経費ですけれども、20人が入浴したというふうな、ご自身(筆者注=山川)で報告書も書いてる。それからもちろん領収書はないんですが、1万円計上してるんですよね。ところがこれ、寿会の現役員の方が調査に行ったら、悪いことはできないもんで、この日、この施設はお風呂、宿泊施設ともに改修中で、いっさい入浴については、この日は行っていなかったということがはっきりしてるんですよ。

 朝木がここでいっているのは、「山川が日帰り研修での入浴料として計上している1万円は、施設は入浴ができない状態だったにもかかわらず入浴したものとして計上された架空計上だ」ということである。山川はその1万円を着服したのだと。

 ここで朝木は質問席に立ったまま、クリアファイルに入れた1枚の紙を胸の位置に掲げて、市長を含む市の職員に向けて次のように質問を続けた。 

朝木  で、おそらく、市の方にもこの資料(筆者注=クリアファイルに入れた資料)が行ってるんじゃないですか? ちゃんと書面でね。こういうの、こういうの、日誌のコピー。7月1日、多摩湖寿会のカラオケ室だけは入ってます。だけど入浴については差し止めって書いてある、こういうものも行ってるんじゃないですか? これ、うっかりじゃないじゃないですか。忙しいから入浴料をわざわざ入れちゃったというんですか? そんなバカな話を真に受けるというよりも、そういうふうな言い訳が通用するというふうに、ウチの市はそれが通用するということになるんですか?

 朝木が掲げている「日誌のコピー」とは、どうも施設に残っていた日誌をコピーしてもらってきたものと思われた。現地に調査に行った「寿会の現役員の方」、つまり寿会会長がもらってきたものを、朝木がコピーしてもらったのだろう。そこには大きな文字で「入浴止め」と書いてあった。領収書がなく、施設の資料に「入浴止め」と書いてあれば、その時点において「入浴はできなかった」と考えることは不自然ではない。

朝木はもちろん自信があったから、クリアファイルに入れて掲げたのだろう。朝木としては動かぬ証拠を市に突きつけたというわけだった。朝木がこの「証拠」を示して市を追及している光景は市役所内のロビーおよびインターネットで今現在も広く配信されており、誰でも閲覧することができる。

割り込んできた傍聴者

事前に提出されていた朝木の質問通告書には、この「入浴」の問題については記載されていた。しかし、目の前に資料を示された市としては驚いたことだろう。しかも「ウチの市はそれが通用する」のかと聞かれている。「証拠」を突きつけられれば、これから事実関係を精査するとは簡単には答弁できない。市が答弁に苦慮していると、議長が「休憩」を告げた。

 すると朝木は、発言席に座ったまま次のように主張した。

朝木  何十件もあるんだから、不正計上が。1件だけじゃないんですよ。全部行ってるはずですよ、横領の証拠が。なぜ目をつぶるんですか?

 明らかな「証拠」を突きつけ、状況としては市を黙らせたわけだから、朝木としても勢いづいていたのだろう。答弁する市側は慎重な対応をしようとまだ静まり返っている。するとそこへ突然、傍聴席から年配女性のよく通る声が委員会室に響いた。

「全市に配ったらいいじゃない」

 朝木のいう「横領の証拠」を「全市に配れ」と、この人物は主張しているものと理解する以外になかった。「全市に配れ」とは「全東村山市民に対して配れ」という意味である。

「横領の証拠」があるというなら告訴・告発すべきだと思うが、この人物はそれよりも先に「横領の証拠を東村山市民に対してばらまけ」といっている。つまり、この人物もまた朝木と同様に、捜査機関の判断を待つことなく、「山川は横領をした」と断定したということになろう。

 その上で、この人物はその事実を「全市に配れ」といっている。問題を提起あるいは告発し、行政なり捜査機関の判断を待つのならまだ公益性があるといえるかもしれない。しかし、自己の一方的な主張に基づき、その主張を市内に「ばらまく」という行為は、私憤を晴らそうとするものといわれても仕方がないのではあるまいか。 

ところが市会議員の朝木は、発言権のない傍聴者の、それもとうてい議場には似つかわしくない「『横領の証拠』を全市にばらまけ」という発言にむしろ応えるように、あるいは援護射撃を受けたかのように、より強い口調で断定的にこう主張した。

朝木  横領なんだよ、これ。百条委員会でも作ってよ。

 百条委員会とは地方自治体の首長や議員の疑惑を調査するために設置するものだから、「山川が横領した」と主張する朝木が百条委員会の設置を求めるのは相当にズレた主張である。入浴施設が「入浴止め」だったという「証拠」を所管に突きつけたことで、朝木はよほど冷静さを失っていたのだろうか。

 しかしいかに気持ちが高ぶっていたとしても、「入浴止め」と書かれた記録があったこと、「領収書がない」というだけで、「入浴しなかったにもかかわらず入浴料1万円を計上した」と断定し、さらにそれを「横領なんだよ」と断定してよかったのだろうか。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第12回
「詐欺行為」と断定

「百条委員会でも作ってよ」という朝木の筋違いの主張を聞いたあと、市側も落ち着いたのか、入浴料に関する朝木に主張に対して、所管はこう答弁した。

健康福祉部長  入浴料そのものは単なる親睦会等の会員同士の親睦を目的とした行事に関わる支出で、補助対象外経費として最初から扱っておりますので、ヒアリングの中では聴取しておりません。以上です。

 市としては、補助金の対象ではないから市が関知する部分ではなく、寿会内部の問題ということである。だから、市は関知しないものについて調査する必要はないし、答弁する立場にもないということだった。

 それでも朝木はさらに語気を強めて、次のように追及した。

朝木  補助対象経費として計上されてたでしょう。それが嘘だったわけですよ。詐欺行為っていうんですよ、こういうの。あたかも支出されたと見せかけて、1万円を計上して、市に報告書を上げた。……それなのにずいぶんのんきな話だなというふうにいってるんですよ。

 朝木からすれば、入浴料の問題について所管が一任意団体内の問題として片づけようとしているとみえたのだろうか。語気だけでなく、山川が入浴料として1万円を計上していたことについて今度は「詐欺行為」とまで断定したのである。

 朝木の口から「詐欺」という言葉を聞くと、平成27年に朝木らが発行する『東村山市民新聞』で山川に対して「詐欺事件に関与した」と記載して50万円の支払いを命じられたことを思い出すが、今回の場合は「詐欺に関与」ではなく、山川が「詐欺」行為を行ったと断定していた。朝木としては、『東村山市民新聞』の記事で山川に敗訴し、プライドをへし折られた思いが心中深くにくすぶっていたのではあるまいか。

「詐欺に関与」の記事では確かな根拠を示すことができなかった。しかしこの「入浴料」に関しては、施設からもらったという「入浴止め」と書かれた確かな「証拠」がある。今度は間違いないという自信が、「詐欺行為っていうんですよ、こういうの」という強気の発言につながったのかもしれない。

しかし朝木はこの質問にあたり、「寿会の現役員が調査に行ったら」と前置きしているとおり、自分では調査を行っていないことが明らかだった。「詐欺に関与」の記事の根拠が伝聞だったように、今回の「入浴料」についても、「入浴止め」のコピーをもらった施設側の説明は伝聞にすぎない。

一般に議員の議会質問の自由は尊重されなければならないとはいえ、朝木の上記の発言は一般市民を犯罪者と断定するものにほかならない。仮に「入浴の事実はない」とする朝木の主張が十分な根拠に基づくものではなく、事実に反するものだった場合、そのような発言まで議会での発言として尊重されるべきだろうか。

「山川の懐に行っている」と断定した傍聴者

 さて、朝木は「入浴料」について「詐欺行為」と断定したあと、補助金の返還額がどうなったかを聞いた。健康福祉部が再調査を行った結果、修正された返還額は以下のとおりだった。



(健康福祉部が再調査の結果、確定させた返還額)

平成24年度 16万8566円
平成25年度 4万766円
平成26年度 12万1954円
平成27年度 12万1643円

返還額合計  49万768円



 健康福祉部長が上記の返還額を答弁すると、すかさず傍聴席から声が上がった。

「彼女から返してもらえばいいのよ。みんな山川さんの懐に行ってるから、全部返してもらえばいい」

 さきほど「横領の証拠を全市に配れ」といった傍聴者と同じ声だった。周囲に固まって座っていた3、4名の傍聴者が「そうですね」と同意の声を上げた。「山川さん」と名指ししたこと、固まって座っている傍聴者の中でもリーダー的存在であるようにみえることなどから察するに、最初に声を上げたこの人物は寿会の現会長であると推測できた。

 この人物は、「横領の証拠を全市に配れ」といい、東村山市が算定した返還額のすべてが「山川の懐に行っている」すなわち、「山川が横領した」と主張していたことになる。よく通る声だから、傍聴席はもちろん傍聴者の前に座っている東村山市職員全員の耳に届いたことは間違いなかった。しかし、そういうことならなぜこの寿会会長は、健康福祉部が実績報告等の再提出を求めても応じなかったのか。

また、朝木の説明によれば、平成28年7月の時点で山川は不適切な会計処理があったとして寿会に対して42万4500円を返金している(横領を認めたわけではない)。寿会会長は、その42万5000円とは無関係に、市が確定させた返還額49万768円のすべてを「山川が払えばいい」といっているのだろうか。

明らかになった最終目的

 返還額を確認した朝木は、さらに次のように聞いた。

朝木  そうすると、不適正計上の中には、いわゆる不正計上ね、さっきいったように実際には支出されていないのに、たとえば領収書を偽造したりとか、実際に支出していないものを支出したとみせかけて計上したもの、それからお酒とかね、実際にはお祝い金とか補助対象経費ではないものを乗せてしまった、その2種類あると思うんです。
 で、不正計上については当然、お金がなくなっているわけですから、その部分は間違いなく横領なんですよね。で、市に、この点について刑事訴訟法の239条の第2項、……これについてはどういうふうに考えようと思ってますか?

 朝木がここでいう「領収書を偽造したりとか、実際に支出していないものを支出したとみせかけて計上したもの」のうち、「領収書の偽造」については初めて出てきた事実だった。根拠は明らかではないものの、朝木は「山川は『領収書の偽造』までしていた」と主張していた。「偽造された領収書」があるというのならそれもこの場で公開すればよかったと思うが、この日の質問で公開したのは「入浴止め」と記載された入浴施設のコピーだけだった。

 その上で、朝木が持ち出したのが刑事訴訟法239条の第2項(筆者注=「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」とする規定)だった。要するに、「東村山市は山川の横領を告発すべきだ」とする主張にほかならない。市に告発させることが朝木の最終目的だったということのようだった。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第13回
市は虚偽申告を否定

 返還額を確認した朝木は、不正計上は山川が横領したものであるとして市に対して告発すべきではないかと迫った。これに対して健康福祉部長は次のように答弁した。

健康福祉部長  二重に計上された経費や補助対象外経費とすべき経費の混在など、会計処理において多摩湖寿会において補助金の返還命令に至るような不適切な状態があったことは確認をしております。しかしながら、……当市が実施した旧役員等々のヒアリングでは、補助金の交付申請時において虚偽申告があったとまで断定、確認することはできませんでした。このことから、犯罪があったと断言することは困難と考えております。したがいまして、現状においては刑事訴訟法に基づく法的措置を講じることは考えておりません。

 市の判断は、返還金が生じた部分について、山川に着服の意図があったと断定するには至らなかったということだった。これに対して朝木は「これ横領じゃないといってますけど、だったら横領の要件をいってください」と引かなかった。いきなり横領の刑法上の要件を聞かれた所管は答弁に詰まった。

 横領の要件を所管に答えさせてどうしようというのか。朝木が知っているのなら、最初から要件を提示すれば、わざわざ時間を割いて聞く必要はなかろう。自ら「横領」の定義を示し、今回の不適切な会計処理が横領に該当すると主張すればいいのではあるまいか。所管が答弁に窮したため、ここでまた、議会は長い休憩に入った。

 するとその間にまた、傍聴席から寿会会長の声が響いた。

「告訴できないんだ。元市会議員だから、仲間だから」

 これもまた「山川は横領した」とする事実を前提とするものにほかならない。その上で、東村山市は元市議会議員を特別扱いしていると主張している。寿会会長は、東村山市は「横領」に目をつぶろうとしているとでもいいたいようだった。

 長い中断のあと、所管がようやく「横領」の刑法上の定義を答えると、朝木はさらに質問を続けた。

朝木  ……(山川の不適切な会計処理は)私は横領とそれから詐欺にも当たると思ってるんですね。たとえばレシートと領収書の二重計上、これは支出がないのにあったと見せかけて、入浴料もそうですけれども、あったと見せかけてお金を盗ってるわけですから、これは詐欺にも当たる。これは弁護士も同じ見解です。そういう意味では詐欺の、詐欺もなかったとおっしゃるんであれば、今度は詐欺の成立要件はどのように認識してらっしゃるのか伺います。

 朝木のいう「レシートと領収書の二重計上」とは、同じ商品を買ってレシートと領収書の両方をもらい、別々の支出があったことにして二重に計上し、その半分を懐に入れたという意味なのだろうが、架空請求であるとする「入浴料」とともに、それが「横領」、「詐欺」とまで断定するからには、その確かな証拠を示さなければならないだろう。

 朝木は立ち上がって上記のように質問し、着席したあとも健康福祉部長を非難した。

「犯罪がなかったというんだったら、きちっと勉強してからいってくださいよ。常識ですよ、そのくらい。公金横領を告訴したことあるじゃないですか。特定の人間は特別扱いなんですか」

 着席したままの発言はいわゆる不規則発言にすぎない。しかし、議長があえてそれを放置したものだから、「詐欺の定義」をめぐり市側が答弁を始めるまでに、市職員の席を挟んで、傍聴席と朝木の間で通常はあり得ないやりとりが行われた。

我が物顔の傍聴者

 まず口を開いたのは寿会会長だった。それをきっかけに以下のようなめったに見られない議場風景が繰り広げられたのである。

寿会会長  「人を騙して財物を奪う」。

会員  ああそういうことか、早いねー。(筆者注=「市と違って、会長は」という趣旨と思われる)

朝木  詐欺の要素の方が強いかもしれないですね。

寿会会長  市もわからない。市にもすぐにわからない。

 本来、市と協力関係にあるはずの多摩湖寿会会長が、このような不遜な態度で市の担当者をからかう理由は何なのだろうか。しばらくして、健康福祉部長はこう答弁した。

健康福祉部長  失礼いたしました。詐欺につきましては、「人を欺いて財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する。また前項により財産上不法な利益を得又は他人にこれを得させた者も同項と同様とする」。個別の要件に関しては、さきほどの横領と同様でございます。以上です。

 この答弁に対して、今度は寿会会長らが即座に賛意を示した。

会員  そのとおりじゃない。

寿会会長  そのとおりですよ。

 相当のふてぶてしさである。我が物顔といえばいいのだろうか。しかし議長は傍聴規則で禁止された彼らの度重なる振る舞いを放置したままである。あえて、こんな傍聴者がいたということを議事録に残そうという考えだったのかもしれない。

 いうまでもなく、寿会会長らがいった「そのとおりですよ」とは、「山川が行ったのは部長が説明したとおりの行為で、詐欺だ」という意味であると理解できた。すると朝木は、傍聴席の声をなぞるように「今の(説明)とまったくそのものじゃないですか」と健康福祉部長に同意を求め、続けてこう発言した。

朝木  ということで、239条の第2項について確認しておきますけれども、これは訓示規定と考えているのか義務規定と考えているのか、そこをはっきりしてください。

「公務員の告発義務」について定めた規定が、「場合によっては告発すべき」というものなのか「どんな場合でも告発しなければならない」というものなのかと迫ったのである。「義務規定」ということになれば、東村山市は山川を告発しなければならないと認めることになる。朝木はその点に対する東村山市の考えを質したのである。答弁しだいでは、「告発」の方向に追い込もうという思惑であることは明らかだった。

(つづく)
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