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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第34回
領収書綴りに改変の可能性

「山川が担当者にファックスを依頼したのは確認のためではなく、提訴の材料にするためだった」とする主張を退けられた朝木は、山川の手の内を探ろうという意図でもあったのか、今度は「入浴料」以外の部分に関してもファックス送信したのかどうかを確認した。これに対して健康福祉部長は次のように答弁した。

健康福祉部長  ……そのほかにはですね、同じく入浴料に関わる、これも当然確認行為の中で行っているものでございますが、出金伝票、それから日帰り研修で支払ったガソリン代の手書き領収書、それにかかる会計帳簿、以上でございます。

 このとき朝木がすぐに理解したかどうかは不明だが、健康福祉部長の答弁の中で、担当者が山川に送ったファックスの中に「入浴料に関わる出金伝票」が含まれていたことには2つの重要な意味があった。

 山川が会計を担当していた当時、山川は領収書綴りに領収書を貼り、その上に重ねてその領収書と同じ金額の出金伝票を貼り付けていた。主な理由は、領収書の文字が小さいことが多いため、出金額をわかりやすくするためという。出金伝票には会計担当者山川と多摩湖寿会の予算を決済する立場にある会長(当時)の捺印もある。つまり、「入浴料」の出金伝票が存在するということは領収書が存在していたことを示していた。これが1つ目の重要な意味である。

 2点目は、この出金伝票が他の3枚の出金伝票とともに並んだ状態で送信されてきたことである。ファックスにはA4用紙横向きに2枚ずつ出金伝票が並んでいる。担当者は「こちらではいっさい加工しておりません」といっているから、これは再調査にあたって寿会会長の清水が東村山市に提出したままの状態であるということになる。

 山川は領収書綴りに、1つの出金についてまず領収書を貼り、その上に出金伝票を貼り付けるという形で整理しており、出金伝票だけをまとめるという方法を取っていない。すると、担当者が送信してきた出金伝票の状態を見るかぎり、出金伝票の整理状態は山川が作成したものとは異なるということと理解できるのではあるまいか。領収書の上に貼られていた出金伝票が引き剥がされたということだろうか。

 すでに社会福祉協議会の監査を受けている会計帳簿類はすべて、監査後5年間の保管義務がある。もちろん、監査を受けた時点の状態のままでということである。この領収書は平成25年度のものであり、当然、監査は終了しているから、出金伝票が剥がされたということになれば重大な規則違反ということになる。

さらに、領収書綴りから出金伝票が剥がされたとすれば、その下に貼られていたと山川が主張する「入浴料」の領収書も、実際にはそのときにいっしょに剥がされたのではないかとの疑いがかけられたとしても、管理義務を負う寿会会長の清水はその疑念そのものを批判することはできまい。

代理人が市長に内容証明

 担当者が山川にファックス送信したのは「入浴料」に関する箇所だけであるとする健康福祉部長の答弁に対して、朝木は「調査をしたというのに、どうしてそれだけしかしてないんですか」「なぜ他の領収書がない経費は調査しないのか。それから調査の結果を教えてください」と迫った。そもそも、山川が担当者に依頼したのは、朝木が議会で「山川は入浴の事実がないにもかかわらず1万円を支出したとして着服した」と主張したからであり、その部分について帳簿類を確認したかっただけである。朝木自身の質問によって新たに調査の必要が生じたという経緯になんらの不自然も不合理もない。

 上記の質問に対して、健康福祉部長は次のように答えた。

健康福祉部長  調査についてはさきほど総務部長からもちょっとご答弁差し上げましたが、領収書綴り、それから帳簿1件ずつの突き合わせの調査をしております。で、個別の領収書の他のないものに関しても、ヒアリングの中で確認のできるところ、個別に確認を行っているということでございます。以上です。

 これに対して朝木は着席したままで「領収書がない経費について調査をしたっていってるから、その調査結果を聞いてるんですよ」と表情も口調も険しく確認を求めた。健康福祉部長は淡々とこう答えた。

健康福祉部長  領収書に関しては、当方であくまでお預かりした段階から添付をされていなかったということで、その事実確認をしていただいたということでございます。以上です。

 健康福祉部長の答弁内容は、「入浴料」の領収書について山川が「間違いなく領収書の上に出金伝票を重ねて領収書綴りに貼り付けた」と主張しているのに対し、所管が清水から領収書綴りのコピーを受け取ったとき、すでに領収書綴りには「入浴料」の領収書は貼られていなかったというものである。つまり、朝木はこの質問によって、清水が提出した領収書綴りの状態が、少なくとも山川が作成した時点とは異なる状態にあったことを確認しただけだった。

 しかも、領収書綴りに貼られているはずの出金伝票は、出金伝票の束としてまとめられていたこともわかった。出金伝票はすべて領収書綴りから剥ぎ取られたということだった。その際に、「入浴料」の領収書がいっしょに剥がれ落ちた可能性を想定してもなんら不合理ではない状況であることも確認されたということだった。担当者がファックス送信したことについて追及した結果、朝木はかえって清水が会計帳簿類に手を加えた可能性が高いことを確認しただけということになろうか。

 そのことに苛立ったかのように、朝木は一方的にこう主張した。

朝木  この情報漏洩も含めてですね、あの多摩湖寿会の代理人から、弁護士から抗議の内容証明も届いてるはずでありますから、この問題また継続します。

 担当者が山川にファックスを送信したことについて弁護士が内容証明を送付したとしても、担当者がなんら法的責任を問われることはないだろうし、山川がファックスを証拠として提出したことが無効になることもない。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第33回
朝木の主張を「裏付ける」状態

「担当者が山川にファックス送信したのは調査の一環だった」との答弁に対して、朝木は多摩湖寿会を訴えることが目的だった」と主張し、総務部長に対して答弁を求めた。この主張は一方的に「しょうもない答弁」と切り捨てた根拠ということだろうか。これに対して総務部長は次のように答弁した。

総務部長  今回のファックスによる会計処理の調査、確認でございますが、寿会さんからのですね、……ご要望が1つ、それから議員の……疑義……に対応すること……を前提に資料の提示をファックスを使ってさせていただいたところだという認識に立っておりますが、所管担当といたしましても、……現物や実態を示す必要性があったんだろうと認識をしております。

 総務部長はまず、山川が担当者にファックスの送付を依頼したのは、朝木が一般質問で「入浴の事実がないにもかかわらず1万円を支出したとして着服した」と主張したため、領収書を貼付したはずの領収書綴りの当該箇所を確認するためだったことを説明している。山川は朝木が「入浴料の領収書は存在しない」と主張したため、不安になって領収書綴りの確認を求めたのである。

 朝木が主張するとおりだとすれば、領収書綴りには「入浴料」の領収書が存在しない可能性が高い。とすれば、それは朝木の主張を裏付けるものであって、山川にとって有利な証拠とはいえない。そのような資料について、清水らを提訴する目的で山川がファックス送信を依頼することはあり得ない。

 現実に、山川と担当者が領収書綴りを確認した結果、経緯と状況はともかくとして、入浴料1万円の領収書は現実に存在しておらず、「領収書も存在しない」という限りにおいては朝木の主張を裏付けている状況にあった。しかし山川は、領収書綴りとセットになっている出納帳の記録や他の寿会会員の証言等から、領収書綴りの当該箇所には入浴料1万円の領収書が当初は貼ってあったこと、しかしそれが事後に剥ぎ取られたものであると確信し、入浴料に関する朝木の主張を否定する証拠として裁判に提出するに至ったのである。

知らされていなかった可能性

 ところで、山川がそう主張して領収書綴りを証拠として提出したとしても、その領収書綴りの状況自体は、経緯はともかくとして、依然、「入浴料の領収書が存在しない」という朝木の主張に沿ったものであることに変わりはない。したがって、山川がその領収書綴りを証拠として提出したとしても、それだけでは「当初はそこには入浴料の領収書が貼付されていた」という主張を裏付けることはできない。朝木は、何もあわてる必要はない。

 十分に根拠があると主張するのなら、朝木は山川が提出した領収書綴りに基づき、「入浴料の領収書が存在しないこと」を主張すればいいだけのことではあるまいか。ところが朝木の質問を聞いていると、不思議なことだが、山川がその領収書綴りを提出したことをどうも好ましからざることと受け止めているようにみえる。朝木はなぜ、領収書綴りが提出されたことをこれほど問題視するのか、不可解に思えてならない。朝木は領収書綴りの存在および、「入浴料」の領収書が剥がされた状態に見えることについて、清水から聞かされていなかったのだろうか。

「提訴のための送信」を否定

 さてここまでの総務部長の答弁は、「『調査の一環』ではなく、提訴のためにファックスを依頼した」とする朝木の主張を否定するものであると理解できる。つまり、健康福祉部長と同様に、山川の要請に従って担当者がファックスを送信した行為にはなんら問題はないと判断しているということだった。

 だから、「山川が朝木らを提訴した裁判において、上記のファックスは証拠として提出されており、その後の現実は、『調査の一環』であるとする所管の答弁とはかけ離れている」という朝木の主張に対して、総務部長は次のように受け流した。

総務部長  このファックス文書がですね、訴訟資料あるいは訴えの根拠の、あるいは論拠となったということにつきましては、当市といたしましてはまことに遺憾であると受け止めております。

「遺憾」といいつつ、山川の提訴については、いいとも悪いとも何も具体的に論評していない点が重要なのだろう。つまり、総務部長は何に対して「遺憾」といっているのかわからない。これなら朝木に対してはもちろん、山川に対しても角が立たないということなのではあるまいか。いずれにしても、総務部長はあくまで「調査の一環としてファックス送信したにすぎない」という市の立場を改めて説明したのだった。

 そもそも再調査は多摩湖寿会会長の清水と朝木が言い出した話であり、前会計の山川に対する聴取をするというのなら、具体的に資料を示したとしても何の問題もないのではあるまいか。

「非公開」をはき違え

 ここまでの市側の答弁で説明は尽くされたと思うが、朝木にとってはまだ納得がいかないようだった。時間のムダのようにも思われたが、朝木はさらに担当者がファックスで送信した行為に対する追及を続けた。

 朝木が次に持ち出したのは、市老連が会計帳簿類のコピーを多摩湖寿会に返却した際、添付された書類の中に「上記書類をいっさい公開しない」とする記載があったということだった。この点について健康福祉部長は次のように答弁した

健康福祉部長  ……市老連事務局としては、他団体、市以外へは情報提供をしていないと手書きで書いたものでございまして、市老連事務局長の職責として外部への提供はしていない旨を書いたものということでございます。あくまで市老連事務局として提供していないということでございます。それから、ファックスで確認をしていただいたことについては、その間のやりとりとして、……ファックスで事実確認をしていただくのが適切というふうに判断させていただいたものというふうに思っております。以上です。

「返却」されたのがいつだったのか、朝木は明らかにしない。しかし市老連が記載したという「いっさい公開しない」とは、時期に関係なく、当事者以外の外部には公開しないということであって、東村山市や東村山市が行っている調査の対象を含むものではあるまい。調査対象者に対しても「非公開」ということになれば、とうてい公正・公平な調査など期待できない。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第32回
「再調査以外の目的」とする主張

 平成29年3月3日に終わるはずだった朝木の一般質問に対する答弁のために、議事日程を変更して3月28日の東村山市議会3月定例会の最終日に時間を取ることになった。そもそも朝木の質問が質問通告書に記載していない内容だったため、市側は正確な答弁ができないと判断し、市議会は協議の末、改めて時間を設けることにしたのである(議員の中にはこの対応について批判する者もいる)。

 3月28日、健康福祉部長と総務部長が答弁に立ち、山川に資料をファックスで送信した担当者の行為がなんら法に触れるようなものではないことを丁寧に説明した。ところがそれに対し、朝木は「しょうもない答弁」と決め付けた。市側の答弁はきわめて筋の通ったものと思うが、朝木は何を根拠に「しょうもない答弁」と切り捨てたのだろうか。朝木はまず次のように反論した。

朝木  ……この書面(筆者注=山川の訴状)によりますと、健康福祉部高齢介護課に対し本件領収書をファックスで送ってくれるように依頼したと。これは会計担当者から依頼したというふうに3日にも答弁している……

 朝木は、「再調査の一環」であるとした市側の答弁に対し、担当者が山川にファックス送信したのは「山川の依頼によるもの」であって、「再調査」などというものではないと主張している。これはどういう根拠によるものであり、「再調査」目的でないとすれば、山川はどんな理由でファックスを依頼したと朝木は主張しているのだろうか。

山川は朝木から「入浴の事実がないにもかかわらず1万円を支出したとして着服した」などという新たな疑いがかけられたことで領収書綴りを確認する必要があると考えて、そのページをファックスしてくれるよう依頼し、担当者は「事実を確認したい」という山川の言い分には理由があると判断したから依頼に応じたというのが事実経過である。その時点で担当者もまた事実確認の必要性を認識していたのである。朝木は山川が領収書綴りを送ってくれるよう依頼したことについて、事実確認以外のどんな目的があったというのだろうか。

「しょうもない答弁」の理由

しかもこの担当者は、朝木や多摩湖寿会会長の清水らの要求によって行うことになった山川に対するヒアリングを直接担当していた。だから、朝木が新たに主張した「入浴料」に関する事実の真偽について山川が確認を求めたことについても、それを拒否する理由はなかった。朝木の主張と当事者の主張が食い違う以上、担当者としては資料を示して確認してもらう必要があると判断したのは当然だろう。朝木が主張するように、担当者は正当な理由なく送ったということではないのである。

 朝木は上記の質問の中でさらに、〈行政側の調査目的ではなくて、「会計担当者の個人的なリクエストによりファックスしたと」答弁しております〉とし、「調査目的ではない」と主張している。しかし、要求したのが山川だったとしても、「事実を確認したい」との申し出に応じて資料をファックス送信し、そのことによって一定の事実確認がなされたのだから、それが「調査目的ではない」という主張は当たらない。

したがって、この朝木の追及に対して健康福祉部長は「この間の調査確認業務の一環として行っているということで、やりとりの中で、あくまでファックスの方の送信をさせていただいているものでございます」と答えた。十分な答弁というべきである。

しかし朝木はなおも、こう追及した。

朝木  ……そうすると、終わったあとにこういうヒアリングを行っていたということですか。

 東村山市は朝木や多摩湖寿会の要請に基づく再調査にあたり山川らに対する2回のヒアリングを実施したが、それですべての調査が終わったというわけではない。新たな疑問点が出てくれば、そのつど事実確認をする必要があるのは当然である。その方法はヒアリングである必要はない。

そもそも今回の調査の原因となったのは「山川は入浴の事実がないにもかかわらず1万円を支出したとして着服した」とする朝木自身の一般質問にあった。それに対する事実確認をしたことに何の問題があろうか。執拗な朝木の質問に対して健康福祉部長は一言こう答えた。

健康福祉部長  あくまで調査を継続していたということでございます。以上です。

 調査の一環であり、資料は再調査のために提出されたものなのだから、「担当者が山川にファックスを送信した行為には何の問題もない」と健康福祉部長は答弁しているのだった。朝木はこの時点で、担当者が山川にファックスを送信した行為について、「違法な行為だった」と東村山市に認めさせることができなかったということになる。朝木のいう「しょうもない答弁」とはこのことをいっているのだろうか。

「告訴」をほのめかした朝木

すると朝木は、今度は情報公開で「非公開」となった理由を持ち出し、次のように主張した。

朝木  総務部長、2点目ですが、会計帳簿関係書類が非公開となった理由は「民事裁判を理由としたものだ」とか「本人が見ているものだからいいんだ」という答弁がありましたけれども、会計帳簿が非公開になった理由の1つには、

「多摩湖寿会が刑事告訴の準備手続きに入っているため、この金銭出納帳の写しが元会計担当者に渡ると証拠隠滅等、捜査に支障が出ることが確実である。よって東村山市情報公開条例第6条第1項第7号、公にすることにより捜査に支障が生じる恐れのある情報であると思われます」

という回答によるものであって、代理人名の入ったこの会計担当者を被告訴人とする告訴状の紙を添付して提出しております。

すでに告訴がされている可能性がありますけれども、実際に会計担当者にこの情報が渡ったことにより捜査に支障が出る可能性が高いこと、またこの会計担当者の「確認したい」という目的は、多摩湖寿会を訴えることであったことは、その後の会計担当者の行動で明らかであります。

この会計担当者はファックスされた文書を証拠として裁判所に提出し、この係長のコメントを使い、「ここに貼ってあったはずの入浴料の領収書を何者かがはぎ取って加工した」といいがかりをつけて、自分が疑われて精神的な苦痛を被ったのは多摩湖寿会会長の保管管理が悪いからだとして損害賠償金を要求しています。調査の一環だったとする行政側の答弁とはかけ離れた現実でありますが、この点どのように考えるのか、ご答弁願いたい。

 論理的に何がどう結びついているのかよくわからない質問だが、整理すると、①清水が山川を告訴している可能性が高いが、担当者が山川に資料をファックス送信したことによって捜査に支障が出る可能性が高い、②山川が資料を送ってくれるよう依頼したのは、清水らを提訴するためであり、調査を目的としたものではない――朝木はこう主張しているようだった。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第31回
「再調査の一環」

「健康福祉部の担当者が山川に対して多摩湖寿会の領収書綴りの1ページをファックス送信した行為は、業務時間中に行われた私的な行為であり、また情報公開請求手続きにおいて『非公開』とされた情報を送信したもので、違法な行政行為である」(趣旨)

 平成29年3月3日、朝木直子は一般質問でこう主張した。一般質問に際して事前に提出した一般質問通告書には上記の内容はいっさい記載されていなかった。答弁する側としてはいきなり聞かれたため、答弁することができなかった。東村山市議会は協議の結果、3月定例会最終日に改めて答弁から再開することとなった。

 平成28年3月28日、議会最終日の冒頭、まず健康福祉部長が答弁に立った。

健康福祉部長   ……帳簿等のうち、疑義のある部分、領収書が添付されていない部分等について調査・確認する中で、当該入浴料領収書の添付について元会計担当者の認識と市に出されている領収書綴りの写しに相違がございました。確認資料である領収書に関する相違であることから、市に出されている領収書綴りの写しでは当該領収書が添付されていないという事実をご確認いただいたものであり、補助金精査にかかる調査確認業務の一環での行為でございます。

 担当者が山川にファックスを送信した行為について、健康福祉部長は朝木が要求した再調査の一環であると述べた。

「情報公開制度とは別次元の行為」と結論

 健康福祉部長に続いて、今度は情報公開請求手続きを所管する総務部長が答弁に立った。「情報公開請求手続きにおいて非公開の決定がなされた資料を、情報公開請求における手続きを経ないまま、健康福祉部の担当者が所有者である多摩湖寿会の同意なしに公開したことは違法な行政行為だ」と朝木は主張していた。総務部長の見解はどうだったのか。総務部長はまず「情報公開手続き」と担当者が山川にファックス送信した行為の関係について答えた。

総務部長   ……今回の領収書の提示は、補助金精査にかかる調査を進める過程で必要が生じたため、調査当事者に対して情報を提示したものでございます。

  そこで情報公開制度でございますが、市民に広く市の活動内容を説明し、市政に関する理解と信頼を深めるという目的の下で、請求者を限定せず、公開を求める理由も問わず、原則非公開情報以外は公開するというものでございまして、今回の調査とは制度の目的や公開対象の範囲が異なります。このためすべて同じ取り扱いになるものではございません。

  総務部長は最初に「情報公開制度が市民一般に対する情報開示の制度であって、行政の内部的調査にも同じ制度が適用されるわけではない」と、情報公開制度の基本的な考え方を述べた。きわめて当然の話と思うが、それを朝木は、これまで同次元で論じてきたのである。その上で、総務部長は今回の担当者の行為について説明を行った。

総務部長  寿会から提出された領収書は、任意団体でございます寿会の内部情報でございまして、無関係の第三者に任意で提供できる情報ではございません。しかしながら今回は、補助金精査にかかる会計書類の疑義につきまして、当事者である元関係担当者に調査を行う過程におきまして、入浴料の領収書の有無に関し、当事者の提出したという認識と実際市の手元にある領収書の綴りにはその領収書がないという事実に違いがございましたため、事実を提示する目的で領収書綴りの当該部分をファックスしたものでございました。無関係の第三者に任意で提供したものではございません。

 ここで総務部長は、担当者が山川にファックス送信した行為が情報公開制度に基づくものではないこと、山川は調査の当事者であって「無関係の第三者」ではないこと、山川の認識と領収書綴りには齟齬があったため、事実を提示する目的だった――と説明している。

 またこの再調査について総務部長は、多摩湖寿会の会長をはじめ役員が再調査を望んでいたことを改めて明らかにし、再調査のためには調査の当事者である山川に帳簿類を提示することが必要であり、会長らは再調査を申し出た時点で帳簿類が山川の目に触れることを認識していたはずだと述べた。その上で総務部長は、情報公開制度との関わりについて次のように結論付けた。

総務部長  これらの状況から、調査を進める過程で必要となった情報提供でありまして、情報公開請求に基づき公開したものではありませんことから、情報公開条例には関わらないと、このような認識を持っております。

 朝木が主張した、「担当者が山川に対して情報公開手続きで非公開となった情報をファックス送信したのは違法」とする主張は当たらないという趣旨であると理解できた。当然の結論というべきだろう。

「秘密の漏洩」も否定

  朝木は「地方公務員法の守秘義務」という観点からも担当者の行為を問題視していた。この点についてはどうか。

総務部長  ……(担当者の行為は)補助金精査に関して会計書類の疑義を調査する過程で必要となった情報提供でございまして、調査の当事者ゆえに情報を提示したものでございます。またファックスに記載されていたのは、当事者が元会計担当者としてご自身でとりまとめた領収書の一部の写しでございまして、すでに本人が目にしていた情報でございます。当事者が知らない新たな寿会の内部情報を提供したものではございません。……

  また「守秘義務」につきましては、地方公務員法第34条では「職員は職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」と規定されておりますが、……今回の元会計担当者へのファックス送付は……元会計担当者の記憶と実際提出された書類の状況が一致しているか否かの事実確認としての調査対象への情報提供でございますため、秘密の開示には該当せず、守秘義務違反および情報漏洩には当たらないと認識しているところでございます。

  再調査にあたっては、調査の当事者である山川に対して具体的な資料を提示しなければならない。担当者が山川にファックス送信した行為は資料を具体的に提示したにすぎず、これを「情報漏洩だ」などというのはいいがかりというほかあるまい。

  朝木の主張を否定した健康福祉部長の答弁も総務部長の答弁も、論理的かつ合理的なものだったのではあるまいか。

  いずれの答弁も、そもそも最初から質問通告書に記載していれば、朝木の当初の一般質問の日である3月3日までに事実確認を終え、答弁できたはずの内容にほかならない。ところが総務部長の答弁を聞き終えた朝木が開口一番に言い放ったのは耳を疑うような自己中心的な一言だった。朝木はこういったのである。

朝木  1カ月近くも待たされて、しょうもない答弁でがっかりしてます。

 朝木には、「1カ月近く待たされた」のはそもそも自分の責任であることがわからないようだった。しかも「質問通告書に記載しないで申し訳なかった」の一言どころか「しょうもない答弁」と切り捨てるとは、とうていまともな議員の発言とは思えなかった。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第30回
却下された監査請求

 担当者が「入浴料」の領収書が「貼ってあったと想定される」として当該箇所の領収書綴りを山川にファックスで送付したことについて、朝木は「多摩湖寿会会長の了承を得ていない」というだけでなく、情報公開請求手続きの中で「非公開」の決定がなされたなどの理由で違法な行為であると主張している。朝木の主張だけを聞くと、この主張には筋が通っているように聞こえる。事実はどうなのだろうか。

 この情報公開請求を行ったのは山川である。平成29年1月30日、山川は清水や朝木に対する訴状を提出したあと、朝木と矢野が提出した監査請求に関して情報公開請求を行った。朝木と矢野は今回の多摩湖寿会の会計問題に関し、監査請求を提出すると議会などで公言していた。それがどのようなものなのか、事実を確認しておく必要があると考えたのである。

 監査請求の内容は、「山川は東村山市が多摩湖寿会に支出した補助金の一部を詐取した。よって東村山市は山川に対して返還させなければならない」というものである。なお、監査委員による監査結果は、「補助金は会計個人に対してではなく多摩湖寿会に対して交付したものだから、違法もしくは不当な公金の支出、財務会計上の行為には該当しない」とし、住民監査請求の要件を欠くという理由で監査自体が行われなかった(いわゆる「却下」ということである)。

 朝木は監査請求にあたり、証明資料として多摩湖寿会の金銭出納帳を提出していた。清水が提供したのだろう。この金銭出納帳は多摩湖寿会のものであるため、東村山市はこれを請求者に公開していいかどうか清水に確認を求めた。これに対して清水が公開を拒否したため、平成29年2月16日、金銭出納帳については「非公開」の決定がなされたのである。つまり金銭出納帳が「非公開」となったのは、情報公開制度に基づく手続きの中での決定なのだということがわかる。

それぞれ独立した行政行為

 一方、健康福祉部の担当者が山川に領収書綴りの1ページをファックス送信したのは、平成28年12月7日のことである。そのきっかけは、朝木が12月議会で「山川は、入浴した事実がないにもかかわらず架空の入浴料1万円を計上し、着服した」と主張したことにあった。

それまでに山川に対して行っていたヒアリングの時点ではまったく出ていなかった話だった。新たな問題が生じたため、山川は担当者に対して領収書綴りの当該箇所を送ってくれるよう依頼し、担当者はその依頼に応じた。

自ら「架空の入浴料1万円を計上し、着服した」と主張していながら、その当事者に対して根拠を示さないというのはアンフェアである。したがって、ここまでの経過は、清水と朝木が再調査を要求したことを発端として健康福祉部が行っていた再調査の延長線上、一環とみることができる。

つまり、再調査の一環として山川の依頼に応じて担当者がファックスを送信した行為と、山川が申請した情報公開請求で金銭出納帳が「非公開」となったこと――この2つはまったく関連性のない独立した行政行為であり、それが正当なものであったか否かについてはそれぞれの事情や経過を法令に照らして判断しなければならない。ところが朝木は、山川が申請した情報公開請求で金銭出納帳が「非公開」の決定がされたことをもって、再調査を目的に担当者が山川に対してファックス送信した行為が不当であると主張している。

まったく別の行政行為を同次元のものとして論じることで、担当者の行為を違法と主張しているにすぎないことがわかろう。しかも質問の際、朝木はそれぞれの行政行為の経緯や事情など詳細な説明はしていない。朝木はただ、情報公開請求手続きで非公開の決定がされたものだから、担当者が山川にファックス送信した行為は違法だと主張したのである。朝木が自らの主張を正当なものと考えていたとすれば、市議会議員としてかなりの浅慮というほかない。

質問通告書に記載していない上に、いきなり「情報公開請求手続きで非公開の決定がなされたものを、担当者は所有者に無断で山川にファックスを送った。この行為は違法だ」と主張されたのでは、答弁する側が混乱したのもやむを得まい。

混乱させることが目的

質問通告書に記載していれば、それぞれの所管が事前に調査し、それぞれの行為がまったく異なる経緯で行われた別の行政行為であることが判明し、わざわざ答弁が2日間にまたがるような事態にはならなかったにちがいない。朝木が質問通告書に記載しなかったのは、行政を混乱に陥れ、それに乗じて、担当者が山川に対して領収書綴りの一部をファックス送信した行為が少なくとも不適切なものだったと市側に認めさせることが目的だったのではないかという気がする。

そうでなければ、こんな複雑な話を事前に質問通告書に記載しない理由はなかろう。最初から記載していればよかったのである。

では朝木にとって、「担当者が山川にファックス送信した行為を不当なものだった」と市に認めさせたとして、そのことにどんな意味があったのだろうか。刑事事件では、違法に収集された証拠は証拠として認められない。民事ではそのような例はないが、それでも一応、山川が「入浴料1万円の領収書が貼られていたと推測される」ものとして証拠提出した領収書綴りの1ページは、「非公開決定がなされていたにもかかわらず、担当者が山川に違法に送信したものだから、正当な証拠とは認められない」と主張することはできる。

その結果、裁判官がファックスを証拠として提出することを認めたとしても、山川にとって不利な心証を持ってしまう可能性がないとはいえない。朝木は法廷でこの証拠が「違法な行政行為によって提出されたものである」と主張することが目的だったのではあるまいか。

(つづく)
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元市議名誉毀損事件 上告審2
矢野穂積と朝木直子の敗訴が確定

 政治宣伝ビラ『東村山市民新聞』第186号(平成27年7月31日付)に「元公明市議の山川昌子が詐欺事件に関与した」とする記事が掲載されたことにより名誉を毀損されたとして、山川が東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)を提訴していた裁判で、平成29年6月26日、最高裁は矢野らが申し立てていた上告を受理しない決定を行った。これによって、矢野と朝木に対して50万円の支払いを命じた東京高裁判決(平成28年12月7日=http://pullman.blog117.fc2.com/blog-entry-710.html)が確定した。

 矢野らは上記の控訴審判決後、平成28年12月20日付で「上告状兼上告受理申立書」を提出していたが、このうち上告については東京高裁が民事訴訟法第316条の規定により、〈本件上告は不適法でその不備を補正することができないことが明らかである。〉として平成29年3月13日、上告を却下する決定を行っている。

ビラの発行から2年、この最高裁決定によって、『東村山市民新聞』第186号に掲載された山川に関する記事が虚偽であることもまた確定したということになろうか。

なお、東京高裁が支払いを命じた50万円については、ちょうど上告状の提出に前後して、遅延利息を含めてすでに支払われている。

(了)
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多摩湖寿会事件 第29回
「入浴料」は公的問題化

 山川が東村山市議の朝木直子と多摩湖寿会会長清水澄江を提訴した際、証拠の1つとして提出した領収書綴りのファックス(山川が「入浴料1万円の領収書を貼ってあった」と主張しているページ)をめぐり、朝木はその書類が情報公開請求手続きの中で非公開とされた文書であるとして、市の担当者がその文書を所有者である清水の了解を得ることなく山川にファックス送信したことは重大な問題であると主張し、市側は事実経過及び担当者の行為に問題があったかなかったかについて日を改めて答弁することになった。通常、一般質問は1人当たりおおむね1時間程度で答弁まですべて終わることを考えると、別の日に答弁を持ち越すというのは異例の出来事である。

 さて事実経過を確認しておくと、朝木が「山川は入浴の事実がないにもかかわらず1万円を支出したとして着服した」とする一般質問通告書を提出したのは平成28年11月22日で、一般質問を行ったのは平成28年11月30日である。この時点までに朝木は、寿会の会計問題について東村山市に対してさまざまに疑義を唱え、答弁を求めていた。

 清水と朝木が多摩湖寿会の会計に対する再調査を要求したことに基づいて市が山川らに対するヒアリングを行ったのは平成28年10月31日と同年11月8日だが、ヒアリングの中では「入浴料」の件はなんら聴かれていない。しかし、ヒアリング終了後に朝木が新たな「問題点」を指摘したことで、市としても新たな調査、確認事項が生じていたという状況であることは明らかである。

そもそも市は、「入浴料」については補助対象外であると認識していたため、ヒアリングにおける聴取対象ではないと判断していた。しかし、朝木が議会で取り上げたため、本来は多摩湖寿会内部の問題であるはずの「入浴料」の問題は、多摩湖寿会の内部問題ではすまなくなったといえるのではあるまいか。

朝木の主張を「裏付ける」証拠

朝木の一般質問に驚いた山川が「領収書は領収書綴りに貼ってあるはずだ」として確認のために領収書綴りの当該ページをファックスで送ってくれるよう東村山市健康福祉部の担当者(係長)に依頼し、担当者が山川にファックスを送信したのは平成28年12月7日である。

「架空の入浴料を計上して1万円を着服した」と断定された山川が、自分が作成した領収書綴りの確認を市に求めたとしてもそれは当然で、市としては朝木の質問によって新たな調査項目が追加されたわけだから、山川の要求に応じて事実確認をしてもらおうと考えたのも自然な対応である。朝木は依然として「山川は横領した」と主張しているのだから、担当者の行為は朝木と清水が要求した調査の一環ということになる。

調査を要求していた朝木が、資料に基づいて事実確認しようとした担当者の行為をなぜこれほど責めるのか、むしろその方が不可解というべきではあるまいか。ただ一方的に「架空の入浴料を計上して1万円を着服した」と主張するだけで裏付けがなければ、その主張は客観的な事実とは認められない。担当者が領収書綴りの1ページを山川に提示し、事実を確認しようとしたことを、朝木はむしろ評価すべきだったのではあるまいか。

しかも、担当者が山川にファックス送信した領収書綴りには「入浴料」の領収書が貼付されておらず、その経緯は別にして、朝木の「入浴料の領収書はない」という主張を裏付けている。だったら別に、領収書綴りのそのページを送信したからといって目くじらを立てる必要はなかったのではなかろうか。

気に障った担当者の「証言」

朝木としては、ファックス送信されたそのページこそ、「入浴の事実がなかった証拠だ」と主張すればいいように思える。しかし山川は訴状で、「領収書のないそのページは、何者かによって剥ぎ取られたものだ」と主張している。そのページの状態は、領収書の「№44」という数字と、あたかも帳簿の「№44」(入浴料)に対応した領収書が剥がされた跡であると推測できるスペースがある。

山川の反論がなければ、「入浴料」の領収書が貼られていない領収書綴りは朝木の主張を裏付ける証拠となったかもしれない。しかし、そのページにある空白部分が、領収書が剥がされた跡であること、つまり当初は「入浴料」の領収書が貼られていたことを示すものであるということになれば、山川の主張を裏付けるものとなり、朝木の主張が誤りであることを裏付ける証拠となる。朝木は「領収書」が最初は貼られていた可能性を示しているそのページのスペースと「№44」という記載から、それが自分たちの主張を破綻させる可能性を持っていると直感したのだろうか。

さらに朝木の気に障ったのは、担当者がファックスを送信するに際して領収書綴りにあるスペースについて次のように記載していたことである。

「平成25年度の日帰り入浴料の領収書が貼ってあったと想定される部分の写しを送付いたします。白紙の部分は提出された状況から白紙でした。こちらでは加工しておりません」

 あたかも「加工」されたことを前提にしていると読めないことはない。「加工」されたとすれば、それは誰か。少なくとも担当者は「こちらでは加工しておりません」と証言している。

 この「入浴料」が計上された平成25年度の決算は社会福祉協議会の監査を受けており、その際には「入浴料の領収書がない」とは指摘されていない。したがって、「入浴料」の領収書は、その時点では存在したとみるのが自然である。

監査を終了した会計書類は5年間の保存義務がある。監査終了と同時に会計書類はそのままの状態で保存され、誰も手に取ることはなかったし、当時の会計を担当していた山川が「入浴料」の領収書を剥ぎ取る理由もない。山川は平成28年に役員を退任した際、「入浴料」の領収書を貼付した領収書綴りを多摩湖寿会の新会長、清水澄江にそのまま引き継いだのである。

会計書類を清水に引き継いだ時点で、監査の際に存在した「入浴料」の領収書は領収書綴りの中に間違いなく存在したはずである。ところが市の担当者がコピーを受け取った時点で、「入浴料」の領収書はなくなっていた。すると、「入浴料」の領収書が領収書綴りからなくなったのは、清水が会計書類を引き継いでから市の担当者に提出するまでの間ということになる。

「こちらでは加工しておりません」という担当者の証言は、上記のようなきわめて重要な事実関係を意味していた。そのことを朝木がいつ知ったのかは定かではない。しかし、領収書ナンバーだけが残り、空白となった領収書綴りの意味が、担当者の証言によってより鮮明になったと朝木は感じたのではあるまいか。

 担当者が山川からファックスを依頼された時点で寿会会長の了承を得るべきだったと朝木は主張している。しかし、朝木が疑義を提示し、山川が「そんなことはない」として確認を求めた結果、市には新たな調査の必要が生じたのであり、担当者が山川に領収書綴りをファックス送信した行為は同年10月から11月にかけて行った再調査の一環とみなすことができよう。寿会会長は再調査のために過去の帳簿類のコピーを市に提出しており、担当者はその一部をファックスで送信したにすぎない。したがって、「寿会会長の了承を得ていない」とする朝木の主張は筋が通らないとみるのが妥当というべきではあるまいか。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第28回
的を射た反論

「担当者が元会計にファックスをした時点ではまだ裁判にはなっていなかった」、「ファックス送信した領収書綴りの一部は非公開となった会計簿には含まれていない」とする総務部長の答弁に対し、朝木はすぐにこう反論した。

朝木  ……会計帳簿と領収書は別物だといいますけれども、領収書の綴りというのは、……会計帳簿の添付書類です。会計帳簿に添えて出すものですから、会計帳簿がダメだったら、添付書類だって一緒、同一のものだっていう扱いをするのは当たり前じゃないですか。

 それから、……その時点で照会したら、そのときの事情はわかってないですよ、照会してないんだから。それはあなたの勝手な解釈であって、行政側の。それはまったく答弁というか、合理的な理由にならないと思います。再度説明を願います。

 朝木は「領収書の綴りは会計帳簿と一体のものである」、「担当者はファックス送信してもいいかどうか所有者である多摩湖寿会に確認を取っていない」と主張しているようだった。このうち「領収書の綴りは会計帳簿と一体」とする主張は、この一般質問の中で唯一、正当と評価できるもののように思われた。総務部長としても、この主張に関しては認めざるを得なかった。

 さらに朝木は座ったまま「なんで情報公開通してないんですか」と抗議し、こう発言を続けた。

朝木  (領収書綴りは元)会計のものじゃないでしょう。寿会のものでしょ、これは。勝手な判断で出していいわけないじゃないですか。寿会の持ち物ですからね、これは。

 もちろんこれは、東村山市議会規則で定められた正式の「質疑」ではない。不規則発言である。このところ体調が思わしくないせいか、朝木の隣でおとなしくやりとりを聞いていた矢野も朝木の不規則発言につられて、こんな当たり前のことを口にした。

矢野  山川の個人の文書じゃないだろ。

 一連のやりとりになんら影響を与えるものではないが、矢野も参加したかったというところだろうか。矢野も一応被告であることに違いはない。

理解しがたい主張

 もちろん担当者が山川にファックス送信した領収書綴りは山川のものではない。しかしこの領収書綴りは、多摩湖寿会の清水会長と朝木が再調査を要求し、そのために清水が、コピーではあるものの、自ら再調査のための資料として市に提出していたものである。

 市はこの資料に基づき山川に対するヒアリングを行うなどの再調査を行ったが、その際に「入浴料1万円の領収書がない」という話は出てこなかった。朝木が議会で「入浴しておらず、領収書もないにもかかわらず、1万円を支出したとして着服した」などと発言した結果、確認する必要が生じたのである。

「入浴しておらず、領収書もないにもかかわらず、1万円を支出したとして着服した」といわれれば、「着服した」といわれた本人が反論の必要があると考えるのは当然のことだろう。間違いなく「入浴料の領収書」を貼付したはずの領収書綴りを、貼付した本人が確認しようとすることに何の問題があるのだろうか。よく理解できない主張というほかなかった。

傍聴席から抗議した寿会会長

 朝木、矢野の不規則発言が続き、議場内には市側の答弁に対する不満が当然と思わせるような空気が広がっていたように思う。するとその雰囲気に乗せられたのか、今度は、傍聴席の多摩湖寿会会長の清水澄江が突然こう発言したのである。

清水  領収書を提出いたしました。思いもよりませんでした。あくまでも、会計監査のために、会計監査で出した書類ですので、このようなことが行われるとは夢にも思っておりませんでした。

 どうみても、傍聴人の立場を逸脱した傍若無人の行為である。議長は顔をゆがめて発言を制止したが、議長が制止しなければ、清水はまだ不満を述べ立てていただろう。

 清水は「このようなことが行われるとは夢にも思っておりませんでした」という。「このようなこと」とはいうまでもなく、所管が山川に対して領収書綴りの問題とされるページをファックス送信し、それを「領収書が存在した」証拠として裁判所に提出されたことを意味するのだろう。

「着服した」「横領した」といわれている側が、その根拠であるという書類の送付を求め、身の潔白を主張するためにそれを裁判所に提出することに何の問題があるというのだろうか。しかも、そもそも再調査を要求したのは清水自身である。「着服」したというのなら、堂々とその根拠を相手方に提示すべきだろう。またそれが「着服」の証拠であるというのなら、清水は裁判所で堂々とそう主張すればいいだけの話なのではあるまいか。

 ただ、議場の状況は朝木の質問に市側が一方的にやり込められた形だった。質問通告にもなくいきなり行われた質問で、担当者がファックス送信した状況と「情報公開で非公開となった情報である」という、健康福祉部と総務部という2つの所管にまたがる状況をどう整理すべきか、市側も短時間で結論を出すことはできなかった。再び議会は中断し、議会運営協議会を開いて対応を協議することとなった。

 再開を待つ間、寿会会長の清水は傍聴席のあちこちを巡り、訪れた高齢者たちに「山川がどのような方法で寿会の金を着服したか」を説明して回っていた。そのせいもあってか、傍聴席ではやはり「山川が着服したというのは事実であり、市が朝木の質問に答えられないのは市側にやましいところがあるからだ」とする趣旨の感想が飛び交っていた。

それは、正しい事実認識だったのだろうか。しかし、人の口に戸は立てられないのは恐ろしい事実だった。

 議運で協議した結果、朝木の質問に対する答弁はいったん保留とし、3月議会の最終日に行われることとなった。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第27回
自信満々の反論

 多摩湖寿会会長が東村山市に対して再調査のために提出した会計帳簿類の一部である領収書綴りの1ページが担当者から山川にファックスで送付されたことを、朝木は山川が裁判所に証拠として提出したことによって知り、担当者はいかなる正当な理由があってこの文書を山川に送ったのかを質した。健康福祉部長はその事情を知らなかったため、担当者に確認を求めたようだった。

 かなりの時間が経過したのち、ようやく議会は再開となった。担当者に事情を確認した健康福祉部長は次のように答弁した。

健康福祉部長  元会計の方から平成25年度の日帰り研修入浴料の領収書について、当方に提出された領収書、帳簿類の内容を確認したいとの申し出があって、当方としては、返還金についての説明会に出席していただきたいとの思いがあったことから、ファックスにて送付したものでございます。

 本会議場で「入浴した事実がないにもかかわらず1万円を支出したことにして着服した」といわれた本人が、帳簿類を確認したいと担当者に申し出たこと、担当者がそれに応じたことに何の問題があると朝木はいうのだろうか。そもそも、「入浴した事実がないにもかかわらず1万円を支出したことにして着服した」と議場で発言したのは朝木であり、朝木がそのような主張をしなければ、山川が帳簿類の確認を要請することもなかったのである。

 しかし朝木は、健康福祉部長の答弁に対してかなり自信たっぷりにこう反論したのである。

朝木  この領収書の綴りについてですが、おそらくこの元会計かその関係者だと思われますけれども、先日、情報公開請求がありました。それに対して多摩湖寿会の会計帳簿関連文書は非公開の決定がされてます、市の方で。非公開文書です、これは。で、こういう非公開文書の写しがなぜファックスで元会計担当者に送付されているのか。

 また送付書での「領収書が貼ってあったと想定される」というコメントについて、これは初めから領収書が貼付されていなかったことを契機にしてこの問題が発覚したわけであるのに、なぜ貼ってあったと想定したのか、そして「こちらでは加工しておりません」というコメントはどういう意味なのか。

 入浴料は補助金事業対象外、ヒアリングの対象外であるということでありますから、このやり取りは完全なわたくし的、私的やり取りであり、職務外であるのは明らかでありますが、この係長は勤務時間中に役所のファックスを使って元会計担当者にアングラでこのような非公開文書を漏洩していたわけです。で、この元会計担当者とどのようなやり取りをしていたのかご説明いただきたい。またこの領収書綴りの写しにある複数の印影もマスキングすることもなくそのままファックスされています。市で非公開とされているこの文書が漏洩してることについて、当市情報公開条例、個人情報保護条例、公務員法、それぞれに照らして納得の行く説明を求めます。非公開文書です、これ。

 担当者が山川に対してファックスを送付した行為そのものに関して、上記の発言には2つの論点がある。1つは「情報公開請求」という手続きの中で「非公開」となった文書であること。2つ目は、ヒアリングの対象外だったこと、つまり公的正確を持つものではないということ――である。

 このうち、まず2つ目の論拠について、朝木は「入浴料は補助対象外経費だから、多摩湖寿会の私的経費」であり、したがって入浴料に関する資料を送付した行為もまた私的行為であると主張している。しかしそうだろうか。「入浴料」が私的経費であるというのなら、そもそも市議会の一般質問で取り上げる必要もなかろう。仮に「入浴料」の問題を一般質問で取り上げることに正当性があったとしても、市議会本会議場で発言された問題はすでに私的な問題ではなくなっている。すると、担当者が山川に関連箇所をファックスで送信した行為が私的行為であるとはいえないことになろう。「(担当者が)アングラでこのような非公開文書を漏洩」したというのも、担当者に対して非常に失礼な発言というほかない。

不十分なものとなった答弁

 しかし市側としては、ここで朝木が主張している「情報公開請求手続きで非公開となった文書」という点に関して、それでもなお担当者が山川にファックス送信した行為が正当な行為であることについて答弁したとはいえなかった。朝木はすかさず「全然答弁になってないじゃないですか」と不満を述べた。ここで議会は再び中断となった。総務部長は情報公開の担当部署に朝木のいう「非公開文書」であるとはどういうことなのか、事実確認をしたようだった。

しばらくして答弁に立った総務部長は、以下のような趣旨の答弁を行った。

「会計簿が非公開となったのは『裁判になっているから』という理由で多摩湖寿会側が非公開を求めたためであり、担当者が元会計にファックスをした時点ではまだ裁判にはなっていなかった。また、その内容は元会計自身が作成したものであり、伏せる必要性がなかった。『非公開文書』であるという点については、ファックス送信した領収書綴りの一部は非公開となった会計簿には含まれていない」

 この答弁は、担当者が山川に対して領収書綴りの一部をファックス送信したことの正当性および、情報公開請求で会計簿が「非公開情報」となったこととは無関係であることを十分に説明するものとは言い難かった。健康福祉部長も総務部長も、一般質問の最中に時間をもらっただけでは、事実経過とその意味合いを正しく把握するのは難しかったのだろう。

結果として、この答弁は、むしろ朝木を勢いづかせた。ここまでを見る限り、担当者が領収書綴りの1ページを山川にファックス送信したことについて一般質問通告書に記載しなかった朝木の狙いが功を奏した――という流れであるように思えた。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第26回
一方的に「着服」と主張

 平成29年3月議会で朝木が次に質問したのが、朝木らが「山川の横領の根拠」と考えているらしい事実についてだった。同年2月27日付答弁書で〈事実関係、証拠資料を確認・精査したうえ〉と記載しているとおり、その質問によって「事実関係」の裏付けを取ろうとしたものとみえた。

 もちろん、これから質問しようとしているにもかかわらず、質問通告書に〈多摩湖寿会で発生した元市議による横領事件について〉と、「横領」の事実を断定していることは質問内容と矛盾する。朝木の内心では、答弁のいかんにかかわらず、「横領した」という結論に変わりはないのだろう。

 まず聞いたのは、東村山市健康福祉部のヒアリングで、山川が「市に実績報告を提出する期限が迫る中、各サークルから領収書が提出されて来ず、やむなく他の領収書を使用してしまった」と話している点についてである。山川はヒアリングでさらに、「他の領収書で一時的に代替えして、後日差し替えようとした、その後適切な領収書への差し替えや、実績報告書の訂正などの対応ができなかったため、結果として二重に計上された経費として残ってしまった」と説明している。

この点について朝木は、「意識的に虚偽の報告をした」ということであり、「別の領収書を貼って出すこと自体が不正行為なのではないか」と主張した。これについて山川は「不適切な会計処理」だったことを認めている。しかし、朝木は次のように主張した。

朝木 「不適切」じゃなくて「不正」っていうんですよ、そういうのは。で、結果的に、結果的にね、その領収書を、別の領収書を、支出していない領収書を貼ったことによって、その分のお金は浮いたわけでしょ。で、その浮いたお金をずっと持ってたわけじゃないですか。言われるまで持ってたわけでしょ。こういうのを着服っていうんですよ、社会では。

「別のサークルの領収書」を正規の領収書として貼ったとしても、それは正規の領収書の代替なのだから「お金が浮く」ということにはならない。朝木は山川が「その浮いたお金をずっと持ってた」と主張するが、朝木はその証拠を提示できるのだろうか。

議会では提示する必要がなくても、法廷ではその証拠の提出を求められることになろう。当然、提出できない場合には、朝木は相応の責任を取らねばならない。

 その他、朝木は「二重計上のうち、レシートと領収書両方もらって、全く別の経費として二重計上していた件、また幟旗を前年度の控えを用いて購入していない幟旗を購入した件、また飲食費のレシートを文房具セットとして計上した件」(朝木の発言)について質問したが、いずれも「着服の根拠」といえるような答弁を得ることはできなかった。「着服」と断定し、またそのような答弁をさせたいのなら、自らその根拠を示して質問すべきなのではあるまいか。

 ここまでの質問で、朝木が答弁書に記載した〈事実関係、証拠資料を確認・精査〉する目的を果たすことができなかったのは確かなように思われた。ただ、ここまでの質問は平成28年に行った質問の蒸し返しのようなものであり、朝木とすれば、この日の市側の答弁もある程度は想定していたのではあるまいか。また質問される側としても、事前に質問通告がなされていたこともあって、それほど答弁に困るようなものではなかったようにみえた。

 しかし、この日の朝木の本当の目的はこれから行う質問にあったようにみえる。山川から提訴された裁判に直接関わる内容であるのみならず、健康福祉部を少なからず動揺させるものだったのである。

「裁判の証拠」を問題視

 その質問は一般質問通告書には一言も記載されていなかった。朝木はあえて、この質問をいきなりぶつけることで自分たちに有利な答弁を引き出そうとしたものとみえた。朝木は1枚のファックスを示してこう聞いた。

朝木  では伺います。部長、私も大変驚きましたけれども、このファックスのことはご存知ですか? ここにあるのは平成、昨年の12月7日付で東村山市保健福祉部から元会計担当者へ送信されたファックスの写しです。送信元、東村山市保健福祉部、送信者は担当係長、時間は勤務時間である16時21分。件名「領収書の写しの送付」、送付書には、「平素大変お世話になっております。さて、平成25年度日帰り研修入浴料の領収書が貼ってあったと想定される部分の写しを送付いたします。白紙の部分は提出された状況から白紙でした。こちらでは加工しておりません」。こういうコメント付きで、2枚目、2枚目は領収書の写しのコピー、これは誰の決裁でこういうことをしたんですか? 冗談じゃないですよ。

 少なくともこの発言からは、健康福祉部から山川に対してこのファックスが送られたことに朝木がたいそう怒っていることが伝わってくる。そのファックスを朝木がなぜ持っているのかというと、山川が提訴の際に「横領はしていない」ことを証明する証拠として提出していたからである。

 朝木は平成28年12月議会における一般質問で、施設側から入手した「入浴止め」と書かれた記録のコピーを掲げ、「この日に、施設の風呂は工事中で入浴することは不可能だった。山川は入浴した事実がないにもかかわらず1万円を計上して、着服した。もちろん領収書もない」と、この件を山川が「多摩湖寿会の金を横領したこと」の根拠の1つとして主張していた。朝木の質問に驚いた山川は「入浴の事実はあり、領収書ももらったはず」として、事実を確認するために、健康福祉部に対して領収書綴りの領収書が貼ってあったと思われるページをファックスで送ってくれるよう要請したのだった。

その領収書綴りは、再調査を求めていた寿会会長が東村山市に提出していたものである(コピーだが)。入浴料の領収書が「貼ってあった」と山川が主張する箇所には「№44」の数字があり、「貼ってあった領収書がなくなった」ようにみえる空白(スペース)があった。しかも、市の担当者は「こちらでは加工しておりません」と記載していた。

山川は訴状で、領収書綴りのこのページは確かに「入浴料の領収書が貼ってあった証拠」であり、加工したのが何者かはわからないが、多摩湖寿会会長の清水は会計帳簿類を原状のまま保管する義務を怠ったと主張していた。朝木にとっては不利な証拠であることは確かだった。

朝木は一般質問の最初の方で、「入浴料は補助対象外経費で、市が関知するものではない」とする答弁を引き出していた。朝木とすれば、言質を取ったつもりなのだろう。すると、朝木の理屈の中では、担当者が「入浴料」に関する資料を山川に送った行為は私的な行為となり、違法だといいたかったのだろう。

「勤務時間内に送った」といっているのも、「勤務時間内であるにもかかわらず私的なファックスを市の予算で送信した」違法な行為であるとする含みのようだった。その上で、朝木は「これは誰の決済なのか」と詰め寄ったのである。

この件については質問通告書には一言も記載されておらず、担当者が山川にファックスを送っていたこと自体を健康福祉部長は初耳だったようにみえた。健康福祉部長がすぐには答弁できそうになかったため、議長は休憩を告げた。

傍聴席には多摩湖寿会会長の清水澄江をはじめ、清水の主張に疑いを抱いていないとみえる多くの高齢者が訪れていた。くわしい事情がわからない市民には、朝木に追及された所管が、あたかも誠実な仕事をしなかったために答弁に窮し、立ち往生している状況のようにみえていたのかもしれなかった。

(つづく)
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